ドタイプな完璧陛下の秘書辞めたいんです!

星華

文字の大きさ
上 下
7 / 12

秘密

しおりを挟む
  ゆっくりと今まで隠していた事をフィオリアはリリエールに打ち明けた。

 フィオリアが10歳頃、自分よりも年長の女の子が定期的に辛そうにしていたり、リリエールも同じ様に体調を崩していて、流行り病では無いかと本気で心配していた。

 ある日、孤児院のシスターに女子だけ集められて年頃になると初潮を迎えて女性らしい身体つきになり子供を作る準備が始まるのだと聞かされた。

 その時はいつか、自分も来るのだろうと特に気にしていなかったが、なかなかくる様子は無く
高等部に入学した頃には何かおかしいと気づいた。

 病院で調べてもらおうかと思ったが、怖くて
出来なかった。
 婦人科系の検査は無かったが、学園の健康診断では問題が無く、病気では無いと安心したが学園を卒業しても初潮を迎える事は無かった。

「エフィリア族の事も沢山調べたんだけど……何も手がかりが無くて……みんなにある事が無いのがとても怖くて……誰にも言い出せなかった」

 ポロポロと泣きながら話すフィオリアにリリエールは何と声をかけたらいいかわからず。
ただただ抱きしめ続けた。

「ごめんなさいフィリー……貴女がこんなにも悩んでいたなんて……陛下にはこの事は話したの?」

「……怖くて話してないわ。
男性にはそう言う事を話さないって聞いた事があるし」

 もし、万が一エルネストと結ばれる事が出来たとしてもフィオリアは後継ぎを産む事は出来ない。

 それを知られて捨てられてしまうのでは無いかと怖かった。

「そうね、一般的にはそう言う人が多いけど大切な事だから私はケイシーに全部話してる。今ではケイシーの方が詳しいくらいよ。
はぁ……あなた達はもっとちゃんと話した方がいいわ!一緒に居すぎてお互いわかってくれるだろうと問題を先送りにしてこんがらがってるわね」

「うん……でももういいの……陛下との関係も
きっともうすぐ終わるわ」

ーーお妃選びが始まれば私は用済みだから……。

 離宮で見た事は誰にも話す事は出来ない。
アデラインはずっと有力なお妃候補で離宮に出入りしているのなら決まったも同然の状態だろう。

「陛下がそう言ったの?」

「……でも、そうなるわ」

 リリエールは頭を抱え、大きく溜息を吐いた後何か吹っ切れたかのようにテキパキと指示を出す。

「はあぁぁ……もういい!フィオリア、私が言う通りに手紙を書きなさい」

「手紙、誰に?」

「陛下よ、もう頭にきたわ!
ケイシー、ちょっと来て」

 リリエールがネックレスの通信器でケイシーを呼ぶとすぐにケイシーがやって来た。

「何かあったのかい、愛しい僕の奥さん」

「私も愛してるわケイシー。あの件はどうなってるかしら、何か変更はある?」

「少し変更はあるけど、概ね予定通りのはずだよ」

「そう、なら大丈夫ね」

「あの、リリエール手紙って何を書いたらいいの?」

「それはもちろん、辞表という名の絶縁状よ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

婚約者が巨乳好きだと知ったので、お義兄様に胸を大きくしてもらいます。

恋愛
可憐な見た目とは裏腹に、突っ走りがちな令嬢のパトリシア。婚約者のフィリップが、巨乳じゃないと女として見れない、と話しているのを聞いてしまう。 パトリシアは、小さい頃に両親を亡くし、母の弟である伯爵家で、本当の娘の様に育てられた。お世話になった家族の為にも、幸せな結婚生活を送らねばならないと、兄の様に慕っているアレックスに、あるお願いをしに行く。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい

狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。 ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

処理中です...