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49、きっと今以上に幸せ *
しおりを挟む「あ……っ、イくっ! イっちゃう!」
「いいよ、楓花イって!」
「ああっ、あーーーっ!」
甲高い矯正と共に、楓花が腰をビクンビクンと跳ねさせて絶頂に達した。
天馬がズルリと4本の指を抜くと、蜜壺が名残惜しそうにヒクッと収縮する。
「気持ちよくイけたか?」
「ん……」
天馬がヘッドボードに背を預けてもたれると、楓花がその腰にギュッと抱きついてきた。
「気持ち良かった……です」
そんな楓花を愛おしげに見下ろし、汗で額に貼り付いている髪をそっとどけてやりながら、天馬がフワッと微笑みかける。
「もう4本でも大丈夫になったな。失神もしなかったし」
「うん……これで本番も大丈夫だよね?」
「ああ、きっと大丈夫。楓花、頑張ってくれてありがとうな」
昨日とうとう4本目の壁を越えた2人は、本番に備えるべく、今日も楓花の仕事終わりで合流してマンションに来ている。
「そのジェル凄かったね。前より断然楽だった」
「そうか、そんなに良かったのか」
天馬が更なる念押しとばかりに処女の扱いについていろいろ調べてくれたらしく、「コレがいいらしい」と目の前に差し出されたのがホットジェルという物だった。
どうやら性行為時の滑りを良くして痛みを緩和する優れものらしい。
試しに使ってみたら確かにヌルヌルしていて指の滑りが良く、今までに比べて挿入時の痛みと抵抗が断然少ない。
「ごめん、もっと早く使ってやれば良かったな。お前よく濡れてるから、それで十分だと思ってたんだ」
申し訳なさそうに眉尻を下げる天馬を見て、楓花はクスッと笑った。
「なんだよ、俺って何か変なこと言った?」
「ううん、嬉しいな……って思って」
ずっと年上で大人だと思っていた天馬が、今はとても近くに感じる。
仕事が忙しくて大変だろうに、楓花と結ばれるためにいろいろ悩んで考えて、こうして努力してくれている。
「ふふっ……どんな顔してジェルを買ったんだろう……って」
「違うよ。もちろんサイトで注文に決まってるだろ!お前に嵌める自分を想像しながらエロい顔してポチったんだよ。悪いかよ」
「悪くない……天にい、ありがとうね」
引き締まった腰にチュッと唇を当てると、天馬は頬を赤らめて、
「まっ……まあ、お前が楽になれば、ひいては俺のためになる……つまり、まあ、俺自身のためだって事だ」
照れたように言って、頭を掻いた。
そんな姿を見て、更に愛おしさが募っていく。
「嘘みたいだね。本当に私たち、結ばれちゃうんだね」
「結ばれちゃうんだよなぁ……」
「結ばれる前と後って、何か変わるのかな」
「う~ん……好きな女とヤるのって俺にも未知の世界だからなぁ……こんなに時間や手間を掛けるのも初めてだし……」
「……慣れてらっしゃることで」
楓花が少し拗ねたように言うと、天馬が楓花の髪を撫でながら、自分にも宣言するように真面目な口調になって言った。
「そりゃあ楓花が初めてってわけじゃないし、今さら童貞に戻ることも出来ないけどさ……自分から抱きたいと思ったのも、こんなに必死になるのも楓花だけだから……それは分かれよ?」
「……うん」
「もう楓花以外とは考えられないし、楓花しかいらない。……そうだな、結ばれた後の俺たちは……きっと今以上に幸せだよ」
「今以上に幸せ……」
「ああ、きっとだ」
感動的な言葉にウルッときたところで、天馬が「そう言えば……」とベッドサイドテーブルの引き出しからガサゴソと何かを取り出して来た。
「ジェルを買ったついでにゴムも買っておいた。最初はどれがいい?」
「ええっ、こんなに?!」
天馬がシーツの上に5箱も並べるのを見て驚愕した。
「もう一度言うけど……こんなに?!」
「せっかくだからいろいろ試そうと思ってさ。極薄のとかフィット感重視のとか……どうせすぐに使い切っちゃうって!」
「すぐに使い切るって……こんなに?!」
ーー本当の本当に、私の身体もどうなっちゃうの?!
イチゴの香り付きとかいうパッケージを片手にニコニコしている天馬を目の前に、嬉しさ1/3、期待1/3、不安1/3の気持ちを抱えて、それでも思わず吹き出してしまう楓花なのだった。
本番まで、あと4日。
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