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【番外編】
妊娠狂想曲 (4) 大河&茜
しおりを挟む「えっ、マジか! おめでとう! やったな!」
天馬からの電話を切ってすぐに大河はガッツポーズをした。
「イエス!やったぜっ!」
夕食中の食卓で大河が大喜びしていると、茜もニコニコしながらスマホを置く。
「天馬から? 私にもたった今楓花ちゃんから連絡が来たわよ。おめでたいね」
「おい茜、乾杯だ」
「おっ、いいわね~。ビール取って来る」
茜が冷蔵庫から冷えたビールを出して来てグラスに注ぐ。
「「 はい、それでは 」」
「楓花ちゃんの妊娠にカンパーイ」
「楓花の妊娠と、俺の時代到来にカンパーイ」
「えっ?」
茜の驚愕の視線に大河はニコニコ笑顔を返す。
「茜、いよいよ俺の時代がやって来たぜ」
「はぁ?」
「いいか? 天馬は育児に関してはズブのド素人だ。対して俺は4歳の息子を育てあげたプロ中のプロ。先輩パパとしてアイツに指導する立場だ」
「指導って、大河、アンタねぇ……」
「あいつの子供が生まれた時には大輝が5歳。俺は常に天馬より5年先輩というわけだ。コレで一生アイツは俺に教えを乞うことになる」
目をキラキラ輝かせて語る大河を見て、茜は『コイツ心底アホだな』と思った。
「いや、天馬はアンタに教えを乞おうとはしないと思うよ」
茜の言葉も耳に入らないようで、大河はニヤニヤしながら何事か考えている。
「そうか、俺もとうとう伯父さんになるのか。可愛い女の子がいいなぁ……伯父ちゃんとか言って甘えてさぁ、うちの大輝と仲良く手を繋いでさぁ……楽しみだな」
妄想全開の大河を冷ややかな目で見つめながら茜がビールを一気飲みしていると、大河がハッ!と何かを思いついたように茜を見た。
「茜……俺たち2人目を作ろうぜ!」
「へっ?」
「俺たちに赤ちゃんが出来たら天馬の子供と同級生になれるだろ? 男同士なら俺と天馬みたいに熱い友情で結ばれた親友になれるし、女の子なら天馬と楓花みたいに仲良しになれるだろう? めちゃくちゃ楽しそうじゃね?」
「う~ん…」と茜は顎に手を当てて考える。
大輝に兄弟を作ってあげたいけれど、大河も子供みたいなものだし、大変になるのは間違いない。
ーーだけど、楓花ちゃんと協力しながらの育児ライフも楽しそうではあるわよね。
「天馬たちの子供がどうこう関係なく……私もそろそろもう1人欲しいと思ってたのよね。前向きに検討してみるわ」
「よっしゃー!愛してるぜ、茜!……あっ!」
大河は茜に抱きつきながら、ピコン!とまたもや何か思い浮かんだらしい。
「茜、俺めちゃくちゃいいこと考えついた」
「えっ、何よ」
「ふふ~ん、今は内緒だ。その時が来たら教えてやるよ」
大河の『いいこと』にロクなことはない。
茜は若干の……かなりの不安を感じながら、上機嫌な大河を見つめていた。
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