婚約破棄してきた強引御曹司になぜか溺愛されてます

田沢みん

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裏 あしながおじさまは元婚約者でした

甘くて深い (1)*

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 松濤の黒瀬家を訪問して結納を済ませて帰った後の、ラブエッチシーンです。
 書籍版ではここがカットされて、代わりに婚約パーティー用の衣装合わせ後にエッチシーンが追加されました。

*・゜゚・*:.。..。.:*・゜゚・**・゜゚・*:. .。.:*・゜゚・*


「ハハハッ、外堀を埋めてやった。これで今度こそ本当にヒナは俺の婚約者だな」

 黒瀬家から帰り、マンションの駐車場からエレベーターに乗ると、朝哉は当然のように29階のボタンを押した。

 晴れて婚約者になったそのテンションで、チュッと啄むような口づけを何度も交わす。
 フワフワと実感が湧かないまま一緒に彼のマンションに入り……

「お邪魔します」
「違うだろ」

 拗ねたように言われ、あっ! と気づく。

――朝哉は同棲するって言ってたけれど、本当に?

「えっと……ただいま?」
「疑問形なのが余計だけど……まあいいや。今の俺はめちゃくちゃ幸せだから、世の中のすべてに優しくなれる」
「ふふっ」

 思わず笑う雛子に顔を近づけて、朝哉が「本当だよ」と耳元で囁いた。

「今の俺は、本当の本当に優しいよ」
「ふふっ、そうなんだ」
「試してみる?」
「えっ……」

「いつも以上にめちゃくちゃ優しくするから……」

 今すぐ抱いてもいい? と耳元で囁くように聞かれて、断れるはずがない。
 コクンとうなずくと、すぐに唇が重なって、甘い吐息が漏れた。

――なんだかあっという間に外堀を埋められた感じだけれど……。

 今はただ、その強引さが嬉しくて……強く抱き寄せるこの腕に、身も心も委ねることにした。


 *


「ヒナ、もういい?」
「うん……大丈夫」

 浴室に響く声が上擦っていて、自分のものじゃないみたい。

 スライドドアが開いて朝哉がひょこっと顔をのぞかせた。
 浴槽で肩まで湯に浸かっている雛子を見た途端、彼の目がこれ以上ないほどに細められ、その口元はゆるやかな弧を描く。

 湯気で白くくもる浴室に足を踏み入れた彼が、立ったままジッとこちらを見下ろしてきた。
 
「なっ……なに?」
「ふはっ……タオルで前を隠してる」
「わ……悪い?」
「悪くないけどさ……裸なんてもう散々見てるのに」

 朝哉は風呂椅子に腰掛けて全身を洗いながらチラチラと雛子に目をやり、「今さら隠したって」とニヤニヤする。

「もう、もうっ! だったら出ていきなさいよ! 朝哉がどうしてもって言うから頑張ってるのに!」



『一緒にお風呂に入りたい』……と言ったのは朝哉だった。

 玄関で甘く長い口づけを交わした後で、「……シャワーを浴びてくるね」と熱い頬を押さえながらバスルームに行こうとした雛子を、朝哉が引き止めたのだ。

「一緒に入ろうよ」
「えっ、一緒に!?」
「うん、まだ一緒に入ったことない」
「えっ、嫌だ、恥ずかしい」

 速攻でお断りした。
 あんな明るいところで、しかも身体を洗うところなんて恥ずかしくて見せられない。

「ガーン! 婚約者なのに婚約者の権利を行使させてもらえない」

 朝哉がそう言って、迷子の仔犬のように瞳をウルウルさせて見つめてくる。

――もう、この目に弱いのに!

 一緒にお風呂に入るのが婚約者の権利だなんて聞いたことないけれど、切なげな顔で懇願されて根負けしてしまった。

 それに今日は本当に婚約者になれた記念すべき夜。朝哉を喜ばせてあげたいと思うから……

「それじゃあ、今日は特別ね。朝哉が私のために色々頑張ってくれたお礼」

 そして初の混浴となったわけだけど、実際やってみたら浴室内は思いのほか明るいし、どんな顔をしていればいいのかわからなくて困ってしまう。
 モジモジしていたら、朝哉がまたしても口角を上げた。

「湯船で恥じらう雛子もそそられるな」
「もうっ!」

 湯船のお湯を手で掬い、パシャッと朝哉の顔にかける。

「うわっ、なにすんだよ。でもヒナと混浴できると思ったら、こんなささやかな抵抗も可愛いもんだけどな」

 朝哉は動じることなく両手で顔を拭い、そのまま濡れた髪を掻き上げる。
 その仕草も目つきも色っぽい。まさしく『水も滴るいい男』だ。

「それじゃ、お邪魔しま~す」

 朝哉がジェットバス付きの広いバスタブにゆっくり足から浸かり、こちらを向く。

「ヒナ、おいでよ」

 すみのほうで小さくなっていたら腕をつかまれ、彼の脚の間に座らされる。
 そのまま背中から抱き寄せられた。

 すでに裸どころか恥ずかしい場所までバッチリ見られている間柄だというのに、お湯の中だと違う種類の羞恥心が湧いてくる。
 煌々と明るい明かりのせいなのか、お湯の中で密着している肌の感触のせいか……。

「なっ……なんだか照れるわね」

 後ろから腰をガッチリホールドされながらそう言うと、

「そう? 俺的には眼福でしかないんだけど。ヒナ、肌が色づいて艶っぽい。たくさん触ってくれって誘ってるみたいだ」
「さっ、誘うって!?」

 振りかえる前に耳に息が吹きかけられ、耳朶に唇が触れる。
 そっと甘噛みされれば背中から腰まゾクリと痺れが伝う。

「あ……っ」
「ふっ……お風呂だといつもより声が響いちゃうな」

 もっと聞きたい……そう嬉しさを隠せない上擦った声で呟くと、朝哉が首筋に、そして肩へと唇を移動させていく。

「ん……こそばゆい」
「ふはっ、こそばゆい? 可愛いな……もっと喋って。俺、ヒナの声、好き」

「喋るって、何を……あっ!」

 腰に回っていた朝哉の手が上に動き、後ろから両胸を鷲掴みにする。
 わさわさと揺らされると、チャポン、チャポンとお湯が跳ねた。
 彼はそのまま柔らかい肌に指を埋めて揉みしだき、捏ね回す。

「あ……っ、ん……」
「まだこそばゆい? どう?」

 先端の尖りをキュッとつままれて、「あんっ!」と甘えるような声が出た。

「もう乳首が勃ってきた……ヒナは本当に可愛いな」
「嫌だ……可愛いって言いすぎ」

「だって可愛いからさ……ほら、可愛くいてみろよ」
「鳴くって、ピヨピヨ言えばいいの?」
「違うわ! 鳴くじゃなくて……」

 朝哉は参ったというように前髪をクシャッと掻き上げてから、

「いいよ、身体で教えるから」

 右手を雛子の太腿の間に移動させた。

「えっ……あっ!」

 朝哉の左手が胸を弄り、一方の右手の指が下半身の割れ目を探る。
 ソコを器用に開くと中指でツツッと撫で上げてきた。

「あ……ん…」
「もうヌルヌルになってる。凄いな、お湯の中でも違いがわかる」
「嫌だ……エッチ」
「うん……もっとエッチなことしような」

 首筋や髪に何度も口づけ、同時に朝哉の中指が蜜壺に沈んでいく。

「んっ……はぁ……っ…」

 朝哉の腕が動くたびにパシャパシャと音がして、それと一緒に指が抽送を繰り返す。
 時折親指で蕾も捏ねられると、太腿にキュッと力が入る。

「凄い……指が締め付けられてる。俺のも早く挿れて締め付けられたい」

 さっきから尾てい骨の辺りに硬いモノが当たっているのに気づいていた。
 朝哉がもどかしげにソレを擦り付けていることにも……。

「挿れたっていいのに」
「くっ……まだ駄目。挿れたら気持ち快くてすぐに出ちゃうから……先にヒナをイかせる」

 朝哉の中指が膣壁を探り、雛子のイイところをクッと押す。
 子宮がキュンと疼いて思わず仰け反る。

「ん……ああん……やだっ! ああっ!」
「ほんっと可愛すぎて……めちゃくちゃ啼かせたくて仕方がない」

 朝哉は胸に置いていた左手も下に移動させ、雛子の蕾を弄り始めた。
 左手の指で小さな粒をクニクニと捏ねながら、右手の指は内壁を撫でる。

 中と外から敏感な部分を執拗に擦られて、ゾワゾワと甘い痺れが湧いてきた。

「ふぁ……あ……あっ…嫌だ、何か来るっ」
「イきそう?」
「ん……イっちゃう……イっちゃう……っ」
「いいよ、気持ち快くなって」

 浴室に響く朝哉の色っぽい声さえも媚薬のようだ。
 脳みそを痺れさせ、思考を奪っていく。

「あんっ、あっ……いっ! あっ」
「快いの? これが好き? もっと?」

 甘ったるく囁きながら、朝哉が指の動きを速くする。一気に刺激が高まると内壁がグニュリとうごめいて……

「あっ、あっ……やっ、ああっ!」

 腰をビクンと跳ねさせ背中を反らして、朝哉に後ろから抱き抱えられたまま、雛子は絶頂を迎えた。

「もう駄目だっ、我慢の限界!」

 朝哉がザバッと湯を波立たせて立ち上がる。
 グイッと腰を持ち上げられたかと思うと、後ろから硬いモノが挿し入れられた。

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