眠れるsubは苦労性

あうる

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「お家騒動ってのは、本人の意思関係なく厄介なものだからな。
たとえお前の幼馴染がただ単に懐かしいからっていう理由でお前を傍に呼んだとしても、周囲はそうは見ないかもしれない」
「それは――――」
「きな臭いことになる可能性も十分にあるから、気をつけろってことだ」
「はい…」

少しショックだが、確かにお互いの立場がある今、しがらみがあるのは仕方のないことだ。
だったら関わらないでほしかった、とまでは流石に言えない。
戸惑いはあったが、逢えてうれしかったのは俺だって同じだ。

「ですが社長、紬の奴を危険にまきこむのは…」
「バーカ。あいつならお前が巻き込まなくても、自分から首を突っ込んでくるにきまってるだろ。
そもそも今だってほら」
「え?」

そう言って社長が視線を向けた先。
某有名ファーストフード店のイニシャルの書かれた看板の陰に。

「……紬?」

お前、なんでそんなところに。

「……あれはあれで立派なストーカーか。
なんていうかお前って、昔から本当に変な奴にばっかり好かれるよな。ご愁傷様」

ぽんぽんと肩をたたかれなぜか拝まれたが、そんなことにはお構いなしに紬の元に駆け寄る。

「紬?お前どうして」
「折角パートナーになれたのに離れ離れになるのが寂しくて、つい……」
「つい?」
「……スマホにつけたGPSを追ってついてきちゃいました」

ーーーーー初耳だぞ、それは。

「いつの間にGPSなんてつけた?」
「あ、それは結構前からで…」
「おい」
「いや、それはもう時効かなって思ってたんですけど、正式にパートナーとして認めて貰えたわけだし、これからは正々堂々と活用しても許されるんじゃないかなって」
「ーーーーーーーー」

ちらりとあざとく上目遣いに見つめられ、絶句した。
傍やってきた社長が、その様子に「うわ」と小さく呟く。

「やべー。こいつやべーぞ綾史。警察呼ぶか?」
「……言ってることがさっきと反対ですよ、社長」
「いや、だって目がヤバいだろ。お前ちゃんと躾したのか?」
「強制不可能です」
「保健所送りにしろよ」
「あれでも犬じゃないんで一応人権があるんですよ」
「人権?は?なにそれ」
「……社長……」

鼻で笑うのが似合いすぎてシャレにならない。
それにしても、紬の奴も調子に乗りすぎだ。

「お前な…。その正々堂々としたストーカー発言は流石に引くぞ」
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