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淫虐遊戯 五
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「素晴らしいね。楽しみに待っているよ。あんたの夢の宮殿と、伯爵のお馬乗りが見れる日をね。くくくくく。『A伯爵』の物語を呼んだ連中はみな来たがるだろうな。書物の世界が、夜の夢が現になるというのだから。絶対見逃せないさ。おっと、」
オルティスは風を感じた刹那、アベルに向かって手を差し出していた。
アベルは立ち眩みを起こしたようだ。
オルティスが支えたので倒れることはなく、すぐに態勢をたてなおしたが、それでも震えることは止めれず、全身を怒りにふるわせている。
「よ、よくも、よくも、そんな……下劣なことを……! 異教徒の悪しき因習をまねて遊ぶなぞ、帝国貴族のすることではない!」
蒼白になって怒りにふるえていても、アベルの美しさはすこしもそこなわれていない。
「ふん、よく言うぜ。散々、異郷徒の手で遊ばれたくせに」
本来なら整っているはずのバルバラの顔が、怒りと憎悪にゆがんで、ひどく醜く見える。
彼女の顔に浮かぶすさまじいまでの憎悪と軽蔑。その異常な激しさにオルティスの背は冷えていく。
「さぁ、つづきをしようか、伯爵。たっぷり可愛がってやるさ。俺の技だって、グラリオンの宦官や淫売どもに負けないぜ」
「あっ、よせ、……くるな!」
全身でいやがってはみせても、逃れる術もなく、アベルはふたたび身体の中心に卑しい娼婦の攻撃を受けるしかない。
背後でアベルをささえていたオルティスも、心は痛んでも、公爵に逆らうことはできない。
真紅の唇がひらく。その奥には魔物がひそんでいそうだ。
「うう……! あっ、ああっ……!」
またも妖しい凌辱の図が展開する。
湿った舌の響きに、アベルの狂おしい喘ぎ声。
天幕のなかは淀んだ桃色の空気に染められていく。
「はぁ……! ああっ……、ああ――」
身体の一番敏感な箇所を質に取られて、そこを徹底的に責めあげられ、アベルはもはや完全に男の弱さをさらけだしていた。
オルティスは全身が汗ばむのを感じた。
そして内心、感嘆せずにいられないのは、バルバラの根気強さというか執念深さである。
オルティスは風を感じた刹那、アベルに向かって手を差し出していた。
アベルは立ち眩みを起こしたようだ。
オルティスが支えたので倒れることはなく、すぐに態勢をたてなおしたが、それでも震えることは止めれず、全身を怒りにふるわせている。
「よ、よくも、よくも、そんな……下劣なことを……! 異教徒の悪しき因習をまねて遊ぶなぞ、帝国貴族のすることではない!」
蒼白になって怒りにふるえていても、アベルの美しさはすこしもそこなわれていない。
「ふん、よく言うぜ。散々、異郷徒の手で遊ばれたくせに」
本来なら整っているはずのバルバラの顔が、怒りと憎悪にゆがんで、ひどく醜く見える。
彼女の顔に浮かぶすさまじいまでの憎悪と軽蔑。その異常な激しさにオルティスの背は冷えていく。
「さぁ、つづきをしようか、伯爵。たっぷり可愛がってやるさ。俺の技だって、グラリオンの宦官や淫売どもに負けないぜ」
「あっ、よせ、……くるな!」
全身でいやがってはみせても、逃れる術もなく、アベルはふたたび身体の中心に卑しい娼婦の攻撃を受けるしかない。
背後でアベルをささえていたオルティスも、心は痛んでも、公爵に逆らうことはできない。
真紅の唇がひらく。その奥には魔物がひそんでいそうだ。
「うう……! あっ、ああっ……!」
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湿った舌の響きに、アベルの狂おしい喘ぎ声。
天幕のなかは淀んだ桃色の空気に染められていく。
「はぁ……! ああっ……、ああ――」
身体の一番敏感な箇所を質に取られて、そこを徹底的に責めあげられ、アベルはもはや完全に男の弱さをさらけだしていた。
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そして内心、感嘆せずにいられないのは、バルバラの根気強さというか執念深さである。
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