聖騎士イズヴァルトの伝説 外伝 『女王の末裔たち』

CHACOとJAGURA

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第三部 カツランダルク戦記 『第三章・カツランダルクの姉妹』

111 おしゃぶり姫の憤怒

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 大々的にトーリ=カツランダルクの死が公表されたのは、ホーデンエーネン王国暦で言えば、356年の7月末頃のことだ。ナントブルグからの知らせは各地の通信魔道士を介し、3日以内に大陸全土に広まった。
 
 その知らせを受けたマイヤは、トーリの遺臣サキュバス達の力を借り、急ぎナントブルグに戻って来た。気づかずにいたのはヨーシデンの建設工事とタカミ=ジュンとの会合にどっぷりと漬かっていたからだ。
 
 それと、健康的に優れなくなったというのもある。トーリに治癒魔法を注がれなくなったゆえ、身体に潜んでいた様々な病魔が活発になりだしていたというのもあった。
 
 ニンゲンの侍女に化けたサキュバスに車椅子に押されながら、トーリの葬儀についての会合にやって来た彼女だが、部屋に入った時からごほごほと咳き込み続けていた。それを見て心配したセインが小姓2人に急かした。
 
「おい、マイヤにお前らのちんぽ汁を飲ましてやれ! 今すぐにだ!」
「こ、ここでですか?」
「うるせえ! 嫌ならその首へし折るぞ!」

 国王や廷臣、あろうことかトーリの遺児であるオルフレッドとジョーケイン王子が見ている前で、マイヤは小姓2人のちんぽをしゃぶった。
 
「のわああっ!」
「しゅごい!」

 ローティーンの少年の新鮮な金玉汁を2回もいただいたマイヤは咳をしなくなった。侍女に口を拭われた後に席に着き、会合が始まった。まずはトーリがなぜ死んだかについてだ。内務大臣が口を開く。

「話によればアスカウ公様は、パラッツォ教徒への危害を加えないとの誓約を陛下の前で行う為、教徒と反乱の代表者と共に向かっていたということでございましたが……」

 その途中で何かが起こり、アスカウ公はご乱心を起こして同行した者らをことごとく殺害した。なぜそうなったかはわからないが目撃者がいた。
 
「その人物こそがスカルファッカー家のアナキン子爵。ソーロー公が提案された遺跡調査隊の、ただ一人の生き残りでございます」

 そしてトーリと思しき霊体と戦った。発掘隊の主だった死亡者の名も読み上げられた。その中にルッソの名を聞いたマイヤは、耳を疑ってしまった。
 
「ルッソ? どうしてルッソが!」
「いや、そのですね……」

 内務大臣から様々な説明が。アスカウ公と仲たがいしてしまったルッソはあちこちに飛ばされていつの間にかイーガに移住。それから調査に協力するイーガ空の魔道士としてやって来た。経緯は不明。なんだかんだで巻き添えになって死亡。

「そんなの、初耳だよっ!」

 マイヤは後ろを振り返ってにらみつけた。胸元のひもを外してでかいバストをぶらぶらと揺らしながら、さっきの小姓2人と騎乗位&フェラチオで楽しんでいたサキュバスをだ。彼女は国王らからとがめだてされなかった。どうせサキュバスなんだろうとわかっていたからである。
 
「ヒュリオッサ、どうして黙ってたの!」
「あ♡ な、なにをですか♡」
「ルッソのことだよっ!」

 ヒュリオッサは「わかりましぇん♡」と返して小姓たちと再開した。彼女はシャロンに『お手伝い』程度で雇われたサキュバスだから、大事なことを知らなかったのだ。トーリは最近、マイヤにはそうした淫魔ばかりをつけていた。機密情報を知って勝手な行動を取らせない為にだった。
 
「ルッソがどうして! そもそもトーリもよ! みんなが死んだ? トーリに殺された? 一体何をしたっていうの! イズヴァルトみたく魔法も使える戦士だったとでも言いたいのっ!?」
「あ、あのー実は……」

 大臣や長老、国王までもがこう答えた。わしらにもわからない。彼等は洗脳魔法をかけられるのと同時に、トーリ自身にとって都合の悪いことをすぐに忘れてしまう魔法もかけられていた。トーリはこの国を乗っ取った暁の為にかけたのだ。抱いた男全員に。
 
 ただ、そんな彼等でもかすかに覚えているのは、トーリがとんでもない魔法パワーの持ち主だったということぐらいだ。何せパラッツォ教の教主・コーザをけちょんけちょんにしたという話は覚えているからだ。何でどうやってなのかは忘れてしまったし、何故こうまで教主がトーリにラブコールを送るのかがわからなかったが。
 
「ん、まあ……こまけえことはいいじゃねえか?」

 セイン王は甘えて来るジョーケインをあやしながらマイヤに言う。

「トーリの魔法がすげえ大暴走して、何かがどうにかなって、そうなっちまったんだろう」
「そっ、そんな雑に扱っていいものなの、セイン陛下!」
「そりゃあ……それ言われると答えに困るが……とにかく、トーリとルッソは死んじまったんだ。実のところ、葬式の話と今後のこの国の身の振り方しか話し合えねえんだよ……」
 
 だからトーリの死を嘆き悲しんでくれ。そう言われてしまったマイヤはぐぎぎぎ、と憤るしかなかった。大体自分自身、トーリがどうしてサキュバスの部下を従えていたのかがわかっていない。実は彼女にも記憶操作の魔法がかけられていたのだ。
 
(私がヨーシデンの箱庭づくりで夢中になっている間に、トーリはこっそりいろいろなことをやってたという事なの?)
 
 とはいえだ。マイア=テクニカのホーデンエーネン支社がぼろもうけしているのはちゃんと覚えている。オルガスムナで不幸があって、トーリが接収したことも。
 
 マイヤは「はいそうですか。トーリ、ルッソ。うええええん!」と思い切って悲しみに暮れる事が出来なかった。後に残された者がどう責任をとるのか考え出した。
 
(死んだトーリとルッソの子どもたちはどうすればいいの? オルフレッドくんやコリアンナちゃんの教育は? アスカウ領やオルガスムナ領の統治はどうすんのよ、トーリ!)

 司会進行役の内務大臣が議題を提案する。

「ええと、まずは亡きアスカウ公殿下は誰が継ぐかについて、この場を借りて陛下にお伺いしたいかと……」
「はいはいはいはいはい!」

 マイヤが右の義手を高々と上げた。病んでいるからとても重い。
 
「それ、私が決めます! アスカウ=タカイチゲンシュタットはとりあえずコリアンナちゃんを領主に立てて、オルフレッドくんはオルガスムナさんとこの子供達が成長するまで、領主代行をするということで!」

 それからアスカウ公領については兄妹で分割統治。人が多く金銭収入も多いタカイチゲンシュタット地方をオルフレッドが、どうぶつ大好きなコリアンナにアスカウを譲る。補佐や代官ならおばちゃんが面倒見ちゃる。ええコを見繕ってあげるからね。マイヤはそう提案した。
 
「ザーチャくんとディークくんは私の養子にしてヨーシデンの跡継ぎにするから! 他のおちびちゃんたちも、望めば私のマイア=テクニカの経営者とかいろんな重職に就かせるから! これでいいでしょ?」
「決めるのはええなあ、マイヤは。まあ、そんなんでいいんじゃねえか。こういう事でおめえの目が狂う事はまずねえと思うから。それでいいよ」

 跡継ぎと遺領の分配についてはとりあえず決まりだ。ただ、コリアンナはもふもふとなでなでしあうためにがんばってます、ばかりを好んで勉強をしないので、領主としての器は鍛えられないだろう。おチビちゃんのうち1人である弟のロールフがアスカウ公を継ぐかもしれない。
 
「では……次はイーガとの『えくすぷれす』の伸長について」
「おい、内務大臣。そいつはとりあえずサカーイまでの延長計画を進めときゃいいんじゃねえか。仮にコーノフェルト公んとこまでとどまってしまっても、そりゃそれで便利だろうし。あ、ナントブルグへの計画はいまだナガオカッツェから返事がこねーから先送りな」
「は、はあ……それでは次に。パラッツォ教団との外交についてですが」

 南天騎士団の領地での迫害事件で、教団との仲がかなり冷え込んでしまった。一部の教徒とは関係は良好なままだが、エチウから出稼ぎに来た信徒らに先日、カナザワースの総本山よりお触れが出たそうだ。

「エチウに帰りなさいという触れだそうで。サカーイ港やアジール港では、次々と帰還の船がやって来ているそうです」
「……そいつは悩ましいな。で、向こうの連中は何か言って来てるか、条件とか?」
「そ、それがですね……」

 内務大臣は一旦、マイヤの顔をじっと見た。「娘もあんなに可愛けりゃ嫁にと殺到しただろうに……」としょうもないことをぼそりとつぶやいた後、セインに告げた。
 
「内密での要求は来ております。ヨーシデン公様ことマイヤ様を教団にお迎えしたい。教団の司祭騎士団長殿の妻となっていただき、同時にパラッツォ教団の『教典の巫女』らの長になっていただきたいと」

(ん? 司祭騎士団長ってだれかな?)

 事情が呑み込めないマイヤはすぐ後、国王や武将らが席を蹴って剣を抜き、大声で叫んで荒れ狂うのを見て思わず下痢便を漏らしてしまった。

「ああん? やれるもんならやってみろよォ!」
「パラッツォのくそったれどもは、どこまでもコケにして腐りやがるな、俺達のホーデンエーネンを!」

 ええと、ええと。マイヤは生温かく濡れた尻を気にしながら傍にいた官僚に問いかけた。司祭騎士団長って、誰?
 
「おしゃぶり姫さま、ご存じないのですか?」
「ああ、その仇名はなつかしいなあ、なんだけど、みんなどうしてぶち切れてるの?」
「そりゃあですねえ……」

 その司祭騎士団長こそ、我らがホーデンエーネンの最強の騎士、イズヴァルト=シギサンシュタウフェンである。そう説明されたマイヤもぶちぎれてしまった。
 
「ふんんぎぎぎぎぎぎぃっ!」

 彼女の尻穴から、また爆発音が鳴った。新たな糞便が彼女のスカートにこびりついてしまった。
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