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<< 妹と親友への遺言 >> side 大志
17、我慢と忍耐の日々
しおりを挟むその日から俺の我慢と忍耐の日々が始まった。
「ただいま~」
「お兄ちゃん、お帰り~」
大学院から帰ってリビングに入ると、桜子がソファーの手摺りを枕がわりに寝転がって漫画を読んでいた。
「あれっ、母さんは?」
「お買い物。もうすぐ帰って来ると思う」
「ふ~ん……」
側に近寄って、ソファーの後ろ側から覗き込む。
ーーまた俺の兄シャツ着てんのかよ。お気に入りかよ、無防備かよ!
そして今日のブラはレース付きの白。色はOKだけど肩紐が見えてるぞ。胸元が開きすぎだ。俺にはご褒美だけどな。
「その漫画は面白いのか?」
「うん、ヒーローが一途でカッコいいの。胸がキュンてする」
ーー俺もお前にキュンとしてるけどな。
「ほら」と桜子が本をかざして見せてくれる。俺も上から顔を近付けて覗き込むと、グンと距離が近くなる。
ほんのりと鼻先をくすぐるフローラルの香り。
上気した肌に、しっとりとした髪……。
「桜子、お前シャワー浴びたの?」
「うん、体育で汗をかいたから。どうして?」
ーーどうしてって、刺激が強過ぎるからだよ!
「また髪の毛を中途半端に乾かして済ませただろ。俺がやってやる。そこに座って待ってろ」
「は~い」
後ろに立ってドライヤーをかけてやると、熱風に煽られて甘ったるい香りが立ちのぼる。俺を誘う官能的な香り。頭の芯まで痺れそうだ。
ソファーの後ろにいて良かったな。勃っててもバレない。圧迫されてキツイけど。
「お前さぁ、髪はしっかり乾かさないと駄目だぞ。せっかくの綺麗な髪が傷むだろ」
「は~い」
「ある程度水分が飛んだら、完璧に乾く前にトリートメントを塗り込む」
そう言いながら、洗い流さないタイプのトリートメントをチューブから手に取り毛先に塗り込んでやる。その後ドライヤーでちゃんと乾かして終了だ。
絹糸のように真っ直ぐでサラサラな髪が指の股をくすぐると、そこから肩までゾクゾクした感覚が這い上がってきた。
桜子は自分の髪を触りながら兄がアソコをおっ勃ててるなんて思いもしないんだろうな。
まあ、絶対に気付かせないけどな。全力で。
「よっしゃ、終わり」
「ありがとう……ふふっ」
「なんだよ」
「なんだかお兄ちゃん、お母さんみたい」
「お父さんじゃなくてお母さんかよ」
「オカンだね」
「オカンかよっ!」
ーーオカンじゃなくて彼氏にしろよ。
「……オカンじゃなくて嫁にしてくれたら、俺めちゃくちゃ尽くしてやるよ」
「あっ、それいいかも! 毎日髪を乾かしてくれるんでしょ?」
「おう。髪を乾かすし、ブラシで梳いてやる。なんならお姫様抱っこしてベッドに連れてって、添い寝して絵本も読んでやるぞ」
「それはやっぱり嫁じゃなくてお母さんじゃない?」
「……そっか」
ーー残念、嫁から母親に降格。
「俺……2階で勉強して来るからさ、夕飯の支度が出来たら呼んでくれる?」
「分かった。後で私にも勉強を教えてくれる?」
「もちろん」
自分の部屋に入って鍵を閉め、机に向かって座る。愛用しているポケット六法を開くと、民法の条文を探した。
民法734条
『直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない』
もう何度も繰り返し読んだその文をまた確認すると、罪悪感が軽減され、期待が頭をもたげる。
俺と桜子は本当の兄妹じゃない。血の繋がりが無いから結婚もセックスも出来る。
ーー今はまだ……。
まだ早い。桜子は中学生だ。
だけど春にはもう高校生になる。恋愛に興味も湧いて来るだろう。大学生になればもう大人だ。
徐々に意識させればいい。
今はまだ髪に触れるだけ。ただの兄ちゃんでオカンで家庭教師だ。
ーーだけど……。
右手を下半身に伸ばすと、チノパンのファスナーを下ろし、下着をずらす。
ブルンと反り返ったソレを握りしめ上下に動かすと、ついさっき嗅いだフローラルの香りを思い出す。
桜子がシャワーを浴びている姿を想像したら、グンと硬くなり、更に膨らんだ。
後ろから抱きついて胸を揉みしだき、股の間に漲りを擦り付けると、桜子がヨガって鼻にかかった声をあげた。
『ああっ、お兄ちゃん、擦れちゃう!気持ちいい!』
「……ふ……くっ……」
腰がブルッと震えると同時に先端をティッシュで包み、中にドクドクと熱を発散した。
ーー今はまだ、我慢と忍耐の日々だ。
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