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<< 特別番外編 >>
誕生日のおねだり (5)*
しおりを挟む今日これで二度目だと言うのに、冬馬さんは攻撃の手を緩めてくれない。
それどころか、奥を穿ちながら「もう少し頑張って」と耳たぶを甘噛みされた。
「あ……も……もう……っ ! 」
「駄目だ、もう少し桜子のナカを味わいたい」
そう言いながら腰を引き、今度は動きを緩やかにされる。
絶頂はすぐそこだと言うのに、快感が弾けるその手前で焦らされて、甘い疼きが燻ったまま。
思わずウズウズと腰を動かすと、上から三日月のように細められた意地悪い目が見下ろしてくる。
「いやらしいな、自分から腰を擦り付けて。誰がマグロだって?」
「やっ……イジワル……」
「ふっ、涙目になって……本当に可愛い」
冬馬さんは私の目尻にチュッと啄むようなキスを落とすと、ゆるゆると回すように腰を動かす。
再びゆっくりと快感を高められていく。
「ココ……イイだろう ? 」
感じるポイントを内側からグリッと抉られて、ビクンと腰が跳ねた。
「あっ、あンっ、ああっ……イイっ」
「うわっ、凄く締まった……っ。ヤバいな、俺の方が先にイきそうだ」
「イって……っ。冬馬、もう駄目ぇ」
夢中で首にしがみついたら、「一緒にイク ?」耳元で甘く囁かれて、それだけでもう子宮が震えだす。
「もう……お願い、一緒にっ…… ! 」
コクコク頷いた私はすぐに後ろに倒される。
上からのしかかってきた冬馬さんが、中心めがけて強く腰を打ち付けてきた。
パンッ ! パンッ、パンッ、パンッ……
激しく肉体がぶつかる乾いた音、そして奥から溢れるグチュグチュという卑猥な音。そして冬馬さんの荒い息と私の嬌声が部屋に響く。
子宮からゾワゾワと快感が迫り上がる。
今度はもう焦らすことなく激しく突き上げられて、あっという間に全身を電流が貫いた。
「やっ、はっ……んん……もう……イくっ ! 」
爪先をギュッと丸めると、ビクン ! と背中を仰け反らせて絶頂を迎えた。
「は……っ…くっ……俺もっ…… ! 」
冬馬さんがグッと腰を押し付けて動きを止めると、ナカでビクンビクンと数回に渡って精が吐き出されるのを感じた。
再び心地よさと幸福感で胸が一杯になる。
「赤ちゃん……出来てたらいいな……」
私がポツリと呟いたら、「そうだな。欲しいな、俺たちの子供」そう言って抱き締められて、何故だか涙が溢れてきた。
こんな時なのに、不意に兄の手紙を思い出す。
『冬馬と2人で幸せになれ。結婚して自分の家庭を持ち、 子供を産んで育てて、 家族の楽しい思い出を沢山作るんだ』
『俺はお前と家族でいられて幸せだった。 お前の兄でいられて良かったって、 心から思う。
俺の妹になってくれてありがとう。
愛してるよ、心から』
ーーお兄ちゃん……
私はお兄ちゃんと家族でいられて幸せだったよ。
お兄ちゃんと過ごした時間は私の宝物だよ。
お兄ちゃんは天国に逝ってしまったけれど、今は冬馬さんが一緒にいてくれる。
お兄ちゃんが認めた冬馬さんと家族になれて愛されて、私はとても幸せなの。
これから子供を産んで3人家族、4人家族になって……私は冬馬さんと一緒に、もっともっと幸せになるよ。
だけどね……
私の花嫁姿をお兄ちゃんにも見せたかったな……なんて、時々思ってしまうの。
私が新しい家庭を築いていくところを見て欲しかった。一緒に喜んで欲しかったな……って考えてしまうの。
とても幸せなのに、贅沢だよね。
もうお兄ちゃんに甘えてた私は卒業するから。
簡単に泣いたりはしないから……
今だけ少し、泣かせてね。
冬馬さんにしがみついて嗚咽を漏らしたら、彼が静かに「赤ちゃんが出来たら……真っ先に大志に報告に行こうな」と言った。
私の最愛の人が、今この瞬間に同じ人のことを思い浮かべてくれた。
それが嬉しくて、だけどやっぱり切なくて。
私は彼の指で優しく髪を梳かれながら、声をあげてまた泣いた。
Fin
*・゜゚・*:.。..。.:*・ .。.:・**・゜゚・*:.。...。.:*・゜゚・*
『誕生日のおねだり』完結です。
ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございました。
これから本編を削除致します。
自分の子供がお嫁に行ってしまうようで少し寂しい気もしますが、立派に独り立ちしてくれた事を誇りに思い、送り出してあげようと思います。
どうしようか凄く悩みましたが、書籍の販売日に大志の最期のお話を投稿しようと思います。
『兄の遺言』のメインは桜子と冬馬なので、大志のお話をどこに持っていくのがいいか、このまま投稿しない方がいいかとずっと考えていました。
幸いというかタイミングよく『兄の遺言』が書籍化して独立することになり、こちらの番外編が大志メインな感じになったので、記念すべき日に影の主役だった大志のお話を投稿させていただきます。
また発売日など詳細が決まりましたら近況ボード及びTwitterでご報告させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
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