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第三部 カツランダルク戦記 『第三章・カツランダルクの姉妹』
83 使節
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連絡役という任務を放り出し、イーガ国王の妾となって、ちゅっちゅいちゃいちゃしまくる愛欲の日々を送っていたカミラは戻って来た。恐ろしい話を仕入れたからだ。
「カミラ、それは本当の事なの?」
「はい。イズヴァルト様は司祭騎士団長となったそうです。ヴィルヘルム陛下よりお聞きしました」
「カナザワースにも部下は送っておりますが、まさか、そんなことになっていたとは……」
「サイゴークからの情報がここしばらく途絶えていたとういのは、なぜ?」
途絶えていたのではない。情報管制が敷かれていたのだ。巡らせたのはゲースティアのショージュ=オーウェン。停戦の条件は厳しく秘匿していた。世界にあらぬ混乱を起こさぬ様にである。
「戦争で活躍した功績により、スーエイニア、ゲースティア、イーズモーとヒッジランドに土地を授与されたとは聞いておりましたが、まさか、パラッツォ教団にヘッドハンティングされてしまったとは……」
「なら、私が引き取る為に交渉しましょう。見返りはジョーケインが成人して王位に就いた後、私が教主様の専属孕み袋になることで、いけるかしら♡」
カミラは何にもいえなかった。イズヴァルトの身柄を抑えたのは、トーリに対抗する為であろう。向かう先は最近、ごたごたが起こり始めている北部諸侯の神輿役だろう。彼等は独立国家の旗頭を欲しがっていた。
「トーリ様がコーザの妻になったら、それこそ魔竜様が危険視するに違いありません。魔界最強のヤギウセッシウサイに討伐を命じるでしょう。危険です」
「その人、オークらしいわね♡ わたしがそいつの慰みものとしての後半生を送るなら、もっといいじゃない♡」
「御戯れを。そろそろ真面目にお話いただけませんか、ひめさま?」
仕方ないわね。逃げていただけよ。でもこれからは逃げちゃダメってことがわかったから頑張るわ。遥か未来を目指す為の魔族の翼もあるんだし。
「何か、策はあるかしら?」
「イズヴァルト様を説得する他はございません。その為にマイヤ様をお遣わし下さい」
「でも、イズヴァルトさんはマイヤときっぱり別れたのでは?」
「何をおっしゃいます。イズヴァルト様がサイゴークで武功をあげたのは、異国の大将軍となりマイヤ様をお迎えに上がる為に、決まっているじゃありませんか!」
そうか……。その理由であればトーリは理解できた。マイヤは今でも、イーガの王子の愛妾という立場だ。マルティン王子に匹敵する地位を得れば対抗できる。マイヤを迎えるなら自分もそうする。何故なら大望を果たすまでルッソを遠ざけたからだ。今はもう修復不可能だとあきらめているけど。
しかしマイヤを連れて行ったらどうなるのだろうか? マイヤは総合大学をたてる夢を果たした。後はヨーシデンをもっと栄えさせる為の消化試合。暗示をかけているが、それが破られないとは限らない。
魔力回路をズタズタにされたとはいえ、マイヤもまたナントブルグの女王の末裔だ。不屈の精神で打ち破るかもしれない。
(どうしたものかしら……)
考えに浸ろうとするとカミラがどやしつけて来た。ひめさま、この御に及んでまだあれこれとお考えですか!
「ご決断なさいませ」
「わかったわ。マイヤを遣わす。もちろん私も付いて行くから」
「ありがとうございます。まずは私が使者となりましょう」
「なら、何名か連れて行って。本当はシャロンもいてくれたいいんだけど……」
シャロンは未だ行方がわかっていない。まだ生きているとトーリは信じていたがカミラ達は諦めていた。
カミラはエチウに向かう前に色街にある、トーリの部下達の『隠れ家』に寄った。サキュバス達の子供を集めて住まわせている。そこに母親らもいるはずだ。
入ると子供達が出迎えてくれた。その家に今日いるのは、ヤスミンカとリリカだ。ヤスミンカといつもつるんでいる、ワンガリの姿が無い。
「王都にいるのはアナタたちだけ?」
「はい。ルカとオンプッププレトットンがおりますが、演芸酒場でステージの真っ最中でしょう」
2人はカミラがヘッドハンティングした下級サキュバス。本業は楽人だった。ルカが楽器を鳴らし、オンプッププレトットンが唄う。オンプッププレトットンは若く、12歳ぐらいの女の子に見える。ちょっとしたアイドルでもあった。ニンゲンに化けている時は黒髪だが、淫魔の姿に戻ると髪の毛は深紫色だ。
「あの2人は別にいいわ。そこそこ実力あるコを探しているの。エチウで2~3日滞在するのに手を貸してくれるコが欲しい」
「コーザに会いに行くのですね?」
しかし滞在は1週間以上に及ぶだろうとヤスミンカは思った。エチウはサキュバスにとって垂涎の地でもある。何せ、1億を越すニンゲンが住んでいるからだ。
彼等のちんぽに教主コーザや枢機卿のペニス。金玉袋がたっくさん。精液漁りに事欠かない。1か月どころか1年滞在してしまうだろう。しかしだ。
「イズヴァルトさまは、本当に司祭騎士に?」
「イーガの諜報能力は優れているわ。サキュバス顔負けよ」
それにしてもだ。ナントブルグにいる部下の数が減っている。どうなっているのかリリカに尋ねた。彼女は人員を把握する役目を受けていたからだ。
「ご察しの通りです。シャロン様を始め、この3年間に10名以上のサキュバス達が行方不明になりました」
「任務が嫌になったのかしら……」
「そうではないでしょう。彼女らの恋人や友人らを訪ねましたが、手掛かりは掴めません……」
層がかなり薄くなってしまっている。中級サキュバスはヨーシデンに2名、サカーイとアジールにはフラニーとジュディとスザナが。
「それと……アヅチハーゲンに派遣した3名の行方がわからなくなりました」
「ルッソ様の監視役が? 雇った下級とはいえ武芸が出来るほうなのに……」
ワンガリはどうしているのか。彼女は数名の部下を連れてサイゴークにいるという。マレーネが率いる魔道騎士団を追ったが、今はゲースティアにいるらしい。帰国の準備を始めているところだとか。
「ワンガリからは定期的に連絡が入っております。イズヴァルトさまが連れたエルフ達も一緒のようです。マレーネさまは、イズヴァルトさまのお子を2人産んで、3人目をお腹に入れているようですが……」
どれも女の子。エヴァ、アンネと名付けられた。その他にもイズヴァルトは、エルフ達の間に何人も子を為したそうだ。マレーネの側近のパルパティアも、女の赤ちゃんを産んだそうである。
「それと、オーキ諸島の話となりますが」
「サキュバスの子孫がたくさんいる島ね。ワタシのトモダチもそこに住んでいたわ」
「イズヴァルトさまと似た波動を持つ女の子がたくさんいるみたいです。あそこでたくさん種付けをしていたみたいですわ」
「とんでもない受精力ね。やはりトーリさまは、イズヴァルトさまの愛人になられたほうがいいかもしれない。武人の血をひく親族衆を、オルフレッド様に加えたいところだわ」
しかしイズヴァルトはトーリを警戒している。とてもじゃないが無理だろう。だから自分がイズヴァルトに会いに行って、説得する。マイヤとも絆を取り戻して欲しい。子供はいくらでも造れるが、恋女房は1人あるいは2人しか為せないものだ。
□ □ □ □ □
その晩はサキュバス達の隠れ家に泊り、大人の男達と楽しそうに交合するこどもサキュバスらの愛らしい姿を楽しみながら、自分も抱かれてカミラは鋭気を養った。
ヤスミンカだけが付いて行くこととなった。転移魔法を用いて北へ向かう。彼女達はアカサカチハヤを突っ切っていくルートを選んだ。そっちのほうが近道だからだ。コンゴウアミダラデンは避ける事にした。
とはいえ宿には事欠かない。アカサカチハヤ山地には、魔族や亜人の小さな集落がいくつもある。他の大陸からゴブリンやドワーフが移り住んでいた。貴重な植物や鉱物が豊富にあるからだ。寒いが土地は肥えている。高原野菜も栽培されている。
山地に入ってから2回目の転移でたどり着いた集落で、夜を過ごす事にした。コンゴウアミダラデンから200キロほど西にあるゴブリン達の集落だ。美味しいい創作野菜料理を振舞ってくれる宿があるという。コンゴウアミダラデンの観光ガイドにも載っている名店なのだそうだ。
カミラとヤスミンカは、ゴブリンの女店員が持ってきてくれたそれを食べていた。もしゃもしゃ。
「うん、おいしい! イーガの高級レストランでも味わったことがないわ! それに新鮮!」
「ビューですね。ビュー!」
任務のことを忘れて2人は次々と注文する。路銀はトーリからたっぷりともらっていた。それとカミラはイーガ国王の愛妾である。世界で一番の金持ち王国から、使い切れないほどの月給を貰っていた。もっとも彼女は、その半分以上を孤児院や乞食に寄付していたが。
「お金はたんとあるわ。ヤスミンカ、お腹が倍に膨れ上がるぐらい注文しなさい」
「わかりましたわ! すみませーん。アカサカチハヤニガウリの炒め物と高原人参と玉ねぎの煮物を3人前、特盛りで!」
サキュバス達はもりもりと食った。それからナンパしたゴブリン男と朝までベッドインだ。ゴブリンが大好きで特技になっている指と舌による前戯で「あは~ん♡」と悶え、なかなか放たないが13センチ近くある超硬度の『上向き棒』で「うっふん♡」と。
めくるめく性感を受けた後の転移魔法は、いつもの2倍は距離が長くなる。次の朝の第一回目のワープで一気にナーガハーマに入るだろう。
その前に仮眠をとることにした。カミラとヤスミンカはゴブリンの里で作り立ての麻薬を煙で吸いながら、男どもを性的にやっつける夢を見た。どちらも同じ夢だった。女ゴブリンスレイヤーと化した彼女達に、夢の中のゴブリン達はメロメロだった。
何人、何十人ものゴブリンたちが彼女達の下の口に食われる。騎乗位や後背位でのセックスで次々と男らは射精してぐったりと果てていく。精液をたくさんもらってカミラたちはウハウハだ。ゴブリンのザーメンは美容液である。森の薬草の成分が含まれていて健康にもいい。
でも。ヤスミンカの夢の中のカミラが疑問をはさんだ。こんなに早漏だったっけ、この種族?
「どうせ夢なんだから不粋なことを言わないでくださいよ、おねえさま!」
昔の呼び方でカミラに返したヤスミンカは、その時に目覚めた。ベッドで隣に寝ていたはずのカミラは起きていた。顔をこわばらせ、ぶるぶると震えていた。目は入口のドアの方に注がれていた。
「な、な、なぜ……あなたが……」
ヤスミンカはやっと気が付いた。とてつもないプレッシャーを感じる魔力がそこに。その源のほうに顔を向ける。くどい顔をしたシマーヅ人風の美熟女がそこに立っていた。顔を隠した、えらく大きな黒装束の大男とともに。
「魔竜、さま……?」
コンゴウアミダラデンにいるはずのサイカノマゴイチが、なぜ、ここに?
「カミラ、それは本当の事なの?」
「はい。イズヴァルト様は司祭騎士団長となったそうです。ヴィルヘルム陛下よりお聞きしました」
「カナザワースにも部下は送っておりますが、まさか、そんなことになっていたとは……」
「サイゴークからの情報がここしばらく途絶えていたとういのは、なぜ?」
途絶えていたのではない。情報管制が敷かれていたのだ。巡らせたのはゲースティアのショージュ=オーウェン。停戦の条件は厳しく秘匿していた。世界にあらぬ混乱を起こさぬ様にである。
「戦争で活躍した功績により、スーエイニア、ゲースティア、イーズモーとヒッジランドに土地を授与されたとは聞いておりましたが、まさか、パラッツォ教団にヘッドハンティングされてしまったとは……」
「なら、私が引き取る為に交渉しましょう。見返りはジョーケインが成人して王位に就いた後、私が教主様の専属孕み袋になることで、いけるかしら♡」
カミラは何にもいえなかった。イズヴァルトの身柄を抑えたのは、トーリに対抗する為であろう。向かう先は最近、ごたごたが起こり始めている北部諸侯の神輿役だろう。彼等は独立国家の旗頭を欲しがっていた。
「トーリ様がコーザの妻になったら、それこそ魔竜様が危険視するに違いありません。魔界最強のヤギウセッシウサイに討伐を命じるでしょう。危険です」
「その人、オークらしいわね♡ わたしがそいつの慰みものとしての後半生を送るなら、もっといいじゃない♡」
「御戯れを。そろそろ真面目にお話いただけませんか、ひめさま?」
仕方ないわね。逃げていただけよ。でもこれからは逃げちゃダメってことがわかったから頑張るわ。遥か未来を目指す為の魔族の翼もあるんだし。
「何か、策はあるかしら?」
「イズヴァルト様を説得する他はございません。その為にマイヤ様をお遣わし下さい」
「でも、イズヴァルトさんはマイヤときっぱり別れたのでは?」
「何をおっしゃいます。イズヴァルト様がサイゴークで武功をあげたのは、異国の大将軍となりマイヤ様をお迎えに上がる為に、決まっているじゃありませんか!」
そうか……。その理由であればトーリは理解できた。マイヤは今でも、イーガの王子の愛妾という立場だ。マルティン王子に匹敵する地位を得れば対抗できる。マイヤを迎えるなら自分もそうする。何故なら大望を果たすまでルッソを遠ざけたからだ。今はもう修復不可能だとあきらめているけど。
しかしマイヤを連れて行ったらどうなるのだろうか? マイヤは総合大学をたてる夢を果たした。後はヨーシデンをもっと栄えさせる為の消化試合。暗示をかけているが、それが破られないとは限らない。
魔力回路をズタズタにされたとはいえ、マイヤもまたナントブルグの女王の末裔だ。不屈の精神で打ち破るかもしれない。
(どうしたものかしら……)
考えに浸ろうとするとカミラがどやしつけて来た。ひめさま、この御に及んでまだあれこれとお考えですか!
「ご決断なさいませ」
「わかったわ。マイヤを遣わす。もちろん私も付いて行くから」
「ありがとうございます。まずは私が使者となりましょう」
「なら、何名か連れて行って。本当はシャロンもいてくれたいいんだけど……」
シャロンは未だ行方がわかっていない。まだ生きているとトーリは信じていたがカミラ達は諦めていた。
カミラはエチウに向かう前に色街にある、トーリの部下達の『隠れ家』に寄った。サキュバス達の子供を集めて住まわせている。そこに母親らもいるはずだ。
入ると子供達が出迎えてくれた。その家に今日いるのは、ヤスミンカとリリカだ。ヤスミンカといつもつるんでいる、ワンガリの姿が無い。
「王都にいるのはアナタたちだけ?」
「はい。ルカとオンプッププレトットンがおりますが、演芸酒場でステージの真っ最中でしょう」
2人はカミラがヘッドハンティングした下級サキュバス。本業は楽人だった。ルカが楽器を鳴らし、オンプッププレトットンが唄う。オンプッププレトットンは若く、12歳ぐらいの女の子に見える。ちょっとしたアイドルでもあった。ニンゲンに化けている時は黒髪だが、淫魔の姿に戻ると髪の毛は深紫色だ。
「あの2人は別にいいわ。そこそこ実力あるコを探しているの。エチウで2~3日滞在するのに手を貸してくれるコが欲しい」
「コーザに会いに行くのですね?」
しかし滞在は1週間以上に及ぶだろうとヤスミンカは思った。エチウはサキュバスにとって垂涎の地でもある。何せ、1億を越すニンゲンが住んでいるからだ。
彼等のちんぽに教主コーザや枢機卿のペニス。金玉袋がたっくさん。精液漁りに事欠かない。1か月どころか1年滞在してしまうだろう。しかしだ。
「イズヴァルトさまは、本当に司祭騎士に?」
「イーガの諜報能力は優れているわ。サキュバス顔負けよ」
それにしてもだ。ナントブルグにいる部下の数が減っている。どうなっているのかリリカに尋ねた。彼女は人員を把握する役目を受けていたからだ。
「ご察しの通りです。シャロン様を始め、この3年間に10名以上のサキュバス達が行方不明になりました」
「任務が嫌になったのかしら……」
「そうではないでしょう。彼女らの恋人や友人らを訪ねましたが、手掛かりは掴めません……」
層がかなり薄くなってしまっている。中級サキュバスはヨーシデンに2名、サカーイとアジールにはフラニーとジュディとスザナが。
「それと……アヅチハーゲンに派遣した3名の行方がわからなくなりました」
「ルッソ様の監視役が? 雇った下級とはいえ武芸が出来るほうなのに……」
ワンガリはどうしているのか。彼女は数名の部下を連れてサイゴークにいるという。マレーネが率いる魔道騎士団を追ったが、今はゲースティアにいるらしい。帰国の準備を始めているところだとか。
「ワンガリからは定期的に連絡が入っております。イズヴァルトさまが連れたエルフ達も一緒のようです。マレーネさまは、イズヴァルトさまのお子を2人産んで、3人目をお腹に入れているようですが……」
どれも女の子。エヴァ、アンネと名付けられた。その他にもイズヴァルトは、エルフ達の間に何人も子を為したそうだ。マレーネの側近のパルパティアも、女の赤ちゃんを産んだそうである。
「それと、オーキ諸島の話となりますが」
「サキュバスの子孫がたくさんいる島ね。ワタシのトモダチもそこに住んでいたわ」
「イズヴァルトさまと似た波動を持つ女の子がたくさんいるみたいです。あそこでたくさん種付けをしていたみたいですわ」
「とんでもない受精力ね。やはりトーリさまは、イズヴァルトさまの愛人になられたほうがいいかもしれない。武人の血をひく親族衆を、オルフレッド様に加えたいところだわ」
しかしイズヴァルトはトーリを警戒している。とてもじゃないが無理だろう。だから自分がイズヴァルトに会いに行って、説得する。マイヤとも絆を取り戻して欲しい。子供はいくらでも造れるが、恋女房は1人あるいは2人しか為せないものだ。
□ □ □ □ □
その晩はサキュバス達の隠れ家に泊り、大人の男達と楽しそうに交合するこどもサキュバスらの愛らしい姿を楽しみながら、自分も抱かれてカミラは鋭気を養った。
ヤスミンカだけが付いて行くこととなった。転移魔法を用いて北へ向かう。彼女達はアカサカチハヤを突っ切っていくルートを選んだ。そっちのほうが近道だからだ。コンゴウアミダラデンは避ける事にした。
とはいえ宿には事欠かない。アカサカチハヤ山地には、魔族や亜人の小さな集落がいくつもある。他の大陸からゴブリンやドワーフが移り住んでいた。貴重な植物や鉱物が豊富にあるからだ。寒いが土地は肥えている。高原野菜も栽培されている。
山地に入ってから2回目の転移でたどり着いた集落で、夜を過ごす事にした。コンゴウアミダラデンから200キロほど西にあるゴブリン達の集落だ。美味しいい創作野菜料理を振舞ってくれる宿があるという。コンゴウアミダラデンの観光ガイドにも載っている名店なのだそうだ。
カミラとヤスミンカは、ゴブリンの女店員が持ってきてくれたそれを食べていた。もしゃもしゃ。
「うん、おいしい! イーガの高級レストランでも味わったことがないわ! それに新鮮!」
「ビューですね。ビュー!」
任務のことを忘れて2人は次々と注文する。路銀はトーリからたっぷりともらっていた。それとカミラはイーガ国王の愛妾である。世界で一番の金持ち王国から、使い切れないほどの月給を貰っていた。もっとも彼女は、その半分以上を孤児院や乞食に寄付していたが。
「お金はたんとあるわ。ヤスミンカ、お腹が倍に膨れ上がるぐらい注文しなさい」
「わかりましたわ! すみませーん。アカサカチハヤニガウリの炒め物と高原人参と玉ねぎの煮物を3人前、特盛りで!」
サキュバス達はもりもりと食った。それからナンパしたゴブリン男と朝までベッドインだ。ゴブリンが大好きで特技になっている指と舌による前戯で「あは~ん♡」と悶え、なかなか放たないが13センチ近くある超硬度の『上向き棒』で「うっふん♡」と。
めくるめく性感を受けた後の転移魔法は、いつもの2倍は距離が長くなる。次の朝の第一回目のワープで一気にナーガハーマに入るだろう。
その前に仮眠をとることにした。カミラとヤスミンカはゴブリンの里で作り立ての麻薬を煙で吸いながら、男どもを性的にやっつける夢を見た。どちらも同じ夢だった。女ゴブリンスレイヤーと化した彼女達に、夢の中のゴブリン達はメロメロだった。
何人、何十人ものゴブリンたちが彼女達の下の口に食われる。騎乗位や後背位でのセックスで次々と男らは射精してぐったりと果てていく。精液をたくさんもらってカミラたちはウハウハだ。ゴブリンのザーメンは美容液である。森の薬草の成分が含まれていて健康にもいい。
でも。ヤスミンカの夢の中のカミラが疑問をはさんだ。こんなに早漏だったっけ、この種族?
「どうせ夢なんだから不粋なことを言わないでくださいよ、おねえさま!」
昔の呼び方でカミラに返したヤスミンカは、その時に目覚めた。ベッドで隣に寝ていたはずのカミラは起きていた。顔をこわばらせ、ぶるぶると震えていた。目は入口のドアの方に注がれていた。
「な、な、なぜ……あなたが……」
ヤスミンカはやっと気が付いた。とてつもないプレッシャーを感じる魔力がそこに。その源のほうに顔を向ける。くどい顔をしたシマーヅ人風の美熟女がそこに立っていた。顔を隠した、えらく大きな黒装束の大男とともに。
「魔竜、さま……?」
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