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沈む夕陽
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オブライエン少将が指揮席の肘置きに拳を叩きつける。
「ちっ!連合の奴らめ、手こずらせる」
そして彼は皇帝に直訴し、第十三艦隊は前進を開始した。
左翼であるオブライエン少将が連合の右翼、つまりはブレーメン少将の第十五機動艦隊に襲いかかった。
大量のビームを連合艦艇に叩き込み、あわや潰走まで追い込むかと思いきやブレーメン少将は普通の才能を発揮して逆に帝国軍をおびき寄せた。
マンチェスター大将やジェームズ九世が事態の急変に気づいたときはもう遅かった。
後方に待機していたウィリバルトの空戦隊とブレーメン少将の艦隊に零距離からの小型ミサイルの攻撃を受け、第十三艦隊はやむなく後退するしかなくなった。
アルベルトたちは現在、最前線であるビスマルク中将率いる第十一機動艦隊とマンチェスター大将が統率する第三親衛艦隊との境目で交戦していた。
「総隊長!前方からエリザベスの隊が接近してきます!」
部下からの報告にアンハルトはすぐに指示を飛ばした。
「第二空戦隊、迎撃に当たれ!」
「了解!」
第二空戦隊がパトリオットAを先頭にしてエアハルトが後に続く。
「各機散開!」
「おう!」
アルベルトが命令した瞬間、目の前に敵のエリザベスが躍り出て機銃をばら撒いた。
だがその時には機体が悲鳴を上げる程の回避運動をアルベルトは行った。
一気に背後に接近し、ミサイルを放つ。
光が発生してコックピットの中を照らす。
「よーし!これで四機目!」
「流石です、隊長」
アルベルトと同じ歳の部下が尊敬の念がこもった言葉を送ってくる。
だがすぐに新たな敵がやって来た。
「隊長、四時の方向に新手です。俺が行きます!」
功績をたてる機会が巡ってきたことに興奮した若者は機体を駆っていった。
だが、
「ん……新型か?隊長、あれは新型かと………
う、うわぁ!隊長!助けてくだ…」
消滅。
アルベルトは呆然とその光景を見ていることしかできなかった。
部下は接近した途端、敵機に回避すると同時に背後に取り付かれ瞬時に撃墜されたのだ。
僅か十秒の出来事だった。
唖然とする部下たちにその新型は容赦なく襲いかかってきた。
友軍の通信回路が悲鳴や怒号で満たされる。
たちまち三機が撃ち落とされてしまった。
アルベルトは憤怒の表情と共ににその新型に接近戦を挑んだ。
しかしスピードが速過ぎる。
「くそっ!なんてスピードだよ!反則だこんなの!」
舌打ちをしながら急接近したアルベルトはある文字を目に焼き付けられた。
"Elizabeth II"
それがその新型の名だった。
思わずその機体に見入ってしまったその時。
パトリオットAは両翼にミサイルを受けた。
「ぐわっ!」
「アルベルト!!」
アンハルトが急いで駆けつける。
「脱出しろ!早く!!」
「無理だ…衝撃でシステムが壊れた…」
悲痛な通信がアンハルトにもたらされる。
「アンハルト、エリーを、エリーを頼む。
…あいつはきっといい大人になってくれるはずだ。兄貴のお前がしっかり導いてやってやれよ…」
「やめろ!お前の遺言など聞きたくない!なんとしてでも脱出しろ!」
「すまない…」
パトリオットAが火を吹き始める。
「ああ、こんなことならエリーに…」
その言葉の直後、パトリオットAは優秀なパイロットと共に消滅していった。
「ちっ!連合の奴らめ、手こずらせる」
そして彼は皇帝に直訴し、第十三艦隊は前進を開始した。
左翼であるオブライエン少将が連合の右翼、つまりはブレーメン少将の第十五機動艦隊に襲いかかった。
大量のビームを連合艦艇に叩き込み、あわや潰走まで追い込むかと思いきやブレーメン少将は普通の才能を発揮して逆に帝国軍をおびき寄せた。
マンチェスター大将やジェームズ九世が事態の急変に気づいたときはもう遅かった。
後方に待機していたウィリバルトの空戦隊とブレーメン少将の艦隊に零距離からの小型ミサイルの攻撃を受け、第十三艦隊はやむなく後退するしかなくなった。
アルベルトたちは現在、最前線であるビスマルク中将率いる第十一機動艦隊とマンチェスター大将が統率する第三親衛艦隊との境目で交戦していた。
「総隊長!前方からエリザベスの隊が接近してきます!」
部下からの報告にアンハルトはすぐに指示を飛ばした。
「第二空戦隊、迎撃に当たれ!」
「了解!」
第二空戦隊がパトリオットAを先頭にしてエアハルトが後に続く。
「各機散開!」
「おう!」
アルベルトが命令した瞬間、目の前に敵のエリザベスが躍り出て機銃をばら撒いた。
だがその時には機体が悲鳴を上げる程の回避運動をアルベルトは行った。
一気に背後に接近し、ミサイルを放つ。
光が発生してコックピットの中を照らす。
「よーし!これで四機目!」
「流石です、隊長」
アルベルトと同じ歳の部下が尊敬の念がこもった言葉を送ってくる。
だがすぐに新たな敵がやって来た。
「隊長、四時の方向に新手です。俺が行きます!」
功績をたてる機会が巡ってきたことに興奮した若者は機体を駆っていった。
だが、
「ん……新型か?隊長、あれは新型かと………
う、うわぁ!隊長!助けてくだ…」
消滅。
アルベルトは呆然とその光景を見ていることしかできなかった。
部下は接近した途端、敵機に回避すると同時に背後に取り付かれ瞬時に撃墜されたのだ。
僅か十秒の出来事だった。
唖然とする部下たちにその新型は容赦なく襲いかかってきた。
友軍の通信回路が悲鳴や怒号で満たされる。
たちまち三機が撃ち落とされてしまった。
アルベルトは憤怒の表情と共ににその新型に接近戦を挑んだ。
しかしスピードが速過ぎる。
「くそっ!なんてスピードだよ!反則だこんなの!」
舌打ちをしながら急接近したアルベルトはある文字を目に焼き付けられた。
"Elizabeth II"
それがその新型の名だった。
思わずその機体に見入ってしまったその時。
パトリオットAは両翼にミサイルを受けた。
「ぐわっ!」
「アルベルト!!」
アンハルトが急いで駆けつける。
「脱出しろ!早く!!」
「無理だ…衝撃でシステムが壊れた…」
悲痛な通信がアンハルトにもたらされる。
「アンハルト、エリーを、エリーを頼む。
…あいつはきっといい大人になってくれるはずだ。兄貴のお前がしっかり導いてやってやれよ…」
「やめろ!お前の遺言など聞きたくない!なんとしてでも脱出しろ!」
「すまない…」
パトリオットAが火を吹き始める。
「ああ、こんなことならエリーに…」
その言葉の直後、パトリオットAは優秀なパイロットと共に消滅していった。
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