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白昼の虜囚 八
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「うっ……、うう……! あっ、や、やめ、やめろ……! ああっ」
「しっかりしろ、なんだ、これぐらいで。ほら、二つ目いくぞ」
「ああっ!」
いや、いや、と幼児のようにアベルが首を横にふる。そのつど、オルティスの胸も揺れる。
「そら、三つ目だ」
公爵の声に嘲笑がふくまれていた。
「すごいな。うまそうに呑んでいくぞ、おまえの蕾は」
「くぅー」
悔しげにアベルが頬を染めてうつむく。同時に、オルティスの胸に爪をたてた。
その仕草が、表情がひどくいじらしく思えて、オルティスの唇は開いていた。
「伯爵……もう少し、辛抱なさってください。もう少しです」
「ああ、いや……!」
可哀想に、アベルの目尻には光るものがあった。
極粒の玻璃玉のようなその光は、それこそアベルの砕けた自尊心の破片のように思えて、オルティスの胸に突き刺さってくる。
(お気の毒に……)
我知らず、オルティスは腕の力を抜き、優しさをこめてアベルの肩を抱きしめていた。
「さ、全部入ったぞ」
その声に、あわてて身を離した。頬が熱くなっているのが自分でもわかってオルティスはあわててしまう。
そんな自分を見て公爵が笑っているのを見て、いっそう羞恥に身をすくめた。
「待たせたな、ほら、この馬に乗れ」
先ほどより近づいてきていた馬と従者の存在に、アベルの顔は一気に青ざめる。
「い、いやだ! う……馬はいやだ!」
エメラルドの瞳に恐怖と嫌悪をうかべてアベルは抗議したが、それで止めるような男ではない。
公爵が苛烈で残忍なところがあることは、かれの部下たちのあいだではひそかに噂になっていた。
(知っているか? バルトラ公爵にはお気に入りの娼婦がいてな……)
朋輩がおもしろそうに囁いたあの噂……。
(裏社交の世界では知られた美人らしいが、その娼婦に……人に言えない遊びをさせるらしいぞ)
「しっかりしろ、なんだ、これぐらいで。ほら、二つ目いくぞ」
「ああっ!」
いや、いや、と幼児のようにアベルが首を横にふる。そのつど、オルティスの胸も揺れる。
「そら、三つ目だ」
公爵の声に嘲笑がふくまれていた。
「すごいな。うまそうに呑んでいくぞ、おまえの蕾は」
「くぅー」
悔しげにアベルが頬を染めてうつむく。同時に、オルティスの胸に爪をたてた。
その仕草が、表情がひどくいじらしく思えて、オルティスの唇は開いていた。
「伯爵……もう少し、辛抱なさってください。もう少しです」
「ああ、いや……!」
可哀想に、アベルの目尻には光るものがあった。
極粒の玻璃玉のようなその光は、それこそアベルの砕けた自尊心の破片のように思えて、オルティスの胸に突き刺さってくる。
(お気の毒に……)
我知らず、オルティスは腕の力を抜き、優しさをこめてアベルの肩を抱きしめていた。
「さ、全部入ったぞ」
その声に、あわてて身を離した。頬が熱くなっているのが自分でもわかってオルティスはあわててしまう。
そんな自分を見て公爵が笑っているのを見て、いっそう羞恥に身をすくめた。
「待たせたな、ほら、この馬に乗れ」
先ほどより近づいてきていた馬と従者の存在に、アベルの顔は一気に青ざめる。
「い、いやだ! う……馬はいやだ!」
エメラルドの瞳に恐怖と嫌悪をうかべてアベルは抗議したが、それで止めるような男ではない。
公爵が苛烈で残忍なところがあることは、かれの部下たちのあいだではひそかに噂になっていた。
(知っているか? バルトラ公爵にはお気に入りの娼婦がいてな……)
朋輩がおもしろそうに囁いたあの噂……。
(裏社交の世界では知られた美人らしいが、その娼婦に……人に言えない遊びをさせるらしいぞ)
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