【R-18】キスからはじまるエトセトラ【完結】

田沢みん

文字の大きさ
上 下
43 / 169

43、ステップアップ再開……しようか (1)

しおりを挟む

「うわっ、凄いな。さすが楓花が作っただけあって、見ただけでも美味そうだ」

ーーいやいやいやいや……。

 これは普通のミックスサンドだし。お店のレシピ通りに作った、野菜と卵とハムとポテトサラダを挟み込んだ、いつも通りのやつだから!

 仲直り後の天馬は異様にテンションが高かった。
 まずは楓花をカウチに座らせると、自分は立ったままバスケットの中身を取り出し、ミニサラダを覆っているラップを剥がし、フォークを添える。
 紙カップにコーヒーを注ぎ、楓花の分にはミルクと砂糖を加えて掻き混ぜてから差し出す。
 いそいそとお世話をするその様子は、まるで新婚の新妻のようだ。

 最後に楓花を一旦立たせると、自分がカウチに座ってから脚を開き、「ここ。ここに座って」。ポンポンと股の間の空間を叩いてそこに座るよう促した。

 ……という訳で、楓花は今、カウチが2つあるにも関わらず1つの椅子で天馬の脚の間に座り、左手で腰をガッチリとホールドされた状態でサンドイッチを食べている。

「うん、めちゃくちゃ美味いよ。楓花、次はコーヒー」
「はい」

 テーブルからコーヒーの入ったカップを取って手渡すと、ゴクゴクっと飲んで、

「ありがとう。次は卵がいいな」
「はい、卵サンドね」

 カップを受け取ってテーブルに置くと、箱から卵サンドを取り出して後ろに渡して……って、メンドクサイ!

「天にい、この体勢じゃ食べにくいんじゃない?」
「食べにくい。……けど、この状態で食べた方が絶対に美味しい」

「……ふふっ、変なの」
「変になっちゃうんだよ。お前といると」

『こんな俺じゃ嫌? 呆れてる?』……と後ろから顔を寄せて囁かれると、耳から首筋にかけてブワッと熱くなり、背筋がゾクゾクっとした。

 好きな人にこんな風に甘えられて、嫌なはずがない。ついさっきまで気分が沈みまくっていたのが嘘みたい。

「嫌じゃないし、呆れてもいないよ。私だって……仲直り出来て嬉しかったし……」

 サンドイッチを食べ終えた天馬が右手も腰に回してきて、両手でキツく抱き締めて来た。
 お尻に硬いものが触れてハッとする。

ーー天にい……興奮してるんだ。

 天馬は楓花の腰を抱き寄せながら、膨張したモノをグリグリと押し付けてくる。
 だけどそれ以外には何も手出しする様子がなくて、耳許にハァハァと荒い息遣いが聞こえるだけ。

「天にい……大丈夫?」
「えっ……ああ、悪いな。密着してるとついついムラッときちゃってさ……でも大丈夫。まずは楓花の話を……聞くのが……先だっ」

「でも……」
「俺は…反省したんだよ……楓花の気持ちを最後まで聞かずに……ハァ…自分の気持ちを押し付けて……無理矢理キスして……っ……ハッ……」

 話をすると言ったって、こんな状態じゃ辛くて集中出来ないんじゃないだろうか。

「でも天にい、辛そう……」
「いいんだ……ああ、でも……キスだけいいか?」

 グイッと後ろに身体を引っ張られ、仰け反るように振り返ると、不意打ちのキスが降って来た。

 チュッとリップ音がしてから唇が離れて、天馬の顎が肩に乗せられる。右頬に髪が触れて、フワッと消毒液と石鹸の香りがした。

「うん、これで大丈夫……」

 お尻に当たる昂りはガチガチで、全然大丈夫そうではないのだけれど……。

「ねえ天にい」
「ん……ハァ……何だ……」

「シよっか」
「はぁ?!」

 天馬の腰がビクンと跳ねた。

「こんな状態じゃちゃんと話せないと思う。それに……私もなんだか……」

 モジモジと膝を擦り合わせると、それに目ざとく気付いた天馬が目を輝かせる。途端に瞳の奥に淫靡な色が宿った。

「……いいのか?」
「うん……その後の方が……本音を吐き出せそうな気がする」

「そうか……」

 途端に後ろでブラのホックが外され、両手がスッと楓花のカットソーに潜り込んで来る。
 そのまま両方の手のひらで胸を鷲掴みにされ、やわやわと持ち上げられ揉みしだかれた。

「ん……ああん……」

「辻……ケース・バイ・ケースだったぞ……」

 後ろからボソリと呟きが聞こえたけれど、その意味も分からぬまま、楓花は快感に呑み込まれていった。
しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

処理中です...