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第三部 カツランダルク戦記 『第二章・浸食し始める闇』
58 マレーネの決心
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ホーデンエーネンに来て3か月が経った。マレーネは愛しい義姉の身の回りのお世話と可愛がりができて、毎日が充実していた。食事のお世話にうんちのお世話。風呂に入れば睦みあい、ベッドではお互いのあそこを舐めあって心と身体を熱くする。
こんな日々がいつまでも続いてほしい。そうは思うもののこうも思うようになった。街づくりを進めている時のマイヤは輝いて見える。
(おねえちゃまは自分の道を歩んでいるのですわ……)
イーガには戻って来て欲しかった。兄とフェアディナントが待っている。兄とマイヤの息子はオットーとともに来月のはじめにやって来るそうだ。本当なら子供こそが最初に母親と顔を合わせてもらうべきだろうが、残念ながらフェアディナントは王位継承者だ。気軽には来れない。
マイヤの今後も悩ましい。イーガは是非とも王子の妾の筆頭として、フェアディナントの母御前としてイーガに永住してもらいたい。ひょっとするとおまけでイズヴァルトがついてくるかもしれない。
ホーデンエーネンは何がなんでもそれを阻止したい。特に姉のトーリがだ。部下を通じ、イーガ王と今後どうするか改めて話し合っている。あまりにもホーデンエーネンに優位過ぎる内容なので難航していると聞かされた。
さらに母国にいる理由に箔をつける為なのか、マイヤは王国の経済長官というポストを与えられた。しかしあくまで名目。未来の大都市を建設するのに躍起な彼女に、王国全体の経済の面倒を見切れない。でもこの地位はマイヤの行動を制限するのには役立っていた。国の経済を任せている者を、そうやすやすと手放すわけにはいかなのだぞ。
(政治のことはともかく、おねえちゃまはヨーシデンを完成させるべきですわ。)
新築の家にあてがわれた部屋で、イーガからの手紙を読みながらマレーネはそう思った。今、マイヤがホーデンエーネンを離れるのはよくない。マイア=テクニカのあるじとしての仕事があるが、あれは部下に任せても運営できる。
イーガに連れて戻りたい。でも、マイヤはもっと生き生きとしている。マレーネは思い悩むようになっていた。果たして自分の願いを押し通す事は義姉にとって良いことなのだろうか。
□ □ □ □ □
「まあ! おねえちゃまのかわいさがわかる名品ですわね!」
未来のマイヤの邸宅の中庭に置かれた、いくつもの彫像を見てマレーネははしゃいだ。義足をつけて横で立っていたマイヤの顔は青ざめていた。
「こ、こ、これ……ほんとに飾らなくちゃいけないの?」
「あら? お気に召されなくて?」
「いやいやいや。すごい出来がいいから! 言葉を失っちゃう程にだよ!」
どれもマイヤの彫像だ。マレーネの部下の女エルフ達が彫ったものだ。マイヤにマスコットキャラクター的な可愛らしさを覚えた彼女達は、彼女のお世話係となって寝起きからうんちぶりぶりまで観察を続けていた。しばらくして作品に取り掛かった。開始から1週間で終わったようだ。
石を彫ったものやブロンズの像、木像だってある。どれも生き写しのごとく。愛嬌たっぷりでおっぱいのボリュームもたっぷりな美女の今と昔を再現した像である。
(文句なくいい出来。再現性はすごいんだけど……)
今の自分を彫ったものには手足が生えていた。それには文句は言わない。気を使ってくれたんだ。けれども、6歳ぐらいの幼い頃や、おっぱいがでっかいと町の子供達に馬鹿にされていた10歳ぐらいのものがある。どれも裸で、しかもおけつを突き出してぶりぶりとうんちをひねっているものもある。なんなのだこれは?
「この私の9歳の時の足を広げて『ごかいちょー』のは、おまんこのびらびらとかお腹のお肉のつき具合とかすごい再現していると思うんだけど、どこで見たのかな?」
「うふふ。そりゃあ、おねえちゃまの映像水晶でございますわよ。イーガにたくさん出回っておりますの。おほほほ」
脚を伸ばして広げて右手をつき、左手の指で『くぱぁ』をやる絵面は、どこでしたものかを思い出した。ナントブルグの貸金業の男だ。金貨5枚上げるからと頼まれて受けた仕事だ。肖像画家を呼んで描かせたと覚えている。どちらもおいしいザーメンを飲ませてくれた。その男が亡くなる1年後まで、フェラの相手をした。
(盗撮してたのね、あのじじい! ぐぎぎぎぎっ!)
心では烈火のごとく怒っているつもりだが、どうにも火力が足りない彼女は「ぷんすか!」と怒っているようにしか周りには見えなかった。
「ふふふ。怒っていらっしゃいますのね?」
いや、居場所がわかればイズヴァルトに送りつけてやりたいぐらいだ。そうすれば自分との甘い日々を思い出して、たくさんオナニーをしてやって来るだろう。そうすれば元の鞘に納まってくれるかもしれない。
「イズヴァルトって、『はんぶんエルフ』の改造手術とかを受けてて、ニンゲンの倍以上の寿命になっているんだってね?」
「そうみたいですわね」
だったら、自分より長く生きるはずだ。仕事とセックスこそ貪欲にやっていたが、マイヤは身体の不調を覚えていた。めまいや嘔吐がよく起きる。たまに息苦しくなることもあった。マレーネの前では元気な姿を見せていたが、自分はそんなに長くは生きられないかもしれないと覚悟をしていた。
「これを見たら、私が死んだ後も思い出してくれるかな?」
「中庭や家の中に飾っておけばよろしいのでは? 身近なところにあれば、イズヴァルト様はいつも見ていてくださいますわよ?」
「盗まれたり壊されたりしたら困るよ。母屋が出来たらぜんぶ、倉庫にしまっておくことにするね? イズヴァルトが戻ってきたら、全部みせてあげたいな」
「あら。それならおねえちゃまのかわいい銅像をもっと作って、それ専用の美術館を建てましょうね!」
「それだと秘宝館になっちゃうよ……でも、この世界だとあからさまにえっちいものも美術品扱いされるんだったっけ……美術館もだめだよ! お蔵入り!」
こういうのはイズヴァルトにだけ見ていて欲しい。他の人の目に触れるならすぐにでも仕舞って欲しいよとマイヤは言い張ったが、これらをしまう蔵や倉庫はそう簡単に造れなかった。マレーネや作製したエルフ達が突っぱねた。こんな愛らしいものを仕舞うなんて勿体ない。美術館に常設すればヨーシデンの名物となる。
「そ、そう?」
「そうですわよ! これらの彫像にはおねえちゃまの……いいえ、女性美というものを表現しているではございませんの!」
「ん、じゃあ、マレーネたんも造ってもらって?」
そりゃあもちろんですわ。マレーネはエルフ達とアトリエに向かった。彼女らが邸の東に勝手に建てたものだ。木造の3階建て。天井が高く広い作業場と上等なキッチンと風呂場に、連れ込んだ男とのヤリ部屋まである。建てるのに1週間だ。
マレーネは裸になった。骨格は少女のもので左脚は萎えていたが、乳房と尻は肉がついていた。まずは、像を造る前のスケッチだ。
「脚はごまかしますか?」
「そのままにしちゃって頂戴な。イーガの王家にある身ですもの。身体の欠点の1つや2つ、恥だからとごまかす心の狭さはございませんことよ?」
身体の向きをどうするかエルフ達が指示をする。彼女は尾てい骨のあたりで膨らんだ座布団に乗せ、陰裂とアナルを見せつける格好で体勢をとった。マレーネのそれは両方とも使い込んでいるので、やや形が崩れている。肛門は少しだけ奥をのぞかせていた。
エルフ達が紙とペンを持ってマレーネの周りをぐるぐると回る。スケッチはものの30分で終わった。ノミとゲンノウを持った黒髪のエルフが彫り始める。ほんの5日間で完成した。出来たものをマイヤに見せ、マレーネは胸を張る。
「ふふん!」
「すごい! まるで生き写しだよ! マレーネたんのきれいでいやらしいところがいっぱいだね!」
「うふふ。これを一緒にお飾りくださいましね。倉庫でなく中庭で。おねえちゃまのかわいい彫刻と一緒にですわよ!」
「ん? んん……まあ、そうするね」
顔をひくつかせたマイヤは、マレーネに抱き着かれた。ささやかれた。これで思い残すことはございませんわ。
「どういうこと……?」
「おねえちゃま。わたくし、おねえちゃまが一番望んでいることを為しに旅に出る事にいたします」
「……望んでいること?」
イズヴァルトを連れて戻って来るとマレーネは告げた。長い旅になるだろうが部下達とも話し合っていた。一団の中でも年老いた者らは、ヨーシデンに魔法技術を伝える為に居残ってもらい、兄とオットーらと共に船でやって魔道士らに引き継ぐよう頼んでいた。兄にも手紙をしたためてある。
「マレーネたん……」
「かわいいおねえちゃまの為に、ですわ!」
マイヤは義妹の目をじっと見る。
「無理しなくていいよ。イズヴァルトを連れて来れなくてもいい。だけど、会えたなら私の願いを叶えて欲しい」
「願い? それはどのようなものを?
「イズヴァルトの間にあかちゃんをつくって。私は絆が欲しいんだよ。フェアディナントちゃんはイーガの王子様。マレーネたんはイーガのお姫様で叔母さんにあたるから……」
本当のところは、自分の無念を晴らして欲しかった。そうさせた元凶の娘にそれを求めたのは、かたき討ちの気持ちも含めてだ。それをマレーネは理解していた。言われなくても心の奥で何が燻っているのかぐらい、小娘の自分でもわかる。
「ええ。約束いたしますわ。おねえちゃまにイズヴァルト様とわたくしのあかちゃんを、きっとお見せいたしますの」
マイヤの目から涙がこぼれた。マレーネの胸で泣き続け、それから旅立つ日まで義妹と仲睦まじく過ごした。
マレーネがパルパティアらを伴い、ヨーシデンを出たのはそれから4日後の事であった。
こんな日々がいつまでも続いてほしい。そうは思うもののこうも思うようになった。街づくりを進めている時のマイヤは輝いて見える。
(おねえちゃまは自分の道を歩んでいるのですわ……)
イーガには戻って来て欲しかった。兄とフェアディナントが待っている。兄とマイヤの息子はオットーとともに来月のはじめにやって来るそうだ。本当なら子供こそが最初に母親と顔を合わせてもらうべきだろうが、残念ながらフェアディナントは王位継承者だ。気軽には来れない。
マイヤの今後も悩ましい。イーガは是非とも王子の妾の筆頭として、フェアディナントの母御前としてイーガに永住してもらいたい。ひょっとするとおまけでイズヴァルトがついてくるかもしれない。
ホーデンエーネンは何がなんでもそれを阻止したい。特に姉のトーリがだ。部下を通じ、イーガ王と今後どうするか改めて話し合っている。あまりにもホーデンエーネンに優位過ぎる内容なので難航していると聞かされた。
さらに母国にいる理由に箔をつける為なのか、マイヤは王国の経済長官というポストを与えられた。しかしあくまで名目。未来の大都市を建設するのに躍起な彼女に、王国全体の経済の面倒を見切れない。でもこの地位はマイヤの行動を制限するのには役立っていた。国の経済を任せている者を、そうやすやすと手放すわけにはいかなのだぞ。
(政治のことはともかく、おねえちゃまはヨーシデンを完成させるべきですわ。)
新築の家にあてがわれた部屋で、イーガからの手紙を読みながらマレーネはそう思った。今、マイヤがホーデンエーネンを離れるのはよくない。マイア=テクニカのあるじとしての仕事があるが、あれは部下に任せても運営できる。
イーガに連れて戻りたい。でも、マイヤはもっと生き生きとしている。マレーネは思い悩むようになっていた。果たして自分の願いを押し通す事は義姉にとって良いことなのだろうか。
□ □ □ □ □
「まあ! おねえちゃまのかわいさがわかる名品ですわね!」
未来のマイヤの邸宅の中庭に置かれた、いくつもの彫像を見てマレーネははしゃいだ。義足をつけて横で立っていたマイヤの顔は青ざめていた。
「こ、こ、これ……ほんとに飾らなくちゃいけないの?」
「あら? お気に召されなくて?」
「いやいやいや。すごい出来がいいから! 言葉を失っちゃう程にだよ!」
どれもマイヤの彫像だ。マレーネの部下の女エルフ達が彫ったものだ。マイヤにマスコットキャラクター的な可愛らしさを覚えた彼女達は、彼女のお世話係となって寝起きからうんちぶりぶりまで観察を続けていた。しばらくして作品に取り掛かった。開始から1週間で終わったようだ。
石を彫ったものやブロンズの像、木像だってある。どれも生き写しのごとく。愛嬌たっぷりでおっぱいのボリュームもたっぷりな美女の今と昔を再現した像である。
(文句なくいい出来。再現性はすごいんだけど……)
今の自分を彫ったものには手足が生えていた。それには文句は言わない。気を使ってくれたんだ。けれども、6歳ぐらいの幼い頃や、おっぱいがでっかいと町の子供達に馬鹿にされていた10歳ぐらいのものがある。どれも裸で、しかもおけつを突き出してぶりぶりとうんちをひねっているものもある。なんなのだこれは?
「この私の9歳の時の足を広げて『ごかいちょー』のは、おまんこのびらびらとかお腹のお肉のつき具合とかすごい再現していると思うんだけど、どこで見たのかな?」
「うふふ。そりゃあ、おねえちゃまの映像水晶でございますわよ。イーガにたくさん出回っておりますの。おほほほ」
脚を伸ばして広げて右手をつき、左手の指で『くぱぁ』をやる絵面は、どこでしたものかを思い出した。ナントブルグの貸金業の男だ。金貨5枚上げるからと頼まれて受けた仕事だ。肖像画家を呼んで描かせたと覚えている。どちらもおいしいザーメンを飲ませてくれた。その男が亡くなる1年後まで、フェラの相手をした。
(盗撮してたのね、あのじじい! ぐぎぎぎぎっ!)
心では烈火のごとく怒っているつもりだが、どうにも火力が足りない彼女は「ぷんすか!」と怒っているようにしか周りには見えなかった。
「ふふふ。怒っていらっしゃいますのね?」
いや、居場所がわかればイズヴァルトに送りつけてやりたいぐらいだ。そうすれば自分との甘い日々を思い出して、たくさんオナニーをしてやって来るだろう。そうすれば元の鞘に納まってくれるかもしれない。
「イズヴァルトって、『はんぶんエルフ』の改造手術とかを受けてて、ニンゲンの倍以上の寿命になっているんだってね?」
「そうみたいですわね」
だったら、自分より長く生きるはずだ。仕事とセックスこそ貪欲にやっていたが、マイヤは身体の不調を覚えていた。めまいや嘔吐がよく起きる。たまに息苦しくなることもあった。マレーネの前では元気な姿を見せていたが、自分はそんなに長くは生きられないかもしれないと覚悟をしていた。
「これを見たら、私が死んだ後も思い出してくれるかな?」
「中庭や家の中に飾っておけばよろしいのでは? 身近なところにあれば、イズヴァルト様はいつも見ていてくださいますわよ?」
「盗まれたり壊されたりしたら困るよ。母屋が出来たらぜんぶ、倉庫にしまっておくことにするね? イズヴァルトが戻ってきたら、全部みせてあげたいな」
「あら。それならおねえちゃまのかわいい銅像をもっと作って、それ専用の美術館を建てましょうね!」
「それだと秘宝館になっちゃうよ……でも、この世界だとあからさまにえっちいものも美術品扱いされるんだったっけ……美術館もだめだよ! お蔵入り!」
こういうのはイズヴァルトにだけ見ていて欲しい。他の人の目に触れるならすぐにでも仕舞って欲しいよとマイヤは言い張ったが、これらをしまう蔵や倉庫はそう簡単に造れなかった。マレーネや作製したエルフ達が突っぱねた。こんな愛らしいものを仕舞うなんて勿体ない。美術館に常設すればヨーシデンの名物となる。
「そ、そう?」
「そうですわよ! これらの彫像にはおねえちゃまの……いいえ、女性美というものを表現しているではございませんの!」
「ん、じゃあ、マレーネたんも造ってもらって?」
そりゃあもちろんですわ。マレーネはエルフ達とアトリエに向かった。彼女らが邸の東に勝手に建てたものだ。木造の3階建て。天井が高く広い作業場と上等なキッチンと風呂場に、連れ込んだ男とのヤリ部屋まである。建てるのに1週間だ。
マレーネは裸になった。骨格は少女のもので左脚は萎えていたが、乳房と尻は肉がついていた。まずは、像を造る前のスケッチだ。
「脚はごまかしますか?」
「そのままにしちゃって頂戴な。イーガの王家にある身ですもの。身体の欠点の1つや2つ、恥だからとごまかす心の狭さはございませんことよ?」
身体の向きをどうするかエルフ達が指示をする。彼女は尾てい骨のあたりで膨らんだ座布団に乗せ、陰裂とアナルを見せつける格好で体勢をとった。マレーネのそれは両方とも使い込んでいるので、やや形が崩れている。肛門は少しだけ奥をのぞかせていた。
エルフ達が紙とペンを持ってマレーネの周りをぐるぐると回る。スケッチはものの30分で終わった。ノミとゲンノウを持った黒髪のエルフが彫り始める。ほんの5日間で完成した。出来たものをマイヤに見せ、マレーネは胸を張る。
「ふふん!」
「すごい! まるで生き写しだよ! マレーネたんのきれいでいやらしいところがいっぱいだね!」
「うふふ。これを一緒にお飾りくださいましね。倉庫でなく中庭で。おねえちゃまのかわいい彫刻と一緒にですわよ!」
「ん? んん……まあ、そうするね」
顔をひくつかせたマイヤは、マレーネに抱き着かれた。ささやかれた。これで思い残すことはございませんわ。
「どういうこと……?」
「おねえちゃま。わたくし、おねえちゃまが一番望んでいることを為しに旅に出る事にいたします」
「……望んでいること?」
イズヴァルトを連れて戻って来るとマレーネは告げた。長い旅になるだろうが部下達とも話し合っていた。一団の中でも年老いた者らは、ヨーシデンに魔法技術を伝える為に居残ってもらい、兄とオットーらと共に船でやって魔道士らに引き継ぐよう頼んでいた。兄にも手紙をしたためてある。
「マレーネたん……」
「かわいいおねえちゃまの為に、ですわ!」
マイヤは義妹の目をじっと見る。
「無理しなくていいよ。イズヴァルトを連れて来れなくてもいい。だけど、会えたなら私の願いを叶えて欲しい」
「願い? それはどのようなものを?
「イズヴァルトの間にあかちゃんをつくって。私は絆が欲しいんだよ。フェアディナントちゃんはイーガの王子様。マレーネたんはイーガのお姫様で叔母さんにあたるから……」
本当のところは、自分の無念を晴らして欲しかった。そうさせた元凶の娘にそれを求めたのは、かたき討ちの気持ちも含めてだ。それをマレーネは理解していた。言われなくても心の奥で何が燻っているのかぐらい、小娘の自分でもわかる。
「ええ。約束いたしますわ。おねえちゃまにイズヴァルト様とわたくしのあかちゃんを、きっとお見せいたしますの」
マイヤの目から涙がこぼれた。マレーネの胸で泣き続け、それから旅立つ日まで義妹と仲睦まじく過ごした。
マレーネがパルパティアらを伴い、ヨーシデンを出たのはそれから4日後の事であった。
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