黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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魔窟の夜 二

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「くくくくく。あまり生意気な態度は取らない方が身のためだよ。俺、一度、あんたみたいに生意気で傲慢な貴族の若僧のここを、握りつぶしてやったことがあるんだぜ」
「よくそのあと揉めなかったな。貴族なのだろう?」
 公爵の疑問に、あっけらかんとバルバラはこたえた。
「言ったろう? 俺の贔屓には大司教や大貴族もいるんだよ。公爵、あんたみたいにね」
 公爵に笑いかけてから、バルバラはアベルに真剣な口調で語りかけた。
「さぁ、坊や、痛い思いをしたくなかったら、俺をよろこばせるよう努めることだな。そんなふてぶてしそうな顔では駄目だ。媚びるような目で俺を見ろよ。甘えた声でねだるんだ」
「そ、そんなことが出来るか!」
「するんだよ。でないと、こうだぞ」
「あああ!」
 バルバラというこの奇妙な娼婦には、かなり加虐の嗜好があるようだ。まるで本当に男のように乱暴なやりかたでアベルを責めさいなむ。
 アベルの美しい顔に浮かぶ苦痛をたのしみ、やがて手をはなした。
「くくくくく。さぁ、媚びるような顔をしてみろよ」
 そんなことが出来るわけもなく、アベルは辛そうな表情でただ首を横にふる。
「ああ……! おもしろいな。最高の見物だろう?」
 言葉は公爵に向けられたものだ。オルティスは内心で、どうかバルバラが自分になにも言わないで欲しいと願っていた。
「さぁ、伯爵、今度は可愛く素直に俺におねだりしてみろ。もっと、して、とか」
 無理な命令にアベルは無言だ。
 それをまた反抗ととったのか、バルバラはふたたびアベルの命の象徴をつかむ。
「ああっ……! は、はなせ! はなしてくれ!」
 命そのものを手中にとられ、男はどれぐらい抗いつづけられるだろうか。
 さしも気位の高いアベルも、幾たびかの責めのあとに、とうとう弱音を吐いた。
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