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第三部 カツランダルク戦記 『第一章・本当の支配者』
32 会合
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「とんでもないのが直々にきちゃいましたね」
「やばいですよ……」
「これ、アタシたち全員つかまえられて肉便器にされるのかしら……」
配下のサキュバスらがざわめきだしたのは、トーリがコーザと顔を合わせる10分前のことだった。コーザらが転移魔法でナーガハーマに降り立ったちょうどその時だ。
教主コーザ。敵は予想をはるかに上回る強敵。サキュバスらの見立てはこうだった。城の執務室でマイヤが出してきた城郭の大改造計画書を眺めていたトーリは、他のサキュバス達と同じようにびくびくとしていたシャロンに呼びかけた。
「勝てる?」
「だ、誰がです?」
「もちろんあなたに決まっているじゃない。シャロン、コーザを追い払えそう?」
シャロンは腕を持ち上げて交差させた。絶対に無理。シャロンは両方の掌を上に向けた。ぽん、と煙が起きると両側にガラスがついた短い筒が現れた。
「それ、なあに?」
「『すかうたー』という道具です。魔力を数値としてはかれる便利な道具ですよ」
最近、イーガの王様に呼ばれっぱなしなカミラがくれたものです。あれはカミラが口実をつけて行っているのだとトーリは笑った。カミラはあの老王のちんぽと愛撫にのめり込んでいる。昔いた恋人に似ているからもあった。
この『すかうたー』という道具は大昔に発明者がいたのだが、それをマイア=テクニカが大改良して再現させたものである。イーガやシマナミスタンの魔法教育機関に出回っているそうな。我が国も必要になってくるだろうとトーリはつぶやいた。
「とりあえず、お出ましということだしお迎えにあがるわ」
「服を全部脱いで這いつくばりながら、命乞いをした方が良いくらいですよ?」
「ふふ……パラッツォの教主様であればおまんこで赦しを乞うほうが早いわ」
シンプルなドレスをまとっているだけだが、それに防寒具を羽織ってお願い、とトーリはシャロンに呼びかける。転移魔法はもう使えるだろうにとシャロンが言い訳をすると、トーリはふふん、と笑った。
「おじょうさまを1人で向かわせる気? 出迎えの時に侍女が1人2人いるのが普通でしょ?」
□ □ □ □ □
身近に見るコーザはシャロンにとって、恐ろしいと言う他に無かった。
2メートル程の背丈と鍛え上げられた武者の様な体格。弁髪にした異様な頭と全身から発する淫らであっても清らかなと思わせる、強い気配。股間のあたりからかすかに漂ってくる精液のにおいは、サキュバスでも容易に孕ませそうな妖気に満ちていた。
他の2人のニンゲンらしき男達も油断はならないだろう。精液イーターとも言うべき種族一員である彼女は、トーリの淫気によって不随射精をしてしまったカヅノ兄弟のにおいを嗅いだ。人を孕ませに来るやつのにおいだ。子宮が疼きだしたけど関わらないでおこう。とりあえず、その2人がどれだけの魔力があるか測ってみた。
「……背が高いのは魔法力300万。低いのは360万……ニンゲンの魔道士のくせに、すごいわ」
「どのくらいにすごいの?」
シャロンと同じように身を伏せながら、小さなブラシで髪をすいていたトーリが尋ねた。カミラとワタシの2人がかりでも勝てないかもしれないと答えた。カミラが350万ぐらいでシャロンは320万に届くか届かないかなのに。
理由はサキュバスが得意な魔法術式である。残念ながら魔族の多くは、魔力量こそたくさんあるが、戦いに関係しない魔法しか扱えない者が多く、サキュバスはその最たる例だった。戦闘用の術式が不得手なのだ。
炎の弾や氷の塊を飛ばす魔法とかになると魔力の消費量が3倍にも4倍にも膨れ上がってしまう。それなのにできるものは普通の魔道士の半分以下の大きさ。サキュバスの戦士は武器の扱い方に慣れるしか無かった。イーガの王子・アドルフを襲撃したメグとノンとマミも、師範をつけて武術を学んだから身であった。
「コーザは?」
「ざっと1億。端数切捨てです」
「それってどれくらいすごいのかしら?」
「魔界の大貴族と同格ですよ。それも最高クラスの。魔界が勧誘する場合は重職を用意することでしょう」
素晴らしいわ。そうつぶやきながらトーリが立ち上がった。髪をすき終わったからだ。窪地からこっそりと這い出て、いきなり現れたという演出でコーザ達の前に現れた。
出る前にシャロンはトーリの魔力を測っていた。魔法力600万。おまんこや腋のあたりから放たれ、全身をまとう淫気は魔力とは言えない。魔力量としては上級のサキュバスのかなり良い方と互角だが、コーザに勝てるとは到底思えなかった。
(おじょうさまを1人にする気?)
トーリに急かされてシャロンも立ち上がった。それがコーザらに見えてしまい、もとから隠れていたのがばれて演出は台無しになってしまった。
「ひょうきんな事をお考えですね。けれど、気づかぬうちに転移魔法で近くに来られるとは、なかなかのものです」
コーザが深々と頭を下げる。トーリはドレスのスカートを軽くつまんで挨拶した。
「こちらこそ。お初にお目にかかりますわ、コーザ=ストーンマウント様」
シャロンと腰砕けのままだったサトシも頭をさげた。しかし、セイジは下げなかった。表情には侮りの顔が浮かんでいた。
「本日来られた理由をお尋ねいたしましょうか、教主様?」
「いえ。将来のホーデンエーネンの支配者となられるお方のお顔を見てみたいと思っただけです。他に理由はございません」
「うふふ。それだけではございませんでしょうに? 調子に乗っている小娘を、懲らしめに参ったのでしょう?」
懲らしめるなんて恐れ多い。コーザはセイジが、トーリに対して強い敵意を抱いているのを背中で感じ取った。まずい、仕掛けるおつもりですね。教主は印を切って自分の背後に広く大きな見えない『壁』を築いた。一切の魔法を寄せ付けないという神聖術式による結界だ。
(……『マルタの防塁』の術式かッ! コーザめ!)
その術式は枢機卿らが教えたものだ。しかし彼等が使えるのは距離20メートル、高さ5メートル程。しかしコーザはその5倍を易々とやってのけた。実力を思い知らせて軽挙妄動を封じるつもりで為したものだった。
全く見えない、しかも異質の術式による魔法であったが、それはトーリとシャロンにもわかるものだった。後から様子を伺いにやって来たサキュバスらも度肝を抜かれていた。凄まじい魔法を前にして、彼女達は小便をちびりながら子宮に受胎の準備を施していた。ショックによる排卵もつけてだ。
しかし、である。魔の者と枢機卿らを畏怖させる魔法を前にしても、トーリは好奇心いっぱいに目を輝かせているだけであった。
「わあ……すごい魔法♡ どんな術式なのですか?」
「あそこの2人、カヅノ=サトシさんとセイジさんが教えてくれた神聖魔法という術式です。どうやら異界で隆盛をほこる魔法のようですね。私が扱えるのはほんの少しといった程度ですが」
「ホーデンエーネンと仲直りした暁には、是非とも私にも教えてくださいね?」
物怖じせずにトーリが呼びかけるとコーザは優し気に微笑んだ。その和平の条件の1つを今晩言いに来たのだ。
「では、その手始めにですが」
「あら、早速交渉ですね。いいわ。王様からは私からお伝えしますから」
「このナーガハーマで街づくりに関わる、パラッツォ教徒の皆さんを全員返還していただきたいのですが?」
笑みを浮かべていたトーリの顔が真顔になった。それ、吞めないわ。条件として不適切だから。だめ。
「お断りいたします」
「何故でしょう? 別に私は出ていった方々を処刑や重労働に服させたりはしないつもりです。皆さんの身の安全は保証いたしましょう。エチウから交代の兵も派遣しておりますし、国元で4年間の休養期間を与えるつもりでございますが?」
「やって来た5万人は私とマイヤの都の為に働いてもらうの。いいえ、マイヤの夢をかなえる為の5万人よ。それと、私と侍女らは毎日工事現場を回って、みんなを励ましているから大丈夫よ。心配いらないから」
励ましているというのは口とヴァギナでちんぽに奉仕をしているという意味だ。トーリらは工事現場を回り、休憩中の従事者に身体を預けていた。毎日が汗まみれの精液まみれ。セイン王からは「汗くさくなったなあ」と言われる始末である。
「……そうですか。それは残念です。また日を改めて伺うことにいたしましょう」
コーザはくるりと背中を向けた。壁もいつの間にか消えている。トーリは面を喰らった様子だった。パラッツォ教徒のあるじと会えたのだから、とても気持ちがいいひと悶着があってもいいはずなのに。
「あれ、教主様? もうお帰りですの?」
「ええ。貴方のお美しいお顔を拝見できただけで満足です。今度は貢物をそろえてお伺いに上がります」
「……もうすでに持参しているのに? 教主様は『聖根』という、目に見えぬ家宝をお持ちになられているとお聞きしましたけれど?」
そう来ますか。 しかしあれは贈呈用とは言い難い。むしろ決着をつける時に扱うものだ。2人の話に付き合わされて苛立っていたカヅノ=セイジが動いていた。彼の頭上に青色の丸い輪っかが浮かび上がった。本気を出した時の神聖術式を扱うときに出るものだった。
「恐れ多い! 小娘、コーザ殿の前にこの俺がたっぷりと『味試し』させてもらう!」
トーリの回りに光がいくつも起こった。目が眩んでしまったトーリだが、視界が戻った頃に強い縛りの力を全身に感じていた。動けなかった。コーザはカヅノ=セイジをたしなめようとする。
「セイジさん、失礼なことを……」
「言っても無駄! 教主殿、この思いあがった生意気な女をわからせてやりましょう! さあ、トーリ=カツランダルク、この俺の『異端諮問者の縛り縄』から逃れることができるか? 出来ないなら、服を脱いで股を開きながら赦しを乞え! わははははッ!」
「やばいですよ……」
「これ、アタシたち全員つかまえられて肉便器にされるのかしら……」
配下のサキュバスらがざわめきだしたのは、トーリがコーザと顔を合わせる10分前のことだった。コーザらが転移魔法でナーガハーマに降り立ったちょうどその時だ。
教主コーザ。敵は予想をはるかに上回る強敵。サキュバスらの見立てはこうだった。城の執務室でマイヤが出してきた城郭の大改造計画書を眺めていたトーリは、他のサキュバス達と同じようにびくびくとしていたシャロンに呼びかけた。
「勝てる?」
「だ、誰がです?」
「もちろんあなたに決まっているじゃない。シャロン、コーザを追い払えそう?」
シャロンは腕を持ち上げて交差させた。絶対に無理。シャロンは両方の掌を上に向けた。ぽん、と煙が起きると両側にガラスがついた短い筒が現れた。
「それ、なあに?」
「『すかうたー』という道具です。魔力を数値としてはかれる便利な道具ですよ」
最近、イーガの王様に呼ばれっぱなしなカミラがくれたものです。あれはカミラが口実をつけて行っているのだとトーリは笑った。カミラはあの老王のちんぽと愛撫にのめり込んでいる。昔いた恋人に似ているからもあった。
この『すかうたー』という道具は大昔に発明者がいたのだが、それをマイア=テクニカが大改良して再現させたものである。イーガやシマナミスタンの魔法教育機関に出回っているそうな。我が国も必要になってくるだろうとトーリはつぶやいた。
「とりあえず、お出ましということだしお迎えにあがるわ」
「服を全部脱いで這いつくばりながら、命乞いをした方が良いくらいですよ?」
「ふふ……パラッツォの教主様であればおまんこで赦しを乞うほうが早いわ」
シンプルなドレスをまとっているだけだが、それに防寒具を羽織ってお願い、とトーリはシャロンに呼びかける。転移魔法はもう使えるだろうにとシャロンが言い訳をすると、トーリはふふん、と笑った。
「おじょうさまを1人で向かわせる気? 出迎えの時に侍女が1人2人いるのが普通でしょ?」
□ □ □ □ □
身近に見るコーザはシャロンにとって、恐ろしいと言う他に無かった。
2メートル程の背丈と鍛え上げられた武者の様な体格。弁髪にした異様な頭と全身から発する淫らであっても清らかなと思わせる、強い気配。股間のあたりからかすかに漂ってくる精液のにおいは、サキュバスでも容易に孕ませそうな妖気に満ちていた。
他の2人のニンゲンらしき男達も油断はならないだろう。精液イーターとも言うべき種族一員である彼女は、トーリの淫気によって不随射精をしてしまったカヅノ兄弟のにおいを嗅いだ。人を孕ませに来るやつのにおいだ。子宮が疼きだしたけど関わらないでおこう。とりあえず、その2人がどれだけの魔力があるか測ってみた。
「……背が高いのは魔法力300万。低いのは360万……ニンゲンの魔道士のくせに、すごいわ」
「どのくらいにすごいの?」
シャロンと同じように身を伏せながら、小さなブラシで髪をすいていたトーリが尋ねた。カミラとワタシの2人がかりでも勝てないかもしれないと答えた。カミラが350万ぐらいでシャロンは320万に届くか届かないかなのに。
理由はサキュバスが得意な魔法術式である。残念ながら魔族の多くは、魔力量こそたくさんあるが、戦いに関係しない魔法しか扱えない者が多く、サキュバスはその最たる例だった。戦闘用の術式が不得手なのだ。
炎の弾や氷の塊を飛ばす魔法とかになると魔力の消費量が3倍にも4倍にも膨れ上がってしまう。それなのにできるものは普通の魔道士の半分以下の大きさ。サキュバスの戦士は武器の扱い方に慣れるしか無かった。イーガの王子・アドルフを襲撃したメグとノンとマミも、師範をつけて武術を学んだから身であった。
「コーザは?」
「ざっと1億。端数切捨てです」
「それってどれくらいすごいのかしら?」
「魔界の大貴族と同格ですよ。それも最高クラスの。魔界が勧誘する場合は重職を用意することでしょう」
素晴らしいわ。そうつぶやきながらトーリが立ち上がった。髪をすき終わったからだ。窪地からこっそりと這い出て、いきなり現れたという演出でコーザ達の前に現れた。
出る前にシャロンはトーリの魔力を測っていた。魔法力600万。おまんこや腋のあたりから放たれ、全身をまとう淫気は魔力とは言えない。魔力量としては上級のサキュバスのかなり良い方と互角だが、コーザに勝てるとは到底思えなかった。
(おじょうさまを1人にする気?)
トーリに急かされてシャロンも立ち上がった。それがコーザらに見えてしまい、もとから隠れていたのがばれて演出は台無しになってしまった。
「ひょうきんな事をお考えですね。けれど、気づかぬうちに転移魔法で近くに来られるとは、なかなかのものです」
コーザが深々と頭を下げる。トーリはドレスのスカートを軽くつまんで挨拶した。
「こちらこそ。お初にお目にかかりますわ、コーザ=ストーンマウント様」
シャロンと腰砕けのままだったサトシも頭をさげた。しかし、セイジは下げなかった。表情には侮りの顔が浮かんでいた。
「本日来られた理由をお尋ねいたしましょうか、教主様?」
「いえ。将来のホーデンエーネンの支配者となられるお方のお顔を見てみたいと思っただけです。他に理由はございません」
「うふふ。それだけではございませんでしょうに? 調子に乗っている小娘を、懲らしめに参ったのでしょう?」
懲らしめるなんて恐れ多い。コーザはセイジが、トーリに対して強い敵意を抱いているのを背中で感じ取った。まずい、仕掛けるおつもりですね。教主は印を切って自分の背後に広く大きな見えない『壁』を築いた。一切の魔法を寄せ付けないという神聖術式による結界だ。
(……『マルタの防塁』の術式かッ! コーザめ!)
その術式は枢機卿らが教えたものだ。しかし彼等が使えるのは距離20メートル、高さ5メートル程。しかしコーザはその5倍を易々とやってのけた。実力を思い知らせて軽挙妄動を封じるつもりで為したものだった。
全く見えない、しかも異質の術式による魔法であったが、それはトーリとシャロンにもわかるものだった。後から様子を伺いにやって来たサキュバスらも度肝を抜かれていた。凄まじい魔法を前にして、彼女達は小便をちびりながら子宮に受胎の準備を施していた。ショックによる排卵もつけてだ。
しかし、である。魔の者と枢機卿らを畏怖させる魔法を前にしても、トーリは好奇心いっぱいに目を輝かせているだけであった。
「わあ……すごい魔法♡ どんな術式なのですか?」
「あそこの2人、カヅノ=サトシさんとセイジさんが教えてくれた神聖魔法という術式です。どうやら異界で隆盛をほこる魔法のようですね。私が扱えるのはほんの少しといった程度ですが」
「ホーデンエーネンと仲直りした暁には、是非とも私にも教えてくださいね?」
物怖じせずにトーリが呼びかけるとコーザは優し気に微笑んだ。その和平の条件の1つを今晩言いに来たのだ。
「では、その手始めにですが」
「あら、早速交渉ですね。いいわ。王様からは私からお伝えしますから」
「このナーガハーマで街づくりに関わる、パラッツォ教徒の皆さんを全員返還していただきたいのですが?」
笑みを浮かべていたトーリの顔が真顔になった。それ、吞めないわ。条件として不適切だから。だめ。
「お断りいたします」
「何故でしょう? 別に私は出ていった方々を処刑や重労働に服させたりはしないつもりです。皆さんの身の安全は保証いたしましょう。エチウから交代の兵も派遣しておりますし、国元で4年間の休養期間を与えるつもりでございますが?」
「やって来た5万人は私とマイヤの都の為に働いてもらうの。いいえ、マイヤの夢をかなえる為の5万人よ。それと、私と侍女らは毎日工事現場を回って、みんなを励ましているから大丈夫よ。心配いらないから」
励ましているというのは口とヴァギナでちんぽに奉仕をしているという意味だ。トーリらは工事現場を回り、休憩中の従事者に身体を預けていた。毎日が汗まみれの精液まみれ。セイン王からは「汗くさくなったなあ」と言われる始末である。
「……そうですか。それは残念です。また日を改めて伺うことにいたしましょう」
コーザはくるりと背中を向けた。壁もいつの間にか消えている。トーリは面を喰らった様子だった。パラッツォ教徒のあるじと会えたのだから、とても気持ちがいいひと悶着があってもいいはずなのに。
「あれ、教主様? もうお帰りですの?」
「ええ。貴方のお美しいお顔を拝見できただけで満足です。今度は貢物をそろえてお伺いに上がります」
「……もうすでに持参しているのに? 教主様は『聖根』という、目に見えぬ家宝をお持ちになられているとお聞きしましたけれど?」
そう来ますか。 しかしあれは贈呈用とは言い難い。むしろ決着をつける時に扱うものだ。2人の話に付き合わされて苛立っていたカヅノ=セイジが動いていた。彼の頭上に青色の丸い輪っかが浮かび上がった。本気を出した時の神聖術式を扱うときに出るものだった。
「恐れ多い! 小娘、コーザ殿の前にこの俺がたっぷりと『味試し』させてもらう!」
トーリの回りに光がいくつも起こった。目が眩んでしまったトーリだが、視界が戻った頃に強い縛りの力を全身に感じていた。動けなかった。コーザはカヅノ=セイジをたしなめようとする。
「セイジさん、失礼なことを……」
「言っても無駄! 教主殿、この思いあがった生意気な女をわからせてやりましょう! さあ、トーリ=カツランダルク、この俺の『異端諮問者の縛り縄』から逃れることができるか? 出来ないなら、服を脱いで股を開きながら赦しを乞え! わははははッ!」
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