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58、親友への紹介 side天馬
しおりを挟む「ねえ、私も一緒に行っちゃ駄目かしら?」
当直明けの研修医室で、椿から「今夜食事でも……」と誘われたから、幼馴染の親友と会うのだと断ったら、自分もその会に参加したいと言い出した。
椿との見合いから2週間後。そう言えば、お試しで付き合うと言いながら、お茶の一つにも誘っていなかったなと思い出す。
「……そうだな。アイツに聞いてみるよ」
大河にメッセージを送ると速攻で、
『うわっ、彼女の紹介?!もちろんオッケー⭐︎スッゲー楽しみ!♪』
と馬鹿っぽい返事。
「……OKだって。ソイツの彼女も来る」
「楽しみね。私、目一杯お洒落して行くわ」
「ハハッ、ただの居酒屋だぜ。目一杯お洒落なんかしたら逆に浮くよ」
「それでも……親友の前で天馬の顔を潰すわけには行かないでしょ? それに……初デートになるわけだし」
「……ああ」
そう言われれば、そうか。流れで一緒に行くことになったとは言え、一応デートになるのか。
目の前で照れたように頬を染めている椿を見て、自分も前向きに考えなければいけないな……と思い始めていた。
*
約束の居酒屋は昔から大河とよく来ている馴染みの店で、テーブルごとに仕切りがある半個室で話もしやすい事から気に入っていた。
天馬と椿が店員に案内されて奥に行くと、大河と茜は既に席についていた。
「天馬、こっちこっち!」
大河がブンブン手を振って呼び、天馬と椿が向かい側の席に並んで座る。
「椿、コイツが俺の悪友の大河で、隣が彼女の茜。俺たち3人とも高校の同級生なんだ。……大河、こちらが……」
椿のことを何と言って紹介しようかと言葉に詰まっていると、
「はじめまして。天馬の同期で恋人の水瀬椿です」
椿がそう自己紹介するのを聞いて、心の中で何故か『ヤバい』と呟いていた。
ーーコイツ、このことを楓花に言うのかな。マズいな、楓花に誤解されたら……
そこでハッと我にかえる。
ーーアホか俺。誤解も何も、実際に椿と俺は付き合ってるんじゃないか。彼氏持ちの幼馴染相手にヤバいとかマズいとか、頭が湧いてんじゃないか?
その場は和やかに進んで行った。
若かりし日の大河と天馬のヤンチャ話を茜が語ったり、茜が地元のレディースのトップで大河が一目惚れしたという定番の話を大河が語り出したりで大いに盛り上がり、椿もすぐに打ち解けた。
椿が洗面所に立った隙に、大河が言う。
「お前が彼女を紹介してくれるなんて初めてだよな。 コレは真剣って事なの? 結婚とか考えてんの?」
「まだソコまで話は進んでない。でも、始まりが見合いだし、このままって訳にはいかないよな。ちゃんとケジメをつけないと……」
「そうなんだ…… 私はてっきり……」
「なんだよ茜、なんか不満なの? 椿さん美人じゃん」
「椿さんに不満があるとかじゃなくて…… 天馬、本当にそれでいいの? 今、幸せ? 」
「おいっ、何言ってんの? 意味わかんね~ 」
ーー幸せ……か。でも、しょうがないだろう? 本当に欲しいものは、もう他の男のモノなんだ。
「大河……あんた、椿さんのことはまだ誰にも言うんじゃないわよ」
「はぁ?! こんな面白いネタ、黙ってるはず無いだろ」
「馬鹿っ! まだ本決まりでも無い話を広められて、そのせいで上手くいかなくなったらどう責任取るのよ!とにかくこのことは内緒!親にも楓花ちゃんにも……だからね!」
「へ~い、分かりやした。……それにしても天馬、イイ女をゲットしたな。美男美女でお似合いだぜ!」
「馬鹿っ! 大河の大馬鹿っ!」
「……痛って……。なんだよ茜、頭を殴るなよっ!……うわっ、だから痛いって!」
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