聖騎士イズヴァルトの伝説 外伝 『女王の末裔たち』

CHACOとJAGURA

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第三部 カツランダルク戦記 『第三章・カツランダルクの姉妹』

94 別荘での出会い

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 ソーロー領にある領主の館から20キロほど南。湖畔というよりかは大きなため池の畔に、ケノービが建てた別荘がある。
 
 領主の別荘としてはさほど大きくはなかった。彼の館の10分の1の広さしか無かった。館というよりちょっと立派な一戸建ての家みたいなもの。白い漆喰の2階建てで目立つ装飾も施されていなかった。
 
 この家はマイア=テクニカに最近できた、住宅部門が設計して建てたものだった。特徴的なのは軽量鉄骨という新技術の建材を用いているという事と、柱も梁も壁も屋根も、工房であらかじめつくって置いて現地で組み立てるという方式で、工期はたったの2週間。
 
 家の設計者は近年、ホーデンエーネンで名が知られるようになった有名人でもあった。工房が雇ったサイゴーク人、ジェイムズ=ヒューレットだ。
 
 ケノービはこの別荘に不満だった。トーリに無理やり押し付けられたものだからだ。彼女は妹の会社の新設部門のPRの為にソーロー家に無理やり造らせた。
 
「どうです、この新機軸の家は。工期は短いし値段も安くてすごいでしょう?」

 マイア=テクニカの宣伝用書類を読ませてささやいた、トーリの声を思い出し、ケノービは怒りを覚えていた。
 
(すごいでしょう? あの糞アマめ!)

 その怒りがペニスに伝わり、膨張はとんでもなく硬くなっていた。四つん這いになってシーツにしがみつく妾の腹をそれで叩く。
 
「おわあああっ♡ す、すごいのぉー♡」

 ケノービの腰遣いは激しかった。ぶらんとなった毛だらけのきんたまが振り子と化していた。妾も垂れた乳房を揺らしながら自分でも尻を動かす。精液は既に2発分、彼女の腹の中に届いていた。結合部はねっちゃりとした粘着物まみれでぐちゃぐちゃだった。
 
「おらあっ! おらああっ!」
「んひいいいいい♡」
 
 血が集まって赤黒くなったペニスの先が膣の最奥部を叩き、白い尻を波打たせた。女の快感を極ませた。それでも腰は止まらなかった。彼は最近肉がつき始めた己の腹を見ながら荒く息をして女にしがみついた。
 
「孕めっ!」
「は、はあいっ♡」

 ケノービは達した。しばらく休憩だ、と言って女の尻からペニスを抜いた。上に反って硬いままだった。肌の白い身体とは違い、鼠径部は黒かった。太さと長さも、この妾を啼かせるのに申し分なかった。17センチもあり赤ん坊の腕ぐらいに太かった。陰嚢も重かった。妾を囲いだしてから常日頃注射している、サキュバスの愛液のおかげだった。
 
「ふうっ。男を孕めればいいのだがな」
 
 自分と妾の汗と体液のにおいで充満した、部屋のくさいにおいを嗅いで悩んだ。ちんぽをイラつかせるにおいだが、気持ち悪くてかなわん。壁も薄かった。断熱が施されていたから寒くはないが、行為の時の自分と女の声が漏れてしまう。特に妾の声は大きいから必ずそうなった。使用人や衛兵から、おちょくられるぐらいにだ。
 
 寝室用のローブを素肌の上に羽織ると、階段を降りて勝手口から庭へ出た。築かせた塀の壁の前に立つと、前をはだけて小便をはじめた。この家にはトイレがあったが、しゃがんで用を足すので彼と妾は用いなかった。妾も外で用を足す。ひねった糞は使用人が拾い上げて家に面している湖に捨てるきまりだった。
 
「トーリ=カツランダルクめ。こんな欠陥住宅を押し付けおって……」

 他の家も窓ははめ殺しになっているのだろうか。ケノービは知らなかった。ヨーシデンやナーガハーマに建てられ始めた一戸建ては、そもそも窓はついていなかった。オプションでつけるものだった。地元の窓業者やマイア=テクニカのガラス製品部門などに注文が必要だった。彼が押し付けられたものには確かに、トーリの悪意があった。
 
 小便を放ち切って陰茎を振った。まだ硬く大きいままだった。陰嚢もまだ物足りないと疼いていた。この2日の逗留で妾は子を孕みそうだ。サキュバスの愛液は、陰茎の増大と精力の増強だけでなく、精子の受胎率も増す優れものだった。彼女達の尿を毎日200CC飲むだけでも同じ効果は得られるのだが。
 
 さあ、もう1回してこようか。今夜は寝かせないぞと思いながら戻ろうとすると、聞きなれない声を耳にした。
 
「ケノービ=ソーロー様ではございませんか?」
 
 オーガにいそうな顔立ちの若い男だった。ケノービよりも若干背が低かった。パラッツォ教の聖職者らしいようだ。装飾が施されていない簡素な白いローブで判別できた。マハラ教の僧侶は大抵、派手な色に染め上げたり験が薄そうな魔道具をじゃらじゃらと身に着けているからだ。
 
「こんな時間に、パラッツォ教のお坊さんがどういったご用件ですかな?」
「お初にお目にかかります。私は『枢機卿』、カヅノ=セイジと申します。イーガ国王ヴィルヘルム=トードヴェル=キョウゴクマイヤー陛下のご紹介により、参上いたしました」

 これがその証拠と、カヅノは1枚の手紙を差し出した。イーガ国王の印が刻まれた封がされており、中を開くと国王の直筆のサインが施されていた。しかし、手紙の内容をよく読めば弟にあてたものだとわかった。
 
「この者が兄上のケノービ殿と話をしたいゆえ、知らせて会う日取りを調整してほしい……アナキンにあてた手紙ではないか?」

 それに不意の訪問は貴族に対して無礼である。事前にアポを取って欲しかった。だが、それは公式にお披露目できる会談や相談というものに対してだ。
 
 不意の訪問。男女の逢瀬や友との酒の他には、謀り事の為の密会だと相場は決まっている。ケノービは策士だから、この男が何も知らせもしないで来る理由はすぐにわかった。ただ、どうにもいい女のにおいがぷうんと漂って気になった。物凄い美女と汗まみれになって抱きあった。

「さようでございます。しかし、私は貴方様にいて調べておりました。アナキン様を通してよりも直接会ってお話をしたほうが良い。そう考えたのでここに参上したのでございます」

 どうにも胡散臭い感じがしたが、この男も同類ではないかとケノービは思った。もう一度手紙に目を通した。日付が書いてあった。今日のだった。
 
「貴公……転移魔法を扱えるサキュバスをお連れでしたか?」
「いえ。私ども『枢機卿』は教主殿と同じく、転移魔法を扱えるのですよ」
「転移魔法が使える……どういうことです?」
「つまりは、どこへでもすぐに行けるのです」

 そのまんまじゃないか。ケノービはそう思ったがカヅノに腕をつかまれ、自分と彼が光に包まれたのに驚き、光が失せた瞬間に見た光景を見て更に驚いた。
 
 彼等は海岸に立っていた。青い珊瑚礁が広がる熱を帯びた潮風が吹く砂浜だった。付近では漁船と思しき船を担ぐ大勢の黒い肌の男達の姿があり、あちらこちらには波打ち際でしゃがむ、子供達の姿があった。誰もが尖り耳でニンゲンよりも背が低かった。大人の男らは皆、腕が太くがっちりした体型だった。全裸だった。女性や女の子達は腕輪と足首に銀色の飾り物を身に着けていたが。
 
「いきなり……ここはどこです?」
「多分ですが……クルシマーヴァラの南西にあるウワジラプタでしょうな」
「ウワジラプタか。信じられんが……彼等はドワーフだな?」

 その様です。カヅノはこちらを見てすぐにうつむいた、連れ立ってしゃがむ小さな女の子達に目を向けた。彼女達の尻から茶色いものが落とされ出した。
 
「ホーデンエーネンではあまり見ない光景ですな……ウワジラプタの海ドワーフの漁村ですか」
「どうやらその様ですね。戻りましょう」

 また光。収まると元いた別荘の中庭だった。ウワジラプタよりも肌寒く、日の光もあまり当たらないホーデンエーネンの空となっていた。ケノービはカヅノを見つめていた。
 
「あれが私の一度の移動での限界ですが、サキュバス達よりも長い距離を移動することが可能です」
「驚いた……パラッツォ教には貴方の様な魔道士がいたとは……」
 
 なんと恐ろしい。これで暗殺を仕掛けられたらとケノービは恐れた。カヅノは微笑んだ。警戒心を解かせる為にだった。
 
「ケノービ=ソーロー様。私と手を組みませんか? あの女を恐れているのでしょう。トーリ=カツランダルクを?」
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