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第三部 青年編

第四十二回

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 ホーデンエーネン王国暦353年11月。
 
 マツエスコーを拠点にパラッツォ教軍と戦い続けた連合軍はついに、イーズモーのほぼ全域を奪還することに成功した。

 その功績にイズヴァルトは充分に関わった。関わった戦いで炎をまとった覇王の剣を振るっては敵方を恐れさせ、多くのパラッツォ教徒を斬り伏せ、火にかけて葬り去った。

【ギルバート=カツランダルク注:実際には魔剣の力で脅して白旗をあげさせ、できるだけ血を流すことなく開城させていったと記録されている。イーズモーの昔語りにもそう記されている。】

 生き残ったパラッツォ教徒は『甘露(アームリータ)』の短命の呪いを除かれた。重い者は触手姫の力で。軽いものはエルフやゴブリンの調合薬によった。

【医療関係者の談:この時代の『甘露(アームリータ)』についてはどれほどの効果か想像するほかございませんが、現代薬学ではゲースティア特産の『シオハマヨモギ』ほかいくつかの薬草を混ぜたもので中和されることが実証されております。ただ、長い期間継続して服用した方につきましては、触手教の特別治療を受ける必要がございますので、ご注意ください。】

 イナーヴァニアをのぞいて残るはヒッジランドとヨナゴルグである。ヨナゴルグはイナーヴァニアの国境にも面しており、強固に守られていたがゆえに作戦を練る必要があった。山がちなヒッジランドの救援もそれぐらいに難事業を予想されたが、こちらはまだヒッジランド軍が粘っている為、救援をせねばならない。

 この時イズヴァルトはマツエスコーにいた。9月からのこの2カ月、築城技師のミレイユらとともにイナーヴァニアの国境付近の河川に防塁陣地を築くのに携わっていたからだ。

 連合軍は勝ち続けていたが疲弊していた。今すぐにでもヒッジランド救援に行きたかったが、各国が帰還させる兵と軍備の補充品を携えてやって来る替えの兵との引継ぎを行い、軍の再編成をする為にもう1カ月待たなければならなかった。

 作戦もまた当初の計画から縮退していた。本来は亡命してきたイナーヴァニア王家の為にイナーヴァニア全域にも攻め込む作戦を考えていたが、パラッツォ軍が防備を固めて出来そうにもなかった。それからイナーヴァニアはサイゴークで最大の国土を持つ。

 軍勢も8万から5万へと減ることとなった。ただ、その代わりにイーズモーが4万の軍勢をパラッツォ戦線に投じることとなった。しかしイーズモーは戦乱により荒れていた。本格的な進撃にはもう1年、待つ必要があった。

「そうは言っていられないでござる。たとえ5000でも1万でもヒッジランド救援に差し向けるべきでござるよ!」

 この秋に行われた軍議で発言したイズヴァルトに、総大将のショージュ=オーウェンはイーズモー軍の武将・アレキサンダー=アルトランを総大将とする2万の兵に加えると伝えた。とはいえ出発は12月の末。ヒーイ河に氷上船がすべる頃である。

 もっと早くに向かいたい。はやる気持ちがなかなかにおさまらない。そんな時は愛人に絡む事にした。防塁づくりの現場から戻ってすぐ、イズヴァルトは蒸し風呂の中に新たな愛人を2人引き込んだ。

 イーガの魔法傭兵団を率いていたマレーネ=トードヴェル=キョウゴクマイヤーと、その一番の副官であったハーフエルフのパルパティアだ。彼女達は降伏後、イズヴァルトの性豪ぶりに興味を抱き誘いをかけ、虜になってしまった。

 蒸し風呂に入る前の湯浴びをしたイズヴァルトが熱い湯気が立ち込める小部屋に入る。椅子にどっかりと座ると後に続いた2人に呼びかけた。

「拙者のこのやるかたなき気持ちを、すっきりさせるでござるよ?」

 マレーネとパルパティアは喜々として従った。2人はイズヴァルトの前にひざをつけ、血を集めかけつつもだらんとしているペニスに舌を這わせ始めた。

「おっ、おおう……」

 ぞわぞわとするような快感。欲求不満で苛立ちが収まらないがゆえに、たちまち反応した。ぴんと張り詰める。

「さあ、もっと慰労をせよでござるよ」

 イズヴァルトは2人の頭に手を置いてぐっと近づけさせた。舌だけではなく唇も亀頭と肉軸を愛撫するようになった。

 マレーネもパルパティアも美女である。2人の美女を乱暴に引き寄せて奉仕させる。そこに男子の本懐があった。しゃぶりながら陰嚢を揉むパルパティアと、乳首をいじってくるマレーネのいやらしさに欲情が進む。

「さて、ちんちんからぴゅーと出るのはおくちにではなくそなたらのおまんこで為したいでござる。まずは、パルパティアどの」
「はい」

 パルパティアが起き上がる。細く長い身体に大きな腹。彼女はイズヴァルトの子を孕んでいた。連合軍に降伏し、イズヴァルトの愛人となってから6カ月以上。彼女は最初に抱かれた時に生命を宿した。

「この椅子の背もたれに手をついて前かがみになるでござる」

 パルパティアが尻を向けた。イズヴァルトは丸出しになったラヴィアにペニスを突き込む。パルパティアはのけぞり、甘い声を放ち始めた。

 ハーフエルフのパルパティアのそこは締りがだいぶ良かった。2人の子を産んだが既に巣立った年頃。彼女のそこは乙女の頃の様にきつさを戻していた。イズヴァルトに毎日貫かれる様になっても、彼の太いものを味わう為に弛緩し続ける事は無かった。

 腰が素早く動く。パルパティアが激しく叫ぶ。中にいた我が子の栄養になるようにとイズヴァルトは大量の精液を中に放った。

 それでも苛立ちと硬さはおさまらない。今度はマレーネの番だ。彼女もまた身重だった。イズヴァルトの偉丈夫ぶりに惚れ、ペニスと愛撫の虜となって身ごもったのだ。

 背が高くパルパティアの様に細身であったが、マレーネの太ももと乳房は豊かだった。彼女には対面で向かわせ、両脚を抱えてイズヴァルトは動く。

「あっ、あっ、あっ、あっ!」

 マレーネは切ない顔をして挿入を受ける。イズヴァルトは大きくなった腹をさすり、それから掴みがいがある乳を揉みしだきながら彼女を突く。湯気と愛液で中は潤沢。2度目の精を放つのにそうそう時間はかからなかった。

 2人が外に出て膣口を清めると、セックスは再開された。苛立ちが収まるまでイズヴァルトは彼女達を貫き、放ち続けた。終わる頃には2人とも外の部屋の寝台でぐったりとなってしまっていた。

 それでも苛立ちは収まらなかった。イズヴァルトはピピンの部屋に向かう。またも妊娠したデボラとフロウラが帰って、毎日相手をするエレクトラが「毎回5時間も!」と悲鳴をあげていた。ピピンもまた精力絶倫のきかんぼうだった。

 部屋に来るとピピンは素っ裸で待っていた。暖房が効いているから寒がりなシマーヅ人も服を脱げた。椅子には先ほどまで相手をしていたオクタヴィアが、長い性交の余韻に耽りながらぼけっとしていた。

「ピピンどのも、拙者みたく荒ぶる魂をおまんこに向けていたでござるか?」
「そうじゃないですよ♥」

 ピピンは恋焦がれる乙女の様にイズヴァルトに抱き着いた。この『おすもう』の好敵手であり越え難い壁であるイズヴァルトに対して恋をしていたのだ。

「これから僕と、おちんちんをしりあなを使ってのけいこをしてください♥」
「わかっているでござるよ、かわいいピピンどの……」

 ピピンは受けに徹した。彼の身体とアナルはイズヴァルトによって仕込まれ切っていた。四つん這いになったピピンをイズヴァルトが背中から抱きしめる。抱き心地がいい身体は火照っていた。イズヴァルトはすんなりと受けてくれるアナルにペニスを入れ、激しい尻突きを加えた。

「あおああっ♥ おしり。おしりがあつい♥ イズヴァルトさん、ぼ、ぼく、身も心もおんなのこになっちゃってます♥」
「おんなのこじゃないでござる! ピピンどのを男として見ているでござるよ!」
「僕はイズヴァルトさんとこうしている時だけ、男か女かわからなくなっちゃってます♥」
「さあさあ! 拙者のせーえきをぞんぶんにかんちょーするでござる! さすれば貴殿もエルフどのらに赤ちゃんを産ませまくれる、天下一のきんたまの持ち主になれるでござるよ!」
「ど、どうせならイズヴァルトさんのあかちゃんを産みたい♥」
「こう言えるのではござらぬか! 拙者の精を吸い込んだ貴殿が育てたきんたまは、拙者の栄養が蓄えているはずでござる! ゆえに、女人に産ませた子は、拙者の子でもあると!」
「そ、そんな考え方もあるんですね♥ ぼ、ぼく、イズヴァルトさんとの愛の結晶を女の子達に産ませちゃいます♥」

 この義兄弟、そして半ば恋人の菊門性交は熱狂を帯びていた。対面でも繋がりあい、イズヴァルトとピピンは互いの唇をむさぼりながら男汁を放ち続けた。

 それをオクタヴィアが面白がって絵に描いた。この男色行為はパオレッタやマリア、ミレイユもご存じで、イズヴァルトとピピンが熱烈に愛し合っているところを絵にかいたり樹脂製フィギュアにしてみせたりしていた。

【ギルバート=カツランダルク注:カイロネイアとツックイーには、イズヴァルトとピピンが悶えあっているそれらの作品が今も現存している。その趣味の持ち主にはたまらない出来映えだろう。ついでながらピピンとイズヴァルトの陰茎と尻穴もほぼほぼ再現されている。どちらもご立派なものを備えていたし、衆道を深く楽しんだ者にありがちな形をしていた。特にピピンのは、妖しい色気に満ちていた。】

 女に奉仕させ、男と熱烈に情をかわしてやっと気分が落ち着いた。イズヴァルトは興奮したオクタヴィアにも『けつあなちょめちょめ』をせがまれて彼女のアナルを拡張させた。とはいえエルフの身体は頑固なつくりで、翌朝には元のきれいな窄まりに戻ってしまったのである。

 目覚めた朝、イズヴァルトはウーゴを連れたエレナとオリガの声で起こされた。彼女達は朝立ちしたまま寝ているピピンに自分達の尻穴をはめ、「ちんちんうんちー!」などと叫んではしゃいでいた。

「おはよう……これこれ、エレナ、オリガ。ピピンどののちんちんを勝手にはめはめしてはならぬでござる!」
「どうしてー?」
「おとーちゃん。ピピンさまのちんちんをぺろぺろしたりけつにいれたりしてるんでしょー?」

 2人とも下半身は奔放だった。触手姫のブランカから「ろくでもないおこちゃまでち!」と叱られる程に膣と肛門を使ったお遊びに興じていた。ピピンの子、ウーゴも彼女達によって幼いみぎりで童貞を卒業させられた。下半身の面倒まで見てくれるやさしいおねえちゃんたちとも言えなくも無かったが。

「オリガ! ちんちんはめはめはその辺でやめるでござる! エレナも、抜いたらさっさと変わろうとしてはならぬぞ!」
「ちぇっ。おとーちゃんばっかりずるいなあ」
「オリガちゃん、うんちしたくなったから下でしようよ」

 エレナとオリガはベッドから降り、おまる用の小さな桶にまたがって用をたしはじめた。亀頭を幼子の直腸でくすぐられてもなおいびきをかいて眠っていたピピンだが、2人の腸から出たかわいい悪臭でやっと目を覚ました。

「あれ? オリガちゃんとエレナちゃんがどうしてここに……あ、またはめられちゃったか」
「ピピンさまおはよう!」
「起きてお風呂入ったらエレナとオリガちゃんに『おすもう』を教えてねー!」

 ピピンはだらしなく笑った。エレナとオリガはとてもかわいい娘達だった。イズヴァルトとオクタヴィアは2人が出したものを処分すると、近くの風呂場に入って幼子たちと身体を清めた。

 それからまた防塁づくりの仕事に向かう。今日はエレナとオリガとウーゴ王子、それからエルフ達が産んだ赤ん坊たちが見学に来た。

 オクタヴィア達が産んだのは皆が娘であった。オクタヴィアとの子はルチア、パオレッタとマリアとの間のはピエラとクロエ。一番最後に出産したミレイユはマリカと名づけた。

 どの子も朗らかで愛らしい顔つきをしていた。イナンナによればハーフエルフの赤ん坊はニンゲンよりも早く言葉を覚えるという。立つのは同じぐらいだが、ニンゲンでいえば3歳ぐらいの成長から遅くなるそうだ。

「ずーっとおしめをつけたり寝小便をたれるということでござろうか?」
「そうではないズラ。ただ、身体が大きくなるのに倍以上時間がかかるという事ズラよ。だいたい30年ぐらいは生理が来ないはずズラ」
 
 まちまちだが寿命も長い。150年から250年ほどだ。しかも老化がとてもおそく、よぼよぼになるのは死があと10年だか15年だか迫ってかららしい。それまでは若々しく、どんなに年増に見えても40手前のニンゲンぐらいにしか見えないそうだ。

「女はばあさんになるまでずっと子供が産める身体ズラよ。ただ、ニンゲンと比べて卵子がそっけねえズラ」
「生理前のいらいらとか、そういうのはござろうか?」

 イナンナが睨んだ。

「かよわいニンゲンどもと一緒にすんじゃねえ。オラたちエルフが、せーりでむかついたり気弱になるわけねえズラよ!」

 エルフほか、『精霊人』の月経は軽いか、重くてもちょっと立ち眩みをする程度だ。けれどニンゲンは生理が重ければ重いほど、魔力が強まる特質を持っている。魔族、特にサキュバスに近い性質だ。ただ、生理中の淫魔は子宮から常に、激しい快楽を覚えるという。

「まあしっかし、ニンゲンというのはなんであんなによわっちいのか未だにわからねえズラよ……」

 生殖の期間はごく限られている。毒に弱い。ウイルスや病原菌に冒されやすい。出産の時に死にもすれば腫瘍などという病も起こる。寿命と死産や産褥死以外においては、オーガ族と同じ造りだ。

「どうしてでござろうか。見当がつかぬでござる」
「ニンゲンの女は割に合わねえ。なりたくねえズラ。男どもはちんぽさえ立てばじじいになっても子供が作れるズラよ。イズヴァルトさんは老衰するまで、たくさん赤ん坊をこさえそうズラな?」
「……よしていただきたい冗談でござるよ」

 イズヴァルトは股間を触って来たイナンナの手を抑えた。いけず、とぼやく彼女だがイズヴァルトとは今夜、約束をしている。ミレイユと3人でということになるが。そのミレイユがシャベルをかついで走って来た。

「イズヴァルト! 手伝ってほしいところがある! イナンナさんとおっぱじめるのは後にしろ!」

 ミレイユも下半身はだらしないが仕事では真面目だ。イズヴァルトは鍬を持ってイナンナの元を離れた。彼女もまた仕事があった。土木工事で負傷した人夫らの治療にあたらなければならなかったのだ。

□ □ □ □ □


 そうして1カ月が過ぎた。12月末である。雪が降り、身を切る様な寒さであるがヒッジランド救援の軍がウナーンの街を出発した。

 イーズモー軍の武将・アレキサンダー=アルトランを総大将とする2万の軍にイズヴァルトとエルフ達が加わる。それにエレクトラとピピンも3000の配下を加えて同行。エレクトラが放った諜報によれば、ヒッジランドに展開する教団軍は5万にも満たないという。

 氷の上をゆったりと走る氷上船の甲板で、イズヴァルトは同乗していたエレクトラと話をする。あたりは真っ白な雪原ばかりだ。単調な景色だが、考えたり語りあうのに邪魔をする物がないよい眺めであった。

「5万でござるか……」
「ほぼ半分が王都のミョージバーグ攻めに関わっている様で」
「その数の少なさはなにゆえでござろうか?」
「それだけ教団も疲れ切っているっていうことですよ。あるいは戦略を変えたかもしれないですねえ。サイゴークで支配拡大して消耗するよりゃ、今手に入れた領土を豊かにする方がいいとかね」

 エレクトラの見立ては当たっていた。この時教団はサイゴークでの方針を大きく変え、イナーヴァニアとヨナゴルグ、それからヒッジランドの占領地の支配を強めることにしていたのだ。

 ただ、ヒッジランドの西にあるイワッミー国は侵攻を受けていなかったしパラッツォ戦線から身を引いてもいた。ドワーフ族を多く擁するが小国で山がち。教団もうかつに手をかけられぬ辺境だから対象から外されたのである。

「この遠征のもう1つの目的ってのはご存じです?」
「アルトランどのがイワッミーを説得するのでござろう?」

 アルトラン将軍はイワッミーの大豪族を親戚に持つ人物だった。祖母がドワーフだとイズヴァルトは聞いていた。戦場では30キログラムもの大薙刀を振るう豪将でもあった。
 
「なら話が早いですねえ。アルトラン将軍はイワッミーの参陣を望んでます。そうすりゃ連合軍が目標としていたイナーヴァニアの攻略も出来るかもしれない。それともう1つ、将軍はある人物を是非とも味方につけたいと考えているんですよ」
「何者でござるか?」
「ヒッジランドの守り神っていう異名を持つ豪傑でさぁ」

 イズヴァルトが問うとエレクトラがある人物の名を告げた。その人物とは少年時代に会った事があった。その人物に関してはその時のマイヤの喜ぶ顔も思い浮かんだが、やや苦い記憶とともにあった。

 さて、ヒッジランドの救国の英雄と呼ばれる人物とは何者だったのか?

 その続きについてはまた、次回にて。
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