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<< バレンタイン番外編>>

ヤキモチは恋のスパイスです

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 朝哉と雛子は、ニューヨークに赴任して最初のバレンタインデイをパーティー会場で過ごしていた。

 クインパスとは直接取り引きがないものの、日本好きの大手銀行頭取が主催しているバレンタインパーティーに招待を受けて参加せざるを得なかったのだ。

ーーくっそ、早く終わらないかな。

 今日はせっかくのバレンタインデイ。
 朝哉としてはこんなところでニコニコ愛想を振りまいているよりも家で雛子とイチャイチャしたい。
 だけど多くの企業人が集まっている場で顔を売っておくことも仕事の一つなので、笑顔は崩さずに歓談を続けていた。

 こういうパーティーでは基本的に夫婦ワンセットで行動するのだが、ある程度の挨拶が済んで場が温まって来れば自然と男女別々の塊が出来る。
 気づけば雛子も女性陣の輪に入り、世間話に華を咲かせているようだった。
……が。

ーーんっ?

 朝哉がふと見ると、女性陣の輪から少し離れたところで雛子と見知らぬ男が喋っている。
 男性は朝哉よりももう少し歳上、ナイスミドルと呼んでもいいような壮年の紳士だ。
 すらりとした体躯に整った顔つき。
 ブロンドの髪はオールバックにしてワックスで固められている。
 一言でいえばイケメン。
 
 そんな男がシャンパングラスを2つ持ち、1つを雛子に差し出している。

ーーなんだよアイツ!

 朝哉は慌てて男性陣の輪から抜けると、ツカツカと速足で雛子の元に向かう。

「失礼ですが私の妻に何か用事でも?」

 朝哉が厳しい目つきをしながら流暢な英語で話しかけると、相手の男は驚いた顔をして朝哉と雛子の顔を交互に見る。
 そして「失礼した、彼女が独身シングルだと思ったもので」と告げてそそくさと去っていった。

 朝哉は男の背中をしばらく睨みつけていたが、ハッと我にかえり雛子に向き直る。

「ヒナ、大丈夫だった? アイツ何だって?」
「……パーティーを抜けて中庭の散歩でもいかがですか。ライトアップされていて綺麗ですよ……って」

 自分はパートナーと来ている、人妻だ……と言っても信じてもらえなかったのだという。

 確かに日本人は実年齢よりも若く見られるし、雛子は細っそりして少女のような風貌だから余計にそう思われてしまったのだろう。

「銀行の方だって仰るから失礼があってはいけないと思って……ごめんなさい」
「いや、ヒナが謝ることじゃないけど……だけど雛子は綺麗で目をつけられやすいんだから、油断しちゃダメだ」

 雛子が悪いわけではないとわかっているのに、ついつい責めるような口調になってしまう。
 カッカと熱くなった頭をクールダウンしなければ。

「少し……外に出ようか」

 落ち込んだ表情の雛子の手を引き中庭に出る。
 なるほど確かに木々が電飾でライトアップされていて綺麗だ。

 奥のほうに白いガゼボがあるのを見つけ、中のベンチに腰かける。
 手は繋いだままだ。
 愛しい妻が他の男に、しかもモデルばりのイケメンに口説かれていたという事実が思ったよりもダメージになっているらしい。
 今後もこんなふうにあちこちで雛子が口説かれる可能性を考えたらいてもたってもいられない。

「ヒナ……キスしていい?」

 雛子は周囲をキョロキョロ見渡して警戒していたけれど、誰もいないとわかり安心したらしい。
「うん」とうなずいて目を閉じた。
 そのタイミングでつかさず唇を重ねる。

 一度そうしてしまうと離れがたくなった。
「ヒナ、もっと口を開いて」
「でも……あっ!」

 雛子が話すタイミングで舌を挿しこみ歯列をなぞる。
 彼女の後頭部に手を回し、グイと引き寄せた。
 戸惑う気配を無視して舌を絡め、ドレスの裾をたくしあげると、中に手を滑りこませて太ももを撫でる。

「駄目っ、あっ、ん……っ」

 雛子の手が必死に朝哉の手を押さえつけようとするが、朝哉は止まらない。
 右手を太ももから移動させ、ショーツのクロッチ部分を指で撫で上げた。

 朝哉はようやく唇を離すと、雛子の耳元でそっと囁く。

「ヒナ、足を開いて」
「でも、こんなところで……」
「大丈夫だ」

 遠目に見てガゼボに人がいるとわかればわざわざ寄ってこないし、ロングドレスの内側で俺の手が何をしようが外から見えやしない……と言い含める。

「それに、バレンタインデイに俺のヒナが他の男に誘われるのが嫌だったんだ。俺へのバレンタインプレゼントだと思ってヒナを好きにさせてほしい」

 そう言われれば、雛子は逆らえない。
 顔を赤らめながらもそっと足を開く。

「いい子だ、そのまま脚を閉じずに、声は我慢してね」

 雛子がコクコクとうなずくのを見届けてから、朝哉は右手の動きを再開する。
 ショーツの布越しに蕾を探り当てると、上から指でクニクニと揺らしたり強く押したりを繰り返す。
 爪でカリッと引っ掻くと雛子が「あっ」と鼻にかかった声を出した。

「ヒナ、気持ちよくて声が出ちゃうのか? 我慢できない?」
「我慢……する」
「いい子だ。もっと悦くしてあげるから」

 朝哉はショーツのクロッチ部分をグイと脇に寄せ、股ぐりから指を入れて割れ目を擦り上げる。
 そこはすでにグッチョリと濡れていて、指を挿れるとすんなりと呑み込まれていった。

「凄いな。もうこんなにして」

 いうが早いか朝哉は雛子の前にひざまずき、スカートの中に顔を埋める。

「やっ、ダメっ!」
「シッ! 声をおさえて」

 朝哉の両手が花弁を開き、中心に舌を這わせた。
 ペチャペチャと大きな音を立てて、雛子の羞恥心を煽る。

 雛子が悪くないことはわかっている。
 だけど今は雛子をいじめて困らせたいという嗜虐心が勝っていた。

 蜜壺にジュボジュボと指を挿れながら、舌で蕾を転がした。

「やっ、ダメっ、もう……っ」
「イく?」
「うん……もう、イっちゃ……ああっ!」

 最後は耐えられなかったのか一際大きな嬌声を上げて、雛子はブルッと腰を震わせた。
 雛子が脱力するのを見届けてから、朝哉はスカートから顔を出し、ベンチに座りなおす。

「ごめん、ヒナ。頭がカッとなって……」

 雛子の背中をさすりながら顔を覗き込むと、雛子は「もうっ!」と唇をとがらせながらもコツンと朝哉の肩に頭を預けてきた。

「もう……恥ずかしかったんだから」
「本当にごめん。だけどヒナが好きで、嫉妬したんだ。俺のなのにって思ったら我慢できなくて……」

「だけど……」と雛子はチロリと上目遣いになる。
「私がこんなことを許すのは朝哉だけだから……それは信じて」
「うん、もちろん信じてる。だから俺を嫌わないで」

 雛子はバッと離れると、「嫌うはずない!」と声を荒げる。

「どんなことがあったって、私が朝哉を嫌うわけないじゃない! それに今のは……私からのバレンタインプレゼントだし」

 そう言って俯く雛子が可愛くて。
 朝哉は股間の熱を持て余し、可愛い唇にむしゃぶりついた。

「ああ、ヒナ、可愛い。今すぐここで襲ってしまいたい……ほんと大好きだ」

 キスの合間に雛子が喘ぐ。

「んっ、あっ……私だって、もう……。朝哉、私のバレンタインプレゼントは……朝哉がいい……」
「……っ、ヒナ、帰ろう!」

 朝哉は雛子を引っ張り上げると会場に戻り、妻の体調不良を理由にその場を去った。
 そのまま同じホテルに部屋を取り……お互いのバレンタインプレゼントを堪能したのだった。




 Fin


*・゜゚・*:.。..。.:*・ .。.:*・゜゚・ .。.:*・゜゚・*

 バレンタイン番外編、どういうお話にしようか、妊娠したことにしようか……などと考えたのですが、他のバレンタイン番外編に子供ネタを出してしまっていたことと、この2人に関しての妊娠出産はもう少しちゃんと書きたいという気持ちもあってやきもち話となりました。

 この2人は揺るがないのでヤキモチさえも良いスパイスですね。

 それでは皆様、Have a Happy Valentine’s Day💕


 2021年2月14日

 田沢みん拝

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