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第三部 カツランダルク戦記 『第一章・本当の支配者』
35 聖王 VS 女王
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「で、あるか。うん、まあ、そういうことね」
ぶつぶつと独り言を言っていたトーリの頭の上に、あろうことか光の輪が顕現した。蒼色に輝いていた。しかしやや違っていたのは、その輪が二重になっていてそれを1本の線が通り、外側の輪の周りを小さな線がいくつもくっついていたということだ。それを見て吹っ飛ばされたカヅノ=サトシは開いた口が塞がらなかった。
「あ、あれは神聖魔法の……!」
しかしなんだか下品に見える。何か生臭くてむわっとする、周囲が毛だらけな入口みたいなモチーフにも見えてならない。これは神聖魔法の元をつくった『偉大なる父』と呼ばれる存在への冒涜か?
(違う。これもまた神への崇拝というものが伺える! 女神。あるいは、地母神と呼ばれる存在、異教の……それは私の前世のことであったな……この世界では!)
主神・マハーヴァラと対を為す女神であり多産神のヴァリシアナ。それの信奉による神聖魔法の術式であればそうなるだろう。ただ、この世界での神への信奉を元に術式を操るなら、性の力が重んじられ過ぎて輪の中に陰茎を模した象徴が浮かぶのかもしれないとサトシは思った。
「そんなことよりも……セイジ! 『法悦』は後にしろ! 来るぞッ!」
なんだ? 兄の怒声を背に受けたサトシは状況をまだ理解できていなかった。シャロンのヴァギナと肉体に溺れ込んでしまい、周囲に気を配れなかったのだ。
「兄貴、飽きたのか! こいつにあと5回ぶち込まなけりゃ気が済まんよ!」
「そうじゃない!」
サトシとコーザはトーリの足元に術式陣が展開するのを見ていた。とんでもない魔力だ。セイジがやっと気づいた時、コーザとサトシは『マルタの防塁』でトーリの360度を囲んだ。それでもお構いなしにトーリは自分の術を発動させる。
「『シディムの火』、初めて使うけどどんなものかしら?」
青く輝いていた術式陣が紅くなり、そして消えた。それから周囲の地面が揺らいで地割れが起こり、炎の柱が吹きあがった。神聖魔法による地揺れと噴炎の術式だ。地割れが壁をすり抜け、サトシとセイジとコーザに向かって襲い掛かる。
「大技をっ、いとも容易く!」
サトシはコーザに呼び掛けた。高く飛ぶしかありません。うなずいたコーザはセイジにも浮遊の力を与えて空高く飛んだ。自分達の足元に強力な魔法結界を張る。追いかけて来た炎を通さなかった。
逃げられたようね。トーリが空を見上げる。次の一手が始まっていた。何かをモチーフにした頭上の光輪と同じ形の術式陣が、頭の上広がる。そこから無数の光の矢が空に放たれていった。数万もだ。
とんでもない魔力を感じる。触手が消え失せ解放されたシャロンは『すかうたー』でトーリの魔力値を確かめた。
「……2400万! トーリ様はいきなり! どうして!」
あのカヅノ=サトシという男から精力を奪って急成長を遂げたのか。いや、そうではないとシャロンは考え直した。確かにそれもあるかもしれないが、トーリは秘めていた力を解放したのだ。あれが本気だ。魔力を爆発的に増大させる。天才が出来るという技であった。
「でもしかし……あれではコーザには……」
底知れぬエチウの大魔王に勝てるのだろうかとシャロンは不安で仕方が無かった。
□ □ □ □ □
「あの女、次から次へと神聖魔法を使いまくる!」
「の、ようですね。これはまた素晴らしいことです」
「コーザ殿! 呑気に感心している場合か!」
次々と襲ってくる光の矢に逃げまわりながらコーザとカヅノ=セイジがかけあっていた。コーザが張った防壁はもう粉々だった。飛び回っているうちに今度は進行方向から強い衝撃波を受けて戸惑った。とにかく音がけたたましい。
「ちっ。『アルキメデスの空気砲』か! やかましいものを!」
対空攻撃魔法でも強力なものだ。命中率こそ低いが当たれば亜人の強靭な身体でもただでは済まない。これでエチウまで乱取りに来た有翼人を蹴散らした実績があったサトシは、こいつの直撃を受けるとどんなことになるかわかっていた。
「兄さん! 俺達も反撃だ……ん?」
兄の青い顔を見てセイジが不安に思った。あの女の性病をたっぷり含んでそうなおまんこを舐めて腹を下したのか? 違う、とサトシは答えた。
「魔力が半分も発揮できない……いや、吸い取られたような気がする」
「ほう。やっと淫魔らしいことをやってくれたな。俺のは全然吸ってくれなかったがな」
「セイジ、あの女はまずい。戻って同志を連れて来よう。いくらコーザ殿がいても我ら2人ではどうにもならないぞ」
「弱気だな……」
セイジは強がっていたが実のところは不安でいっぱいだった。『シディムの火』と光の矢、『アルキメデスの空気砲』は大技に類するものだ。特にこんなに沢山の光の矢を放ち続けながらもう1つを仕掛けて来るのは、他の枢機卿でも出来ない芸当だった。トーリ=カツランダルク、恐るべしと言ったところだ。
「セイジさん、サトシさん。貴方がたは先にエチウにお戻りください」
コーザからの申し出。教主殿は何を?
「勝てる見込みがあるのですかな、教主殿?」
「久しぶりの恐るべき相手に物怖じをしたまでです。まだ私は試しておりません。でもお二方にとってトーリさんは。手に余る難敵のはずでしょう」
否定はできなかった。まさか、ここまで追い込まれるとは思ってもみなかった。光の矢は折角張った結界も貫通して飛び込んでくる。これを避けてトーリに一撃を与えるのは至難、は過言ではなかった。
「お気遣い、痛み入ります。我らは撤収しましょう」
サトシが受け入れていた。兄より魔法に劣ると日頃感じているセイジも受け入れざるを得なかった。敵をナメ過ぎていた。あれは紛れも無く、パラッツォ教の目的にとって最大の障壁となりうる。
「わかった……兄さん。何かあったら俺が掩護する」
セイジはふらふらとなりがちな兄を抱きかかえて飛んで行った。それから幻の様に消えた。転移魔法で遠くへ去ったのを見届けると、コーザは目を閉じて深呼吸をする。
見開くとトーリの真向いにいた。転移魔法に対する結界を解いていたらしい。背がとても高いコーザを見上げながら、ようこそ、と言ってトーリは微笑んだ。
「随分と大胆ですのね。罠が仕掛けられているかもしれないのに、こんな間近に来ようとは?」
「去る前にもう一度、5万の信徒達を返して欲しいと願い出る為にです。貴方は先ほど、今用意できる貢物が欲しいとおっしゃってましたね?」
「……ええ」
うなずくとトーリはおもむろに服を脱ぎ始めた。簡素なドレスだ。上着の紐を解けば脱ぐことは簡単だ。薄い下着も脱ぎ、寒空の下、トーリはほっそりとした美麗な裸身をコーザの前にさらした。腹は妊娠線でやや崩れていたが、それでも彼女の美しさを損なう事は無かった。
「私も、そう致しましょう」
コーザも服を脱ぐ。彼は1枚だった。筋骨隆々とした肉体に反りあがる『聖根』にトーリは目を輝かせた。シャロン達がトーリを止めようとすると彼女は手で制止した。太い腕で腰を持ち上げられると、脚を背中にまわして固め込む。
「いいですね? どちらかが音を上げるまで続けますよ?」
「淫魔を祖とする同じもの同士ですもの。異言はございませんわ」
トーリは腰を落とした。コーザの『聖根』が彼女のそこに侵攻する。ねじ込まれ、中ほどまで入ったところで頭の中が真っ白になった。絶頂が訪れたのだ。
「あふっ♡」
たまらない。これが教主の『伝家の宝刀』なのか。その魔力はトーリの経産腔を拡げさせ、出し入れをしやすくさせた。またも意識が途切れそうな程の悦楽を受けた。
動き始める。一往復ごとに絶頂の波だ。快楽神経が焼き切れて駄目になりそうになるその快感に、トーリはしっかりと耐えていた。こ、これはくせになっちゃいそう♡
コーザもまた同じく、トーリの細い身体の中に潜む吸精の器官のおぞましさに唸っていた。素晴らしいですね。腰を動かされてそれが更に強化される。これは、たまりません……。
「素晴らしいですね、トーリさん……」
「私もよ。教主さま♡」
コーザとトーリは身体を密着させ、お互いの体温を感じ取りながら交合に励む。いつの間にか教主の『聖液』が、トーリの下腹に供与されていた。最初は粘っこく、こすり合わせているうちにさらさらになるそれが良き潤滑剤となってコーザとトーリは交わり続けた。
2人の決着が着くまでは。サキュバスらは城から軍勢が出て来ぬよう、淫魔の魔法をもって強引に眠らせていた。先ほどの上空の戦いと光に慌てて、騎士団が城門から出て行こうとしたが事なきを得ている。
トーリとコーザの戦いは凄まじかった。トーリは常にノックアウトの手前にあった。しかしロープに背中を預けてなかなかに倒れない。コーザの強力なボディブローの連続にも受けて耐え続ける。コーザの精力は、無尽蔵だ。だからトーリの頭の中、常にこうである。
(しゅごうい♡ たまらなああいっ♡)
淫蕩と乱倫を日課とするカツランダルクご本家の当主は、この程度ではくたばらない。むしろやられまくるのはご褒美だ。飽きるまでずっと肉便器にして♡ けど、私はいくらちんぽを食べても飽きないから♡ コーザが枯れる事のない噴水であるなら、トーリはどこまでも底に着けない沼地であった。
夜更けが過ぎ、明け方も間近になった。それでもコーザとトーリの交合は続いた。2人とも一睡もしていない。むしろ身体は活気にあふれ、もう1週間はこのまま寝ずにセックスを続けたいとさえ考える程だ。
「教主さま♡」
「どうしたのです、トーリさん?」
「ちょっと待って♡ つながったままうんちをするから腰を止めて♡」
わかりました。コーザは待った。くい、と上がったトーリの尻から、湯気を立てて大便が出て行く。しつこい快楽と全身運動により、色合いと形の良い便だった。肛門をきゅっ、とさせた後にまた再開だ。
だが、この頃からコーザは身体に酷い重さを感じるようになっていた。トーリを抱き上げての『法悦』を続けていたからではない。彼の体力と筋力なら、この態勢のまま寝ずに1週間はつながったままでいられる。事実、彼はこれまでに数えきれないぐらいの徹夜をしたことだってあった。
(うむ。おかしいですね……)
速度を緩めずにピストンを続けながらコーザはいぶかしんだ。ますます身体が重くなっている。これはどうしたことだろう?
東の空の朝日の光が包みこんだ時、コーザは動きを止めた。トーリと繋がったまま右ひざを土につけた。彼は額にびっしょりと汗をかいていた。その汗には油膜が浮かんでいた。脂汗だった。
「はあっ。はあっ……」
「どうしましたの? 教主様?」
「……この勝負、私の負けのようです」
そんな馬鹿な。伺っていたシャロンは『すかうたー』でコーザとトーリの2人の魔力値をのぞき込んだ。
「トーリ様が8000万。コーザは……5000万を切っている?」
何が起こっているのだ。まさかトーリがコーザの魔力を吸っていたのか。でも、それは難しい話になるだろう。1億もの魔力値を持つ相手から5000万も吸い取るとは、それぐらいの器が無ければ出来ない芸当だ。
「よ、よろしいですか、トーリさん……」
コーザはうなだれながらトーリの身体を引き離そうとした。しかし、トーリは駄々をこねて離れなかった。
「いやっ! いやいやっ! トーリはきょうしゅさまのでかちんともっとあそびたいんだもん!」
「あれ? しゃべり方が、ちょっと……」
「……うふふふ。頭がばかになってしまいましたわね。でも、出来ればお断りいたしたいところですわ。勝ち負けに寄らず、このおっきなものをいつまでも受け止めていたいの♡」
でもそれは無理だった。コーザの『聖根』が、みるみるうちに力が抜けたのだ。膣の周りの筋肉に押し出されたそれは、『聖液』でぬめったまま力を取り戻す事は無かった。トーリは勝ったのだ。
ぶつぶつと独り言を言っていたトーリの頭の上に、あろうことか光の輪が顕現した。蒼色に輝いていた。しかしやや違っていたのは、その輪が二重になっていてそれを1本の線が通り、外側の輪の周りを小さな線がいくつもくっついていたということだ。それを見て吹っ飛ばされたカヅノ=サトシは開いた口が塞がらなかった。
「あ、あれは神聖魔法の……!」
しかしなんだか下品に見える。何か生臭くてむわっとする、周囲が毛だらけな入口みたいなモチーフにも見えてならない。これは神聖魔法の元をつくった『偉大なる父』と呼ばれる存在への冒涜か?
(違う。これもまた神への崇拝というものが伺える! 女神。あるいは、地母神と呼ばれる存在、異教の……それは私の前世のことであったな……この世界では!)
主神・マハーヴァラと対を為す女神であり多産神のヴァリシアナ。それの信奉による神聖魔法の術式であればそうなるだろう。ただ、この世界での神への信奉を元に術式を操るなら、性の力が重んじられ過ぎて輪の中に陰茎を模した象徴が浮かぶのかもしれないとサトシは思った。
「そんなことよりも……セイジ! 『法悦』は後にしろ! 来るぞッ!」
なんだ? 兄の怒声を背に受けたサトシは状況をまだ理解できていなかった。シャロンのヴァギナと肉体に溺れ込んでしまい、周囲に気を配れなかったのだ。
「兄貴、飽きたのか! こいつにあと5回ぶち込まなけりゃ気が済まんよ!」
「そうじゃない!」
サトシとコーザはトーリの足元に術式陣が展開するのを見ていた。とんでもない魔力だ。セイジがやっと気づいた時、コーザとサトシは『マルタの防塁』でトーリの360度を囲んだ。それでもお構いなしにトーリは自分の術を発動させる。
「『シディムの火』、初めて使うけどどんなものかしら?」
青く輝いていた術式陣が紅くなり、そして消えた。それから周囲の地面が揺らいで地割れが起こり、炎の柱が吹きあがった。神聖魔法による地揺れと噴炎の術式だ。地割れが壁をすり抜け、サトシとセイジとコーザに向かって襲い掛かる。
「大技をっ、いとも容易く!」
サトシはコーザに呼び掛けた。高く飛ぶしかありません。うなずいたコーザはセイジにも浮遊の力を与えて空高く飛んだ。自分達の足元に強力な魔法結界を張る。追いかけて来た炎を通さなかった。
逃げられたようね。トーリが空を見上げる。次の一手が始まっていた。何かをモチーフにした頭上の光輪と同じ形の術式陣が、頭の上広がる。そこから無数の光の矢が空に放たれていった。数万もだ。
とんでもない魔力を感じる。触手が消え失せ解放されたシャロンは『すかうたー』でトーリの魔力値を確かめた。
「……2400万! トーリ様はいきなり! どうして!」
あのカヅノ=サトシという男から精力を奪って急成長を遂げたのか。いや、そうではないとシャロンは考え直した。確かにそれもあるかもしれないが、トーリは秘めていた力を解放したのだ。あれが本気だ。魔力を爆発的に増大させる。天才が出来るという技であった。
「でもしかし……あれではコーザには……」
底知れぬエチウの大魔王に勝てるのだろうかとシャロンは不安で仕方が無かった。
□ □ □ □ □
「あの女、次から次へと神聖魔法を使いまくる!」
「の、ようですね。これはまた素晴らしいことです」
「コーザ殿! 呑気に感心している場合か!」
次々と襲ってくる光の矢に逃げまわりながらコーザとカヅノ=セイジがかけあっていた。コーザが張った防壁はもう粉々だった。飛び回っているうちに今度は進行方向から強い衝撃波を受けて戸惑った。とにかく音がけたたましい。
「ちっ。『アルキメデスの空気砲』か! やかましいものを!」
対空攻撃魔法でも強力なものだ。命中率こそ低いが当たれば亜人の強靭な身体でもただでは済まない。これでエチウまで乱取りに来た有翼人を蹴散らした実績があったサトシは、こいつの直撃を受けるとどんなことになるかわかっていた。
「兄さん! 俺達も反撃だ……ん?」
兄の青い顔を見てセイジが不安に思った。あの女の性病をたっぷり含んでそうなおまんこを舐めて腹を下したのか? 違う、とサトシは答えた。
「魔力が半分も発揮できない……いや、吸い取られたような気がする」
「ほう。やっと淫魔らしいことをやってくれたな。俺のは全然吸ってくれなかったがな」
「セイジ、あの女はまずい。戻って同志を連れて来よう。いくらコーザ殿がいても我ら2人ではどうにもならないぞ」
「弱気だな……」
セイジは強がっていたが実のところは不安でいっぱいだった。『シディムの火』と光の矢、『アルキメデスの空気砲』は大技に類するものだ。特にこんなに沢山の光の矢を放ち続けながらもう1つを仕掛けて来るのは、他の枢機卿でも出来ない芸当だった。トーリ=カツランダルク、恐るべしと言ったところだ。
「セイジさん、サトシさん。貴方がたは先にエチウにお戻りください」
コーザからの申し出。教主殿は何を?
「勝てる見込みがあるのですかな、教主殿?」
「久しぶりの恐るべき相手に物怖じをしたまでです。まだ私は試しておりません。でもお二方にとってトーリさんは。手に余る難敵のはずでしょう」
否定はできなかった。まさか、ここまで追い込まれるとは思ってもみなかった。光の矢は折角張った結界も貫通して飛び込んでくる。これを避けてトーリに一撃を与えるのは至難、は過言ではなかった。
「お気遣い、痛み入ります。我らは撤収しましょう」
サトシが受け入れていた。兄より魔法に劣ると日頃感じているセイジも受け入れざるを得なかった。敵をナメ過ぎていた。あれは紛れも無く、パラッツォ教の目的にとって最大の障壁となりうる。
「わかった……兄さん。何かあったら俺が掩護する」
セイジはふらふらとなりがちな兄を抱きかかえて飛んで行った。それから幻の様に消えた。転移魔法で遠くへ去ったのを見届けると、コーザは目を閉じて深呼吸をする。
見開くとトーリの真向いにいた。転移魔法に対する結界を解いていたらしい。背がとても高いコーザを見上げながら、ようこそ、と言ってトーリは微笑んだ。
「随分と大胆ですのね。罠が仕掛けられているかもしれないのに、こんな間近に来ようとは?」
「去る前にもう一度、5万の信徒達を返して欲しいと願い出る為にです。貴方は先ほど、今用意できる貢物が欲しいとおっしゃってましたね?」
「……ええ」
うなずくとトーリはおもむろに服を脱ぎ始めた。簡素なドレスだ。上着の紐を解けば脱ぐことは簡単だ。薄い下着も脱ぎ、寒空の下、トーリはほっそりとした美麗な裸身をコーザの前にさらした。腹は妊娠線でやや崩れていたが、それでも彼女の美しさを損なう事は無かった。
「私も、そう致しましょう」
コーザも服を脱ぐ。彼は1枚だった。筋骨隆々とした肉体に反りあがる『聖根』にトーリは目を輝かせた。シャロン達がトーリを止めようとすると彼女は手で制止した。太い腕で腰を持ち上げられると、脚を背中にまわして固め込む。
「いいですね? どちらかが音を上げるまで続けますよ?」
「淫魔を祖とする同じもの同士ですもの。異言はございませんわ」
トーリは腰を落とした。コーザの『聖根』が彼女のそこに侵攻する。ねじ込まれ、中ほどまで入ったところで頭の中が真っ白になった。絶頂が訪れたのだ。
「あふっ♡」
たまらない。これが教主の『伝家の宝刀』なのか。その魔力はトーリの経産腔を拡げさせ、出し入れをしやすくさせた。またも意識が途切れそうな程の悦楽を受けた。
動き始める。一往復ごとに絶頂の波だ。快楽神経が焼き切れて駄目になりそうになるその快感に、トーリはしっかりと耐えていた。こ、これはくせになっちゃいそう♡
コーザもまた同じく、トーリの細い身体の中に潜む吸精の器官のおぞましさに唸っていた。素晴らしいですね。腰を動かされてそれが更に強化される。これは、たまりません……。
「素晴らしいですね、トーリさん……」
「私もよ。教主さま♡」
コーザとトーリは身体を密着させ、お互いの体温を感じ取りながら交合に励む。いつの間にか教主の『聖液』が、トーリの下腹に供与されていた。最初は粘っこく、こすり合わせているうちにさらさらになるそれが良き潤滑剤となってコーザとトーリは交わり続けた。
2人の決着が着くまでは。サキュバスらは城から軍勢が出て来ぬよう、淫魔の魔法をもって強引に眠らせていた。先ほどの上空の戦いと光に慌てて、騎士団が城門から出て行こうとしたが事なきを得ている。
トーリとコーザの戦いは凄まじかった。トーリは常にノックアウトの手前にあった。しかしロープに背中を預けてなかなかに倒れない。コーザの強力なボディブローの連続にも受けて耐え続ける。コーザの精力は、無尽蔵だ。だからトーリの頭の中、常にこうである。
(しゅごうい♡ たまらなああいっ♡)
淫蕩と乱倫を日課とするカツランダルクご本家の当主は、この程度ではくたばらない。むしろやられまくるのはご褒美だ。飽きるまでずっと肉便器にして♡ けど、私はいくらちんぽを食べても飽きないから♡ コーザが枯れる事のない噴水であるなら、トーリはどこまでも底に着けない沼地であった。
夜更けが過ぎ、明け方も間近になった。それでもコーザとトーリの交合は続いた。2人とも一睡もしていない。むしろ身体は活気にあふれ、もう1週間はこのまま寝ずにセックスを続けたいとさえ考える程だ。
「教主さま♡」
「どうしたのです、トーリさん?」
「ちょっと待って♡ つながったままうんちをするから腰を止めて♡」
わかりました。コーザは待った。くい、と上がったトーリの尻から、湯気を立てて大便が出て行く。しつこい快楽と全身運動により、色合いと形の良い便だった。肛門をきゅっ、とさせた後にまた再開だ。
だが、この頃からコーザは身体に酷い重さを感じるようになっていた。トーリを抱き上げての『法悦』を続けていたからではない。彼の体力と筋力なら、この態勢のまま寝ずに1週間はつながったままでいられる。事実、彼はこれまでに数えきれないぐらいの徹夜をしたことだってあった。
(うむ。おかしいですね……)
速度を緩めずにピストンを続けながらコーザはいぶかしんだ。ますます身体が重くなっている。これはどうしたことだろう?
東の空の朝日の光が包みこんだ時、コーザは動きを止めた。トーリと繋がったまま右ひざを土につけた。彼は額にびっしょりと汗をかいていた。その汗には油膜が浮かんでいた。脂汗だった。
「はあっ。はあっ……」
「どうしましたの? 教主様?」
「……この勝負、私の負けのようです」
そんな馬鹿な。伺っていたシャロンは『すかうたー』でコーザとトーリの2人の魔力値をのぞき込んだ。
「トーリ様が8000万。コーザは……5000万を切っている?」
何が起こっているのだ。まさかトーリがコーザの魔力を吸っていたのか。でも、それは難しい話になるだろう。1億もの魔力値を持つ相手から5000万も吸い取るとは、それぐらいの器が無ければ出来ない芸当だ。
「よ、よろしいですか、トーリさん……」
コーザはうなだれながらトーリの身体を引き離そうとした。しかし、トーリは駄々をこねて離れなかった。
「いやっ! いやいやっ! トーリはきょうしゅさまのでかちんともっとあそびたいんだもん!」
「あれ? しゃべり方が、ちょっと……」
「……うふふふ。頭がばかになってしまいましたわね。でも、出来ればお断りいたしたいところですわ。勝ち負けに寄らず、このおっきなものをいつまでも受け止めていたいの♡」
でもそれは無理だった。コーザの『聖根』が、みるみるうちに力が抜けたのだ。膣の周りの筋肉に押し出されたそれは、『聖液』でぬめったまま力を取り戻す事は無かった。トーリは勝ったのだ。
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