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<< 君の初恋 side成瀬 >>
1、笑顔の呪い
しおりを挟むグラウンドの見える、2階の部室。
窓から流れ込んでくるアップテンポな洋楽。
はしゃぐ女子の声。
アイツの背中越しに覗き込むと、そこにはいつも、輝くような笑顔があった。
笑顔を浮かべながら、胸の前で遠慮がちに小さく手を振る君。
アイツが手を振り返すと、君の笑顔が大輪のひまわりになった。
ーー撮ってみたいな……。
だけど彼女の視線の先にはいつもアイツがいて。
あの笑顔を向けられるのは、いつだってアイツだけで。
君たちはいつも隣同士で見つめ合って、微笑み合って。
僕はいつだって、ただの傍観者だった。
『あの笑顔を撮ってみたい』が、『この笑顔を僕のものにしたい』に変わった瞬間を、僕は知っている。
『えっ、だって、あんなお馬鹿、私以外に付き合い切れないじゃないですか~。しょうがないから、私が彼女になってあげようかな……って』
『……好きなんだね』
『ふふっ………大好きですよ』
何の飾り気もない、純粋で光り輝く笑顔。
パシャッ!
思わずシャッターを切っていた。
まるで笑顔の呪いだな。
高3のあの瞬間に囚われたまま、僕はずっと呪いから解けずに足掻いている。
あの夏の日の1枚を超える写真を、僕は未だに撮れていない。
*・゜゚・*:.。..。.:* .。.:*・゜゚・*:.。.. .。.:*・゜゚・*
成瀬編スタートです。
成瀬先輩から見た雄大と彩乃の恋の物語です。
特に捻りもなく、高校時代から映画の撮影後の現在までストレートに進んで行きます。
悩める成瀬の悪足掻きも含め、お時間のある時にちょろっと読んでいただければ幸いです。
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