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43、ステップアップ再開……しようか (1)
しおりを挟む「うわっ、凄いな。さすが楓花が作っただけあって、見ただけでも美味そうだ」
ーーいやいやいやいや……。
これは普通のミックスサンドだし。お店のレシピ通りに作った、野菜と卵とハムとポテトサラダを挟み込んだ、いつも通りのやつだから!
仲直り後の天馬は異様にテンションが高かった。
まずは楓花をカウチに座らせると、自分は立ったままバスケットの中身を取り出し、ミニサラダを覆っているラップを剥がし、フォークを添える。
紙カップにコーヒーを注ぎ、楓花の分にはミルクと砂糖を加えて掻き混ぜてから差し出す。
いそいそとお世話をするその様子は、まるで新婚の新妻のようだ。
最後に楓花を一旦立たせると、自分がカウチに座ってから脚を開き、「ここ。ここに座って」。ポンポンと股の間の空間を叩いてそこに座るよう促した。
……という訳で、楓花は今、カウチが2つあるにも関わらず1つの椅子で天馬の脚の間に座り、左手で腰をガッチリとホールドされた状態でサンドイッチを食べている。
「うん、めちゃくちゃ美味いよ。楓花、次はコーヒー」
「はい」
テーブルからコーヒーの入ったカップを取って手渡すと、ゴクゴクっと飲んで、
「ありがとう。次は卵がいいな」
「はい、卵サンドね」
カップを受け取ってテーブルに置くと、箱から卵サンドを取り出して後ろに渡して……って、メンドクサイ!
「天にい、この体勢じゃ食べにくいんじゃない?」
「食べにくい。……けど、この状態で食べた方が絶対に美味しい」
「……ふふっ、変なの」
「変になっちゃうんだよ。お前といると」
『こんな俺じゃ嫌? 呆れてる?』……と後ろから顔を寄せて囁かれると、耳から首筋にかけてブワッと熱くなり、背筋がゾクゾクっとした。
好きな人にこんな風に甘えられて、嫌なはずがない。ついさっきまで気分が沈みまくっていたのが嘘みたい。
「嫌じゃないし、呆れてもいないよ。私だって……仲直り出来て嬉しかったし……」
サンドイッチを食べ終えた天馬が右手も腰に回してきて、両手でキツく抱き締めて来た。
お尻に硬いものが触れてハッとする。
ーー天にい……興奮してるんだ。
天馬は楓花の腰を抱き寄せながら、膨張したモノをグリグリと押し付けてくる。
だけどそれ以外には何も手出しする様子がなくて、耳許にハァハァと荒い息遣いが聞こえるだけ。
「天にい……大丈夫?」
「えっ……ああ、悪いな。密着してるとついついムラッときちゃってさ……でも大丈夫。まずは楓花の話を……聞くのが……先だっ」
「でも……」
「俺は…反省したんだよ……楓花の気持ちを最後まで聞かずに……ハァ…自分の気持ちを押し付けて……無理矢理キスして……っ……ハッ……」
話をすると言ったって、こんな状態じゃ辛くて集中出来ないんじゃないだろうか。
「でも天にい、辛そう……」
「いいんだ……ああ、でも……キスだけいいか?」
グイッと後ろに身体を引っ張られ、仰け反るように振り返ると、不意打ちのキスが降って来た。
チュッとリップ音がしてから唇が離れて、天馬の顎が肩に乗せられる。右頬に髪が触れて、フワッと消毒液と石鹸の香りがした。
「うん、これで大丈夫……」
お尻に当たる昂りはガチガチで、全然大丈夫そうではないのだけれど……。
「ねえ天にい」
「ん……ハァ……何だ……」
「シよっか」
「はぁ?!」
天馬の腰がビクンと跳ねた。
「こんな状態じゃちゃんと話せないと思う。それに……私もなんだか……」
モジモジと膝を擦り合わせると、それに目ざとく気付いた天馬が目を輝かせる。途端に瞳の奥に淫靡な色が宿った。
「……いいのか?」
「うん……その後の方が……本音を吐き出せそうな気がする」
「そうか……」
途端に後ろでブラのホックが外され、両手がスッと楓花のカットソーに潜り込んで来る。
そのまま両方の手のひらで胸を鷲掴みにされ、やわやわと持ち上げられ揉みしだかれた。
「ん……ああん……」
「辻……ケース・バイ・ケースだったぞ……」
後ろからボソリと呟きが聞こえたけれど、その意味も分からぬまま、楓花は快感に呑み込まれていった。
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