76 / 169
75、名前を呼んで (1) *
しおりを挟む途切れていた意識がフッ……と繋がって、重い瞼をゆっくり開けた。
目の前には広々とした部屋とアンティーク調の小さな丸テーブルにソファー。
その後ろにある大きな窓からは、遠くのビルディングや青空が見える。
ーーん?……ここって……。
見慣れぬ場所に違和感を覚えたけれど、すぐに昨夜の行為と目の前の景色が結びつく。
「あっ……」
ーーそうか、昨日はこのエグゼクティブスイートに泊まって、誕生日と同時に天にいと結ばれて……。
窓の外の明るい景色と部屋に差し込む光の強さから、今が既に朝なのだと判断する。
漸く現状を理解して、窓の方を向いていた身体を振り向かせようとしたところで、後ろからがっちりホールドされている事に気付いた。
「おはよう……目が覚めた?」
髪の上から後頭部にキスが降って来て、至近距離からくぐもった声が聞こえてくる。
「あっ、天にい……」
もう一度振り向こうとしたところで第2の違和感。
「……えっ?!」
「動かないで……抜けちゃうから」
「ええっ?!」
身動きしようとしたら、抱き締める腕にギュッと力がこもって、膝に片脚が絡められた。
仕方なくそのままの姿勢で背後の天馬に話しかける。
「ごめんなさい。私ったらまた途中で自分だけ……」
昨夜は天馬のモノで激しく突かれて、今までの行為とは比べものにならない程の快感に襲われた。
見知らぬ大きな波に飲み込まれるような感覚に慄いて、夢中で天馬にしがみついて絶頂を迎え、意識を失ったのだ。
そして、まだ天馬のモノが入っているということは、昨夜からそのまま……?
「天にい……私が意識を失ったあともずっとそのままで?」
「ん……楓花が寝ちゃったから仕方なく一旦引き抜いたんだけどさ……楓花のナカの暖かさと気持ち良さが恋しくなって……つい挿れちゃったよ」
ーーつっ……ついって!挿れちゃったって!
「もう、天にいったら何やってるの?!」
「ごめんな……でも、挿れただけで動いてないし、中で出してもいないから」
それはそれで辛そうな気もするんだけど……。
「一晩ジッとしてるのって、逆に辛かったんじゃない?」
「ん……ごめん、軽く嘘ついたわ。ちょっとだけ中で揺らして気持ちよくなってた。でも突いてないし果ててもいないからな」
「そんな微妙な嘘ついたってしょうがないのに」
「ハハッ……そうだな……それでさ…」
耳元に唇が寄せられて、
「昨日の続きがしたいんだけど……中で動かしてもいい?」
とてつもなく甘ったるい声音で囁かれて、身体の芯がジワッと疼いた。
同時に天馬のモノがむくむくと大きくなる。
「うわっ……楓花の中が締め付けてきた。ヤバいって!……は…っ…」
「えっ?!だって、どうしたらいいのか……」
「あっ……くっそ…いきなり気持ち良すぎる。お前こんな技っ…何処で覚えてきたんだよ…」
天馬の息遣いが荒くなり、耳元でフッ……ハッ……と声が漏れる。
それを聞くだけで感じてきて、奥の方からトロトロと愛液が溢れてくる。
前に回されていた天馬の手がそろりと動き、胸を掴んで捏ね始める。同時に腰が押し付けられてゆるりと動き出す。
粘膜の触れたところからクチュッ……と水っぽい音がした。
「凄いな……一晩でもう俺のを簡単に受け入れるようになった。もっと欲しいって、中がうねって絡みついてくる」
グリグリと腰を押し付けられ、中を掻き回されて、早くもゾクゾクと快感のさざ波が起き始めている。
「んっ……は…っ…」
「楓花……気持ちいいの?」
胸の先端をコリコリと弄りながら耳朶を甘噛みされて、「あんっ!」と甘ったるい声が出た。
「昨日まで処女だったくせに、もうこんなにグチョグチョになって感じて……いやらしいな」
「嫌だ……そんなこと…っ…言わないで……」
「嫌じゃないだろ? お前自分で気付いてんの? さっきから腰が揺れてるんだぜ」
「……えっ?」
言われて初めて気が付いた。天馬の腰の動きに合わせて自分もお尻を突き出しゆらゆらと振っている。
より多くの快感を得ようと、身体が無意識のうちに反応しているのだ。
「嫌っ!……もうやだ恥ずかしい!」
両手で顔を覆って俯くと、バッと布団を捲られ、繋がったままうつ伏せにされた。
「楓花、腰を上げて」
「えっ、何?!」
グイッと腰を起こされ、猫が伸びをするようにお尻を突き出した格好になる。
「何?やだっ、天にい!」
「楓花、恥ずかしくないし嫌じゃない。言っただろ? 2人で楽しんで気持ち良くなるんだ。今度は一緒に気持ち良くなって一緒にイこう。
膝立ちで楓花の腰を抱えた天馬が、ズン!と腰を打ち付けた。
10
お気に入りに追加
1,612
あなたにおすすめの小説
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
【R18】優しい嘘と甘い枷~もう一度あなたと~
イチニ
恋愛
高校三年生の冬。『お嬢様』だった波奈の日常は、両親の死により一変する。
幼なじみで婚約者の彩人と別れなければならなくなった波奈は、どうしても別れる前に、一度だけ想い出が欲しくて、嘘を吐き、彼を騙して一夜をともにする。
六年後、波奈は彩人と再会するのだが……。
※別サイトに投稿していたものに性描写を入れ、ストーリーを少し改変したものになります。性描写のある話には◆マークをつけてます。
好きすぎて、壊れるまで抱きたい。
すずなり。
恋愛
ある日、俺の前に現れた女の子。
「はぁ・・はぁ・・・」
「ちょっと待ってろよ?」
息苦しそうにしてるから診ようと思い、聴診器を取りに行った。戻ってくるとその女の子は姿を消していた。
「どこいった?」
また別の日、その女の子を見かけたのに、声をかける前にその子は姿を消す。
「幽霊だったりして・・・。」
そんな不安が頭をよぎったけど、その女の子は同期の彼女だったことが判明。可愛くて眩しく笑う女の子に惹かれていく自分。無駄なことは諦めて他の女を抱くけれども、イくことができない。
だめだと思っていても・・・想いは加速していく。
俺は彼女を好きになってもいいんだろうか・・・。
※お話の世界は全て想像の世界です。現実世界とは何の関係もありません。
※いつもは1日1~3ページ公開なのですが、このお話は週一公開にしようと思います。
※お気に入りに登録してもらえたら嬉しいです。すずなり。
いつも読んでくださってありがとうございます。体調がすぐれない為、一旦お休みさせていただきます。
【R18・完結】蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない〜
花室 芽苳
恋愛
契約結婚しませんか?貴方は確かにそう言ったのに。気付けば貴方の冷たい瞳に炎が宿ってー?ねえ、これは大人の恋なんですか?
どこにいても誰といても冷静沈着。
二階堂 柚瑠木《にかいどう ゆるぎ》は二階堂財閥の御曹司
そんな彼が契約結婚の相手として選んだのは
十条コーポレーションのお嬢様
十条 月菜《じゅうじょう つきな》
真面目で努力家の月菜は、そんな柚瑠木の申し出を受ける。
「契約結婚でも、私は柚瑠木さんの妻として頑張ります!」
「余計な事はしなくていい、貴女はお飾りの妻に過ぎないんですから」
しかし、挫けず頑張る月菜の姿に柚瑠木は徐々に心を動かされて――――?
冷徹御曹司 二階堂 柚瑠木 185㎝ 33歳
努力家妻 十条 月菜 150㎝ 24歳
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R-18】私を乱す彼の指~お隣のイケメンマッサージ師くんに溺愛されています~【完結】
衣草 薫
恋愛
朋美が酔った勢いで注文した吸うタイプのアダルトグッズが、お隣の爽やかイケメン蓮の部屋に誤配されて大ピンチ。
でも蓮はそれを肩こり用のマッサージ器だと誤解して、マッサージ器を落として壊してしまったお詫びに朋美の肩をマッサージしたいと申し出る。
実は蓮は幼少期に朋美に恋して彼女を忘れられず、大人になって朋美を探し出してお隣に引っ越してきたのだった。
マッサージ師である蓮は大好きな朋美の体を施術と称して愛撫し、過去のトラウマから男性恐怖症であった朋美も蓮を相手に恐怖症を克服していくが……。
セックスシーンには※、
ハレンチなシーンには☆をつけています。
イケメンエリート軍団の籠の中
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり
女子社員募集要項がネットを賑わした
1名の採用に300人以上が殺到する
松村舞衣(24歳)
友達につき合って応募しただけなのに
何故かその超難関を突破する
凪さん、映司さん、謙人さん、
トオルさん、ジャスティン
イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々
でも、なんか、なんだか、息苦しい~~
イケメンエリート軍団の鳥かごの中に
私、飼われてしまったみたい…
「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる
他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」
お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。
すずなり。
恋愛
母に仕組まれた『お見合い』。非の打ち所がない相手には言えない秘密が私にはあった。「俺なら・・・守れる。」終わらせてくれる気のない相手に・・私は折れるしかない!?
「こんな溢れさせて・・・期待した・・?」
(こんなの・・・初めてっ・・!)
ぐずぐずに溶かされる夜。
焦らされ・・焦らされ・・・早く欲しくてたまらない気持ちにさせられる。
「うぁ・・・気持ちイイっ・・!」
「いぁぁっ!・・あぁっ・・!」
何度登りつめても終わらない。
終わるのは・・・私が気を失う時だった。
ーーーーーーーーーー
「・・・赤ちゃん・・?」
「堕ろすよな?」
「私は産みたい。」
「医者として許可はできない・・!」
食い違う想い。
「でも・・・」
※お話はすべて想像の世界です。出てくる病名、治療法、薬など、現実世界とはなんら関係ありません。
※ただただ楽しんでいただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
それでは、お楽しみください。
【初回完結日2020.05.25】
【修正開始2023.05.08】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる