ドタイプな完璧陛下の秘書辞めたいんです!

星華

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国外逃亡?

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 フィオリアはデュランテ家に来た時、リリエールにずっと隠していた事を打ち明け、アデラインとの事を目にして期間限定の恋が辛くなりぐちゃぐちゃな気持ちになっていた。

そして、言われるままに手紙を書いてしまった事を、高速で走る馬車に揺られながら激しく後悔していた。

「フィリー、カミリア港は牡蠣が有名なのよ
絶対食べましょうね!」

「牡蠣?そんな悠長な事を……ねぇリリエール陛下が追いかけて来てるってどう言う事」

「え、フィリー辞表書いたでしょ?
私からも陛下に手紙送ったのよ、前に約束した事を破ったからフィリーと一緒に遠くに行くって」

「や、約束ってなに、どう言う事?」

「んー約束の事は逃げ切ったら教えてあげるわ!
そうだ、カミリアは真珠の名産地でもあるのよ
真珠のネックレスとピアスもお揃いで買いましょうね」

 結婚して丸くなっていたのですっかり忘れていたが、リリエールはとんでも無い行動力の持ち主で同族の事に関しては超過保護だという事を思い出した。

 リリエールは隠れ住んでいたエフィリア族の村の村長の娘だった。

 正義感が強く、賢く強いリリエールは生き残って保護された子供達のリーダー的な存在で
誰かがいじめられたら仕返しに行き助けていた。

 エルネストがフィオリアに手を出した事がわかった時には、死闘を繰り広げ学園にある演習場に大きな穴が開いた。

 ファルカの時は、武闘派では無い人間に手は出さないのでされたら地味に嫌な嫌がらせをしていた。

ーーだめだ……こうなったリリエールは誰にも止められない……。

「ねぇ……リリエール遠くってどこに行くつもり?」

「んーまずは暖かいバルッカでマリンスポーツをして次はクーレンスまで行って温泉もいいわね!」

「そんなに遠く!私何も用意してないけど?」

「大丈夫、大丈夫!港町で揃えるかバルッカで買えばいいわ。あ、ほら着いたわよ」

 赤いレンガの街並みが特徴の活気あふれるカミリア港に着いた二人。
 まずは腹ごなしと食堂を探したが、街中で兵士達が誰かを探している様だった。

「あら、意外と早かったわね。
フィリー、やっぱりもう船に乗りましょう」

「え、もう?リリエール……あの、私」

「バカンスだと思えば大丈夫よ、私から手紙も送ってるし!言ったでしょ、少し距離を置いた方が良いって」

 二人は身を隠しながら急いで切符売り場へ行き、豪華客船に乗り込んだ。

「まさかクイーンローゼスに乗れるなんて、偶然キャンセルが出てラッキーだったわね!」

「うん……」

ーーこれで本当に終わりなんだ……でも最後に一目会いたかったな。

「フィリー、甲板に行きましょう!」

 リリエールに手を引かれて甲板に行くと、カミリアの港が一望でき、船は動きだした。

ーーエルネスト様、さよなら……。

 船が港から少しずつ離れていこうとしたその時
汽笛が鳴り響いた。

「どうしたのかしら?」

「……あら」

 いつの間にかクイーンローゼス号は何隻もの
軍艦に囲まれていて、近づいて来た船から
物凄い速さで叫びながら走ってくるエルネストが居た。

「フィオリアー、リリエーール!!」

 ドォーンと大きな音を立てて飛び乗って来た
エルネストはリリエールと戦闘を始めた。

「あらあら、ゆっくりとした登場ですこと」

「リリエール、約束と違うだろうが!」

「は、約束?先に破ったのは陛下でしょーが!」

 飛び交う魔法弾と、常人には目で追えない程の取っ組み合い。
 そして、壊した場所を修復魔法で直していきながら流れ弾を止める魔法使い達、何かイベントか?と集まる乗客達を更に守る兵士達、カオスであった。

「ちょっと、二人ともやめて!リリエール、陛下、話し合いましょう!」

 必死に止めるフィオリアだったが二人は全く聞く耳を持たずに戦い続けていた。

「はあぁ……またなの」

 学生の頃の二人の戦いも誰が止めても聞かなかった為、フィオリアが氷魔法で二人を固めて
大人しくなった所で説教をしてやめさせた。

「二人とも、いい加減に……え?
危ない!」

 二人に向けて氷魔法を放とうとしたその時、殺気を感じたフィオリアは二人の前に立ちはだかり
魔法で氷の壁を作ったが飛んできた矢の威力が大きく吹っ飛ばされた。

「フィー、大丈夫か!」

「くっ、……あそこね!」

 咄嗟にエルネストはフィオリアを受け止めて
リリエールは矢が飛んできた方向に魔法弾を放った。
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