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38、一緒に住まないか? (1)
しおりを挟むフッ……と目が覚めたら、目の前には厚い胸板があって、視線を上げたら超絶美形の顔があった。
頭の下には腕枕。反対の手で背中をガッチリとホールドされている。
ーーうわぁ……愛されてる感が凄いんですけど。
昨夜の記憶は浴室でイチャイチャして指2本……までで途切れている。
1本目の時点で一瞬意識が飛んだくらいだから、2本目でイかされた後で本当に倒れてしまったんだろう。
ーーそれにしても、気持ち良すぎてビックリしたな……。
あんな場所に指を挿れられるという事に恐怖心があったけれど、天馬が上手かったのか、そもそもそういうものなのか、殆ど痛みを感じなかった。
2本目が挿入された時も、少しキツイと思ったくらいで、天馬に言われるまで気付かなかったくらいだ。
右手の指を4本立ててまじまじと見つめてみる。4本……昨日の倍。かなり怖い。
背中に回された天馬の手をどっこいしょと持ち上げて、親指を曲げて指4本にしてみる。
かなりの迫力。もっと怖くなった。
「……お前、何やってんの?」
「えっ?!……あっ、起きてたの?」
「いや、たった今目が覚めた。お前が俺の手でイタズラしてたから」
「いっ、イタズラじゃなくて観察!4本の太さを再確認しようと……」
天馬がクスッと笑いながら、楓花を胸に抱き寄せる。
「ビビってんじゃねえよ。大丈夫だって、俺がゆっくり解してやるから。それで、俺のを挿れる時はめちゃくちゃイイ気持ちにさせてやる」
「はい……くれぐれもよろしくお願いします」
「ハハッ」
楓花の前髪を掻き上げて額にムチュ~ッと長いキスをすると、「お腹すいただろ?冷蔵庫にはビールと水くらいしか無いから、何か買ってきてやるよ」と1人でベッドから立ち上がった。
「天にい、はっ、裸!」
引き締まった肉体美を惜しげもなく曝け出して、天馬は平然と楓花を見下ろしている。
「ああ、俺は寝る時基本的に裸だから。覚えといて」
「でっ、でも、起きた時くらい何か着たほうが……」
「シャワーを浴びてからな。それに俺のガウンは楓花が着てるし」
「えっ」
「大変だったんだぜ。気を失ってるお前をシャワーで洗ってタオルで拭いて、洗面室に置いてあったガウンを着せてここまで運んで来たんだから」
布団をめくって見ると、確かに黒い大きめのガウンが着せられている。
いくら楓花が小柄な体型とは言え、そこまでするのは重労働だっただろう。
「ありがとう。ごめんなさい。ご迷惑をお掛けしました」
「いや、元はといえば俺が2本突っ込んだからだしな。俺の指でイってああなったと思ったら嬉しかったし」
「う……嬉しいって?!」
「ああ。それから、お前が寝てる間に膣の中までシャワーでしっかり洗っておいたから。石鹸は残ってないし全身綺麗だからな、安心しろよ」
ニヤッと笑うと、真っ赤になっている楓花を残してシャワーを浴びに消えた。
ーー至れり尽くせりにも程がある!
朝食は天馬が近所のコーヒーショップで買ってきてくれたカフェオレとBLTサンドイッチだった。
やけに高級そうな大理石調の6人掛けテーブルに2人並んで座り、美味しく朝食をいただく。
「私がカフェオレだってよく覚えてたね」
「ああ、新之助さんが良くボヤいてただろ。『せっかくいいコーヒーを煎れても楓花はミルクと砂糖をドボドボ入れるから台無しだ』って」
「ふふっ、そうそう。でも、ミルクと砂糖を入れたっておじいちゃんのコーヒーは美味しいよ」
そこまで話したところで急に天馬が真顔になり、楓花の手を上からギュッと握りしめてきた。
「……なあ、楓花」
「えっ、何?」
「俺たちのこと……お互いの家族に話してもいいか?」
「えっ……」
楓花と天馬が付き合っているという事は、茜以外には内緒になっている。
『まだ始まったばかりなのに大河にバレたら大騒ぎして上手くいくものも行かなくなる。しばらくは内緒にしておいた方がいい』
と茜に言われたのもあるけれど、楓花自身も、東京から逃げてきたばかりの家事手伝いの身で早速浮かれているのが申し訳ないような気がして、なんとなく打ち明けにくいのだ。
今のところは外泊も『地元の友達と久し振りに会っている』と茜が誤魔化してくれているけれど、嘘をつき続けるのにも限界があるだろう。
だけど……。
「ごめん、もう少し待って。まだ自信が無いの」
楓花の返答に、天馬は眉根を寄せる。
「自信……って、何の自信が必要なんだよ。俺は楓花との事は将来を見据えて考えてるし、楓花以外に考えられない。毎日でも会いたいし、ずっと一緒にいたい」
「私だって天にいと一緒にいたいよ。でも……」
握った手を天馬が持ち上げて指を絡ませる。両手で包み込んで楓花の指に口づけると、そのまま上目遣いでジッと見つめてきた。
「楓花、ここで一緒に住まないか?」
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