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第二部 少年編
第三回
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イズヴァルトとマイヤはカルカドの軍と共に出発した。宝剣をキッヒャーに渡して、軍が立ち寄る宿場町の宿で待ってもらう事にした。
宿場町で軍勢は2000近くにまで膨れ上がる。今夜はここで一晩。イズヴァルトとマイヤはカルカドの側近の1人と同じ部屋を取る事となった。監視つきである。
「あーあ。山賊が関所を乗っ取っているなんて情報があったらなあ……」
別の街道を通ればよかったのに。ぼやきながらマイヤは立たせた側近の男の前にひざまずいた。側近の歳は18。丸顔でぽっちゃりとした若者だ。
「マイヤさん。別の間道はカルカド様の通達によって封鎖されておりますから通れないかと思いますよ」
若者は湯上がりにまとったローブの前をはだけた。そこそこに立派な陰嚢と太いものがそそり立っていた。
「用意がいいんですね。カルカド様はこのあたりの領主ともごじっこんなのですか?」
「ご推察の通り。近衛騎士団のオルガスムナ公はカルカド様のご親友。公が本領に戻っておられる時は、よく招かれて狩りの競い合いやカード遊びをなされております」
勝負事で遊び、負けた方はオルガスムナ公が見つけ出した、領内で一番醜い中年女を一晩中ペニスで突き続けなければならない。
カルカドは毎回負けて女を抱くはめになった。女は彼の子と疑わしい子をこれまで3人も産んだ。女は何人か情夫がいたから確定には至らない。
「しかしそのかたは、なかなかに良いものをお持ちだとカルカド様から聞き及んでおります」
「ふーん。何をです?」
「とっても肉厚で奥できゅっ、と締まるのだとか。そうそう……」
マイヤに男根を頬張られた若い男は、「こんなかんじです……」と悩ましそうにうめいた。温かくぬるりとした感覚が軸全体を襲い、射精への欲が高ぶった。
視覚と嗅覚も刺激を受けていた。マイヤの上は乳からお腹までを覆う下着を着け、その他はサンダルしか履いていない。真っ白なお尻が丸出しだった。
蒼にも見える黒い髪がフェラチオによって揺れ動くたびに、陰嚢を刺激してくる甘い香りが飛んでくる。彼女はこの『ごくろうフェラ』の後に湯浴みをする予定だった。
「ああ、もう果そうです……」
「ちゅぷちゅぷ。 (たーんと果ててくださいね。最低3発はいただきますから。)」
「イズヴァルトさんに申し訳ないですね……」
「じゅっぽじゅっぽ。 (イズヴァルトはイズヴァルトで楽しんでいますから。お構いなくどうぞ。)」
その我らが少年騎士イズヴァルト。彼はマイヤの真後ろでうずくまり、爪先立った足とサンダルの間をくんかくんかと嗅いでいた。とても満足そうな笑みを浮かべながらである。
「うむ。マイヤの足の裏は、こねこちゃんの足の裏と同じ匂いがするでござる!」
蒸れた足裏に鼻を近づけてすんすんすん。イズヴァルトは愛する侍女の至る所を舐めたり嗅いだりするのが大好きである。
マイヤの右足を手にとってサンダルを脱がせ、頬ずりをしながら濃いにおいを堪能し始める。その様子に側近は怖気づいた。
「ちゅぱっ……! (あれれ? へなへなになっちゃった!)」
「あは、あははは。イズヴァルトさんはマイヤさんをとても深く愛しているんですね?」
そんな事はない。自分はただ単にヘンタイさんなだけなのだとイズヴァルトは答えた。それから足裏のにおいを堪能してすねや太ももをさすり始め、舌も這わせる。
やだなあ、とつぶやきながらもマイヤは嬉しそうにお尻を振った。事もあろうにイズヴァルトは彼女の尻に顔をつけ、窄まりに吸い付き始めた。
この様な色恋に狂った様子を見たカルカドの側近は、気持ち悪さを通り越して妙な発情を覚えてしまい、硬い勃起を復活させた。
「んぐ、んぐ! (おっきくなった!)」
「はううう……」
ひとしゃぶりでマイヤは濃厚な精液を得た。やや豚肉のにおいがする精液だと笑って二度目をいただく。彼女の尻穴はイズヴァルトの舌でほじくられたままであった。
一番の泣き所をやられてのフェラチオは熱と妖気を帯びていた。側近は3発のみならず5発もいただかれ、すっかり眠りについてしまった。
その精液を得たマイヤも、若者が隣の寝台で深い眠りについている間、イズヴァルトときりがない程に楽しい交合に明け暮れ、その夜は湯浴みする機会を失ってしまった。
翌朝。若い側近と共にカルカドの陣に加わると、カルカドにそっけない挨拶をしたみぎりに皮肉な笑みを浮かべてこう言われた。
「昨日のようなにおいがしないぞ。寝起きに急いで湯浴みするほどお盛んだったようだな?」
そう言うカルカドは精液のにおいと、付き添う妾2人の香水と女臭を漂わせていた。2人の女は肌つきを艶らせていたが、目元が疲れていた。容赦なく貪られたからだ。
「そうおっしゃる将軍様こそ、湯につかるお暇が無かったご様子ですね?」
「男のナニを存分にしゃぶるくせに男心は知らんらしいな、貴様」
「なにをおっしゃいます?」
「戦場はとかくむさ苦しい。特に野営が始まれば男どもの汗臭さと血生臭さしか漂わぬ。しかし女のおしろいと肌のにおいを洗い落とさずにすれば、男というのは心に余裕を持てるものなのだ」
カルカドはマイヤの肌が昨日よりもみずみずしいのを見て確かめた後、イズヴァルトと2人の監視に置いた側近の顔がややお疲れ気味なのを見て笑う。
「イズヴァルト、貴様もその質だろう?」
「いや……拙者はきんたまが悪い子でなければ、いくさの間は精進潔斎したほうが気合いが入るほうでござる……」
「阿呆なことを。俺が貴様ぐらいの歳であれば日に3人は女を抱かないと気がすまなかったぞ? ましてやおしゃぶり姫だとかいう淫売を側に置くような貴様だ。射精してもし足りないぐらいの金玉をぶら下げているのだろう」
嫌味ったらしくカルカドが笑う。イズヴァルトは愛する恋人を淫売呼ばわりされて憮然とした。
「その様な罵り方では娼婦どのらに無礼でござるよ! マイヤはたんすの裏の小銭をも奪う様な強盗でござるよ!」
「イズヴァルト、なによそれ!」
マイヤが彼のすねを思い切り蹴った。それを見てカルカドはますます笑い、妾達は力無くだが微笑んでしまった。
かくして軍は宿場町を出発。出陣前の会議では関所の裏手側、フジイデール領からも1500の軍勢が派遣されるという。挟み撃ちで落とそうという魂胆だった。
しかし攻城兵器、例えば破城鎚や投石砲という類の兵器は用意していない。せいぜいが大型の弩ぐらい。この軍の作戦と指揮を預かるカルカドは、攻めあぐねたらそれらを持って来させる腹積もりだった。
ただ、各村の兵士やそれを領する騎士らは誰しもが疑問に思った。堅固な砦跡を占拠したとはいえ、たかが500の山賊になにゆえカルカド=セッツェンという大物が出張るのか。
しかも隣のオルガスムナ公の領地で起きた事件である。そもそもオルガスムナ家が当主なり代理なりを旗頭として、討伐に向かえばいいのにとマイヤは思った。
与えられた馬に乗ってゆるやかな坂道を登りながら、昨晩フェラチオで楽しませた男に疑問を向けた。
「……そうもいかないんですよ。オルガスムナ公は名うての戦下手で有名ですから」
「近衛騎士団の副団長なのにですか?」
「副団長の補佐役です。だいたい近衛騎士団なんて大大名の警護衆ごっこみたいなものでございますよ……と、カルカド様がおっしゃっておりました。酒の席で」
イズヴァルトも無言でうなずく。正団員の儀で睨みつけてきたのは大体が近衛騎士団の面々。大領主の当主だったり兄弟だったり、はたまた御曹司や孫がそれである。
国王陛下への忠節を尽くす。王国に一大事あれば我が身を投げ売って食い止める。などと吹聴するが実際のところ彼等はお荷物であった。
戦場では娼婦や愛人を連れ、毎晩の様に宴会や天幕でのご乱行を楽しんでばかり。ましてや遠征先のよろしからぬ娼婦や淫婦も抱く。戦傷を負うよりも性病にかかる率のほうが、近衛騎士団だけは高かった。
剣や弓、馬術こそ形ばかりの免許皆伝を授けられほどには出来たが、闘いの駆け引き、隊を用いる為の兵法は生かじりの頭でっかち。まるでいくさの役に立たぬ。
「特にオルガスムナ公とそのご子息はどうして武者の真似事なんかをと周りから言われる始末でござるよ。とんでもなくへっぽこだとセイン殿下もバカにしているでござる」
「ふーん……そんなのがカルカド様より狩りが上手というのは本当なのかな?」
「カルカド様はわざと負けているのですよ。猪突猛進で乱暴だととかく評判はよろしくないですが……こほん。それでも剣や弓、馬の腕はそこらの武辺者が束になってもかなわないぐらいですから」
それからと、イズヴァルトにこっそり耳打ちする。カルカドもまた元は王国の最精鋭こと聖騎士団所属していた。
所属していた20年前は、文武に優れた最強の男として国王からいくつも恩賞を与えられた程に名高かったと。
「それは初耳でござる。しかしカシバフェルト公の妹婿殿となられて聖騎士団をやめたのでござるか?」
「幼馴染、とはいえ奥方様は10は歳が下ですから。カルカド様は奥様にだけは手を上げたりなさいません。妾様がたには殴ったり蹴ったりなさいますが、蝶よ花よと愛されておいでです」
その奥方とは3人の娘がおり、一番上の姫はオルガスムナ公の次男と結婚した。まだ10の時に嫁いだ。
今年で13歳だったが、すでに2人の子を産んだという。ちなみにその夫は今年で28歳である。姫は父親に似て大きく育ったから、早くに子を産める身体だったのだ。
「気の早い話でござるな。もう5年は待てばよかろうに」
「オルガスムナ公様のたってのお願いでしたからね。かの家のご次男様は、それこそ10の時から娼婦遊びにかまけたり、領内の娘達にさんざん手を付けたりと手を焼いていたそうですから……」
その次男坊だが、最近病気にかかったらしい。医者の見立てでは結構な日数の療養が必要だとの話を聞いた。なのだが妻との子作りや娼婦を買うのを辞めないらしい。
「命を長らえるより、できるだけ子孫を増やす戦略なのかなあ? その人って?」
「オルガスムナ家はご当主もご子息がた達も、とかく子作りだけはお盛んですからね。そのせいか別の理由からなのか、40や50近くでみまかる方々ばかりとのこと。ご当代様はたまたま50過ぎでございますが……」
「と、なると拙者も節制せねばならぬでござるな。早死には嫌でござる」
マイヤはイズヴァルトの肩を叩きながら笑った。貴方なら大丈夫。毎年100人ぐらい子供を作っちゃっても100歳ぐらいまで生きるよきっと。
「……拙者は嫌でござるよ。マイヤと5人ぐらい赤ちゃんを作るぐらいで満足でござる。これは一番多ければ、の数でござるからな?」
「まあ! 私がそんな人数で満足すると思っているの?」
「よしていただきたいでござるよ。拙者は万事控えめで良いでござる。それに貴殿も、月のものが閉じるまで毎年ぽこぽこと産むのも辛かろう」
そんな事は無いわとマイヤは返す。イズヴァルトとの間にできたたくさんの子供達を産み育ててから、総合大学の夢を叶えるつもりと返した。
「その頃には私の金庫のお金も存分にあるだろうし、貴方の領地もたっくさん増えているでしょうから」
「最近は拙者のお財布を当てにすることを考えだしたでござるな。けどそれこそが拙者が望む事でござる。拙者は早い所出世するつもりでござるから、赤ちゃんたちを育てながら大学を建てるでござるよ、マイヤ」
うれしいなあ、とまたもマイヤはイズヴァルトの肩を叩く。カルカドの若い側近は仲が良いとことで、と含み笑いをした。
関所まではなだらかな山道を進むこと、2時間以上。途中にある山村で羊飼いの少年達がお尻を丸出しにして雌羊と交わり、めえめえと啼かせる姿があった。
山賊が近くにいるというのに随分とのんきな事だと思いながら、イズヴァルトはマイヤが渡してくれた昼飯のパンを手に、山羊に股を舐めさせてきゃっきゃと笑う、村のちいちゃい女の子を見て和む。
「やっていることはどこも一緒でござるな?」
「ああやって家畜と仲良くするんだよ。ルッソが言うにはかわいがった羊とおまんこをすると、もっと懐くんだって」
「そういう仲良しは好まぬことでござるが、さて」
カルカドの若い側近が馬に乗ってやって来た。出発の合図だ。いよいよ砦攻めだと言うことでマイヤは荷から兜と鎖帷子を取り出した。
10キログラムにも満たぬ軽量の護身具は、貴族の女でないと買えぬ値段がしたが、イズヴァルトが彼女の為に買った。マントを外してそれをすっぽりとかぶった彼女に、いよいよでござると彼は呼びかけた。
「カルカドどのいわく、まずは正攻法で行ってそれがだめなら拙者を使う、とおっしゃったでござる。しばらくは本陣で様子を見るでござろう」
「なんなら『覇王の剣』で関所を崩しちゃったら?」
「そうなるはずだと思うでござるが……」
その為に自分は呼ばれたのだと思いながら、イズヴァルトはマイヤとともに関所へと向かう。しかしその戦国時代の要害に、彼等は思わず唸る事となった。
さて、山賊達が籠もる関所とはいかなる城であったのか?
その続きについてはまた、次回にて。
宿場町で軍勢は2000近くにまで膨れ上がる。今夜はここで一晩。イズヴァルトとマイヤはカルカドの側近の1人と同じ部屋を取る事となった。監視つきである。
「あーあ。山賊が関所を乗っ取っているなんて情報があったらなあ……」
別の街道を通ればよかったのに。ぼやきながらマイヤは立たせた側近の男の前にひざまずいた。側近の歳は18。丸顔でぽっちゃりとした若者だ。
「マイヤさん。別の間道はカルカド様の通達によって封鎖されておりますから通れないかと思いますよ」
若者は湯上がりにまとったローブの前をはだけた。そこそこに立派な陰嚢と太いものがそそり立っていた。
「用意がいいんですね。カルカド様はこのあたりの領主ともごじっこんなのですか?」
「ご推察の通り。近衛騎士団のオルガスムナ公はカルカド様のご親友。公が本領に戻っておられる時は、よく招かれて狩りの競い合いやカード遊びをなされております」
勝負事で遊び、負けた方はオルガスムナ公が見つけ出した、領内で一番醜い中年女を一晩中ペニスで突き続けなければならない。
カルカドは毎回負けて女を抱くはめになった。女は彼の子と疑わしい子をこれまで3人も産んだ。女は何人か情夫がいたから確定には至らない。
「しかしそのかたは、なかなかに良いものをお持ちだとカルカド様から聞き及んでおります」
「ふーん。何をです?」
「とっても肉厚で奥できゅっ、と締まるのだとか。そうそう……」
マイヤに男根を頬張られた若い男は、「こんなかんじです……」と悩ましそうにうめいた。温かくぬるりとした感覚が軸全体を襲い、射精への欲が高ぶった。
視覚と嗅覚も刺激を受けていた。マイヤの上は乳からお腹までを覆う下着を着け、その他はサンダルしか履いていない。真っ白なお尻が丸出しだった。
蒼にも見える黒い髪がフェラチオによって揺れ動くたびに、陰嚢を刺激してくる甘い香りが飛んでくる。彼女はこの『ごくろうフェラ』の後に湯浴みをする予定だった。
「ああ、もう果そうです……」
「ちゅぷちゅぷ。 (たーんと果ててくださいね。最低3発はいただきますから。)」
「イズヴァルトさんに申し訳ないですね……」
「じゅっぽじゅっぽ。 (イズヴァルトはイズヴァルトで楽しんでいますから。お構いなくどうぞ。)」
その我らが少年騎士イズヴァルト。彼はマイヤの真後ろでうずくまり、爪先立った足とサンダルの間をくんかくんかと嗅いでいた。とても満足そうな笑みを浮かべながらである。
「うむ。マイヤの足の裏は、こねこちゃんの足の裏と同じ匂いがするでござる!」
蒸れた足裏に鼻を近づけてすんすんすん。イズヴァルトは愛する侍女の至る所を舐めたり嗅いだりするのが大好きである。
マイヤの右足を手にとってサンダルを脱がせ、頬ずりをしながら濃いにおいを堪能し始める。その様子に側近は怖気づいた。
「ちゅぱっ……! (あれれ? へなへなになっちゃった!)」
「あは、あははは。イズヴァルトさんはマイヤさんをとても深く愛しているんですね?」
そんな事はない。自分はただ単にヘンタイさんなだけなのだとイズヴァルトは答えた。それから足裏のにおいを堪能してすねや太ももをさすり始め、舌も這わせる。
やだなあ、とつぶやきながらもマイヤは嬉しそうにお尻を振った。事もあろうにイズヴァルトは彼女の尻に顔をつけ、窄まりに吸い付き始めた。
この様な色恋に狂った様子を見たカルカドの側近は、気持ち悪さを通り越して妙な発情を覚えてしまい、硬い勃起を復活させた。
「んぐ、んぐ! (おっきくなった!)」
「はううう……」
ひとしゃぶりでマイヤは濃厚な精液を得た。やや豚肉のにおいがする精液だと笑って二度目をいただく。彼女の尻穴はイズヴァルトの舌でほじくられたままであった。
一番の泣き所をやられてのフェラチオは熱と妖気を帯びていた。側近は3発のみならず5発もいただかれ、すっかり眠りについてしまった。
その精液を得たマイヤも、若者が隣の寝台で深い眠りについている間、イズヴァルトときりがない程に楽しい交合に明け暮れ、その夜は湯浴みする機会を失ってしまった。
翌朝。若い側近と共にカルカドの陣に加わると、カルカドにそっけない挨拶をしたみぎりに皮肉な笑みを浮かべてこう言われた。
「昨日のようなにおいがしないぞ。寝起きに急いで湯浴みするほどお盛んだったようだな?」
そう言うカルカドは精液のにおいと、付き添う妾2人の香水と女臭を漂わせていた。2人の女は肌つきを艶らせていたが、目元が疲れていた。容赦なく貪られたからだ。
「そうおっしゃる将軍様こそ、湯につかるお暇が無かったご様子ですね?」
「男のナニを存分にしゃぶるくせに男心は知らんらしいな、貴様」
「なにをおっしゃいます?」
「戦場はとかくむさ苦しい。特に野営が始まれば男どもの汗臭さと血生臭さしか漂わぬ。しかし女のおしろいと肌のにおいを洗い落とさずにすれば、男というのは心に余裕を持てるものなのだ」
カルカドはマイヤの肌が昨日よりもみずみずしいのを見て確かめた後、イズヴァルトと2人の監視に置いた側近の顔がややお疲れ気味なのを見て笑う。
「イズヴァルト、貴様もその質だろう?」
「いや……拙者はきんたまが悪い子でなければ、いくさの間は精進潔斎したほうが気合いが入るほうでござる……」
「阿呆なことを。俺が貴様ぐらいの歳であれば日に3人は女を抱かないと気がすまなかったぞ? ましてやおしゃぶり姫だとかいう淫売を側に置くような貴様だ。射精してもし足りないぐらいの金玉をぶら下げているのだろう」
嫌味ったらしくカルカドが笑う。イズヴァルトは愛する恋人を淫売呼ばわりされて憮然とした。
「その様な罵り方では娼婦どのらに無礼でござるよ! マイヤはたんすの裏の小銭をも奪う様な強盗でござるよ!」
「イズヴァルト、なによそれ!」
マイヤが彼のすねを思い切り蹴った。それを見てカルカドはますます笑い、妾達は力無くだが微笑んでしまった。
かくして軍は宿場町を出発。出陣前の会議では関所の裏手側、フジイデール領からも1500の軍勢が派遣されるという。挟み撃ちで落とそうという魂胆だった。
しかし攻城兵器、例えば破城鎚や投石砲という類の兵器は用意していない。せいぜいが大型の弩ぐらい。この軍の作戦と指揮を預かるカルカドは、攻めあぐねたらそれらを持って来させる腹積もりだった。
ただ、各村の兵士やそれを領する騎士らは誰しもが疑問に思った。堅固な砦跡を占拠したとはいえ、たかが500の山賊になにゆえカルカド=セッツェンという大物が出張るのか。
しかも隣のオルガスムナ公の領地で起きた事件である。そもそもオルガスムナ家が当主なり代理なりを旗頭として、討伐に向かえばいいのにとマイヤは思った。
与えられた馬に乗ってゆるやかな坂道を登りながら、昨晩フェラチオで楽しませた男に疑問を向けた。
「……そうもいかないんですよ。オルガスムナ公は名うての戦下手で有名ですから」
「近衛騎士団の副団長なのにですか?」
「副団長の補佐役です。だいたい近衛騎士団なんて大大名の警護衆ごっこみたいなものでございますよ……と、カルカド様がおっしゃっておりました。酒の席で」
イズヴァルトも無言でうなずく。正団員の儀で睨みつけてきたのは大体が近衛騎士団の面々。大領主の当主だったり兄弟だったり、はたまた御曹司や孫がそれである。
国王陛下への忠節を尽くす。王国に一大事あれば我が身を投げ売って食い止める。などと吹聴するが実際のところ彼等はお荷物であった。
戦場では娼婦や愛人を連れ、毎晩の様に宴会や天幕でのご乱行を楽しんでばかり。ましてや遠征先のよろしからぬ娼婦や淫婦も抱く。戦傷を負うよりも性病にかかる率のほうが、近衛騎士団だけは高かった。
剣や弓、馬術こそ形ばかりの免許皆伝を授けられほどには出来たが、闘いの駆け引き、隊を用いる為の兵法は生かじりの頭でっかち。まるでいくさの役に立たぬ。
「特にオルガスムナ公とそのご子息はどうして武者の真似事なんかをと周りから言われる始末でござるよ。とんでもなくへっぽこだとセイン殿下もバカにしているでござる」
「ふーん……そんなのがカルカド様より狩りが上手というのは本当なのかな?」
「カルカド様はわざと負けているのですよ。猪突猛進で乱暴だととかく評判はよろしくないですが……こほん。それでも剣や弓、馬の腕はそこらの武辺者が束になってもかなわないぐらいですから」
それからと、イズヴァルトにこっそり耳打ちする。カルカドもまた元は王国の最精鋭こと聖騎士団所属していた。
所属していた20年前は、文武に優れた最強の男として国王からいくつも恩賞を与えられた程に名高かったと。
「それは初耳でござる。しかしカシバフェルト公の妹婿殿となられて聖騎士団をやめたのでござるか?」
「幼馴染、とはいえ奥方様は10は歳が下ですから。カルカド様は奥様にだけは手を上げたりなさいません。妾様がたには殴ったり蹴ったりなさいますが、蝶よ花よと愛されておいでです」
その奥方とは3人の娘がおり、一番上の姫はオルガスムナ公の次男と結婚した。まだ10の時に嫁いだ。
今年で13歳だったが、すでに2人の子を産んだという。ちなみにその夫は今年で28歳である。姫は父親に似て大きく育ったから、早くに子を産める身体だったのだ。
「気の早い話でござるな。もう5年は待てばよかろうに」
「オルガスムナ公様のたってのお願いでしたからね。かの家のご次男様は、それこそ10の時から娼婦遊びにかまけたり、領内の娘達にさんざん手を付けたりと手を焼いていたそうですから……」
その次男坊だが、最近病気にかかったらしい。医者の見立てでは結構な日数の療養が必要だとの話を聞いた。なのだが妻との子作りや娼婦を買うのを辞めないらしい。
「命を長らえるより、できるだけ子孫を増やす戦略なのかなあ? その人って?」
「オルガスムナ家はご当主もご子息がた達も、とかく子作りだけはお盛んですからね。そのせいか別の理由からなのか、40や50近くでみまかる方々ばかりとのこと。ご当代様はたまたま50過ぎでございますが……」
「と、なると拙者も節制せねばならぬでござるな。早死には嫌でござる」
マイヤはイズヴァルトの肩を叩きながら笑った。貴方なら大丈夫。毎年100人ぐらい子供を作っちゃっても100歳ぐらいまで生きるよきっと。
「……拙者は嫌でござるよ。マイヤと5人ぐらい赤ちゃんを作るぐらいで満足でござる。これは一番多ければ、の数でござるからな?」
「まあ! 私がそんな人数で満足すると思っているの?」
「よしていただきたいでござるよ。拙者は万事控えめで良いでござる。それに貴殿も、月のものが閉じるまで毎年ぽこぽこと産むのも辛かろう」
そんな事は無いわとマイヤは返す。イズヴァルトとの間にできたたくさんの子供達を産み育ててから、総合大学の夢を叶えるつもりと返した。
「その頃には私の金庫のお金も存分にあるだろうし、貴方の領地もたっくさん増えているでしょうから」
「最近は拙者のお財布を当てにすることを考えだしたでござるな。けどそれこそが拙者が望む事でござる。拙者は早い所出世するつもりでござるから、赤ちゃんたちを育てながら大学を建てるでござるよ、マイヤ」
うれしいなあ、とまたもマイヤはイズヴァルトの肩を叩く。カルカドの若い側近は仲が良いとことで、と含み笑いをした。
関所まではなだらかな山道を進むこと、2時間以上。途中にある山村で羊飼いの少年達がお尻を丸出しにして雌羊と交わり、めえめえと啼かせる姿があった。
山賊が近くにいるというのに随分とのんきな事だと思いながら、イズヴァルトはマイヤが渡してくれた昼飯のパンを手に、山羊に股を舐めさせてきゃっきゃと笑う、村のちいちゃい女の子を見て和む。
「やっていることはどこも一緒でござるな?」
「ああやって家畜と仲良くするんだよ。ルッソが言うにはかわいがった羊とおまんこをすると、もっと懐くんだって」
「そういう仲良しは好まぬことでござるが、さて」
カルカドの若い側近が馬に乗ってやって来た。出発の合図だ。いよいよ砦攻めだと言うことでマイヤは荷から兜と鎖帷子を取り出した。
10キログラムにも満たぬ軽量の護身具は、貴族の女でないと買えぬ値段がしたが、イズヴァルトが彼女の為に買った。マントを外してそれをすっぽりとかぶった彼女に、いよいよでござると彼は呼びかけた。
「カルカドどのいわく、まずは正攻法で行ってそれがだめなら拙者を使う、とおっしゃったでござる。しばらくは本陣で様子を見るでござろう」
「なんなら『覇王の剣』で関所を崩しちゃったら?」
「そうなるはずだと思うでござるが……」
その為に自分は呼ばれたのだと思いながら、イズヴァルトはマイヤとともに関所へと向かう。しかしその戦国時代の要害に、彼等は思わず唸る事となった。
さて、山賊達が籠もる関所とはいかなる城であったのか?
その続きについてはまた、次回にて。
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・肥満施術師
大人気オイルマッサージ店の知らざれる裏の施術師。
見た目が醜悪で女性には生理的に受け付けられないような容姿のためか表に出てくることはないが、彼の施術を受けたことがある女性客のリピート指名率は90%を超えるという。
シルフィの最初の施術を担当。
・アルバード
シルフィ、アステリアの幼馴染。
アステリアの恋人で、故郷の村で彼女らを待っている。
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