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12日目
いらない感情
しおりを挟む今日も今日とて骸を埋める。
気を紛らわすために。
最近は埋葬している時が1番心が安らぐ。
不思議なぐらいに、呼吸が出来る。
少し整った集落にたどり着く。
随分と歩いたようだ、俺の地元から
もうかなり離れてしまった。
それでもいい、もう残るものも
作り上げれる物も、とっくに無くなった。
だから人と違う道をずっと歩く。
その道の前に誰も歩いていなくとも
新たな足跡付ける。この後誰も通らない道を。
俺の地元よりは栄えた場所でも
少し離れたら閑散としていて
やはり焼け野原には変わりなかった。
すすり泣く声が聞こえる。この前の玉音放送以来の声だ。どうやらひと家族の親父が
死んでいたらしい。やっと見つかり
安堵と怒り、そして悲しみが襲ったのだろう。お前らは俺と一緒の状況だが、一緒では無い。それを見て憤りを感じた。
我武者羅(がむしゃら)に穴を掘って
埋めておけ、と吐き捨てその場を去る。
そこに居た15もなってないぐらいの子供が立ち上がって、「ありがとう」そう叫んだ。
殺人犯にありがとうなど
余りに滑稽だ。こんな世の中なのに
「ありがとう」だなんて、似合わない言葉。
しかしどうしてだろう。久しぶりに
心が晴れたのは。いらない感情だった筈なのに。
これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
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