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5、本当の初夜の話 (4) side冬馬
しおりを挟む「ん……っ」
桜子が首をふるふると緩く振り、微かに顔をしかめたのに気付き、唇を離した。
「ん……えっ? 冬馬さ……」
ゆっくりと睫毛が上を向き、完全に上がり切ったところで目が見開かれた。
漸く目を覚まし、目の前の状況に驚いている桜子をジッと見つめ、顔を寄せる。
何も言わずに唇を貪ると、彼女もそれを受け入れ舌で応えてくれた。
わざとクチュクチュと大きな音を立て、お互いの唾液を混ぜ合わせると、彼女の喉がゴクンと飲み干した。舌を絡めあい、唇を吸い、歯列を舐めあげる。
そうしながら桜子の脚を開かせ指で探ると、ソコは既に蜜の泉となっていた。
「桜子……また直接入れて、お前の中に出したい。……いいか?」
「はい……好きにしていいんですよ。私は冬馬さんの奥さんなんですから」
嬉しすぎて泣きたくなる……というのはこういうことを言うのかも知れない。
胸いっぱいにブワッと溢れる感動と喜び。
それと同時に、胸の奥に刺さった小さな棘が、チクチクと存在を主張して来て……。
ーーああ、くそっ!
チュッと短いキスを交わしてから、柔らかな丘の間に昂ぶったモノを滑り込ませる。既に愛液でぐっしょりとなっているソコをヌルヌルと往復させれば、まるで蜜壺に誘われるようにツルリと先端が入り込む。
腰を進めてグッと奥に押し込むと、桜子が「あっ!……あんっ!」と細い声を発した。
尾てい骨の辺りがゾクッとして、中のモノがグンと膨らんだのが分かった。
「冬馬さん……どうした……の? なんだか凄い……」
「桜子……今、お前を抱いてるのは……誰だ……」
「冬馬……さん…ああっ!」
中をグルグル掻き回し、時折奥までズンと突くと、その度に胸が反り返って白い膨らみがブルンと揺れる。白い喉を曝け出して桜子が俺の名を呼ぶ。
「そうだ……桜子を抱いているのは……俺だっ!」
ギリギリまで引き抜いてから一気に子宮まで突き上げた。
「ああっ!」
「桜子……もっと俺の名前を呼んで」
「冬馬さん……あっ、んっ……」
「違う。呼び捨てだ」
「……冬馬」
その途端に腰がブルッと震え、頭が沸騰した。
「もっと……もっとだ。他のヤツの名前なんか浮かばなくなるくらい、何度でも……呼べっ!」
「冬馬……冬馬っ! 冬馬!イイっ!冬馬!」
背中に腕を回して抱きつかれると、あとはもう何が何だか分からなくなった。喜びと嫉妬心がない交ぜになり、異様な興奮状態へと導かれる。
早く絶頂を迎えたくて、俺を包み込む柔らかい肉襞の中に精を放ちたくて……無我夢中で腰を打ちつけ、額の汗をほとばしらせながら、最後は同時に果てた。
「……さっきはどうしたんですか? 驚いちゃいました」
「ん……ごめん、桜子の寝顔を見てたら我慢できなくなった。嫌だった?」
「……嫌なはず無いじゃないですか」
腕枕で俺の胸に顔を埋めながら、恥ずかしそうにもっと顔を擦り付けてきた。
「……あのさ」
「はい?」
見上げた彼女と目が合って、一瞬躊躇してからやっぱり思い切って聞いてみる。
「今朝……楽しい夢でも見てた? 寝顔が緩んでたんだけど」
「ああ……」
ちょっとだけ視線を斜め上にして、懐かしそうな寂しそうな複雑な表情をしながら、
「……兄の夢を見たんです。子供の頃の……2人でクリスマスツリーを見上げていて……」
きっと四十九日の法要の後だったからでしょうね……と呟いた彼女の瞳は潤んでいたけれど、どこか満足そうにも見えた。
「初夜の翌朝に早速他の男の夢を見るなんて浮気者だな……妬けるよ」
「お兄ちゃん相手に何を言ってるんですか。身内にまで嫉妬されたら、私は他の男の人とお喋りも出来なくなりますよ」
「他の男なんかどうだっていいし相手にしていない。俺は、アイツだから……」
ーー大志だから妬けるんだよ。俺のライバルは大志だけだから……。
俺はこれからも桜子の言葉に一喜一憂し、その口から大志の名前を聞く度に懐かしさと悔しさで複雑な心境になるんだろう。
だけどさ、大志。
俺はお前のお望みどおり嫉妬で胸をジリジリさせているけれど、それはお前だって同じだよな?
俺が桜子に口づけ身体に触れるたびに、きっとお前は身悶えするほど嫉妬しているに違いない。
俺からも言ってやるよ。
ーーザマアミロ
お前の大切な桜子を抱くのも、そばで支えていくのも俺だ。お前は天国で指を咥えて地団駄踏んでればいいさ。
だからさ、大志。俺がちゃんとやり遂げるのを……死ぬまで桜子を守り抜くところを、しっかり見届けてくれよ。
お前は俺が唯一認めた、一生のライバルなんだから。
Fin
*・゜゚・*:.。..。.:*・' .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..
『本当の初夜の話』終了です。
いかがでしたでしょうか?
次は『蓮根の挟み揚げの話』
本編第6話『彼の恋人』の真相です。
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