黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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禁じられた夜 六

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「ああ……!」
 戒めを解かれると同時に、アベルは自分の身体をおおう最後のひとつがうばわれていくことに動揺をかくせないようで、碧の瞳が哀しげに光る。
 ぼんやりとオルティスは、美しくも残酷な絵のような光景を見つめていた。
「い、いや……! いやだ、やめろ!」
 頬を夜目にも薔薇色に燃やし、アベルは処女のように怯えた顔になって、必死にのがれようとするが、二人の残酷な男たちがそれをゆるすことはない。
「うう……。あっ、ああ!」
 紐が完全にほどかれた瞬間、オルティスは目をうたがった。
 紐がアベルの肌から完全にはなれたのと同時に、褥の上に、ぽとり、と落ちたものがあった。
「はぁ……」
 馬に乗せられる前に、公爵の手によって体内に挿入された宝石が、身体の外に出てきたのだ。
 きらきらと、紅絹の上で、淫らに濡れた碧の玉が美しくも不吉にかがやく。
「はぁ……」
 アベルの顔には絶望しかない。
「い、いや……だ」
 背後のドミンゴもアベルが落としたものに気づいたようだ。アベルの膝裏に手をかけると、自分の膝をあてがうようにして、膝上に抱えあげるようにした。
「ああ……!」
 幼児に用を立たせるような姿勢を強いられ、アベルはますますうろたえ、あわてた顔になる。
「や、やめろ! いやだ、こんな……!」
 アベルの周章狼狽ぶりは、公爵をことのほか喜ばせたようだ。
「おやおや、なんと可愛いかっこうだ、アルベニス伯爵。宮廷一の貴公子もかたなしだな。ほら、まだ二つあるぞ」
「ううっ!」
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