75 / 184
魔窟の夜 一
しおりを挟む
「見た目は白玉のようだけれど、こうして触ってみると柔らかいぐらいだ」
正面からアベルと向かいあうかたちになって、バルバラは両手でアベルの胸を揉む。縄を柔肌に食い込ませた胸は、思春期の乙女のようにかすかにふくらんで見えた。
「ん……うう!」
恥辱に眉を寄せ、アベルが天を仰ぐようにのけぞる。
「は……、はなせ……!」
バルバラのこたえは、淫らな、濡れた吸い音だった。
ちゅっ……という、乳首を吸う音を聞いた瞬間、オルティスは脇腹から背にかけて、なんとも言いようのないむず痒さを感じた。
女に乳首をもてあそばれるという屈辱にアベルの呼吸は乱れて大きく響く。はげしい吐息の音と、悩ましい水音がまじって、天幕のなかは、世にも淫らな官能世界と変じていく。
オルティスは圧倒されっぱなしだ。
生真面目なオルティスは一度も行ったことはないが、帝国の繁華街の隅にある、潔癖な人からは魔窟と呼ばれるような夜の店でおこなわれるような行為が、いや、そんな悪所であってさえも見られない淫蕩の場面が、つぎからつぎへと展開していく。
バルバラは右の胸を吸いつくすと、今度は右胸を吸う。
「ううう……、も、もう、やめろ!」
両手は後ろ手でしばられているので、アベルはおのれを貪る魔女をはねつけることもできず、苦しげに拷問のような舌責めに耐えるしかない。
ほのかな蝋燭の明かりに照らされて、アベルの白亜の肌に、ぽつりぽつりと二輪の紅花が咲いたように乳首が赤く映える。
「可愛い……、感じてる。胸を弄っただけだというのに、ここが……」
男の証しは娼婦の手にうばわれる。アベルの自尊心が悲鳴をあげる声がオルティスには聞こえてきそうだ。
「さ、さわるな、淫婦!」
激しい言葉を吐きつけたアベルに、バルバラは手に力を込めるという応酬をした。
「あうっ……!」
命そのものを、文字どおり手に取られている状況である。アベルは悔しそうに唇を噛むしかない。
正面からアベルと向かいあうかたちになって、バルバラは両手でアベルの胸を揉む。縄を柔肌に食い込ませた胸は、思春期の乙女のようにかすかにふくらんで見えた。
「ん……うう!」
恥辱に眉を寄せ、アベルが天を仰ぐようにのけぞる。
「は……、はなせ……!」
バルバラのこたえは、淫らな、濡れた吸い音だった。
ちゅっ……という、乳首を吸う音を聞いた瞬間、オルティスは脇腹から背にかけて、なんとも言いようのないむず痒さを感じた。
女に乳首をもてあそばれるという屈辱にアベルの呼吸は乱れて大きく響く。はげしい吐息の音と、悩ましい水音がまじって、天幕のなかは、世にも淫らな官能世界と変じていく。
オルティスは圧倒されっぱなしだ。
生真面目なオルティスは一度も行ったことはないが、帝国の繁華街の隅にある、潔癖な人からは魔窟と呼ばれるような夜の店でおこなわれるような行為が、いや、そんな悪所であってさえも見られない淫蕩の場面が、つぎからつぎへと展開していく。
バルバラは右の胸を吸いつくすと、今度は右胸を吸う。
「ううう……、も、もう、やめろ!」
両手は後ろ手でしばられているので、アベルはおのれを貪る魔女をはねつけることもできず、苦しげに拷問のような舌責めに耐えるしかない。
ほのかな蝋燭の明かりに照らされて、アベルの白亜の肌に、ぽつりぽつりと二輪の紅花が咲いたように乳首が赤く映える。
「可愛い……、感じてる。胸を弄っただけだというのに、ここが……」
男の証しは娼婦の手にうばわれる。アベルの自尊心が悲鳴をあげる声がオルティスには聞こえてきそうだ。
「さ、さわるな、淫婦!」
激しい言葉を吐きつけたアベルに、バルバラは手に力を込めるという応酬をした。
「あうっ……!」
命そのものを、文字どおり手に取られている状況である。アベルは悔しそうに唇を噛むしかない。
0
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる