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第三部 カツランダルク戦記 『第三章・カツランダルクの姉妹』
104 全てを吞み込むモノ
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高く飛び上がりながら真下に顔を向けていたパルパティアらは、煙の中から姿を顕した、眼下の何もかもを覆い尽くすそれを見て呆気に取られていた。
ところどころがややくすんだ菫色にもなっているがそのほとんどが鮮やかな桜色だ。表面には襞や皺があり、水魔の触手の様にうごめいている。皮膚よりももっと柔軟な様であり、ぬめっていて光った。
(……魔法生物!)
パルパティアがつぶやいて眺めている大きく広がった軟体は、うねり続けてあたりに生温かい空気を放っている。呼吸をしているのだ。あの何かは。
そしてその名前の分からぬ物体は、パルパティア達が飛んだ高度にまで放った息を吹き込む。むわっとしてじめっとした風。彼女は思わずむせてしまった。あまりにも甘ったるく、それでいて下腹が熱くなってしまうような淫気を含んでいたからだ。
「これは……サキュバスの!」
ヴァギナのにおいそのものだ。それもかなり上位の。むせるぐらいに甘いにおいには、冷静さを呼び戻してしまう『安っぽさ』が無かった。男も女も息が絶え絶えになるまで性交を続けたくなる、性のデザイアをかきたてる完璧なパフュームであった。
しかし亜人の血を引き今一歩のところで踏みとどまりも出来たパルパティアと他の魔道士らはお互いに呼び掛けあった。淫魔の誘い込みの魔法を仕掛けて来るぞ。気をつけろ。
ならばその前に痛い目に遭わせてやる。魔道士のうち1人がそう叫んで印を切った。ゴブリンの魔法だ。木や草に含まれる毒素がにじみ出て毒霧を生み、あたりに漂わせる罠魔法の一種だ。
毒霧は森の方に生じてその物体の表面をまとわりつく。ぬめっていて柔らかいそれが、きゅっとすぼまった。襞と皺の起伏を複雑にさせる。滞留している毒を避けるために縮んだのだ。
「効いているようだ! 畳みかけろ!」
パルパティアを含む他の魔道士らも応じた。地走りする火炎、掌から放たれる雷光。鉄をも断ち切る風の刃が襲い掛かる。もろに受けた桜色のそれはいささか縮みこみ、赤黒く変色する。効いているようだ。
「手を止めんな! もっとぶちまけろぉ!」
パルパティアの怒号と共に魔道士たちはなおも仕掛ける。印を切る手を止めない。魔力のありったけを注ぐのみだ。なにしろ相手は広く大きかった。隅々まで徹底的に痛めつけるには気が遠くなる時間が必要と思われた。
「おおっ!」
ドワーフの血を引く、ずんぐりした体型の魔道士が喜びの声をあげた。攻撃対象が後ずさり始めたからだ。それが覆っていた木や草は枯れ果てていた。あれは万物の生命力を吸い取る種類の魔法生物ではないかと、パルパティアは思った。
(どうにも物騒でならねえべえ……。)
ああいう行動をする魔物なぞ、皆殺しの為に作ったものである。殺戮兵器と言っていい。上空の魔道士たちからは見えていない草むらや木の枝には、軟体生物により生気を奪われ事切れている鳥や昆虫たちが骸を晒していた。死をもたらす魔物である。
魔道士らは印を切る速度を速める。隙の無い魔法投射の連撃である。『広大な』軟体群はそれを避けるかのように後ずさるが、動き方がのっそりとしていて直撃を免れられなかった。
じりじりとだが下がっていく様子を見て、魔道士たちは安堵を覚え始めていた。どうにかなるかもしれない。古城の連中を避難させる必要は無いんじゃないかと思った矢先、パルパティアはぴりぴりとした空気を自分と仲間達の周囲に漂い始めたのを感じ取った。
「散れッ! 何かおるべえよ!」
叫びながら彼女は真っ先に高く飛んでいた。逃げなければまずいのに巻き込まれると直感が働いたのだ。魔力の波動や圧を感じ取るのは彼女がこの中で一番優れている。イーガの魔道騎士団の精鋭・第三軍団で5本の指に入る実力者と言われていたぐらいだから当然だった。
けれども仲間達はとっさに動けなかった。呼びかけられて頭の中で処理するのに時間がかかった。彼等は優れた魔道士ではあるけれど、逃げも習得する魔法戦士としての素養は鍛えていなかった。
突如、魔力の力場が生じる。引力が生じて彼等をからめ取ってしばりつけた。印を結ぶ手が動かなくなり、かけていた飛翔魔法の力がたちまち消えうせて次々と落下して行った。悲鳴をあげ、地面に叩きつけられていく。
(なんということ! 気づかぬうちに仕掛けていたなんて!)
とはいえ亜人の血が混じっているからすぐに事切れるわけではなかった。うめき、もがき、助けを求める。無情にも倒れている1人に、さっきまで退いていた軟体が覆いかぶさった。飲み込まれて消えていった。
突如現れパルパティアを慄かせた魔力の力場は、白い煙をまとい始め収縮し始める。先ほど現れた時よりもっと力に満ちているようだとパルパティアは思った。自分の手には負えない魔力。そしてそこからは、とても甘ったるいにおいが放たれていた。
「くそッ! そっちが『本体』か!」
収縮した煙は徐々に形を作っていく。パルパティアが冷気魔法の印を切る。巨大な氷柱が現れてその塊に撃ち込んだ。魔封じの力も含めたのだが、まるで効いている様子ではなかった。
「……!」
命の危険をに関わるのが来るぞと本能が呼びかけていた。彼女は全体に防護結界を張って後ろに退く。果たしてすぐに繰り出された。無数の熱線が空を飛び交う。実に細いがそれらはパルパティアが触れる様に張り巡らされていた。とっさに彼女が作ったマジックシールドに当たったものはかき消されたが、またすぐ熱線が現れて彼女を害そうとする。
しかしそのうちの1本があまりにも強力なものだった。パルパティアが張ったシールドを貫通し、彼女の右腕を肘から焼き切った。熱い激痛にさいなまれつつも新たなバリアーを張って防ごうと試みる。
が、もう1本がシールドの一番脆いところを狙ってパルパティアの左手の甲を貫いた。手を引っ込めて彼女は思った。魔族の魔法に違いない。
「いったいどこの誰か……!」
熱線が尚も飛んでくる。パルパティアは逃げる事にした。知らせなければ、ぼっちゃんに。
そして魔力が凝縮して作り上げられたそれは、ますますその輪郭を鮮明にさせつつあった。ニンゲンの女の姿だった。長い髪を靡かせて。それから胸元は大きく膨らんでいた。果たして誰の姿を似せたのか。
□ □ □ □ □
「……ここは?」
気づけば椅子の上に座っていた。胸のあたりがやけに重苦しい。それから、ひどく疲れ切った気分のせいで、身体がやけにだるかった。
周りを見る。石造りの壁で剣や槍が立てかけられている。汗臭く土埃くさい武者たちがぞろぞろと歩いていた。
自分の目の前には右ひざをついて頭を下げる、鎧に身をまとった5人の男達がいた。今風の鎖帷子では無かった。腰を守る甲を備えた板金の胴丸だ。膝上までの腰巻きをまとい、鉄板ですねを覆うブーツをはいていた。
「このオブサックァの城まではるばる起こし頂き、ありがとうございました」
口が勝手に動く。オブサックァ? ああそうだ。やっと思い出してきた。タンバレーネとナガオカッツェの援助を受けられるように建設していた、何かあった時の詰め城だ。
この者達が何者かを思い出した。南にある王国、コーノフェルト、イーモリハウゼン、ネヤガワハイム、イコーマブルグの、王の弟らである。このたびの同盟の締結にやって来たのだ。
4つの王国の当主らは深い縁があった。彼等の今の当主の4代前がまだ跡継ぎと呼ばれていた頃、永久不可侵の盟約を結ぶ為に都に招き、熱い褥の中で身体と情を交わし合ってそれぞれの子を産み、与えた。サキュバスとして生まれた娘らは絆の証となった。
実の娘らは慈しまれた。その父とおじ達、あるいは祖父や自分の異母兄弟のおちんちんをちゅうちゅうと吸い、淫魔のいる家庭の素晴らしさを伝えた。しかし、その娘らはもういなかった。あの裏切りの奸計が張り巡らされていた婚礼の式典で、憎き敵の刺客の手にかかったのだ。彼女達はこの4国の代表として来てたのだ。
コーノフェルトから来た男が面をあげた。
「このオブサックァの城を拠点に、我らの4国とナガオカッツェ、タンバレーネがいれば、あの憎きアスカウの猿どもを容易く打ち破れましょうぞ!」
総勢1万が助太刀してくれる。都への帰還はすぐにできる。勇ましい口ぶりに満足した。是が非でも早急に。
「でしょう、リリーナ?」
乳母に付き添われて右横に立っている、幼い娘に呼び掛けた。まだ4歳だ。ナントブルグを追われた時はまだ1歳にもならなかったのに。
「3年近く……ようやく取り戻す機会が得られました」
ここに来るまでは散々だった。追撃の手は容赦無かった。一緒に逃げた武者や女官らは次々と討たれ、家臣で残ったのはカミラとシャロンを含む10数名。アカサカチハヤにあのお方が戻って来ていないのをいいことに、アスカウの連中は惨い事をし続けていた。噂によれば、ナントブルグは凄まじい略奪に遭ったそうだ。
「皆さまのお力をお借りし、かわいいリリーナが15代目の当主としてナントブルグに帰還できるよう、このトーリは残り少ない命を用いたいと存じておりますわ」
「ははーっ!」
4名が一斉に頭をさげて見つめた。彼等の目には椅子に座る人物が映っていた。蒼にも見える黒髪を伸ばす、豊満かつ若々しい美女。胸と尻はとても大きかった。しかし淫魔であり、数百年もその姿のままだ。
ナントブルグ王国の初代女王、トーリ=カツランダルクその人であった。
ところどころがややくすんだ菫色にもなっているがそのほとんどが鮮やかな桜色だ。表面には襞や皺があり、水魔の触手の様にうごめいている。皮膚よりももっと柔軟な様であり、ぬめっていて光った。
(……魔法生物!)
パルパティアがつぶやいて眺めている大きく広がった軟体は、うねり続けてあたりに生温かい空気を放っている。呼吸をしているのだ。あの何かは。
そしてその名前の分からぬ物体は、パルパティア達が飛んだ高度にまで放った息を吹き込む。むわっとしてじめっとした風。彼女は思わずむせてしまった。あまりにも甘ったるく、それでいて下腹が熱くなってしまうような淫気を含んでいたからだ。
「これは……サキュバスの!」
ヴァギナのにおいそのものだ。それもかなり上位の。むせるぐらいに甘いにおいには、冷静さを呼び戻してしまう『安っぽさ』が無かった。男も女も息が絶え絶えになるまで性交を続けたくなる、性のデザイアをかきたてる完璧なパフュームであった。
しかし亜人の血を引き今一歩のところで踏みとどまりも出来たパルパティアと他の魔道士らはお互いに呼び掛けあった。淫魔の誘い込みの魔法を仕掛けて来るぞ。気をつけろ。
ならばその前に痛い目に遭わせてやる。魔道士のうち1人がそう叫んで印を切った。ゴブリンの魔法だ。木や草に含まれる毒素がにじみ出て毒霧を生み、あたりに漂わせる罠魔法の一種だ。
毒霧は森の方に生じてその物体の表面をまとわりつく。ぬめっていて柔らかいそれが、きゅっとすぼまった。襞と皺の起伏を複雑にさせる。滞留している毒を避けるために縮んだのだ。
「効いているようだ! 畳みかけろ!」
パルパティアを含む他の魔道士らも応じた。地走りする火炎、掌から放たれる雷光。鉄をも断ち切る風の刃が襲い掛かる。もろに受けた桜色のそれはいささか縮みこみ、赤黒く変色する。効いているようだ。
「手を止めんな! もっとぶちまけろぉ!」
パルパティアの怒号と共に魔道士たちはなおも仕掛ける。印を切る手を止めない。魔力のありったけを注ぐのみだ。なにしろ相手は広く大きかった。隅々まで徹底的に痛めつけるには気が遠くなる時間が必要と思われた。
「おおっ!」
ドワーフの血を引く、ずんぐりした体型の魔道士が喜びの声をあげた。攻撃対象が後ずさり始めたからだ。それが覆っていた木や草は枯れ果てていた。あれは万物の生命力を吸い取る種類の魔法生物ではないかと、パルパティアは思った。
(どうにも物騒でならねえべえ……。)
ああいう行動をする魔物なぞ、皆殺しの為に作ったものである。殺戮兵器と言っていい。上空の魔道士たちからは見えていない草むらや木の枝には、軟体生物により生気を奪われ事切れている鳥や昆虫たちが骸を晒していた。死をもたらす魔物である。
魔道士らは印を切る速度を速める。隙の無い魔法投射の連撃である。『広大な』軟体群はそれを避けるかのように後ずさるが、動き方がのっそりとしていて直撃を免れられなかった。
じりじりとだが下がっていく様子を見て、魔道士たちは安堵を覚え始めていた。どうにかなるかもしれない。古城の連中を避難させる必要は無いんじゃないかと思った矢先、パルパティアはぴりぴりとした空気を自分と仲間達の周囲に漂い始めたのを感じ取った。
「散れッ! 何かおるべえよ!」
叫びながら彼女は真っ先に高く飛んでいた。逃げなければまずいのに巻き込まれると直感が働いたのだ。魔力の波動や圧を感じ取るのは彼女がこの中で一番優れている。イーガの魔道騎士団の精鋭・第三軍団で5本の指に入る実力者と言われていたぐらいだから当然だった。
けれども仲間達はとっさに動けなかった。呼びかけられて頭の中で処理するのに時間がかかった。彼等は優れた魔道士ではあるけれど、逃げも習得する魔法戦士としての素養は鍛えていなかった。
突如、魔力の力場が生じる。引力が生じて彼等をからめ取ってしばりつけた。印を結ぶ手が動かなくなり、かけていた飛翔魔法の力がたちまち消えうせて次々と落下して行った。悲鳴をあげ、地面に叩きつけられていく。
(なんということ! 気づかぬうちに仕掛けていたなんて!)
とはいえ亜人の血が混じっているからすぐに事切れるわけではなかった。うめき、もがき、助けを求める。無情にも倒れている1人に、さっきまで退いていた軟体が覆いかぶさった。飲み込まれて消えていった。
突如現れパルパティアを慄かせた魔力の力場は、白い煙をまとい始め収縮し始める。先ほど現れた時よりもっと力に満ちているようだとパルパティアは思った。自分の手には負えない魔力。そしてそこからは、とても甘ったるいにおいが放たれていた。
「くそッ! そっちが『本体』か!」
収縮した煙は徐々に形を作っていく。パルパティアが冷気魔法の印を切る。巨大な氷柱が現れてその塊に撃ち込んだ。魔封じの力も含めたのだが、まるで効いている様子ではなかった。
「……!」
命の危険をに関わるのが来るぞと本能が呼びかけていた。彼女は全体に防護結界を張って後ろに退く。果たしてすぐに繰り出された。無数の熱線が空を飛び交う。実に細いがそれらはパルパティアが触れる様に張り巡らされていた。とっさに彼女が作ったマジックシールドに当たったものはかき消されたが、またすぐ熱線が現れて彼女を害そうとする。
しかしそのうちの1本があまりにも強力なものだった。パルパティアが張ったシールドを貫通し、彼女の右腕を肘から焼き切った。熱い激痛にさいなまれつつも新たなバリアーを張って防ごうと試みる。
が、もう1本がシールドの一番脆いところを狙ってパルパティアの左手の甲を貫いた。手を引っ込めて彼女は思った。魔族の魔法に違いない。
「いったいどこの誰か……!」
熱線が尚も飛んでくる。パルパティアは逃げる事にした。知らせなければ、ぼっちゃんに。
そして魔力が凝縮して作り上げられたそれは、ますますその輪郭を鮮明にさせつつあった。ニンゲンの女の姿だった。長い髪を靡かせて。それから胸元は大きく膨らんでいた。果たして誰の姿を似せたのか。
□ □ □ □ □
「……ここは?」
気づけば椅子の上に座っていた。胸のあたりがやけに重苦しい。それから、ひどく疲れ切った気分のせいで、身体がやけにだるかった。
周りを見る。石造りの壁で剣や槍が立てかけられている。汗臭く土埃くさい武者たちがぞろぞろと歩いていた。
自分の目の前には右ひざをついて頭を下げる、鎧に身をまとった5人の男達がいた。今風の鎖帷子では無かった。腰を守る甲を備えた板金の胴丸だ。膝上までの腰巻きをまとい、鉄板ですねを覆うブーツをはいていた。
「このオブサックァの城まではるばる起こし頂き、ありがとうございました」
口が勝手に動く。オブサックァ? ああそうだ。やっと思い出してきた。タンバレーネとナガオカッツェの援助を受けられるように建設していた、何かあった時の詰め城だ。
この者達が何者かを思い出した。南にある王国、コーノフェルト、イーモリハウゼン、ネヤガワハイム、イコーマブルグの、王の弟らである。このたびの同盟の締結にやって来たのだ。
4つの王国の当主らは深い縁があった。彼等の今の当主の4代前がまだ跡継ぎと呼ばれていた頃、永久不可侵の盟約を結ぶ為に都に招き、熱い褥の中で身体と情を交わし合ってそれぞれの子を産み、与えた。サキュバスとして生まれた娘らは絆の証となった。
実の娘らは慈しまれた。その父とおじ達、あるいは祖父や自分の異母兄弟のおちんちんをちゅうちゅうと吸い、淫魔のいる家庭の素晴らしさを伝えた。しかし、その娘らはもういなかった。あの裏切りの奸計が張り巡らされていた婚礼の式典で、憎き敵の刺客の手にかかったのだ。彼女達はこの4国の代表として来てたのだ。
コーノフェルトから来た男が面をあげた。
「このオブサックァの城を拠点に、我らの4国とナガオカッツェ、タンバレーネがいれば、あの憎きアスカウの猿どもを容易く打ち破れましょうぞ!」
総勢1万が助太刀してくれる。都への帰還はすぐにできる。勇ましい口ぶりに満足した。是が非でも早急に。
「でしょう、リリーナ?」
乳母に付き添われて右横に立っている、幼い娘に呼び掛けた。まだ4歳だ。ナントブルグを追われた時はまだ1歳にもならなかったのに。
「3年近く……ようやく取り戻す機会が得られました」
ここに来るまでは散々だった。追撃の手は容赦無かった。一緒に逃げた武者や女官らは次々と討たれ、家臣で残ったのはカミラとシャロンを含む10数名。アカサカチハヤにあのお方が戻って来ていないのをいいことに、アスカウの連中は惨い事をし続けていた。噂によれば、ナントブルグは凄まじい略奪に遭ったそうだ。
「皆さまのお力をお借りし、かわいいリリーナが15代目の当主としてナントブルグに帰還できるよう、このトーリは残り少ない命を用いたいと存じておりますわ」
「ははーっ!」
4名が一斉に頭をさげて見つめた。彼等の目には椅子に座る人物が映っていた。蒼にも見える黒髪を伸ばす、豊満かつ若々しい美女。胸と尻はとても大きかった。しかし淫魔であり、数百年もその姿のままだ。
ナントブルグ王国の初代女王、トーリ=カツランダルクその人であった。
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