聖騎士イズヴァルトの伝説 外伝 『女王の末裔たち』

CHACOとJAGURA

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第三部 カツランダルク戦記 『第二章・浸食し始める闇』

47 女王の潜入

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 あからさまな挑発行為だ。尊大かつ心無い。マイヤをあんな姿にしただけでなく、数多くの部下たちを葬ったアドルフの娘のくせして、反省の色は無いのか。

 会談の後、トーリはシャロンに相談を持ちかけた。あの小娘に一泡吹かせたい。7人を自分たちで奪取する。

「できるでしょうが、そう仕向けるのが狙いかと思いますよ」
「罠を張っている事ぐらいわかっているわ。けど、あのメスガキに言われっぱなしがくやしいの!」

 ひぎいいい、と叫びながらトーリは踏ん張る。気持ちよく性交をした後のお通じが来たので彼女は村の川べりに尻を向けてしゃがんでいたのだ。にゅるにゅると茶色い『食物と肉体の成れの果て』が水の中に景気よくひねり出された。魚たちがばしゃばしゃと水音を立てた。魚たちの声がトーリの耳に入った。

「おいしい! おいしい!」
「もっとちょうだい! もっともっと!」

(なに? そんなにうれしいの♡ だったら、もっとあげちゃうわ♡)

 顔では悔しさをいっぱいにしながらも、魚たちのラブコールで心が癒やされ、もう一捻り。ほかほかできたての練り物がもう1本、水の中に落ちた。
 
 ばしゃばしゃばしゃ!

 魚たちは大喜び。トーリは心がほっこりである。充実した排便に満足したアナルがぱくぱくと動き、排便の悦楽に感化されたヴァギナがにゅちゅっ、とすぼんで内性器に残存していた精液を垂らしていた。

 じょぼぼぼ、とお小水を放ちながらトーリは思う。うんちとおまんこを楽しむだけの人生ならば、こんな怒りに駆られる事は無かったのに。

「感傷に浸っているわけには参りませんよ。難しいことをお考えになられなくては、おじょうさま」
「そうだったわね。あのデカパイのメスガキをギャフンを言わせてやらないと……」

 その罠がどれだけ無力かをわからせてやろう。トーリは考えた。いや、考える必要もなかった。自分の真の力を見せつけてやる。その為にあの小娘から挑発の言葉を出させたのだ、と自分に言い聞かせて。


□ □ □ □ □


「向こうはやる気ですべえ。やるんなら今夜といったところでしょうか」

 宿舎にした村長の家の1室で、パルパティアはマレーネに呼びかけた。あるじは全裸で汗だくだった。あの場に居合わせた男たちを集めて肉を絡み合わせていた最中だった。

 左足こそいびつであるが、それ以外は年相応にはつらつとしていて、しかも乳房が豊かな彼女は、男たちにとって十分すぎるほどに魅力的だった。

 自分の乳房に視線を注いでいた魔道士に抱きつき、彼に乳房を吸わせながら互いの生殖器を溶け合わせながら、別の男にはぬるっとした潤滑液を注いだ尻穴を愛でさせる。前と後ろの穴を塞ぐ行いは慣れていた。

 乳房を咥えている男は激しく腰を振っていた。大きな乳房の感触に酔い、膣が包み込んで与えてくれる快感を楽しむ。マレーネは膣を締めていた。相手のペニスはあまり大きくない。せっかく手で剥いた包皮が、半分ぐらい亀頭を覆ってしまっている。粗末なものだった。

「ま、マレーネ様っ……」
「うふふふ。しぼんできていらっしゃいますわ。わたくしのががばがば過ぎて、あんまり感じられなくて?」
「ちがいます! 私のものが小さすぎるからでございます!」
「あら、そうなの? 亜人たちのでかちんばかりとしていると、普通というものを忘れてしまいますわ。これが普通というものかしら。うふふふ……」
 
 ちんこが小さくても、膣の中の感じどころをこねてくれればそれでいい。この魔道士のは粗チンであったが、ちゃんと彼女の泣き所を楽しませてくれた。下腹でクリトリスを刺激するのも忘れていない。

 アナルに取り掛かっているもう1人のペニスは、太いが短い。けれどもそれで十分だ。彼女は肛門性交の場合、入口付近をゆっくりと刺激されるのを好んだ。この男は何度も呼ばれているから、マレーネの身体が理解できていた。

 マレーネは快楽に酔っていた。しかし頭は動いている。両方の穴をほぐらされながらも、パルパティアの問いかけに対する返答は紡げていた。

「うふふ。そうなったら仕方ありませんわね。だってあのかた、パラッツォ教のコーザさまよりお強いんでしょ?」
「多分、アカサカチハヤの魔族たちを除いて、世界最強と言っても過言ではないでしょうね。カントニアのエルフでも手を焼くぐらいでしょう」
「ミナッカミニアのキファニアさまでも? ああ、恐ろしい……」

 本当のところはどうなの。マレーネはもう一度聞いた。結界は張ったか。引き連れた者達や村人の中に、サキュバスの魔法にかかっている者は見つかったか。

「結界はうんと強力なのを。サキュバスどもに操られているのはおりません」
「と、なると自分の実力を見せつける為に最初の一手で皆を籠絡して、わたくしに無力感を与えるつもりでいらっしゃいますわね」
「そうかもしれねえべえな。あんな恐ろしいやつなら……」

 マレーネは動じる素振りも見せず、かえって余裕の笑みを浮かべた。彼女のヴァギナに甘えていた魔道士がささやいた。

「も、もうそろそろで出しそうです……」
「そう? ならそのまま出してしまいなさい?」

 魔道士はペニスを引き抜こうとする。マレーネは止めた。

「で、でももしかしたら姫様に、お子を……」
「うふふふ。そうなったら貴方をお守り役に任命いたしますわ。責任取ってわたくしが産んだあかちゃんを育ててくださいな?」
「その様に致します……うっ」

 魔道士のペニスが大きく脈打った。それから彼の全身が無力に。至福の脱力だった。

 男のペニスが萎み、マレーネの膣から出た。しばらくして背中から覆いかぶさっていた男も果てた。相手と自分を満足させたマレーネは、粘液でぬめっていろペニスを物欲しそうに見ていたパルパティアに命じた。

「十分にもてなしてあげなさいな」
「その2人とやっていいべえか?」
「そっちはひと仕事を終えた後にです。あの成り上がりをわからせてあげなさい、と言う意味ですの」

 果たしてトーリに勝てるか。パルパティアは不安であったがマレーネは確信していた。

「あのかた、策士を気取っておられるようですけど、所詮は力攻めしかしらぬホーデンエーネンの早漏猪武者とおんなじですわ。ちんちんを盛んに突き立てることしかご存知無い殿方と一緒。成り上がりの小娘ですの」

 サキュバスとしての自分の力に頼り切りのガキ。トーリのことをマレーネはそう評して、これからどうするかをパルパティアに作戦を語った。

「イーガ流の兵法でわからせてやりなさい。カツランダルクの支配から離れたかつての旧臣の子孫らが、どの様な対抗手段を持ち得たのか、思い知らせなさいな」


□ □ □ □ □


 夜更け。トーリはシャロンを含む数名のサキュバスと共に、マレーネの軍に潜り込んだ。

 トーリの策は単純明快だ。魅惑の魔法を用いて全イーガの武者たちを我が物とする。挑戦的だったマレーネも含めてだ。

 問題なのは、イーガ人は子孫がより魔道に優れた者とする為、亜人や魔族と血を混ぜる事が多く、サキュバスの魔法への抵抗力が比較的強いということ。トーリはカミラからこのように聞いていた。

「亜人たちが多く住むシマナミスタンとカントニアから訪れやすいところに有るため、土地柄的に亜人の血が濃くなっております。特に、サヌキスタンとミナッカミニアのエルフとの混血が多いのですよ、あの地方の者たちは」

 なにせ国内の亜人達のコミュニティ村が、いくつもあるぐらいだ。ホーデンエーネンには無かった。あってもいいのにとトーリは思ったが、ホーデンエーネンという国自体が亜人種の多くに好かれていなかった。

 王国が過去、血なまぐさい海外への侵略戦争を何度か起こしたからだ。国内の亜人らは、益のない戦争に駆り出されて他の大陸の亜人と戦う羽目になった。

 それとホーデンエーネン軍は、外国での戦争では暴虐きわまりない行いを平気でする。亜人の村を焼いたり彼等の赤ん坊や子供をさらったりは当然のことながら、彼等が大事にしている遺跡を壊したり、宝物庫を漁ったりなど容赦が無かった。

 ゆえに、亜人種との交流が他国と比べて少なく、その為に魔法もあまり発展しなかった。それでも西のサイゴークの覇王、アルグレイブ暗黒卿と競い合う力があったのだが、今は海外侵略するほどの余力は無かった。

(けれど、私がホーデンエーネンを支配したら、もしかすれば……)

 潜入の準備をする、トーリの心にあらぬ野心の念が浮かび上がった。下剋上の暁に先祖の家来筋であるイーガを取り込み、ホーデンエーネンを魔法王国に発展させれば、世界征服も夢でなくなるかもしれない。

 だがそれは、邪念の一言に尽きるものだ。コーザ=ストーンマウントのような事を企てれば、今度こそ魔竜は本気で潰しにかかることだろう。魔界からの監視者達は、魔界から来た魔族や子孫でもその力を十分に受け継いでいる者が、異界を支配することを許さなかった。

 トーリのあらぬ野望を叶える者がもしいるとするならば、彼女の才を引き継がない者に限る。つまりはサキュバスの力をあまり遺伝出来ない男児達。

(そういう夢は、オルフレッドやジョーケインが持てばいいわ。私はただ、この国を支配したいだけだから。)

 準備が整いました。シャロン達数名のサキュバスから返事が来た。魔力を探ったところスレッタとミオリネら7名は、イーガ軍が張った結界のど真ん中にいるという。

「その結界の解読も終わりました。結界に穴を開け、転移魔法で入り込むようにいたします」
「よきにはからって頂戴。入り込んだ後は私がすべてやるから」

 捕らえられた部下たちを奪還し、支配したマレーネを好きなようにしてやる、とトーリは思った。

 まずはおっぱいもみもみだ。妹ほどではないが、クソ生意気に実ったあのたわわを毎朝毎晩ちゅうちゅうしてやる。墨を塗って『パイ拓』を取るのは忘れない。

 拓を取るのは乳房だけでは無い。陰裂とアナルにもだ。トーリは国内の名のある貴族の娘や美しい夫人のそれを蒐集していた。かわいい割れ目から使い過ぎてびらんびらんな淫らな花まで。拓だけでなく映像水晶でおまんこの形やその奥を記録するのも彼女は趣味にしていた。

(それからどこぞの男の胤で孕ませ、乳首からにじみ出るようになったおっぱいを独占してやるわ。うふふふ。待ってなさいマレーネ。私の『あかちゃんぶり』がどれだけしつこいのか、嫌になるぐらい思い知らせてやるから。うふふふふっ!)

「雑念が多すぎですよ、ひめさま」

 シャロンにたしなめられてトーリは気を引き締めた。肛門をきゅっと締めて深呼吸をする。

「圧倒的優位であるでしょうが、油断は禁物ですよ?」
「わかっているわ。けど、気持ちがあがって仕方がないの」

 圧倒的な実力差という名の暴力を、あの生意気なでかぱい小娘に見せつけてやりたいからだ。他のサキュバス達が結界に穴をあけた。その知らせを聞いてシャロンと他数名がトーリを連れて、その中にダイブした。

 結界の中心。村の広場から少し北にずれた収監馬車の中に入っていた。大きな馬車だ。イーガ産の『浮き板』を用いて馬の負担を大きく減らしたそれは、普通の荷馬車の4倍近くあった。

 幌がかけられて真っ暗闇である。闇の中でトーリは、ついてきたサキュバスたちとはまた違う、甘い匂いを嗅いだ。やや安っぽい気がする。捕らえられた彼女たちのだろう。

「この馬車に結界は?」
「罠と無さそうです。ひめさまは暗視魔法をお使いください」
「もうこの目は魔族のものよ。念じないといけないけれど」

 ひと瞬きしてトーリの瞳が紅くなった。闇の中でも明るく見える目だ。自分たちの眼の前にしきりと扉があった。どうやらこの奥にスレッタ達が捕らえられているらしい。

「ピックプリトポロポロッテン。返事して」

 シャロンが仕切りに向けて呼びかけた。スレッタとミオリネではなくピックプリトを呼んだのは、彼女が一番信頼できる人物だからだ。

(そ、その声は、シャロンさま!)
(は、はやくだしてー!)

 スレッタとミオリネの声だ。念話魔法だった。助けろ、助けろと悲鳴をあげはじめている。

 シャロンに目配せを受けたサキュバスがドアのノブに手をかけようとすると、ピックプリトの声が皆にかかった。

(だめです! 今すぐ引き返し……!)

 思い詰めている様な口ぶりだった。しかし引き返す必要なんて無いとトーリは思う。罠がかかっているのだろう。ならば自分の本領発揮だ。

 彼女は己の力を開放した。トーリの魔法が一瞬で、イーガの陣すべてに行き渡った。
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