死神になった日

いとま

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5日目

正義

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神に祈れば救われる。そう聖書という物に
書いてるらしい。熱心な信者がありがた迷惑で教えてくれた。そんなに俺は不幸に見えるか。そんなことを口に出そうとしたが止めた。

宗教や国、政府、天皇。
そういう所や人が動けばそれが正解となる。
どうも日本人と言う奴はバラ売りしている
駄菓子なんかより、丁寧に包まれた菓子折りの方がよっぽど好きらしい。綺麗さを優先して、欲を抑える。それで何が楽しい。
非国民で結構、終戦を迎えて数日が経った
今日(こんにち)に正義を問おうじゃないか。

ただ身分も全て失った俺には
胸を張れるほどの権力や人脈などない。
弱いボロボロの棺桶に半分入ってるかのような、まるで見えている亡霊だった。
タチが悪い悪霊のように。

また骸を見つけ、土を掘り
十字架があった場所には負けるが
丁寧に埋葬をした。
しかし正義を貫き通す人らが
左胸や頭なんかを、視線で狙って突き刺す。
なんども矢を受けた落ち武者のように
ずっとその視線が刺さったまま、骸を埋めて。

俺は悪になった覚えはない。
出来ることなら、埋葬した分の
報酬を与えてやってもいいじゃないか。
無情にも日が暮れる。
この骸を埋葬したら寝てしまおう。
明日の日を浴びるために。

これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
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