王を恨んだ妃 第1章~復讐~

木継 槐

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もう一つの恨み

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宵も更けて、雨がゆっくりと降り始めた頃、俺は催して便所に向かおうと廊下をゆっくりと歩いていた。

というのも、ここに置いてもらうことになったわけだし、家の人を起こすのも悪いと純に考えていたから。

俺は目をこすりながら長の部屋の前を差し掛かった時だった。

「ッ……あ……。……さい……。」

……ん?
長の部屋の中から女の声が聞こえた気がする……。

俺は恐る恐る部屋の扉に手をかけた。


うっすら開けた扉からは男女の性交の姿が見えた。

男は長。……女は背を向けていて顔が見えないでいた。

……正直気味が悪かったが、なぜか俺はその二人から目が離せないでいた。

その理由を自分に問い始めていたその時、長は女の汗で乱れた髪をつかみあげた。

女は少しの嗚咽と共に長に顔を向けた。
「どうか……お許しください……。」

俺はその顔と苦しそうな声に思わず体がびくついた。


……なんで……。

なんでこんなところにいるんだよ...母さん。
母さんの顔はとても辛そうで俺は思わず声をあげようと息を吸った。
「ッ!?」
その瞬間、俺の口は誰かの手に覆われた。

「……。」
「」
その手は俺より少し低いところから伸ばされていた。

あまりに細い線で俺はそっと後ろを覗くと、そこには長の部屋ににらみをきかせたヨンがいた。

その目は長を冷たく蔑んでいた。


そんな燕を見て俺は、ただ黙ることに決めた。

燕はそれに気がついたのか、俺の手を取りスタスタと元来た廊下を戻って、燕の部屋に連れてきた。

「」
部屋の扉を閉めても、燕は座ることもなくそれから口を開かない凍りついた空気が部屋を覆っていた。……沈黙に耐えかねた俺はやっとのことで声を上げた。

「……燕……あの「母も。」……え?」

「私の母もああされて……され続けて死んでいきました。」
「……は!?」

そこまでいうと燕は振り返った。
その目には光など宿っていないのに光るものが一筋流れていた。

「あなたには、同じものを見る義務はなかった。」

燕はそう言うと俺の前に膝をついた。
そして、上着の服の紐を一つほどいた。

「燕……何して「私をお抱きください。」...ッ!?」
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