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ドタイプすぎて辛い

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  竜族や、妖精、魔族、エルフ等様々な種族が暮らす世界アシェロット。
 その中の人間族が暮らす王国、アルビレオの王
エルネスト・アルビレオはその風貌から「黄金の獅子」と呼ばれている。

 金髪の短い髪に金色の瞳と精悍な顔立ち。
そして、大柄で鍛えられた体躯と魔法、剣術に長けており圧倒的な戦闘力を持っている。
 更に、戦闘力だけでは無く知力、戦術、芸術に至るまで幅広い見識を持つ人格者であり国民の羨望と支持を一身に集め、非の打ち所がない無いパーフェクトな国王である。

 そんな、完璧な国王の傍らには新雪の様に真っ白な美しい髪に青と紫のオッドアイのビスクドールの様な美しさを持ち、魔法術に長けエルネストを完璧にサポートする護衛兼、秘書のフィオリア。
「氷雪の薔薇」
 と呼ばれるフィオリアは、その美しい表情をいかなる場合も崩す事は無く、言葉は少ないがエルネストの秘書は彼女にしか務まらないと言われる程、臣下達の信頼を集めている。

 エルネスト王は、即位してから様々な改革を行っている。
 何よりも仕事の速さと効率を重視していて、しっかりと休養を取る事で心身が整い効率的な仕事が出来ると考えている。

 その為、政に休みは無いが一人の者が休み無く働くのでは無く、シフト制で効率よく行えるように実働時間は7時間と決め、有事の際以外はそれ以上働く事を禁止。
 
 上の者が休まなけれは下の者が休めないと、エルネストは自分が決めたルールを守り、一日の中で定期的に休憩時間を設けている。

「三時になりましたので会議を終えます」

 会議の終了を告げたのは、フィオリア。

 良い案が出ない時は無駄にダラダラと会議を長引かせても、無駄だと考えるエルネストは時間を決めて会議を行なっている。

 これまでは、一国の王に使える者はその仕事を辞する時までは身を粉にして休み無くのが普通であり、エルネストが即位した当初は臣下達に戸惑いも大きかった。
 だが、今では時間通りに終わらせる為に全てが効率良く行われ、余程の事が無い限り会議が長引く事は無くなった。

「皆、ご苦労であった。
この様に迅速に仕事が終えられるのも其方達の
努力の賜物である、明日も期待している」
 
 エルネストが席を立つと。軍服を改良した真っ白で動きやすく、かつボディーラインを美しく見せる制服をキッチリを着こなしたフィオリアは、エルネストと共に会議室を出て行く。

 二人が会議室を出て行くと、臣下達は
いそいそと帰り支度をしながら、主君を褒め称える。

「いやぁー難しい法案でしたが、まとまって良かった!」

「本当に!流石は陛下ですな、まさかあんな案が出て来るとは思いませんでした」

「フィオリア殿の資料もわかりやすかったですなぁー!表情は読めませんが誠に優秀な方だ!」

「お二人共余り口数は多くないが、お二人の時は
どうされてるんでしょうな?」

「さぁー優秀な方の事はさっぱりわかりません
お二人で静かな時間を過ごされているのでは?」

 臣下達が、ガハハと笑いながら会議室を出て行く頃王宮内にあるエルネストの私室にフィオリアとエルネストは着いていた。

 王族が暮らすプライベートな場所は王宮から少し離れた離宮にある為、日中は王宮の中に作られた部屋でエルネストは休んでいた。

 エルネストが過ごす部屋は、贅を尽くされた部屋……ではなくベッドとバスルームがあるシンプルな作りで、休憩時間はここでよく仮眠を取っている。

「19時から夜会がございます。
お召し替えがございますので17時にはお迎えに参ります。それまでゆっくりお休み……きゃあ!」

「17時か、よしよし時間を作ってくれたんだな偉いぞフィー」

 部屋から出て行こうとするフィオリアを
抱き抱えたエルネストは、ベッドに向かって歩き出す。

「へ……陛下?だめですよ!私もこれから休憩なんです、それに……」

「休憩なら俺と一緒に取ればいいだろうが。
あー、やっとかったりぃ会議が終わったんだ
最速で終わらすために頑張ったんだぞ、ご褒美くれたっていいだろう?フィー」

 臣下の前では威厳たっぷりなエルネストだが
素は親しい者の前では、言葉使いも行動も荒々しい性格で実は短気である。

「そうですけど……陛下もお休みにならないと
夜会もありますし……きゃっ、な、何を」

 抱き抱えていたフィオリアをベッドに
降ろすと、エルネストは後ろから抱きしめて
クンクンと匂いを嗅ぎ、フィオリアの豊かな胸をフニフニと揉みながら指で服の上から胸の頂きを刺激する。

「フィーの香り最高だ……癒される。
今日の服も最高に似合ってる!
お前が可愛いすぎて会議中に脳内で
何度犯したか……今日は絶対に引かないぞ!
10日間もお預けされたんだ、フィーがOKしてくれないと夜会には出ないからな」

 エルネストは自分の側に居る人間には、相応しい服装を……と言いながらフィオリアを着飾るのが好きで毎日着せ替え人形の様にドレスや軍服風の服等、様々な服をフィオリア専用のデザイナーのミリエルに作らせている。

「あっ、あン……んんぅ……そんな、子供みたいな事言わないでくださ……」

ーーな、なんとか逃げなきゃ!!このまま流されたら夜会に出られなくなっちゃう……でも、私も我慢してたからちょっとだけ……やっぱりダメ!

「わ……わかりました。では夜会が終わった後にしましょう!今その……シたら私も着替えがありますからミリエルにも気付かれてしまいます。と、とにかく今は休まれて下さい」

 エルネストの腕の中でもがきながらそう言うと
背中から、心底残念そうな声で溜息が聞こえた。

「はあぁ……絶対だからな?」

「うっ……はい」

「逃げるなよ」

「……はい」 

「今日の夜は泣いても寝ててもやめねーからな」

「ひっ!うぅ……はい」

 エルネストに凄まれて怯みながらなんとか部屋から脱出するとフィオリアは扉にもたれかかって大きく溜息を吐いた。

「はあぁぁ……どうしよ」

 エルネストとフィオリアの出会いは、王立学園の高等部。エルネストが二年生の時にフィオリアが入学して来た。

 元々エルネストは第二王子で国王には兄のオーレリアンがなる予定であった。

 父である国王は持病があり無理をしながら政務を行なっており、この頃はかなり体調を崩していた。兄も父と同じ病で、兄が即位するまで身体が保つかて心配されていた。
 その為、エルネストを王太子にという声が多かったが、優秀で優しい兄を尊敬していたエルネストは一貫して兄を支持し自分は国王の器ではないと臣下達の声を跳ね除け自由に過ごしていた。

 天性の人たらしであるエルネストは、学生時代も男女共に人気があった。

 ひと目合えば、「男も惚れる、女は濡れる」と
言われていたエルネストは様々な年齢、身分、人種を超えた女性と浮名を流していた。

 フィオリアは、エフィリア族という未だ生態が謎に包まれている特殊で希少な種族で風貌がとても美しい。
 そして、芸術性や身体能力が優れている事から愛玩用や護衛用などにする為、攫われたり迫害されてきた。
 フィオリアも、隠れ住んでいた里を奴隷商人に見つかり村を焼かれ、売られそうになっていた所を運良く騎士団が見つけて保護された。

 この事があってから、アルビレオ国ではエフィリア族を保護し、奴隷にしたり迫害した者には厳罰が下される法案が作られた。
 そして、一人でも多くのエフィリア族が普通に暮らせる様にと支援を行ってきた。

 だが、未だにエフィリア族は邪な人間に狙われている事が多く、平民や貴族とは余り関わらないようにされてきた。
 だが、狭い世界に居ては普通の人間と共存が難しいと、試験的に貴族たちが通う学園に入学したのが女性二人と男性一人でフィオリアと同じ村の生き残りの幼馴染でもある、リリエールとファルカ。

 そして、その話を聞いて世話役に立候補してきたのがエルネストであった。
 王族が貴族でも無い生徒の面倒を見るなんてと
反対は多かったが天性の人たらし力でねじ伏せてしまった。

 最初はエルネストを警戒していたフィオリアだったが、エルネストに毎日口説かれ、結局は絆されてあれよあれよと処女も美味しく頂かれてしまった。
 面倒事に巻き込まれながらも、慌ただしくも楽しい学生生活だったが、エルネストが卒業する間際に父である国王が無理が祟り崩御。
 兄も後を追うように流行病に罹り亡くなってしまった。

 急遽、王位につく事になったエルネストはフィオリアに自分を補佐する秘書として期限付きで三年間支えて欲しいと、ベッドの中で嫌がるフィオリアを思考能力が無くなるまでぐちゃぐちゃに攻め立て「はい」と言わせた。

ーーはぁ……なんとか無我夢中でエルネスト様を
補佐してきたけどもうすぐ約束の三年。
三年経てば気持ちは無くなるかと思ったけど
好きな気持ちは変わらない……どうしたらいいのかしら。

 なんだかんだで結局、エルネストに恋心を抱いてしまったフィオリア。
 秘書という立場であれば、側に居られるが三年の約束が終われば側に居られなくなるかもしれない。
 どれだけエルネストがフィオリアを可愛がっていても、フィオリアが王妃となるには王族と平民という身分の壁だけでなく越えるハードルは数多くある。

ーー私はエルネスト様に相応しくない……。
少しずつ距離を置こうと夜伽を断ったりしたけど全然効果はないしむしろ私が辛い……。

 また深く溜息を吐きながら歩いていると、廊下の先で何かを探しているメイドが居た。

「どうしたの?」

 フィオリアが声をかけるとメイドは泣きそうな顔で大切な物を何処かで落としてしまったと言う。

「何を無くしたの?」

「真珠の髪飾りです。彼が誕生日にくれた大切な物なのに……」

「私も一緒に探すわ」

「そ、そんなフィオリア様のお手を煩わすわけにはいきません!」

「大丈夫よ、まだ時間があるから」

 それからフィオリアはメイドと話しをしながら……もとい、口数の少ないフィオリアは殆どメイドの話す事を聞きながら髪飾りを探した。

 メイドの名前はチェルシー、少し前まで貴族と付き合っていたが身分違いの恋は長く続かず別れてしまった。
 失恋して落ち込んでいた時に、友人から誘われた飲み会で幼馴染と再会し猛アタックされて付き合う事になった。
 その彼からもらった初めてのプレゼントが真珠の髪飾りだった。

「私が浮かれて職場に着けてきたから……見つからなかったらどうしよう……うぅっ……グスッ」

 グスグスとチェルシーが泣き出しどうしようかと途方に暮れていると、廊下の隅にキラリと光る物が見えた、フィオリアが近づいて見てみると小さな真珠が付いた髪飾りだった。

「探していたのはこれかしら?」

「はい、これです間違いありません!ありがとうございますフィオリア様!」

 何度も何度もフィオリアにお礼を言いながら嵐のように去って行ったチェルシー。

ーーチェルシー、元気で可愛い子だったな。
身分違いの恋に新しい恋かぁ……そうだわ!

 チェルシーの話しに触発されたフィオリアは
自分も新しい恋を見つければエルネストを忘れられるのではと思い、数少ない友人に連絡を取る事にした。

 だが、この行動がとんでも無い騒動を引き起こす事になろうとはこの時のフィオリアは夢にも思っていなかった……。






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