1 / 1
本文
しおりを挟むかぜ かぜ ふくな
こわれてしまうから。
こわれて きえてしまう それまで
どうか ふかないで。
中性洗剤の独立したモノ。
空へと飛び立つ儚き球体。
脆弱で、真っ直ぐ歩けないそれは
途中で亡くなる。いなくなる。
大きさは違えども
代わりはいくらでもいる。
作れば作るほど代わりが増える。
全て、消えてしまう十字架を背負った
寿命15秒未満のひとり。
息を吸って吐き出して、少し背伸びをした
ぐらいにあなたはふといなくなる。
新しく生み出す、亡くなる。いなくなる。
かぜ かぜ ふくな
こわれてしまうから。
とばそう とばそう。
とおくまで よりいきれるように。
人工的な七色を纏ったあなたは
旅立った管から出た瞬間に
命の秒針が倒れていく。
「それでもよかった」
と言わんばかりに、天高く輝く。
夜に咲く火の粉よりも彩(イロドリ)はないが
全うしたその瞬間に最高の笑顔を見せる。
生き様を見せつける。弱すぎる強いあなたが。
かぜ かぜ ふくな
もうすこしだけ。
かぜ かぜ ふくな
しゃぼんだま とばそ。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
キコのおつかい
紅粉 藍
児童書・童話
絵本風のやさしい文体で、主人公の女の子・キコのおつかいが描かれています。冬支度のために木の実をとってくるようにお母さんに言いつけられたキコ。初めてのひとりでのおつかいはきちんとできるのでしょうか?秋という季節特有の寒さと温かさと彩りを感じながら、キコといっしょにドキドキしたりほんわかしたりしてみてください。
シャルル・ド・ラングとピエールのおはなし
ねこうさぎしゃ
児童書・童話
ノルウェジアン・フォレスト・キャットのシャルル・ド・ラングはちょっと変わった猫です。人間のように二本足で歩き、タキシードを着てシルクハットを被り、猫目石のついたステッキまで持っています。
以前シャルル・ド・ラングが住んでいた世界では、動物たちはみな、二本足で立ち歩くのが普通なのでしたが……。
不思議な力で出会った者を助ける謎の猫、シャルル・ド・ラングのお話です。
ちびりゅうの ひみつきち
関谷俊博
児童書・童話
ともくんと ちびりゅうの ひみつきち づくりが はじまりました。
カエデの いちばん したの きのえだに にほんの ひもと わりばしで ちびりゅうの ブランコを つくりました。
ちびりゅうは ともくんの かたから とびたつと さっそく ブランコを こぎはじめました。
「がお がお」
ちびりゅうは とても たのしそうです。
百叡くんのパパ
明智 颯茄
児童書・童話
差別って何ですか?
小学校一年生、百叡(びゃくえい)くんのパパに、学校のお友達は興味津々。
しかし、みんなが聞いてくるパパの話はつじつまが合わなくて……。
最後は微笑ましい限りの物語。
*この作品は、エブリスタ、カクヨム、小説家になろうにも載っています。

箱庭の少女と永遠の夜
藍沢紗夜
児童書・童話
夜だけが、その少女の世界の全てだった。
その少女は、日が沈み空が紺碧に染まっていく頃に目を覚ます。孤独な少女はその箱庭で、草花や星月を愛で暮らしていた。歌い、祈りを捧げながら。しかし夜を愛した少女は、夜には愛されていなかった……。
すべての孤独な夜に贈る、一人の少女と夜のおはなし。
ノベルアップ+、カクヨムでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる