たっくんは疑問形 〜あなたと私の長い長い恋のお話〜

田沢みん

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プロローグ

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 あの寒い冬の日に、たっくんは私の前から姿を消した。

 私はたっくんを心から憎んでうらんでひたすらのろった。

  のろって呪って呪いまくっていたら、とうとう呪いは自分にね返って、心の中がたっくんだらけになった。

 あの日から私はずっと、たっくんの呪いにかかったままだ。


 なのに……

 高校一年生の春、知らない人が、知らない顔、 知らない声で、私を呼んだ。


「お前、小夏こなつだろ? 」
「えっ?…… 」

「お前、俺のこと覚えてね~の? 」

 見知らぬその人は、慣れた手つきで私の片方のおさげ髪を手に取ると、感触を確かめるように、手のひらの中で何度も親指をすべらせた。


 こんな人、私は知らない……。

 だけど、かつておさげ髪をこうしていとおしそうにでた手を、その手の持ち主を、私は知っている……。


「あなたは一体…… 誰ですか? 」

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