202 / 288
第三部 カツランダルク戦記 『第三章・カツランダルクの姉妹』
90 邪魔者
しおりを挟む
ヴァネロペは、手のひらに出来た穴から死者のペニスを引っこ抜いく。彼女の身体を彩っていた入れ墨みたいな文様の縁が、うっすらと輝いた。緑かかった黄色い蛍光色だ。
「ヴァネロペ、こんな時にエネルギー補給かよ?」
「……」
ヴェロニカは黙したまま、もう1人の死にぞこないの貫頭衣をめくりあげ、今度は左手に穴をあけてペニスをねじ込む。雑魚サキュバス4人に剣を向けるエルザが、ヴァネロペからメッセージを受け取った。
「死にゆく者のためにせめてもの餞たいのよ。ヴェロニカはそう言っているわ」
「結界を維持する魔力が足りないからじゃなくてかい?」
「……」
ヴァネロペは鼻息を鳴らすのみで答えなかった。ブライアンが斬った男たちが全員死んだのを確かめると、カミラに近づいた。
カミラは身動きが取れなかった。身体がすくみあがっているからだ。逃げる方法は無かった。この結界が彼女のものなら、まず転移魔法は使えない。
「……」
「魔竜さまのところに連れ戻すおつもりですか?」
ヴァネロペがうなずく。それは出来ないとカミラは答えた。
「魔竜様の考えはわかっております。トーリ様を今すぐ魔界へ連れて帰りたい……もう『魔族』になったから。『一族』として目覚めてしまったから」
こくり。だからとヴァネロペはカミラにささやいた。トーリをこの世界に残していては乱が起きるだろう。彼女は覚醒しすぎてしまった。
「……でも、ワタシたちはまだやることが。『おじょうさま』がこのホーデンエーネンに、数百年も続くカツランダルクの王国の基礎を築く、お手伝いを」
「……!」
ヴァネロペの目が見開いた。何かを察したのだ。エルザとアナとハーマイオニーに念話を送っていた。急ぎこの場を離れろ。何かが来る。
予知の力を持つブライアンもわかった。この時数秒後に起こり得る光景を幻視として見ていたからだ。
「真上からだ!」
ヴァネロペが結界を、ドーム型から天空からの攻撃を守る大きな盾のように変えた。ハーマイオニーとアナがサキュバス達を抱えた。エルザはブライアンだ。
「……!」
来る。それははるか上空から。数百の火炎の矢となって降り注いで来た。ヴァネロペは光の盾で防げるかと思った。けれども結界を貫通された。転移魔法を。
炎の矢が地上に降り注ぎ、森林を燃やしたのはそれからすぐのことだった。上空ではパラッツォ教の白い法衣をまとい、長大なランスを手にした男が見下ろしていた。
「たとえ魔族と言えど、ただではすまされまい……」
その男、首に真っ赤なスカーフをつけ、長い髪を整髪剤で固めて後ろにまとめていた。胸にはバラや桔梗を象ったブローチもつけている。枢機卿一の伊達男、サクラウチ=シロウだ。
彼はカヅノ=セイジより、教主を狙っての魔竜の刺客がこの森に潜んでいる聞いた。ナーガハーマのパラッツォ教徒街に移って探っていた所、強力な魔力の結界を感知して襲ったのだ。
「ふっ、大勝利だ。ワレ奇襲ニ成功セリ! 『旧時代』の名文句が言えるとは、これまた愉快だ!」
わははははっ。サクラウチはいささかお調子者に過ぎる。格好良くありたいのと、人から格好良く見られたいという気が強かった。普段着は龍や錦鯉、具足をつけた美人エルフを、きらきらした糸で刺繍した衣服を好むぐらいだ。
事はなった。教主とそれを気遣うカヅノ=セイジも枕を高くして女と寝れるだろうと安心しきっていたその時である。真上から強い魔の気配を察して身構えた。あたりをつけ、3メートルを超えるランスを突き上げた。
「いい勘してるね!」
鳴り合う音。ランスが弾かれた。黒い刃の二振りを持つ少年から抜け出たばかりの青年の姿。ブライアン=スエッツァーだった。
「何奴!」
「ニンゲンの剣士さ!」
ランスにつかまりながらブライアンが左の剣を振り上げる。サクラウチは首を後ろに反って切っ先を避けた。
「教主殿を狙うというのは貴様か!」
「知らないね! でも、殺しにかかるご挨拶をやられたんじゃ、見逃してあげないよ!」
ランスにしがみついていたブライアンが飛びかかった。サクラウチは下にさがってまた突き出そうとする。しかしこのすばしこい青年にはいささか緩慢に見えた。突き上げるのを避け、軽いが痛い一斬りを彼の背中にくれてやった。
「いたっ! 小癪な!」
「じゃあな! オイラはここいらで退散だ!」
「ふん、落ちて死ぬだけだろうが! 命乞いすれば助けてやらんでもない!」
上空である。そのまま落下すればニンゲンであれば死ぬだろう。が、サクラウチは握っていたランスにずしりと重いものを感じ取った。その切っ先にブライアンが、またも掴んでしがみついていたのだ。
「くっ、貴様! 転移魔法が使える術者だったか!」
ブライアンがまた飛び降りて振り下ろして来た。そうはさせない。サクラウチはランスをぶん回してブライアンを殴り飛ばした。
「いってええっ!」
サクラウチはオーガの『忌み子』だ。膂力はニンゲンの数倍ある。その一撃を食らったらただでは済まされなかった。ブライアンは鼻血を流しながら地面へと吹き飛ばされる。サクラウチは「勝った」とほくそ笑んだ。
「わはははは! この程度で私に勝とうとは10年早いんだよ! ううむ、また『旧文明』の名言を使ってしまったな。はははは。愉快だ!」
ブライアンの姿が見えなくなった。この高さであれば叢に落ちても「ぐしゃっ、死~ん」だろう。
だが、違和感が拭えなかった。サクラウチは森に向けて魔法を放つ時に巨大な魔法防壁を目にした。あれだけのものを築くには、相当な魔力の持ち主でなければならないはずだ。なのにあのブライアンには、そこまでの魔力を感じ取れなかった。とはいえ尋常な量ではなかったから、魔法戦士とも思えたが。
(サキュバスに似た感じがしたが……ええい、待て。あの男1人では無かったはずだろう。転移魔法となれば……潜んでいるのか?)
それよりもさっさとこの場を離れよう。そう思って上を向いた時、彼は驚いて声をあげてしまった。
全身に入れ墨の様な文様をつけた、全裸の幼い女魔族がいたからだ。メガネを掛け、大股を開いていた。ぱっくりと割れた陰裂と尻穴が丸見え。かわいいのだが無表情でどうにも不気味だ。
「きゃつの仲間か!」
「……」
その魔族、サキュバスのヴァネロペは右手の指で己の陰裂をくちゃくちゃと弄り回していた。濡れてぬらっとしており、小陰唇とクリトリスとがひくひくとうごめいていた。
その光景に見とれてサクラウチは勃起していた。無表情のままヴァネロペがびくっ、と肩を震わせる。陰裂の奥がくちゅ、と開いた。あたり一面にいつまでの記憶に残りそうな甘くとろけそうな匂いが放たれた。
「おおおお! なんだ、このにおいは!」
ヴァネロペの淫の気である。彼女は魔界の上級のサキュバス、しかも大貴族に列せられる淫魔だ。絶頂した彼女のマン臭をかいだ者はただでは済まされなかった。
鼻腔に甘い女性器臭が入り込んだ途端、サクラウチの勃起が激しく脈打った。
「おわああっ!」
不随意射精が彼を襲う! びゅっくびゅっくと激しい射出感が彼の感覚を占拠した。
ヴァネロペは更にくちゅくちゅくちゅ、と音を鳴らしながら指で高め、もうひと放ちを食らわせる。濃厚なサキュバスのスメルが鼻腔から脳神経に侵食し、彼の射精中枢に更なる命令を送り込んだ。
「おわああっ! おわああっ!」
またもスペルマの放出だ。止まらない。こうなったら最後、撃ち枯れても失神するまで続くのだ。ヴァネロペがにやりと笑った。してやったりである。サクラウチはまたも射精しながら叫んだ。
「なんてふざけた真似を! おおわっ! さ、サキュバスならサキュバスらしく……おおおおわっ! 貴様のおまんこで勝てばよいものを……おおわああああっ!」
サクラウチの下半身は、自分が放った生暖かいものでぐちゃぐちゃだった。まだ射精が続く。ヴァネロペはおまんこをくちゅくちゅとさせてもっと悩ませにかかったが、内心残念に思った。あのザーメンにはよだれが出るほど大量の魔力が含まれていたからだ。
「……」
一瞬彼女の顔によぎった残念そうな表情を見て、サクラウチはその心境に気付いた。しかし「うわああ!」と叫びたくなる射精が続いている。これ以上は戦えない。
「くそ、これで勝ったと思うなよ……おわあああっ! 今度は…おわっ! 私のちんぽで勝負だ、淫魔! おおわああっ!」
サクラウチは姿を消した。射精しながらでも転移魔法を使ったからだ。なかなかに良い精神力の持ち主だとヴァネロペは感心した。ああいう強い男ならもしかしたら、自分の様な魔界の大貴族でも受胎せしめる精力があるかもしれない。今度会ったらそっちで勝負しよう。いいちんぽなら、魔界に連れ帰るつもりだ。
「おーい、ヴァネロペ!」
エルザに担がれながらブライアンがやってきた。あいつは逃げたのか。ヴァネロペはエルザに近づき、耳元でごにょごにょとささやいた。
「何もブライアンをけしかけなくても、最初から自分が出て空中でのおまんこ合戦をやればよかった、と残念がっているわ」
「ちぇっ。オイラの精液じゃ足らないのかよ……ていうかこのあたり、君のおまんこのにおいと誰かの精液のにおいがぷんぷんしてるな?」
「ごにょごにょ……」
「サキュバスの得意技をやったまでよ、と言っているわ。上位のサキュバスは自分のあそこのにおいだけで男をイかせることができるの。特に早漏なのはやられ易いのよ」
「あいつ、童貞だったのかな……どうにもオーガくさかった? ならわかる。あいつら、でかいちんぽをぶら下げているわりには早く出しすぎだからね。『ほんこん』のスター俳優みたいなハンサム野郎ばかりだけど、早漏なのはなぁ……」
ブライアンは前世の記憶を探りながらつぶやいた。あのサクラウチも、カッコつけかたは中途半端だったがかなりの美男子だった。前世の姉が熱心なファンだった、キンジョウ、だか、カネシロ、のどっち読みか忘れたが、台湾人のアイドル俳優にそっくりだった。
「ごにょごにょ……」
「捕虜はどうしたかって? リリカとオンプップ、ほか4名のサキュバスは確保しているわ……でも、カミラとでぶいのは逃げちゃった」
「……ごにょ」
「魔竜様はやさしい上司よ。ちゃんと報告すれば大目に見てくれるんですもの。けど『あのおかた』は違う。ヘマをしたら1日中、羞恥プレイを受けることはきっとないわ」
エルザの無い乳を揉んでつねられていたブライアンだが、その内容に気になって尋ねてみた。羞恥プレイとは何だ?
「目の前でうんちやおしっこをさせられた上で、拭かないまま股や尻のにおいを嗅いでくるのよ。くっさいのが大好きなお方なの。ちんかすまみれのちんちんの匂いを嗅いだり、しゃぶったりするのが大好きなので有名よ」
「変なやつだなあ……」
「恐れ多くも魔王の一族、今の魔王様のおばにあたるお方だから、恐れ多い事は言えないわ、ワタシ、サキュバスなんだもん」
それよりもコンゴウアミダラデンに帰って報告だ。カミラのことは追って別の手段で近づく事になるだろう。その場合は、ナントブルグでサキュバスアイスクリーム店を任せているハーマイオニーと末妹のオーラフの出番だとエルザは言った。
「ヴァネロペ、こんな時にエネルギー補給かよ?」
「……」
ヴェロニカは黙したまま、もう1人の死にぞこないの貫頭衣をめくりあげ、今度は左手に穴をあけてペニスをねじ込む。雑魚サキュバス4人に剣を向けるエルザが、ヴァネロペからメッセージを受け取った。
「死にゆく者のためにせめてもの餞たいのよ。ヴェロニカはそう言っているわ」
「結界を維持する魔力が足りないからじゃなくてかい?」
「……」
ヴァネロペは鼻息を鳴らすのみで答えなかった。ブライアンが斬った男たちが全員死んだのを確かめると、カミラに近づいた。
カミラは身動きが取れなかった。身体がすくみあがっているからだ。逃げる方法は無かった。この結界が彼女のものなら、まず転移魔法は使えない。
「……」
「魔竜さまのところに連れ戻すおつもりですか?」
ヴァネロペがうなずく。それは出来ないとカミラは答えた。
「魔竜様の考えはわかっております。トーリ様を今すぐ魔界へ連れて帰りたい……もう『魔族』になったから。『一族』として目覚めてしまったから」
こくり。だからとヴァネロペはカミラにささやいた。トーリをこの世界に残していては乱が起きるだろう。彼女は覚醒しすぎてしまった。
「……でも、ワタシたちはまだやることが。『おじょうさま』がこのホーデンエーネンに、数百年も続くカツランダルクの王国の基礎を築く、お手伝いを」
「……!」
ヴァネロペの目が見開いた。何かを察したのだ。エルザとアナとハーマイオニーに念話を送っていた。急ぎこの場を離れろ。何かが来る。
予知の力を持つブライアンもわかった。この時数秒後に起こり得る光景を幻視として見ていたからだ。
「真上からだ!」
ヴァネロペが結界を、ドーム型から天空からの攻撃を守る大きな盾のように変えた。ハーマイオニーとアナがサキュバス達を抱えた。エルザはブライアンだ。
「……!」
来る。それははるか上空から。数百の火炎の矢となって降り注いで来た。ヴァネロペは光の盾で防げるかと思った。けれども結界を貫通された。転移魔法を。
炎の矢が地上に降り注ぎ、森林を燃やしたのはそれからすぐのことだった。上空ではパラッツォ教の白い法衣をまとい、長大なランスを手にした男が見下ろしていた。
「たとえ魔族と言えど、ただではすまされまい……」
その男、首に真っ赤なスカーフをつけ、長い髪を整髪剤で固めて後ろにまとめていた。胸にはバラや桔梗を象ったブローチもつけている。枢機卿一の伊達男、サクラウチ=シロウだ。
彼はカヅノ=セイジより、教主を狙っての魔竜の刺客がこの森に潜んでいる聞いた。ナーガハーマのパラッツォ教徒街に移って探っていた所、強力な魔力の結界を感知して襲ったのだ。
「ふっ、大勝利だ。ワレ奇襲ニ成功セリ! 『旧時代』の名文句が言えるとは、これまた愉快だ!」
わははははっ。サクラウチはいささかお調子者に過ぎる。格好良くありたいのと、人から格好良く見られたいという気が強かった。普段着は龍や錦鯉、具足をつけた美人エルフを、きらきらした糸で刺繍した衣服を好むぐらいだ。
事はなった。教主とそれを気遣うカヅノ=セイジも枕を高くして女と寝れるだろうと安心しきっていたその時である。真上から強い魔の気配を察して身構えた。あたりをつけ、3メートルを超えるランスを突き上げた。
「いい勘してるね!」
鳴り合う音。ランスが弾かれた。黒い刃の二振りを持つ少年から抜け出たばかりの青年の姿。ブライアン=スエッツァーだった。
「何奴!」
「ニンゲンの剣士さ!」
ランスにつかまりながらブライアンが左の剣を振り上げる。サクラウチは首を後ろに反って切っ先を避けた。
「教主殿を狙うというのは貴様か!」
「知らないね! でも、殺しにかかるご挨拶をやられたんじゃ、見逃してあげないよ!」
ランスにしがみついていたブライアンが飛びかかった。サクラウチは下にさがってまた突き出そうとする。しかしこのすばしこい青年にはいささか緩慢に見えた。突き上げるのを避け、軽いが痛い一斬りを彼の背中にくれてやった。
「いたっ! 小癪な!」
「じゃあな! オイラはここいらで退散だ!」
「ふん、落ちて死ぬだけだろうが! 命乞いすれば助けてやらんでもない!」
上空である。そのまま落下すればニンゲンであれば死ぬだろう。が、サクラウチは握っていたランスにずしりと重いものを感じ取った。その切っ先にブライアンが、またも掴んでしがみついていたのだ。
「くっ、貴様! 転移魔法が使える術者だったか!」
ブライアンがまた飛び降りて振り下ろして来た。そうはさせない。サクラウチはランスをぶん回してブライアンを殴り飛ばした。
「いってええっ!」
サクラウチはオーガの『忌み子』だ。膂力はニンゲンの数倍ある。その一撃を食らったらただでは済まされなかった。ブライアンは鼻血を流しながら地面へと吹き飛ばされる。サクラウチは「勝った」とほくそ笑んだ。
「わはははは! この程度で私に勝とうとは10年早いんだよ! ううむ、また『旧文明』の名言を使ってしまったな。はははは。愉快だ!」
ブライアンの姿が見えなくなった。この高さであれば叢に落ちても「ぐしゃっ、死~ん」だろう。
だが、違和感が拭えなかった。サクラウチは森に向けて魔法を放つ時に巨大な魔法防壁を目にした。あれだけのものを築くには、相当な魔力の持ち主でなければならないはずだ。なのにあのブライアンには、そこまでの魔力を感じ取れなかった。とはいえ尋常な量ではなかったから、魔法戦士とも思えたが。
(サキュバスに似た感じがしたが……ええい、待て。あの男1人では無かったはずだろう。転移魔法となれば……潜んでいるのか?)
それよりもさっさとこの場を離れよう。そう思って上を向いた時、彼は驚いて声をあげてしまった。
全身に入れ墨の様な文様をつけた、全裸の幼い女魔族がいたからだ。メガネを掛け、大股を開いていた。ぱっくりと割れた陰裂と尻穴が丸見え。かわいいのだが無表情でどうにも不気味だ。
「きゃつの仲間か!」
「……」
その魔族、サキュバスのヴァネロペは右手の指で己の陰裂をくちゃくちゃと弄り回していた。濡れてぬらっとしており、小陰唇とクリトリスとがひくひくとうごめいていた。
その光景に見とれてサクラウチは勃起していた。無表情のままヴァネロペがびくっ、と肩を震わせる。陰裂の奥がくちゅ、と開いた。あたり一面にいつまでの記憶に残りそうな甘くとろけそうな匂いが放たれた。
「おおおお! なんだ、このにおいは!」
ヴァネロペの淫の気である。彼女は魔界の上級のサキュバス、しかも大貴族に列せられる淫魔だ。絶頂した彼女のマン臭をかいだ者はただでは済まされなかった。
鼻腔に甘い女性器臭が入り込んだ途端、サクラウチの勃起が激しく脈打った。
「おわああっ!」
不随意射精が彼を襲う! びゅっくびゅっくと激しい射出感が彼の感覚を占拠した。
ヴァネロペは更にくちゅくちゅくちゅ、と音を鳴らしながら指で高め、もうひと放ちを食らわせる。濃厚なサキュバスのスメルが鼻腔から脳神経に侵食し、彼の射精中枢に更なる命令を送り込んだ。
「おわああっ! おわああっ!」
またもスペルマの放出だ。止まらない。こうなったら最後、撃ち枯れても失神するまで続くのだ。ヴァネロペがにやりと笑った。してやったりである。サクラウチはまたも射精しながら叫んだ。
「なんてふざけた真似を! おおわっ! さ、サキュバスならサキュバスらしく……おおおおわっ! 貴様のおまんこで勝てばよいものを……おおわああああっ!」
サクラウチの下半身は、自分が放った生暖かいものでぐちゃぐちゃだった。まだ射精が続く。ヴァネロペはおまんこをくちゅくちゅとさせてもっと悩ませにかかったが、内心残念に思った。あのザーメンにはよだれが出るほど大量の魔力が含まれていたからだ。
「……」
一瞬彼女の顔によぎった残念そうな表情を見て、サクラウチはその心境に気付いた。しかし「うわああ!」と叫びたくなる射精が続いている。これ以上は戦えない。
「くそ、これで勝ったと思うなよ……おわあああっ! 今度は…おわっ! 私のちんぽで勝負だ、淫魔! おおわああっ!」
サクラウチは姿を消した。射精しながらでも転移魔法を使ったからだ。なかなかに良い精神力の持ち主だとヴァネロペは感心した。ああいう強い男ならもしかしたら、自分の様な魔界の大貴族でも受胎せしめる精力があるかもしれない。今度会ったらそっちで勝負しよう。いいちんぽなら、魔界に連れ帰るつもりだ。
「おーい、ヴァネロペ!」
エルザに担がれながらブライアンがやってきた。あいつは逃げたのか。ヴァネロペはエルザに近づき、耳元でごにょごにょとささやいた。
「何もブライアンをけしかけなくても、最初から自分が出て空中でのおまんこ合戦をやればよかった、と残念がっているわ」
「ちぇっ。オイラの精液じゃ足らないのかよ……ていうかこのあたり、君のおまんこのにおいと誰かの精液のにおいがぷんぷんしてるな?」
「ごにょごにょ……」
「サキュバスの得意技をやったまでよ、と言っているわ。上位のサキュバスは自分のあそこのにおいだけで男をイかせることができるの。特に早漏なのはやられ易いのよ」
「あいつ、童貞だったのかな……どうにもオーガくさかった? ならわかる。あいつら、でかいちんぽをぶら下げているわりには早く出しすぎだからね。『ほんこん』のスター俳優みたいなハンサム野郎ばかりだけど、早漏なのはなぁ……」
ブライアンは前世の記憶を探りながらつぶやいた。あのサクラウチも、カッコつけかたは中途半端だったがかなりの美男子だった。前世の姉が熱心なファンだった、キンジョウ、だか、カネシロ、のどっち読みか忘れたが、台湾人のアイドル俳優にそっくりだった。
「ごにょごにょ……」
「捕虜はどうしたかって? リリカとオンプップ、ほか4名のサキュバスは確保しているわ……でも、カミラとでぶいのは逃げちゃった」
「……ごにょ」
「魔竜様はやさしい上司よ。ちゃんと報告すれば大目に見てくれるんですもの。けど『あのおかた』は違う。ヘマをしたら1日中、羞恥プレイを受けることはきっとないわ」
エルザの無い乳を揉んでつねられていたブライアンだが、その内容に気になって尋ねてみた。羞恥プレイとは何だ?
「目の前でうんちやおしっこをさせられた上で、拭かないまま股や尻のにおいを嗅いでくるのよ。くっさいのが大好きなお方なの。ちんかすまみれのちんちんの匂いを嗅いだり、しゃぶったりするのが大好きなので有名よ」
「変なやつだなあ……」
「恐れ多くも魔王の一族、今の魔王様のおばにあたるお方だから、恐れ多い事は言えないわ、ワタシ、サキュバスなんだもん」
それよりもコンゴウアミダラデンに帰って報告だ。カミラのことは追って別の手段で近づく事になるだろう。その場合は、ナントブルグでサキュバスアイスクリーム店を任せているハーマイオニーと末妹のオーラフの出番だとエルザは言った。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる