85 / 184
淫虐遊戯 一
しおりを挟む
「さぁ、伯爵、指を増やすよ。大丈夫だろう、これぐらい? グラリオンにいたときは、もっと太いものを随分うまそうに呑んだというじゃないか?」
心身の苦しみに崩れそうになっていたアベルだが、怒りが彼に力をあたえた。
「い、言うな! 許さぬ!」
「おやおや、この期におよんでもお貴族様というわけか?」
バルバラの、アベルほどではないが整った顔が残忍そうにゆがむ。
「今更、体裁ぶってどうする気だ? あんたの淫乱ぶりは、もはや帝国中が知るところだぜ。え? 異教徒たちに散々もてあそばれた身体で、生きておめおめと祖国へ凱旋なさる気持ちはどんなものだい?」
言葉はねちねちと陰湿になってきている。
オルティスは公爵が止めてくれないかと、はかない期待をしたが、公爵は面白そうに、美しい娼婦が美しい貴公子を責めたてるという淫靡な絵物語にすっかりひたっている。
「よ、よくも、そんなことを……!」
「ふん、偉そうに。俺の指で、こっちを、こんなふうにしておきながら」
「あうっ!」
憎い敵に、そこを指ではじかれ、アベルが痛みと悔しさに頬を燃やす。
「ほら、ほら」
「あっ、ああっ!」
気位たかいアベルにとっては、下賤の女の指で弄ばれるなど、文字どおり魂を切りさかれるほどの辛さなのだろう。
「皆知っているのだぞ。あんたが、グラリオンの後宮でなにをしたか。玉をなくした宦官どもの手管でよがったことも、後宮の淫売たちにもてあそばれたことも、あろうことか、異教徒の王の閨に侍ったことも。みんな、みんな知っているのだぞ」
バルバラの様子は、どこか普通でなくなっている。
「どうだったい、連珠の味は? あの書物が知れわたってから、帝国の淫売宿では玉を入れて遊ぶのが流行りだしたぜ」
「それは面白そうだな」
公爵が声を立てて笑った。
「帝国にはないような道具が、グラリオンの後宮にはずいぶんあるようだな」
心身の苦しみに崩れそうになっていたアベルだが、怒りが彼に力をあたえた。
「い、言うな! 許さぬ!」
「おやおや、この期におよんでもお貴族様というわけか?」
バルバラの、アベルほどではないが整った顔が残忍そうにゆがむ。
「今更、体裁ぶってどうする気だ? あんたの淫乱ぶりは、もはや帝国中が知るところだぜ。え? 異教徒たちに散々もてあそばれた身体で、生きておめおめと祖国へ凱旋なさる気持ちはどんなものだい?」
言葉はねちねちと陰湿になってきている。
オルティスは公爵が止めてくれないかと、はかない期待をしたが、公爵は面白そうに、美しい娼婦が美しい貴公子を責めたてるという淫靡な絵物語にすっかりひたっている。
「よ、よくも、そんなことを……!」
「ふん、偉そうに。俺の指で、こっちを、こんなふうにしておきながら」
「あうっ!」
憎い敵に、そこを指ではじかれ、アベルが痛みと悔しさに頬を燃やす。
「ほら、ほら」
「あっ、ああっ!」
気位たかいアベルにとっては、下賤の女の指で弄ばれるなど、文字どおり魂を切りさかれるほどの辛さなのだろう。
「皆知っているのだぞ。あんたが、グラリオンの後宮でなにをしたか。玉をなくした宦官どもの手管でよがったことも、後宮の淫売たちにもてあそばれたことも、あろうことか、異教徒の王の閨に侍ったことも。みんな、みんな知っているのだぞ」
バルバラの様子は、どこか普通でなくなっている。
「どうだったい、連珠の味は? あの書物が知れわたってから、帝国の淫売宿では玉を入れて遊ぶのが流行りだしたぜ」
「それは面白そうだな」
公爵が声を立てて笑った。
「帝国にはないような道具が、グラリオンの後宮にはずいぶんあるようだな」
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる