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プロローグ~5章まで
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プロローグ
僕の弾き出す指の先から伝って
ペンの先には物語を創りあげる創造主。
つまり神様がいる。そしてその神様が
作ってくれた土台を構築していくのが
この僕だ。これから起こることは
なんの変哲もないただのこと。
でも奇跡のような平凡で素晴らしい刹那。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
序章~スタートライン~
何も思い浮かばぬ。という迷いから全ては
始まる。物書きとはそういう者だ。ひたすらに万年筆のブロットを少し日焼けした安売りの原稿用紙に黒く染めていく。散歩にでも出かけよう、いや外に行くのはごめんだ。原稿用紙の日焼けは許しても、自分の日焼けは
どうもめんどくさい。皮膚はもちろん、人間らしい生活をすることなんて言語道断。
僕は物書きでバケモノでカミサマだ。
そういう領域に行くつもりで毎日の
文字や言葉の海をかき分けて生きている。
どれだけ溺れようと、どれだけ飲もうと
それが愛だとするなら、甘んじて受け入れる。
しかし新しい作品、つまり人生を歩むには初めの一歩が必要だ。それが書き出す為の
スタートライン。
しかしそれは意外と簡単で書出せばこっちのもんなんだけど、どうも
長続きしない。飽き性なんだよ、僕。
でも創造主が作り上げた世界で
様々なモノを構築するのは僕の役目。
途中で手放したらその世界は朽ちてしまう。
だから最後までどれくらい長い時間が
掛かったとしても描き、紡ぐ。
それが僕の生きる意味であり、成すべき事。
今日も今日とてみんなやらない、
タイトルから書き始める。
そうやって、物語が始まる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
1章~読書感想文~
原稿用紙につらつらと僕の物語を紡いでいく。今日の言葉たちも素直でとてもいい子たちばかりだ。僕が不器用なばっかりに置き場所を間違えてしまい歪な形になってしまう時がある、毎度毎度申し訳ないと思ってるよ。
神様を走らせていると、ふと小学校の記憶が蘇ってきた。あれは夏休みの宿題の記憶。
本を読むのが大っ嫌いで、絵のついてないものは読まなかったぐらい活字を拒否していた。そんな僕でも抗えなかったのは読書感想文だった。好きな本を選んで、感想を書いてください。だと。渋々書いたさそりゃあ。
でも教師から言われた一言はこう、
「あなたのは感想文ではなく、ただの思ったことを書いた文です。やり直し。」
何が悪い?感想というものは思ったことを書くもんだろ?その物語の主人公が今後どうなっていくかを想像して描いてみただけじゃないか。大人ってやつは頭が固いんだって
子供心ながらに酷く恨んだ記憶がある。
聞きたくない言葉を一応聞いてみる。
「感想文というものは、その本を読んでその本の特徴やいい所、印象に残ったことを書き出し、そして自分にどう影響されたのか。そういうことを書くんですよ。分かりましたか?」
だったかな?印象?つまらなかった。
いい所?無かった。自分に影響?無い。
この時だったかな、じゃあ自分が納得行く
文章書けばいいんじゃないかって。
だから今こうやって反骨心の塊みたいな
不健康コミュ力皆無人間が
白い原稿用紙を黒く染めていってるのだろう。今思うとただの意固地だと思い
何故か自分のことを、自分で鼻で笑った。
そんな時神様の体力が切れてしまった。
意外とスタミナが無い、僕がタフ過ぎ?
今のところは一旦休憩だ。飯でも食べて
こっちもスタミナを蓄えておこう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
2章~言葉で変わる世界~
自分のスタミナも回復させ、神様のスタミナをカートリッジとして補充する。意外と機械的な神様なんだなと皮肉をぶつける。
さて描き始めよう、物語を紡ごう。そうやって指先に心を宿し、色を塗る。魂を削る。
言葉に意味を持った時はいつだったかな。
描きながら、また思い耽(ふけ)る。
そうか、あの時か。クソみてぇな教師の元から巣立ち、またクソみてぇな中学校生活を
送る日々の中で、その人達は突然俺の耳に、目に、常識以外のものを叩きつけた。
それが音楽だった。無論小学生の頃から
流行りの音楽は周りに流されて聞いていた。
聞かなきゃいけなかった。でもこの時は違う、僕が聞きたかった。この人達が奏でる
演奏やメロディーに乗せて歌う歌詞。ぞっこんだった。未だに追っかけをするぐらいの
古参古株害悪ファンのひとりだ。
でもそのバンドのおかげで今の僕がいる。
親のようであり、親友のような存在。
ペン先は神様のような存在だけど
このバンドはそれ以外の言葉では
片付けられるほど簡単ではないのだ。じゃあ何故当たり前を嫌う僕が好きになれたのか。それはただ1つ、当たり前を謳っていたからだ。今まで聞いてきた音楽はどれも
在り来り過ぎた。
「てめぇがその道を切り開け。未来へいこう。俺が応援してやるぜイェイ。」
ってな感じで、オラオラ系の悪い特徴を
詰めたような曲が多いように感じた。
でもこの鶏肉系バンドは違かったんだ。
熱が出たりすると気付いたり
迷子のままでも大丈夫であったり
自分にとってはおおごとであったり
そんな道端に落ちてる石ころのような歌詞。
点滅する信号機、舗装された道路。
そんな役立つのは分かっていても大事だとは思わない、そんな日常で転がってる風景を切り取ってる不思議な唄の数々を生み出す。
そこにオリジナリティを感じ、何より
創作をする意欲のようなものが沸いた。
世間一般ではあまり注目されないことだが
それに着いて行ったファンは今でもファンなのだろう。だからこそ僕みたいな捻くれ者の
物書きが後日誕生する。突然変異で、
遅咲きで人間をやっと始めた存在なのに、いつしか言葉たちに魂を売る魔法使いになっていた。それで良かった。そのお陰で右手には神様。指先には心が宿った。それで良かったんだよ。よく使う言葉や単語に握手させて
役割を配置させる。ガッチリハマった時に
光り輝く。
そんな言葉で
世界を変える覇者に今なろうとしているんだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
3章~感情論~
体を猫のように伸ばして一息つく。
珈琲でも入れようか。自慢じゃないが
珈琲が何より好きで、一日の
摂取カフェイン量はとうに超えている。味は特にこだわりは無いが、飲んでいることに優越感を感じる。
ふと立ち上る湯気を辿って柄にもなく
物語が出来る工程を考えてみる。カフェインの摂りすぎだろうか、いつもはこんなこと考えないのに。
僕が描く世界の言葉は全てに魂が宿っていてそれが集まって物語が生き物になる。
生き物ということは喜怒哀楽があって
時と場合によって使い分ける。それは
人間でも犬でも猫でも共通の認識だ。
では言葉はどうだろう?人間が使い分けるものなのに何故感情が無いと認識するのだろうか。でもそれが【当たり前】というひとつの
引き出しへ仕舞われてしまうからこそ
気付きにくいことなんだ。珈琲をまた啜る。【言葉】というなんとも抽象的でマニュアルじみた認識をするから悪いんだ。せめて
言葉の一つひとつを【1人】として認識してあげたい。物語を見返してみると同じ1人が躍動してる事が多々ある。それは物書きの癖であり、何よりもそのひとりを信用してるからこその使用頻度。というよりポジションを任せられる存在である。会社で言うところの部長的な、アルバイトで言うバイトリーダー的なそんなひとり。でも特別扱いはするつもりはなく、可愛がりたいけどそっと我慢する。
これが中々難しくて、だからその人に任せてしまう場面が多くなるのは筆者の技術不足なんだと思う。いつもごめんね。
しかし舞台演者のように主役、脇役が居るのであれば、発する声、セリフの長さ、動きの大きさ、その全てが役どころによって変わってくるはずだ。それは言葉の一人ひとりにも変わらないことで、一人ひとりの役割があるからこそ物語が成立する。世界が出来上がるんだ。当たり前のこと、生きるとか死ぬとか
考えなくてもいい様なこと。そんなことを
紡ぐから物書きは楽しい。そんなことしか
考えられないから生きている。
珈琲をもう飲み干していたことを忘れ
カップに冷たい唇が触れた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
4章~正義~
洗い物の溜まったシンクにカップをそっと入れる。水の音と食器のぶつかる音がする。
濁った水に、珈琲の黒が滲んで溶ける。
濁っていたり、くすんでいることは
世間一般では「汚れた嫌なもの」として
嫌がられ、現にも嫌がって洗い物をしていない。でもこれは俺にも通ずる所。ネットゲームで言うところの、ギルドに属さない野良プレイヤーのような嫌われる存在だ。
僕は本を読まない。知り合いの物書きの作品も読むと言っても流して見る程度だ。正直、人の物語には興味が無い。だからこそ協調性の無さに白い目で見られ、後ろ指を指される。
しかし「本を読むこと」「誰かの作品を参考にすること」が正しいと唱える魔法系のモンスターがうじゃうじゃ居る。あ、相手からしたら俺がモンスターか、それは違いない。
しかしなんというか、僕の考えが正しいとかではないし押し付ける事はしないし、相手の考えを否定することは無い。ただ、自分の考えを押し付けて正義と言わんばかりに成敗してくる人も居る。不本意だが、それでいいと今は思う。気分は良くないが、全てに当たっていたら宿屋と教会が儲かって仕方ないのだ。だから言われても我慢するようにした。
心は脆いただの人間で、威勢だけ良く弱虫だからこそ我慢という言葉が似合う。弱々しくてかっこ悪いが目立つのは否めないところだ。それでもいいと、魂が優しく呼びかけてくれるから心臓をとりあえず動かしている。
躍動する一人ひとりの様に、僕も生きる意味を自分の意思を探しながら、見つけながら
上手く逃げて歩いていく。何事も不器用で
上手く出来ないからこそ、足掻いて、もがいてなんとか首の皮1枚で延命している。楽な道を選べば仲間外れにもされず、ギルドのメンバーにも入れてくれるだろう。でもそれで
いいのか?それはお前の生き方か?自問自答を繰り返す度に、気付けば自分の往(ゆ)くべき道へと神様を走らせる。それが僕の正義だから。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
5章~声~
さて続きをやるか。そう思い、よし!と
声を上げたが出るのは空気だけだった。
僕は物書きを始める少し前から声が出なくなった。代わりに空気だけが押し出されるだけのジャンク品になっていた。
原因は過度なストレスと
精神的なショックが大きいとのことだった。
声を出すことは好きだったし、自分を表現することは何よりも楽しかった。これでも活発な方だったんだ。しかしその声を自分の環境の中で奪われた。誰かが盗った訳では無い。
その瞬間や周波数の合わせ方が下手くそだったんだ。未だに上手に生きることは苦手で
周りと合わせることも苦手だから変わってはいない。声を亡くした俺だからこそ紡げる
物語があることを、日記代わりに書いていたメモで知った。文字を言葉を繋げていくと
こんなに世界が広がるんだ。あの感動は今でも忘れていない。今もこんなことを思い出しながら神様を走らせている。しかしふと神様が止まる。自分が描いた物語を声に出して読めたらどれだけ幸せなのだろう。声を失ってから考えたことも無かった。目で追うものとして認識していたし、鶏肉系バンドも
聞くことは出来るが歌うことはしなかった。
不思議だ。今こうやって感じ取れることも、
そして声を出してみたいという欲求も
今までは無かったのに何故今更…。
書くことに飽きた?そういう事ではない。
単に元にあった世界にもう一度戻りたいというシンプルな理由でしか無かった。失った時に見える光と、何も失わなくともに見える光では全くベクトルが違う。蛍光灯かブラックライトぐらい種類が違うのだ。後者が蛍光灯で前者がブラックライトだ。何もしなくても
光は照らされて、能天気に過ごすことが
当たり前の世の中だから気付けないことがあって、小さな幸せを逃している。
逆に意図的に照らした特殊な光は
目に見えないモノを照らしたりする。人に説明しても信じて貰えないけど触れてもらえば分かってくれる。理解を深める。少しだけ幸せになれる。その小さな幸せを見つけているからこそメモ帳に書いたあの何気ない物語が
今の僕にとってのブラックライトになっている。失っても損じゃないんだ、寧ろ得をしている。失敗しても間違っても糧にすればいい。悔しいだけでは終わらせない。
いつも逆襲を狙っているんだ。
声を上げて怒鳴ることは出来ないが
言葉で気持ちをぶつけて物語で
制圧する。意外と僕は過激派なのかもしれない、でも色んな縛りや恐怖から逃げたくないんだ。もう逃げたくないんだ。
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僕の弾き出す指の先から伝って
ペンの先には物語を創りあげる創造主。
つまり神様がいる。そしてその神様が
作ってくれた土台を構築していくのが
この僕だ。これから起こることは
なんの変哲もないただのこと。
でも奇跡のような平凡で素晴らしい刹那。
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序章~スタートライン~
何も思い浮かばぬ。という迷いから全ては
始まる。物書きとはそういう者だ。ひたすらに万年筆のブロットを少し日焼けした安売りの原稿用紙に黒く染めていく。散歩にでも出かけよう、いや外に行くのはごめんだ。原稿用紙の日焼けは許しても、自分の日焼けは
どうもめんどくさい。皮膚はもちろん、人間らしい生活をすることなんて言語道断。
僕は物書きでバケモノでカミサマだ。
そういう領域に行くつもりで毎日の
文字や言葉の海をかき分けて生きている。
どれだけ溺れようと、どれだけ飲もうと
それが愛だとするなら、甘んじて受け入れる。
しかし新しい作品、つまり人生を歩むには初めの一歩が必要だ。それが書き出す為の
スタートライン。
しかしそれは意外と簡単で書出せばこっちのもんなんだけど、どうも
長続きしない。飽き性なんだよ、僕。
でも創造主が作り上げた世界で
様々なモノを構築するのは僕の役目。
途中で手放したらその世界は朽ちてしまう。
だから最後までどれくらい長い時間が
掛かったとしても描き、紡ぐ。
それが僕の生きる意味であり、成すべき事。
今日も今日とてみんなやらない、
タイトルから書き始める。
そうやって、物語が始まる。
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1章~読書感想文~
原稿用紙につらつらと僕の物語を紡いでいく。今日の言葉たちも素直でとてもいい子たちばかりだ。僕が不器用なばっかりに置き場所を間違えてしまい歪な形になってしまう時がある、毎度毎度申し訳ないと思ってるよ。
神様を走らせていると、ふと小学校の記憶が蘇ってきた。あれは夏休みの宿題の記憶。
本を読むのが大っ嫌いで、絵のついてないものは読まなかったぐらい活字を拒否していた。そんな僕でも抗えなかったのは読書感想文だった。好きな本を選んで、感想を書いてください。だと。渋々書いたさそりゃあ。
でも教師から言われた一言はこう、
「あなたのは感想文ではなく、ただの思ったことを書いた文です。やり直し。」
何が悪い?感想というものは思ったことを書くもんだろ?その物語の主人公が今後どうなっていくかを想像して描いてみただけじゃないか。大人ってやつは頭が固いんだって
子供心ながらに酷く恨んだ記憶がある。
聞きたくない言葉を一応聞いてみる。
「感想文というものは、その本を読んでその本の特徴やいい所、印象に残ったことを書き出し、そして自分にどう影響されたのか。そういうことを書くんですよ。分かりましたか?」
だったかな?印象?つまらなかった。
いい所?無かった。自分に影響?無い。
この時だったかな、じゃあ自分が納得行く
文章書けばいいんじゃないかって。
だから今こうやって反骨心の塊みたいな
不健康コミュ力皆無人間が
白い原稿用紙を黒く染めていってるのだろう。今思うとただの意固地だと思い
何故か自分のことを、自分で鼻で笑った。
そんな時神様の体力が切れてしまった。
意外とスタミナが無い、僕がタフ過ぎ?
今のところは一旦休憩だ。飯でも食べて
こっちもスタミナを蓄えておこう。
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2章~言葉で変わる世界~
自分のスタミナも回復させ、神様のスタミナをカートリッジとして補充する。意外と機械的な神様なんだなと皮肉をぶつける。
さて描き始めよう、物語を紡ごう。そうやって指先に心を宿し、色を塗る。魂を削る。
言葉に意味を持った時はいつだったかな。
描きながら、また思い耽(ふけ)る。
そうか、あの時か。クソみてぇな教師の元から巣立ち、またクソみてぇな中学校生活を
送る日々の中で、その人達は突然俺の耳に、目に、常識以外のものを叩きつけた。
それが音楽だった。無論小学生の頃から
流行りの音楽は周りに流されて聞いていた。
聞かなきゃいけなかった。でもこの時は違う、僕が聞きたかった。この人達が奏でる
演奏やメロディーに乗せて歌う歌詞。ぞっこんだった。未だに追っかけをするぐらいの
古参古株害悪ファンのひとりだ。
でもそのバンドのおかげで今の僕がいる。
親のようであり、親友のような存在。
ペン先は神様のような存在だけど
このバンドはそれ以外の言葉では
片付けられるほど簡単ではないのだ。じゃあ何故当たり前を嫌う僕が好きになれたのか。それはただ1つ、当たり前を謳っていたからだ。今まで聞いてきた音楽はどれも
在り来り過ぎた。
「てめぇがその道を切り開け。未来へいこう。俺が応援してやるぜイェイ。」
ってな感じで、オラオラ系の悪い特徴を
詰めたような曲が多いように感じた。
でもこの鶏肉系バンドは違かったんだ。
熱が出たりすると気付いたり
迷子のままでも大丈夫であったり
自分にとってはおおごとであったり
そんな道端に落ちてる石ころのような歌詞。
点滅する信号機、舗装された道路。
そんな役立つのは分かっていても大事だとは思わない、そんな日常で転がってる風景を切り取ってる不思議な唄の数々を生み出す。
そこにオリジナリティを感じ、何より
創作をする意欲のようなものが沸いた。
世間一般ではあまり注目されないことだが
それに着いて行ったファンは今でもファンなのだろう。だからこそ僕みたいな捻くれ者の
物書きが後日誕生する。突然変異で、
遅咲きで人間をやっと始めた存在なのに、いつしか言葉たちに魂を売る魔法使いになっていた。それで良かった。そのお陰で右手には神様。指先には心が宿った。それで良かったんだよ。よく使う言葉や単語に握手させて
役割を配置させる。ガッチリハマった時に
光り輝く。
そんな言葉で
世界を変える覇者に今なろうとしているんだ。
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3章~感情論~
体を猫のように伸ばして一息つく。
珈琲でも入れようか。自慢じゃないが
珈琲が何より好きで、一日の
摂取カフェイン量はとうに超えている。味は特にこだわりは無いが、飲んでいることに優越感を感じる。
ふと立ち上る湯気を辿って柄にもなく
物語が出来る工程を考えてみる。カフェインの摂りすぎだろうか、いつもはこんなこと考えないのに。
僕が描く世界の言葉は全てに魂が宿っていてそれが集まって物語が生き物になる。
生き物ということは喜怒哀楽があって
時と場合によって使い分ける。それは
人間でも犬でも猫でも共通の認識だ。
では言葉はどうだろう?人間が使い分けるものなのに何故感情が無いと認識するのだろうか。でもそれが【当たり前】というひとつの
引き出しへ仕舞われてしまうからこそ
気付きにくいことなんだ。珈琲をまた啜る。【言葉】というなんとも抽象的でマニュアルじみた認識をするから悪いんだ。せめて
言葉の一つひとつを【1人】として認識してあげたい。物語を見返してみると同じ1人が躍動してる事が多々ある。それは物書きの癖であり、何よりもそのひとりを信用してるからこその使用頻度。というよりポジションを任せられる存在である。会社で言うところの部長的な、アルバイトで言うバイトリーダー的なそんなひとり。でも特別扱いはするつもりはなく、可愛がりたいけどそっと我慢する。
これが中々難しくて、だからその人に任せてしまう場面が多くなるのは筆者の技術不足なんだと思う。いつもごめんね。
しかし舞台演者のように主役、脇役が居るのであれば、発する声、セリフの長さ、動きの大きさ、その全てが役どころによって変わってくるはずだ。それは言葉の一人ひとりにも変わらないことで、一人ひとりの役割があるからこそ物語が成立する。世界が出来上がるんだ。当たり前のこと、生きるとか死ぬとか
考えなくてもいい様なこと。そんなことを
紡ぐから物書きは楽しい。そんなことしか
考えられないから生きている。
珈琲をもう飲み干していたことを忘れ
カップに冷たい唇が触れた。
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4章~正義~
洗い物の溜まったシンクにカップをそっと入れる。水の音と食器のぶつかる音がする。
濁った水に、珈琲の黒が滲んで溶ける。
濁っていたり、くすんでいることは
世間一般では「汚れた嫌なもの」として
嫌がられ、現にも嫌がって洗い物をしていない。でもこれは俺にも通ずる所。ネットゲームで言うところの、ギルドに属さない野良プレイヤーのような嫌われる存在だ。
僕は本を読まない。知り合いの物書きの作品も読むと言っても流して見る程度だ。正直、人の物語には興味が無い。だからこそ協調性の無さに白い目で見られ、後ろ指を指される。
しかし「本を読むこと」「誰かの作品を参考にすること」が正しいと唱える魔法系のモンスターがうじゃうじゃ居る。あ、相手からしたら俺がモンスターか、それは違いない。
しかしなんというか、僕の考えが正しいとかではないし押し付ける事はしないし、相手の考えを否定することは無い。ただ、自分の考えを押し付けて正義と言わんばかりに成敗してくる人も居る。不本意だが、それでいいと今は思う。気分は良くないが、全てに当たっていたら宿屋と教会が儲かって仕方ないのだ。だから言われても我慢するようにした。
心は脆いただの人間で、威勢だけ良く弱虫だからこそ我慢という言葉が似合う。弱々しくてかっこ悪いが目立つのは否めないところだ。それでもいいと、魂が優しく呼びかけてくれるから心臓をとりあえず動かしている。
躍動する一人ひとりの様に、僕も生きる意味を自分の意思を探しながら、見つけながら
上手く逃げて歩いていく。何事も不器用で
上手く出来ないからこそ、足掻いて、もがいてなんとか首の皮1枚で延命している。楽な道を選べば仲間外れにもされず、ギルドのメンバーにも入れてくれるだろう。でもそれで
いいのか?それはお前の生き方か?自問自答を繰り返す度に、気付けば自分の往(ゆ)くべき道へと神様を走らせる。それが僕の正義だから。
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5章~声~
さて続きをやるか。そう思い、よし!と
声を上げたが出るのは空気だけだった。
僕は物書きを始める少し前から声が出なくなった。代わりに空気だけが押し出されるだけのジャンク品になっていた。
原因は過度なストレスと
精神的なショックが大きいとのことだった。
声を出すことは好きだったし、自分を表現することは何よりも楽しかった。これでも活発な方だったんだ。しかしその声を自分の環境の中で奪われた。誰かが盗った訳では無い。
その瞬間や周波数の合わせ方が下手くそだったんだ。未だに上手に生きることは苦手で
周りと合わせることも苦手だから変わってはいない。声を亡くした俺だからこそ紡げる
物語があることを、日記代わりに書いていたメモで知った。文字を言葉を繋げていくと
こんなに世界が広がるんだ。あの感動は今でも忘れていない。今もこんなことを思い出しながら神様を走らせている。しかしふと神様が止まる。自分が描いた物語を声に出して読めたらどれだけ幸せなのだろう。声を失ってから考えたことも無かった。目で追うものとして認識していたし、鶏肉系バンドも
聞くことは出来るが歌うことはしなかった。
不思議だ。今こうやって感じ取れることも、
そして声を出してみたいという欲求も
今までは無かったのに何故今更…。
書くことに飽きた?そういう事ではない。
単に元にあった世界にもう一度戻りたいというシンプルな理由でしか無かった。失った時に見える光と、何も失わなくともに見える光では全くベクトルが違う。蛍光灯かブラックライトぐらい種類が違うのだ。後者が蛍光灯で前者がブラックライトだ。何もしなくても
光は照らされて、能天気に過ごすことが
当たり前の世の中だから気付けないことがあって、小さな幸せを逃している。
逆に意図的に照らした特殊な光は
目に見えないモノを照らしたりする。人に説明しても信じて貰えないけど触れてもらえば分かってくれる。理解を深める。少しだけ幸せになれる。その小さな幸せを見つけているからこそメモ帳に書いたあの何気ない物語が
今の僕にとってのブラックライトになっている。失っても損じゃないんだ、寧ろ得をしている。失敗しても間違っても糧にすればいい。悔しいだけでは終わらせない。
いつも逆襲を狙っているんだ。
声を上げて怒鳴ることは出来ないが
言葉で気持ちをぶつけて物語で
制圧する。意外と僕は過激派なのかもしれない、でも色んな縛りや恐怖から逃げたくないんだ。もう逃げたくないんだ。
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