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第三部 カツランダルク戦記 『第三章・カツランダルクの姉妹』
114 葬送の檄文
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「イズヴァルトさんは今、ホーデンエーネンにもどれなくなっているんです。自分を苦しめた敵の国だといっても人々が危険にさらされているんですよ。マイヤさんもおわかりでしょう、あの人がどれだけ心優しい英雄なのかを?」
話し合いでマルティンにそう言われたマイヤは、笑顔でうなずいて「うん。そうだよね!」と返し、マルティンがイーガに戻るまで明るく振舞い続けたが、心の中はズタズタだった。
(……なんで? どうしてイズヴァルトがそんな事に? エチウの人達の為に戦っているって? 操られたとはいえ、私が捨てたから?)
ヨーシデンの学術都市の夢はいよいよ果たしつつある。もう、1つの夢は成し遂げたようなものだ。だったら今度はもう1つの夢である、イズヴァルトと添い遂げたい。なのにだ。
(エレクトラがまたイズヴァルトのあかちゃんを産んだ? ヴィクトリアと言う名前の……それは、一番名づけて欲しくない名前だったのに。)
自分をこんな目に遭わせた人物の元妻を、マイヤは決して許さない。仇が死に、マルティンに振り向けたかもしれない恨みをエレクトラに向けていた。私こそがイズヴァルトの側にいるべきよ。
そのエレクトラもまた、前世からの転生者であることを知った。マルティンが持って来てくれた彼女の直筆の手紙でだ。前世の名前は藤本峰子。日中戦争に関する歴史の本で見たことがある名前だった。日本の特務機関に所属していた、ソ連との二重スパイである。日中戦争を泥沼化させようと暗躍していた人物だ。
そしてその藤本峰子、と言う人物もマイヤの前世にはいわく在りの人物だった。夫の長兄から聞いた話だが、彼等の父親の腹違いの妹なのだそうだ。ロシア革命で亡命した貴族の少女だったという。
義長兄の総一郎の著書の1つに、藤本峰子に関する人物伝があった。特務機関で最高の美女であり、モスクワの意向を受け、日本を中国と言う地獄に引きずり下ろした最悪の共産主義者。
(あの著書では八路軍と関東軍との交渉役として、あるいは中国共産党が中原を制する様に暗躍していたとされているけど……)
ナントブルグへ戻ると考えを改める。そういう女だからこそ今のイズヴァルトには必要なんじゃないのか。彼もまた、本位ではないが天に与えられた使命みたいなものがある。平和と安寧の為に戦うということだ。
(なら、仕方が無いや……)
マイヤは思い切ることにした。今はトーリとルッソが遺したものを守らなくては。自分が手がけていた事業の総仕上げを果たさねば。
「私はイズヴァルトが戻ってくるまでがんばるからね……ごほっごほっ」
マイヤはオルフレッドとコリアンナを城の執務室に呼び寄せた。後ろには彼女の書棚から本を取り出して読んでいるオットーがいる前で2人に呼びかけた。
「これからは死んだトーリのぶんまで私が頑張るから、あなたたちの手を貸してね! いっしょに張り切っていきましょう!」
マイヤが右の義手を高々と上げる。いまだに気弱なままのオルフレッドと、悲しいのは本当のことだけどめんどうくさい気持ちが優先して気のりしないコリアンナが、弱弱しい声で「おー」と応えた。
「2人とも、元気が足りないよっ! えい、えい」
「おー!」
「えいっえいっ!」
「おー!」
「えいっえい……ごほごほ……」
マイヤは席込んでしまった。無理を押しての大声だった。いまだに体力は元通りにならない。シュタイナー医療魔道伯からもらった薬を毎日飲んでいるのにだ。
「マイヤちゃん、大声を出し過ぎて喉が痛くなっちゃった?」
「ええ……しばらくすれば収まるよ」
「にいちゃん、マイヤちゃんに『おくすり』飲ませてあげなよ?」
コリアンナは兄をじろりとにらんだ。
「じゃあさ、出て行ってよ」
「いや、ちゃんと飲ませているか見なくちゃいけないよ。オットーさんもそう思うよね?」
問われたオットーはいつもより高い声で「はいい?」と答えてしまった。アスカウの村で『おくすり』の処方を何度か目撃したからだ。
「私は出て行こう。コリアンナ様が見届けていればよいと思う」
「何言ってるのさ? その本、『もえもえ』するエロ小説じゃん。『ふたなり』のサキュバスが近所に住むちいちゃな女の子達に、ちんぽをしゃぶらせるやつじゃんか?」
「……何で知ってる?」
「子供の頃に読んだからだよ。あたしはお貴族の作法の勉強はすっぽかすけど、トーリおかあちゃんみたいに勉強はしているんだから! ほら、ここはハイそうします、と言っときなさいよ! でないと薄情者と呼ぶよ!」
コリアンナの剣幕に圧されてオットーは渋々従うことにした。2人の見届け役の前でオルフレッドは毛織りのタイツの股間で左右に並ぶボタンを外した。
25センチに届くでっかいちんぽがべろん、と出た。余計な皮をちょん切っていたから亀頭は露出していた。実の父親に負けない逸品だ。それを持ちながらマイヤに近づいた。
「ごほっ……いいの?」
「マイヤおばちゃん、ごめんよ……」
「兄ちゃん、マイヤちゃんをおばちゃんと呼ぶな! まだ22歳じゃんか!」
「いいや、まだ9月だから21だよ。でもおばちゃんは……」
本当に若く見えるなあ。自分と同い年ぐらいに見えるとオルフレッドは思った。それだけ童顔だし、たぬきみたいに愛くるしい女だったからだ。この女達磨は。
「ごほっ…じゃあ、いただきます」
あーん。マイヤはオルフレッドのペニスをしゃぶりたてた。舌で絡ませ、玉袋をも丹念に愛でる。甥っ子はこの舌遣いに歓喜した。少々しなしなだったものがたくましい張りを得た。オットーは瞳をきらめかせてその怒張を伺っていた。
赤黒く女泣かせな硬度となったそれは、れろれろ、ちゃぷちゃぷとされて限界に近づいた。オルフレッドがいよいよだと呼びかけるとマイヤは口に含み、スパートをかける。
「お、おばちゃん……」
「にいちゃん、だからその呼び方はやめろって!」
「だって俺、年上の女の人が好きなんだもん。おばちゃんたちも好みなんだよ……40ぐらいの人だって!」
「オルフレッド様は熟女もいけるのか。ううむ、なかなかに節操がないな」
マイヤがちゅぷ、ちゅぷと音を鳴らして吸い立てた後、オルフレッドは大量の精液を放出した。それがマイヤの今の『おくすり』であった。とはいえイズヴァルト程の薬効は無い。ごくりと飲み込んでその物足りなさに嘆いた。
(うえええん。やっぱりイズヴァルトのおちんぽみるくのほうがいいよう!)
その無念、悲しみのせいでマイヤの瞳に潤みが生じた。それを目にしたオルフレッドは、もっと飲みたいのだと思ってマイヤの頭をつかんだ。
「わ、わかったよ! もっと飲ませてあげるから! ほら! ほらっ!」
自発的摂取が強制投与に移り変わった。オルフレッドは本能の求めるがまま。叔母の口の中にぐいぐいとこすりつける。
(ぐべえっ!)
マイヤはこのやり方が嫌いだった。けれどももっと飲ませてくれるならば致し方無いものだ。口をすぼめて力を籠め、甥のペニスが気持ちよくなる様に心掛けた。
「おば、おば、おばちゃん! ……うっ!」
オルフレッドの亀頭からまた精液がほどばしった。再開してからまだ2分も経っていないのに。これが若さと言うものか。マイヤは甥に、いろんなところで助けてもらうかもしれないと考えた。一番多いのは『ざあめんみるく』についてだろう。
□ □ □ □ □
頼りなくも命をつなぐのに必要な新しい『栄養剤』の供給源を得て、決意も新たに。マイヤは10月のはじめに行われた、アスカウ公の国葬の一切を取り仕切った。ルッソ共々の合同葬だ。遺体は見つからず、棺桶の中は空っぽだったが。
弔われるトーリは魔法の実力を人々の記憶から忘却せしめていたが、その好色さと変態ぶりはしっかりと記憶に残っていた。
「トーリの葬儀では故人をしのぶため、いろいろと趣向を尽くすわ!」
まずは墓に入れる為の副葬品だ。とびっきりの珍品を出さねば。ナントブルグの周辺からだが、足クサ自慢の男女が履き古した靴やサンダルがそれであった。『香道』の権威であるチュバッカ=ソーローが、選びに選び抜いた逸品だった。においフェチ以外にとっては公害そのものの強烈さである。
その他にはまんこのくっさい女が捨てた月経帯や男のチンカスをぬぐった布。はたまた、幼少女の糞便が詰まった瓶も置かれた。トーリは新たな境地、『すかとろ』を研究していたのだ。これも後にチュバッカによって洗練され、『香道』の中に組み込まれる。うんちをしたての女児の肛門や、ケツアナの奥の匂いをまとわせた排泄物の嗅ぎ分けをするのが貴婦人の隠れたたしなみとなる。
それらが祭壇の前に並べられると葬儀会場は悪臭に包まれる地獄の様相と化した。その場でゲロを吐く者や、あまりの臭さに失神して医務室へ担ぎ込まれる者まで。同席したオルフレッドは体調不良を訴えて逃げたが、マイヤとコリアンナは鉄の意志をもってその場に踏みとどまった。
その中で司会進行がマイヤによってなされた。悪罵を伴ってである。
「うちのねーちゃんはホントにろくでもなかったんだから! 外では取り澄ましていたくせにむっつりスケベで内弁慶。わがままなことこの上なくて、本を数十冊もぶん取られたわよ。このガバマン糞アマに流す涙なんて無いんだから!」
しかしルッソに対しては優しかった。
「おまんこなめなめがとてもすごいの! トーリもそれに首ったけだったのよ。子供の頃にやってた羊小屋でのひめごとじゃ、ほとんど口づけかなめなめだったぐらい……トーリはこういうデキのいい旦那を貰えて幸せだったよっ! それが別れたなんて、ふざけんな!」
マイヤは侍女からツボを持たされた姪に呼び掛けた。
「はい、コリアンナちゃん。あれやって」
「うへええい」
コリアンナはトーリの祭壇の前に進み出て、ツボの中身を掴んで投げつけた。抹香だ。しかもその抹香はチュバッカが調合した特別製であった。コリアンナやマイヤはおろか、美女や精力絶倫の間男どもらの尿素を配合した代物だった。凄まじいアンモニア臭を放った。
葬儀場で再び、嘔吐の音と悲鳴があがった。また幾人か担ぎ込まれた。しかしマイヤとコリアンナは踏ん張った。強烈な悪臭と共にアスカウ公の記憶を、皆の頭の中に刻み込みたいからだ。
「ハイつぎ!」
祭壇の前に白い幕が降ろされ、天井についていた照明石が昏くなった。
「故人をしのぶための映像水晶をみんなに見てもらいましょう! トーリ、あんたのみっともない姿を見てもらえ!」
会場の一番後方にある天井に張り付いていたサキュバスの侍女が、持っていた水晶の中身を幕に映し出した。カラーで音声付きの術式のやつだった。
「おっ♡ おっ♡」
スクリーンには下半身を丸出しにし、大股を広げているアスカウ公の姿があった。でかでかと映し出されたおまんこは会場にいる、実際にしゃぶったり突っ込んだ男女が覚えている魅惑的な代物だった。形が崩れているけどピンク色でむしゃぶりつきたいにおいを放つ、魔肉の楽園の入り口である。
「おおーっ♡ ほおおおーっ♡」
アスカウ公は剥き出て勃起しているクリトリスの下にある、ちょっとした窄まりに綿棒を突っ込んでぐいぐいと出し入れしていた。それをするたびにヴァギナの襞はぐにゅぐにゅと動き、間隔を置いて膣口が開いたり萎んだりを繰り返していた。
「ふおおお♡ にょうどうぐりぐり、たまんなーい♡ おほおおおっ♡」
尿道いじりだけでなく、クリトリスを指でぐりぐりする行為も始まった。彼女と寝たことがある男達は皆、しこたま搾り取られた甘い記憶に浸り、激しく勃起した。
「ぬおおおお♡ おまめをいじりながら♡ しゅごしゅぎりゅうっ♡♡」
死してなお、キンタマと子宮にくるトーリの喘ぎ声。トーリはこういうアブノーマルな奴だったのよ。やらないことと言えば理解に苦しむ性癖ぐらい。下半身は本当にだらしなかったんだから、とマイヤは罵った。
「みんな、よーく見ときなさい、嗅いどきなさい! トーリは、アスカウ公はこういうだらしのない、みっともない女だったんだよ! ほめたたえるべきは、こんな『にくべんき』を嫁にして尽くしたルッソなんだから!」
声をもっと激して続ける。
「でもトーリは求めたのよ! こんなおまんこいじり狂いが心置きなくやれるような平和で豊かな国造りを目指していた! トーリが天寿を全うしていればこの国は世界一の国になるはずだったよ! だからみんなに問う!」
「この偉大なる『にくべんき』の喘ぎ声に潜む、王道国家への祈りは聞こえているか! その遺志を継ぐ王佐の者はいないのか!」
国王を含む人々は涙した。会場に充満する、ツンと来る悪臭によってではない。その呼びかけに対してだ。
カツランダルク戦記 『第三部 カツランダルクの姉妹』 了
話し合いでマルティンにそう言われたマイヤは、笑顔でうなずいて「うん。そうだよね!」と返し、マルティンがイーガに戻るまで明るく振舞い続けたが、心の中はズタズタだった。
(……なんで? どうしてイズヴァルトがそんな事に? エチウの人達の為に戦っているって? 操られたとはいえ、私が捨てたから?)
ヨーシデンの学術都市の夢はいよいよ果たしつつある。もう、1つの夢は成し遂げたようなものだ。だったら今度はもう1つの夢である、イズヴァルトと添い遂げたい。なのにだ。
(エレクトラがまたイズヴァルトのあかちゃんを産んだ? ヴィクトリアと言う名前の……それは、一番名づけて欲しくない名前だったのに。)
自分をこんな目に遭わせた人物の元妻を、マイヤは決して許さない。仇が死に、マルティンに振り向けたかもしれない恨みをエレクトラに向けていた。私こそがイズヴァルトの側にいるべきよ。
そのエレクトラもまた、前世からの転生者であることを知った。マルティンが持って来てくれた彼女の直筆の手紙でだ。前世の名前は藤本峰子。日中戦争に関する歴史の本で見たことがある名前だった。日本の特務機関に所属していた、ソ連との二重スパイである。日中戦争を泥沼化させようと暗躍していた人物だ。
そしてその藤本峰子、と言う人物もマイヤの前世にはいわく在りの人物だった。夫の長兄から聞いた話だが、彼等の父親の腹違いの妹なのだそうだ。ロシア革命で亡命した貴族の少女だったという。
義長兄の総一郎の著書の1つに、藤本峰子に関する人物伝があった。特務機関で最高の美女であり、モスクワの意向を受け、日本を中国と言う地獄に引きずり下ろした最悪の共産主義者。
(あの著書では八路軍と関東軍との交渉役として、あるいは中国共産党が中原を制する様に暗躍していたとされているけど……)
ナントブルグへ戻ると考えを改める。そういう女だからこそ今のイズヴァルトには必要なんじゃないのか。彼もまた、本位ではないが天に与えられた使命みたいなものがある。平和と安寧の為に戦うということだ。
(なら、仕方が無いや……)
マイヤは思い切ることにした。今はトーリとルッソが遺したものを守らなくては。自分が手がけていた事業の総仕上げを果たさねば。
「私はイズヴァルトが戻ってくるまでがんばるからね……ごほっごほっ」
マイヤはオルフレッドとコリアンナを城の執務室に呼び寄せた。後ろには彼女の書棚から本を取り出して読んでいるオットーがいる前で2人に呼びかけた。
「これからは死んだトーリのぶんまで私が頑張るから、あなたたちの手を貸してね! いっしょに張り切っていきましょう!」
マイヤが右の義手を高々と上げる。いまだに気弱なままのオルフレッドと、悲しいのは本当のことだけどめんどうくさい気持ちが優先して気のりしないコリアンナが、弱弱しい声で「おー」と応えた。
「2人とも、元気が足りないよっ! えい、えい」
「おー!」
「えいっえいっ!」
「おー!」
「えいっえい……ごほごほ……」
マイヤは席込んでしまった。無理を押しての大声だった。いまだに体力は元通りにならない。シュタイナー医療魔道伯からもらった薬を毎日飲んでいるのにだ。
「マイヤちゃん、大声を出し過ぎて喉が痛くなっちゃった?」
「ええ……しばらくすれば収まるよ」
「にいちゃん、マイヤちゃんに『おくすり』飲ませてあげなよ?」
コリアンナは兄をじろりとにらんだ。
「じゃあさ、出て行ってよ」
「いや、ちゃんと飲ませているか見なくちゃいけないよ。オットーさんもそう思うよね?」
問われたオットーはいつもより高い声で「はいい?」と答えてしまった。アスカウの村で『おくすり』の処方を何度か目撃したからだ。
「私は出て行こう。コリアンナ様が見届けていればよいと思う」
「何言ってるのさ? その本、『もえもえ』するエロ小説じゃん。『ふたなり』のサキュバスが近所に住むちいちゃな女の子達に、ちんぽをしゃぶらせるやつじゃんか?」
「……何で知ってる?」
「子供の頃に読んだからだよ。あたしはお貴族の作法の勉強はすっぽかすけど、トーリおかあちゃんみたいに勉強はしているんだから! ほら、ここはハイそうします、と言っときなさいよ! でないと薄情者と呼ぶよ!」
コリアンナの剣幕に圧されてオットーは渋々従うことにした。2人の見届け役の前でオルフレッドは毛織りのタイツの股間で左右に並ぶボタンを外した。
25センチに届くでっかいちんぽがべろん、と出た。余計な皮をちょん切っていたから亀頭は露出していた。実の父親に負けない逸品だ。それを持ちながらマイヤに近づいた。
「ごほっ……いいの?」
「マイヤおばちゃん、ごめんよ……」
「兄ちゃん、マイヤちゃんをおばちゃんと呼ぶな! まだ22歳じゃんか!」
「いいや、まだ9月だから21だよ。でもおばちゃんは……」
本当に若く見えるなあ。自分と同い年ぐらいに見えるとオルフレッドは思った。それだけ童顔だし、たぬきみたいに愛くるしい女だったからだ。この女達磨は。
「ごほっ…じゃあ、いただきます」
あーん。マイヤはオルフレッドのペニスをしゃぶりたてた。舌で絡ませ、玉袋をも丹念に愛でる。甥っ子はこの舌遣いに歓喜した。少々しなしなだったものがたくましい張りを得た。オットーは瞳をきらめかせてその怒張を伺っていた。
赤黒く女泣かせな硬度となったそれは、れろれろ、ちゃぷちゃぷとされて限界に近づいた。オルフレッドがいよいよだと呼びかけるとマイヤは口に含み、スパートをかける。
「お、おばちゃん……」
「にいちゃん、だからその呼び方はやめろって!」
「だって俺、年上の女の人が好きなんだもん。おばちゃんたちも好みなんだよ……40ぐらいの人だって!」
「オルフレッド様は熟女もいけるのか。ううむ、なかなかに節操がないな」
マイヤがちゅぷ、ちゅぷと音を鳴らして吸い立てた後、オルフレッドは大量の精液を放出した。それがマイヤの今の『おくすり』であった。とはいえイズヴァルト程の薬効は無い。ごくりと飲み込んでその物足りなさに嘆いた。
(うえええん。やっぱりイズヴァルトのおちんぽみるくのほうがいいよう!)
その無念、悲しみのせいでマイヤの瞳に潤みが生じた。それを目にしたオルフレッドは、もっと飲みたいのだと思ってマイヤの頭をつかんだ。
「わ、わかったよ! もっと飲ませてあげるから! ほら! ほらっ!」
自発的摂取が強制投与に移り変わった。オルフレッドは本能の求めるがまま。叔母の口の中にぐいぐいとこすりつける。
(ぐべえっ!)
マイヤはこのやり方が嫌いだった。けれどももっと飲ませてくれるならば致し方無いものだ。口をすぼめて力を籠め、甥のペニスが気持ちよくなる様に心掛けた。
「おば、おば、おばちゃん! ……うっ!」
オルフレッドの亀頭からまた精液がほどばしった。再開してからまだ2分も経っていないのに。これが若さと言うものか。マイヤは甥に、いろんなところで助けてもらうかもしれないと考えた。一番多いのは『ざあめんみるく』についてだろう。
□ □ □ □ □
頼りなくも命をつなぐのに必要な新しい『栄養剤』の供給源を得て、決意も新たに。マイヤは10月のはじめに行われた、アスカウ公の国葬の一切を取り仕切った。ルッソ共々の合同葬だ。遺体は見つからず、棺桶の中は空っぽだったが。
弔われるトーリは魔法の実力を人々の記憶から忘却せしめていたが、その好色さと変態ぶりはしっかりと記憶に残っていた。
「トーリの葬儀では故人をしのぶため、いろいろと趣向を尽くすわ!」
まずは墓に入れる為の副葬品だ。とびっきりの珍品を出さねば。ナントブルグの周辺からだが、足クサ自慢の男女が履き古した靴やサンダルがそれであった。『香道』の権威であるチュバッカ=ソーローが、選びに選び抜いた逸品だった。においフェチ以外にとっては公害そのものの強烈さである。
その他にはまんこのくっさい女が捨てた月経帯や男のチンカスをぬぐった布。はたまた、幼少女の糞便が詰まった瓶も置かれた。トーリは新たな境地、『すかとろ』を研究していたのだ。これも後にチュバッカによって洗練され、『香道』の中に組み込まれる。うんちをしたての女児の肛門や、ケツアナの奥の匂いをまとわせた排泄物の嗅ぎ分けをするのが貴婦人の隠れたたしなみとなる。
それらが祭壇の前に並べられると葬儀会場は悪臭に包まれる地獄の様相と化した。その場でゲロを吐く者や、あまりの臭さに失神して医務室へ担ぎ込まれる者まで。同席したオルフレッドは体調不良を訴えて逃げたが、マイヤとコリアンナは鉄の意志をもってその場に踏みとどまった。
その中で司会進行がマイヤによってなされた。悪罵を伴ってである。
「うちのねーちゃんはホントにろくでもなかったんだから! 外では取り澄ましていたくせにむっつりスケベで内弁慶。わがままなことこの上なくて、本を数十冊もぶん取られたわよ。このガバマン糞アマに流す涙なんて無いんだから!」
しかしルッソに対しては優しかった。
「おまんこなめなめがとてもすごいの! トーリもそれに首ったけだったのよ。子供の頃にやってた羊小屋でのひめごとじゃ、ほとんど口づけかなめなめだったぐらい……トーリはこういうデキのいい旦那を貰えて幸せだったよっ! それが別れたなんて、ふざけんな!」
マイヤは侍女からツボを持たされた姪に呼び掛けた。
「はい、コリアンナちゃん。あれやって」
「うへええい」
コリアンナはトーリの祭壇の前に進み出て、ツボの中身を掴んで投げつけた。抹香だ。しかもその抹香はチュバッカが調合した特別製であった。コリアンナやマイヤはおろか、美女や精力絶倫の間男どもらの尿素を配合した代物だった。凄まじいアンモニア臭を放った。
葬儀場で再び、嘔吐の音と悲鳴があがった。また幾人か担ぎ込まれた。しかしマイヤとコリアンナは踏ん張った。強烈な悪臭と共にアスカウ公の記憶を、皆の頭の中に刻み込みたいからだ。
「ハイつぎ!」
祭壇の前に白い幕が降ろされ、天井についていた照明石が昏くなった。
「故人をしのぶための映像水晶をみんなに見てもらいましょう! トーリ、あんたのみっともない姿を見てもらえ!」
会場の一番後方にある天井に張り付いていたサキュバスの侍女が、持っていた水晶の中身を幕に映し出した。カラーで音声付きの術式のやつだった。
「おっ♡ おっ♡」
スクリーンには下半身を丸出しにし、大股を広げているアスカウ公の姿があった。でかでかと映し出されたおまんこは会場にいる、実際にしゃぶったり突っ込んだ男女が覚えている魅惑的な代物だった。形が崩れているけどピンク色でむしゃぶりつきたいにおいを放つ、魔肉の楽園の入り口である。
「おおーっ♡ ほおおおーっ♡」
アスカウ公は剥き出て勃起しているクリトリスの下にある、ちょっとした窄まりに綿棒を突っ込んでぐいぐいと出し入れしていた。それをするたびにヴァギナの襞はぐにゅぐにゅと動き、間隔を置いて膣口が開いたり萎んだりを繰り返していた。
「ふおおお♡ にょうどうぐりぐり、たまんなーい♡ おほおおおっ♡」
尿道いじりだけでなく、クリトリスを指でぐりぐりする行為も始まった。彼女と寝たことがある男達は皆、しこたま搾り取られた甘い記憶に浸り、激しく勃起した。
「ぬおおおお♡ おまめをいじりながら♡ しゅごしゅぎりゅうっ♡♡」
死してなお、キンタマと子宮にくるトーリの喘ぎ声。トーリはこういうアブノーマルな奴だったのよ。やらないことと言えば理解に苦しむ性癖ぐらい。下半身は本当にだらしなかったんだから、とマイヤは罵った。
「みんな、よーく見ときなさい、嗅いどきなさい! トーリは、アスカウ公はこういうだらしのない、みっともない女だったんだよ! ほめたたえるべきは、こんな『にくべんき』を嫁にして尽くしたルッソなんだから!」
声をもっと激して続ける。
「でもトーリは求めたのよ! こんなおまんこいじり狂いが心置きなくやれるような平和で豊かな国造りを目指していた! トーリが天寿を全うしていればこの国は世界一の国になるはずだったよ! だからみんなに問う!」
「この偉大なる『にくべんき』の喘ぎ声に潜む、王道国家への祈りは聞こえているか! その遺志を継ぐ王佐の者はいないのか!」
国王を含む人々は涙した。会場に充満する、ツンと来る悪臭によってではない。その呼びかけに対してだ。
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