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第三部 カツランダルク戦記 『第一章・本当の支配者』
29 靄
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パラッツォ教団がナーガーハーマの街づくりに協力してくれるだろう。その発言は、会議に参加した者らを大いにざわつかせた。突拍子もない。何を言っているのだ、マイヤ様は?
その当のマイヤもわからなかった。どうやって集めるんだろう。色々考えようとしたらこんな言葉が彼女の頭に思い浮かんだ。
(トーリが言ったんだもの。なんとかしてくれるか。)
それでも考えようとすると、頭がもやもやになって考えが思い浮かばない。それに疑問を感じなかった。他のことを考えるからだ。会議の参加者達からどんな方法でパラッツォ教徒を集めるのだ、という質問を受けたが、口が勝手に動いて今はまだ秘密と返してうやむやにしてしまった。
「もう1つ提案したいの。鉄砲や投石砲の工房を兵舎の近くに……」
その話を振ると、すぐに皆は食いついた。近衛騎士団の本格的な鉄砲隊の組織を望んでいた。100や200の数じゃない。数千丁もの鉄砲を持つ大部隊を結成したい。教団との数々の小競り合いでその威力を学んだ。そしてパラッツォ教団もできの悪い模倣品だが、鉄砲をつくり始めていた。
「旧式の火縄式や火打式ではありません。魔法発火式の鉄砲の工房です」
もう既に技師は手配している。こちらに向かっているトーリとともにやって来るだろう。アスカウ公の到着は来月になりそうだ。先週国王がナーガーハーマ入りしたのに、ヤマシナッフェンの港で足止めを食らったらしい。
それまではマイヤと近衛騎士団らが、パラッツォ教団との戦争を采配しようとする国王の補佐にまわる。聖騎士団もいたが彼らはもっぱら最前線だ。マイヤもよく知るエルヴィン団長が指揮していた。
軍略についてあまりはっきりしない近衛騎士団よりも、聖騎士団から聞いたほうがいろいろと学べるはずだ。北部での戦いや教団の兵器や戦法、魔道士について。なのに今、マイヤは他のことを考えて、エルヴィンらのことを忘れてしまった。
(城の南側の都市開発はどうしよう。だいがく……そう、大学。ナーガーハーマに私の大学を建てるのは、いつになるのだろう?)
どうやってみんなを言いくるめられるだろうか、とマイヤは考えはじめていた。
□ □ □ □ □
トーリと一緒になってからマイヤは、自分の夢を叶えることばかりを考え、別の大事なこと、例えばイーガに残したマルティンらや、かつて世話になった人たちのことをすっかり忘れてしまった。イズヴァルトのことはこだわっていたが。
イーガやアスカウの村に手紙を出していない。みんなどうしている、ともトーリに聞いていない。なぜなら彼女はトーリの魔法よって、思考を制限されていたからだ。
「自分の夢と精液漁り、金儲けのことだけに集中しろ」
戻ってからすぐマイヤは姉に、こうした暗示を受け続けてきた。彼女とて魔法こそあまり使えないが高名なサキュバスの子孫であるから、そうした心理操作の魔法に抵抗力を持っていたはずだが、その根源とも言えた卵巣を潰されたことで失ってしまったのだ。今の彼女の魔法抵抗は、ほぼゼロだ。
よってマイヤはこの1年近く、姉の都合に良いかたちで生かされていた。トーリに悪気は無かった。むしろ『勝ちいくさ』で進んでいる中、マイヤが余計なことをしでかしてピンチにならないように考えているのだ。
今のマイヤは半ば自動人形となった。工房で新製品を提案する装置として。トーリの側近として様々な仕事をする機械として。そして、ちんちんをしゃぶったりはめたりして生を謳歌する、肉便器だるま女。
でもマイヤはその境遇に満足を覚えていた。本来の彼女の得意分野で働けたからである。難しいこと考えずに知識とおっぱいとまんこを使え。
工房の新製品やナーガーハーマの整備の補佐をしてくれる技師らのちんぽを口でちゅぱちゅぱ、汁っけたっぷりの『肉廃坑』でじゅぷじゅぷとごほうびをくれてやりながら、1ヶ月を待った。
「ふああああ……」
その日の朝、マイヤはベッドの上で目を覚ました。イーガ産のものより出来が悪い義手や義足を外した裸のままで、うつぶせになって寝ていたのだ。
「うーん……おまたがちべたい……」
大きく広げた股から、昨晩遅くまで搾り取っていた精液がこぼれ出た。いくら放っても妊娠せぬマイヤの膣は、生でやり放題だ。病気の心配もあったがサキュバスらの魔法でなんとかなる。
余韻が過ぎてちょこんと縮こまった陰裂から、ぶぴゅっと遠慮なしに放たれたものを吐き出して周りを見る。ベッドの横や床の上で、酒瓶をかかえながら大いびきをかいて眠っている男たちの姿があった。どの男たちもだらしない腹をしていたりやせっぽち。都市計画の技師達である。
昨晩は飲み会を兼ねての大乱交大会だった。夕方から始まり、マイヤはががぶがぶと火酒を飲みながら、この2ヶ月近く頑張ってくれている技術者達に身体でお礼を述べることにした。
「淫乱イモムシ娘のおまんこの穴、みんなのズリ穴につかっていいからねっ! うひゃひゃひゃひゃっ!」
マイヤは酔うと笑い上戸になり、もっとはしたなくなる。酒を飲みながら次々とフェラチオを食らわせてザーメンも暴飲し、彼女の妙技に輸精管を盛らせた相手の男たちは、終わりなき膣での悦を臨むマイヤに次々とのしかかった。彼女の自慢の爆乳や、もちもちぷりぷりのお尻や太ももを揉みながらだ。
(……だいぶやりすぎちゃったかなあ。頭が痛い。)
酒がまだ残っていた。とはいえマイヤはまだ16歳だ。若い身体は飲酒と過度の性交でへばっている男たちより回復力があった。マイヤはごろごろと転がって、ベッドに足を乗っけて寝ている男の身体の上を通り過ぎた。
床に降りると、よいしょ、よいしょ、と小さく掛け声をあげて身体を立てようとする。まだ残っている腕と太もも、背中の力を使って床にぺたんと尻をつけて座った。彼女なりのリハビリであった。
ベッドや床を転がり、態勢を変えてからお腹がごろごろと鳴り出した。朝のうんちの時間が来たのだ。側で寝ていた男を太ももでつついて、便所に連れていくかおまるにまたがせてほしいとせがんだ。
「マイヤさまぁ……朝っぱらからなんです?」
「うんち。うんちがしたいの。そろそろ出そうだから連れてって?」
「そこでしちゃっていいですよ。後片付けはしときますから……むにゃむにゃ」
「そんなきたないことできないよっ!」
しかしそろそろまずいと思って大声で叫ぶと起きてくれた。出かかっているから窓の外でひねる。相手は大慌てで窓を開け、マイヤのお尻を窓の外に突き出させた。
「しっかりと抱きとめてね! ふにゅにゅにゅ!」
もっちりとした白い尻からぶりゅぶりゅと茶色いものが落下した。真下で「うげっ!」と悲鳴をあげる声があがった。マイヤはなおも尻からびちょびちょとした大便を放ちながら真下を伺った。
「ううん……これ、マイヤのうんちじゃない……」
旅装をまとったトーリだった。彼女はマイヤの大便で頭を汚していた。くさくてくさくてたまらないわ、となぜだか嬉しそうに笑ってもいたが。
□ □ □ □ □
トーリが妹の下痢便を頭にかけられてから、ナーガーハーマでは不可解なことが始まった。王国軍とにらみ合っていた各地のパラッツォ教の砦や部隊が次々と、王国への移住を申し出したのだ。
アヅチハーゲンの近郊の出城の防衛隊やオバーマゲルクを伺う離島に駐屯する兵団。破壊工作を行う為に内部にアジトを設けた小部隊など。よりにもよって教団側の魔道士である、司祭騎士や経典の巫女らもその中に入っていた。
半月もすると国内にいたほぼすべてのパラッツォ教団兵がホーデンエーネンに寝返っていた。その数およそ5万。王国は奴隷身分でなら良いと受け入れたが、エチウの教団を見限る理由はだいたい、こんなものだった。
「殺し合いばかりでいやになった。はやく平和に暮らしたい」
「同胞が殺されたことで義憤にかられていくさに加わったが、さしたることもできなかった。疲れた」
「血で血を洗う行いはやはり、パラッツォの教えにそぐわない」
厭戦気分である。北部の領主や領民らもパラッツォ教団との戦争が嫌になっていた。パラッツォ教徒はそもそも、マハラ教から改宗した彼らの親戚縁者だったり、先祖の頃から頻繁に交流していたエチウ諸島の島民だったからだ。そもそも憎しみを抱きにくい間柄だった。
その5万人は皆、ナーガーハーマの工事に用いられることとなった。トーリの提案である。セイン王にすんなりと受け入れられた。なぜなら降伏した者たち全員が、どうにも覇気に欠ける雰囲気だったからである。あれじゃあ詭計にも使えないと王は判断した。
5万人はクニットモッツェン山城の南側、アネガウのほとりに居住区を設けて住まわせた。マイヤが進言したのだ。彼女はアネガウ側に商業都市を作ろうと考えていた。ちなみにだがこの5万人は数十年後に15万人の大都市となる、ナーガーハーマ市民らの祖となった。
技師や武将らの監督の元、ナーガーハーマの大改造が始まった。マイヤは現場には出なかった。彼女は『本職』らの裁量に任せることにした。設計図どおりはなかなかうまくいかないことはわかっているし、何よりも久しぶりに会うイズヴァルトの父母に甘えたかったのだ。
その日の昼間である。姉とともにお付きの武者らとのおちんぽ味試しを終えたマイヤは、まだ続けている姉を置いて沐浴を行っていた。イズヴァルトの母と一緒だった。かつてはスオニアにあるマハラ教総本山の巫女の1人だった。
キッカワンテスのセシリア。イズヴァルトから聞いた話だとシギサンシュタウフェン公と出会う前に3人も子を産んだという。しかし無駄な肉を見つけにくい、『妖精さんみたいな乙女』とも言い表せそうな細い裸体からは伺えなかった。
「マイヤちゃん。湯加減はどうかしら?」
「あーいー!」
湯の中で、セシリアに抱っこされたマイヤは幼児言葉で返した。いい湯加減でちゅ。セシリアが甲斐甲斐しく甘やかしてくれるから図に乗っていた。
「でもこのお湯、ちょっと熱い気もするわ。マイヤちゃんのお肌もなぜだか赤くなってるし……」
セシリアは暑がりだった。少々温度感覚がズレていた。女中さん、水を沢山加えてください。もうちょっとぬるめがいいわ。
「セシリアお母様! このぐらいがちょうどいいの! いいから水で薄めようとしないで!」
「そう? でも熱すぎね……」
実は旅のエルフさんから教わった魔法があるのだけど。セシリアはちょいと指で印を切った。湯はたちまち冷たくなり、真冬の川の水みたいに冷たくなった。
「ひえ。ひえええええ……」
歯をがちがちがちと鳴らしながらマイヤは、ちょうどよい湯加減ねとくつろぐセシリアに呼びかけた。出して。このままだと凍え死んじゃう。
「あらそう? わたしはいい湯加減だと思ったけど……」
「真冬でも川でばしゃばしゃと水浴びができる人と違うんですよ!」
「マイヤちゃん、手足がなくなったぶん、寒がりになっちゃったのね……」
それは違うから、とマイヤは返した。マイヤは寒いのが昔から苦手だ。沐浴から出ると化粧室にある寝台に寝かされた。セシリアが入れてくれる時は必ず、香油を塗ってくれた。
「マイヤちゃん。お肌にたっぷり塗ってあげるわね」
「はーい」
侍女が持ってきた油の瓶を受け取ると、セシリアはマイヤの肌に塗りはじめた。しっとりとした手によるマッサージである。セシリアの手付きはとても慣れていた。
「ゔゔん♡」
マイヤは思わず声をあげてしまった。それぐらいにセシリアの手は優れていた。肩を揉んでくれた後、ぷるんと揺れ続ける大きな乳房を指と掌がなぞる。ちょっと押しただけで羽毛ふとんにくるまったように埋め込まれる柔らかさであった。
「ふしゅん♡」
おっぱいがもみもみされてきもちいい。マイヤはお腹のあたりが熱くなった。じわっとにじみ出た愛液が割れ目から、しずくとなって垂れた。
「ふにゃあ……♡」
「あらあら。とっても気持ちよさそうね?」
「もっとー、もみもみ♡」
「うふふ。マイヤちゃんはあんまをされるのが大好きなのね?」
慈愛の目でマイヤを見るセシリアだが、彼女の下腹にあったかすかな手術痕を見て悲しい気持ちを覚えていた。それを押し殺して隠すのだが、もう子供が産めない身体だというのが無念だろう。彼女はマイヤがイズヴァルトの赤ん坊を毎年のように産んでくれるのを楽しみに待っていた1人だった。
でも悔やんだって仕方がない。そう思ってセシリアは手をマイヤの股に伸ばした。
「しょ、しょこはっ♡」
「こっちもよく使っているのでしょう? だいじなところももみもみしましょうね?」
「ひゃっ♡ ひゃあぁい♡」
マイヤがうなずくとセシリアの指がスリットの上部の突起のあたりをくりゅくりゅと撫ではじめた。ひゃああん、と切ない声を上げながらマイヤは甘え続ける。
これをするセシリアに、ゆがんだ心は無かった。こうしたスキンシップはよくあることだった。事実、マイヤはアスカウでよく見てきた。まだ小ちゃい頃のコリアンナだ。
コリアンナはトーリおかあさんによるお掃除を受けて、ふんふんと鼻息を鳴らして「とめちゃやだ♡ もっとして♡」と求めた。娘が性豪になるように育てていたトーリは失神するまでそうしてやった。
「くりくりされてきもちいいよう♡ セシリアおかあしゃん、ずっとつづけてえぇ♡」
「ほどほどにしておきますよ。はい。たくさん出てきましたね。今度は背中を向いてね?」
そう言ってセシリアは軽々とマイヤをひっくり返した。マイヤにとって至福の時がまだまだ続く。
しかしマイヤが気づかぬところでは、決戦が始まろうとしていた。王国と教団のだ。5万にも及ぶ亡命者達こそが引き金だった。
30 教主
パラッツォ教団の教主・コーザ=ストーンマウントがその知らせを受けたのは、エチゴニア島にある教団の本山、ハルヒアトゥントゥリで教徒の子供たち相手のお話会を終え、自分の部屋に戻った直後だった。
そのような話があったのですね。5万もの教徒が自発的にホーデンエーネンに逃げたとは。それも1ヶ月ほど前の話だ。情報が集まる総本山にはこの2ヶ月、教主は空けていた。だからその話が入ってこなかったのか。
それは違うだろう。そう思いながら知らせてくれた経典の巫女に呼びかける。なぜ、その知らせがこれまで入ってこなかったのですか?
「よくはわかりません。ただ、司祭騎士団の幹部でとどめていたかと」
やはりそうでしたか。ホーデンエーネンのことについて、教主は司祭騎士団の要職らに任せていた。彼自身はもう戦争をやめるべきだと考えていたが、信徒たちはそうもいかない。平和と愛を説く教義を学んでも、殴られたら殴り返したくなるものだ。
教団が領した土地の統治と戦争のことに関しては、全てを高位の司祭騎士たちに任せていた。誰もがエチウ諸島やイナーヴァニアの貴族や王族の血筋の者。私財を貯め込み過ぎないようにと釘を差しての委任だった。彼らは清貧を心がけてくれていた。何もかもが割合とうまくいっている。
「私に話が行かなかったのは、教主を俗界の悩み事に煩わせたくないという皆の心遣いでしょうか」
5万もというのはおかしい。彼らでは到底解決できない問題である。さようでございましょう、とうなずきながら経典の巫女は、毛布を幾重にもかけた椅子に座るコーザに流し目を送った。
「教主様、『法悦』をくださいまし……」
コーザはうなずいた。女は毛織のまとい布を脱ぎ、はちきれんばかりの肢体をさらした。コーザは椅子から立ち上がると、法衣の前をはだけ、雄大かつ神々しい『聖根』をさらけ出した。
40センチを超え、馬車の車輪の軸みたく太い。すでに弓なりに硬くなっている。それを見て女は息を呑んでいた。『聖根』からは淫らな、けれども柔らかな香気が漂っていた。
教主は巫女を引き寄せた。身体が密着し、女の胸は高鳴った。教主は彼女を軽々と抱き上げると、濡れて待ち望んでいるその入り口をくぐり込ませようとする。
あまりにも大きな『頭』である。けれども『聖根』は相手の蜜溝の奥にすんなりと入った。この教主が持つ聖器は、それが常に発している力で女陰の幅を自在に伸縮させられるのだ。
『聖根』が彼女の奥まで届いた。全身を貫く快感を覚えて喘いでいた。『聖根』には大きさだけでなく、それを受け入れた者の悦楽に伴う神経を極限以上に活性化させる力があった。
挿れている最中、性の喜びに生きる魔物・サキュバスと同じぐらいの身体にさせるのだ。奥まで入りこんできただけで、経典の巫女はエクスタシーに達してしまう。行き来すれば同じ快感が。
その悦は慣れて減ることはなかった。むしろ深くなるのみだ。鮮烈な快感が出るまでずっと続く。巫女はコーザにしがみついて悶え狂う。
女は『法悦』を貪り、その先を目指す。昇天はすでにしているがもっと高みを目指さねばならぬ。法悦の究極に教団の信徒が目指す、神との対話があるのだ。彼女はまだ神の言葉を聞いたことが無かった。
彼女はコーザのたくましい首にしがみつき、自分から腰を持ち上げて積極的に悦を感じた。入ったら最後、この聖儀を抜ける気になれない。食事をし、排泄を為しながら3日3晩、寝ずに交わり続けたくなる狂おしさを伴った。
とはいえこの行いはコーザにも悦を与えることとなる。経典の巫女が激しく求める最中に、彼は腰を止めて相手を抱きしめた。『聖根』から『聖液』が放たれたのだ。
コーザのそれは女に必ず排卵を促し、受精をさせることができた。その経典の巫女はコーザの子を欲しがっていた。しかし彼女はコーザの、数えきれないほどいる孫の1人であった。
それに気兼ねせず彼女は子宮に吸わせてやった。コーザの『聖液』は血が濃くなるゆえの不具合を起こさなかった。娘や孫娘が自分の子を産んでも、病弱や気狂いはならなかった。彼の半魔の力がそうさせたのだ。
最初の『聖液』の拝領を終え、コーザは次に分け与える分を出す為に動き出した。経典の巫女はますます歓喜した。汗をびっしょりとかき、たわわな乳房が揺れ、尻は弾んだ。
その淫らだが多産そうな腰の奥では確かに変化が起こっていた。教主との法悦とともに望んでいたことだ。生命の再生産。
教主のそれに含まれる数は、通常のニンゲンの10倍あった。どれもが勢いが良い。しかも亜人たちのそれのように、放たれてからも2週間や3週間は生き続ける。
教主の二度目の拝領の後、その経典の巫女は神との対話に臨む前に力尽きてしまった。けれども満足行く生殖であった。
行為の後、寝台で清々しそうにいびきをかいて眠る孫娘の寝顔をコーザは部屋を出ていった。このハルヒアトゥントゥリを訪れている女信者達に、『聖根』と『聖液』の功徳を施すためにである。
コーザは『博愛』の人である。信者の女が望めば、その腹から出る子を為すのに力を尽くす。その父親であるコージュ=ストーンマウントがそうであったように。
□ □ □ □ □
1週間後。ハルヒアトゥントゥリの東にあるクビキラスキの港でコーザは船を待っていた。本拠地であるカナザワース島へ向かう船である。
本当はもう1ヶ月この島に滞在し、次はキンキ大陸に近いナオエニア島へ向かうはずだった。けれどもホーデンエーネン北部で起こっていた異変を聞けば聞くほど、本国に帰って腹心らと話し合い、対策をとらなければと思い立った。
その腹心とは、司祭騎士の重職達のことでは無い。枢機卿と呼ばれる者達だ。常に教団の裏に置かれ、いつもは魔法の研究に従事している。しかし彼らは教団が危急の時に、重大な決断をする時にコーザの元に集められる。
その数は11名。誰もが珍しい名前を名字を持っていた。そしてその生い立ちはもっと希少だ。果たしてそのうちの2人がコーザを乗せる船でやって来た。
枢機卿として聖装をまとった2人は艷やかな黒髪の若々しい顔立ちの男だった。1人は背が高くて険のある目つきをしており、もう1人は背が低く、眉がさがっていて穏やかだ。しかし顔立ちはそっくりだった。起伏が緩やかな、のっぺりとした顔であるが美男である。
ただ、その黒髪と顔立ちはある種族の男児にしか見られぬものであった。彼等は額にツノが生えた小さな子供たちをたくさん引き連れてコーザに拝謁した。
「ごきげんよう、カヅノ=サトシさん、セイジさん」
穏やかに微笑みかける教主に2人は無言で頭をさげる。お子様方もごきげんよう。子供らは全員がこの2人の子である。ほとんどが娘ばかりだ。皆、髪の毛の色は微妙に違うが父親に似ていた。背の高い男、カヅノ=セイジが口を開いた。
「お久しぶりですな、猊下。長くカナザワースを空けていたので、島を捨てたくなったのかと心配しておりましたよ」
ご冗談を。めずらしいですねと言いながら教主は笑った。枢機卿らが子供たちを連れて出迎えてくれるとは。上り板に足をかけると小柄なサトシが手を差し伸ばした。
「ふふふ。教主殿こそ。転移魔法を使えるのに、わざわざ船でカナザワースに戻るとは酔狂ですな」
「あまり便利な魔法を使っていると、距離感が鈍くなりますからね。たまには脚を使い馬を用い、船に乗ってゆっくりと旅を楽しみたいのですよ」
船室の食堂に案内された。馳走が用意されていた。とはいっても教主が食べるのは信徒の主食ともいえる『甘露(アームリータ)』と、少しばかりの煮野菜のスープのみだ。
枢機卿と子供たちは違った。サバやニシンを焼いたりシチューの具にした、エチウ諸島の伝統料理である。彼等は霊薬のみでは生きられない。ツノが生えている子供たちも、2人の父親たちも。
席に付き、皆で神に感謝を伝えて食事にとりかかった。ホーデンエーネンで起きている信徒たちの大量離脱についての話となった。カヅノ兄弟は密偵を放って調べさせたことを語った。
「はじまったのはアヅチハーゲン近郊の、我々の軍の駐屯地からです」
「巫女・リブ=リデラントらのことで苦しい思いしましたね……」
経典の巫女・リブ=リデラントは、教主が強く信頼する人物だった。1年ほど前まで、アヅチハーゲン方面に展開する軍を率いていた。聖騎士イズヴァルトを介して敵方の総大将・カシバフェルト公と和平を結び、公と男女の契りを結んだのだが、騙し討ちに遭った。
その上に彼女が率いていた軍勢も全滅した。男は虐殺され女は奴隷として送り出された。ホーデンエーネンの朋友・クボーニコフ王国が1枚かんでいる厄介な事件でもある。
教団軍は逃げきった生き残りとエチウからの増援でアヅチハーゲン方面軍を再結成し、去年の暮れ頃の会戦で、リブの仇ともいえるカシバフェルト公を討ち果たした。エチウでも大量生産をはじめた火縄銃でだ。
復讐を果たしたからアヅチハーゲン方面軍は、専守防衛に徹するかと思えばそうではなかった。遊撃隊をいくつも編成して各地のホーデンエーネン軍の陣地を襲いはじめた。敵側も結成していた狙撃部隊でやり返す。それが続いて大会戦の気配が漂い始めていたのだが。
「まずは守備に当たっていたアヅチハーゲンのその1万が」
兄に続けてカヅノ=セイジが言う。オバーマゲルクを伺っていた砦や、最北端のツルーガニスクを守っていた軍勢が、ホーデンエーネンに。
「それもこれも、ナーガーハーマにある人物が到着するまでに起きたことです」
「ということは……カツランダルクさんですね」
「ご明察、です。さすがは教主様」
ホーデンエーネン王国には影に隠れた大魔導の一族がいることぐらい、コーザは知っていた。力をつければ大きな壁となって立ちはだかるであろう一族だ。
「カツランダルクの姉妹。どちらも底しれぬと聞き及んでおりましたが……今はもう、姉のトーリさんでしょう」
もう一人は花開く前に潰されてしまった。裏の世界で、イーガの魔王と呼ばれた人物にである。
その当のマイヤもわからなかった。どうやって集めるんだろう。色々考えようとしたらこんな言葉が彼女の頭に思い浮かんだ。
(トーリが言ったんだもの。なんとかしてくれるか。)
それでも考えようとすると、頭がもやもやになって考えが思い浮かばない。それに疑問を感じなかった。他のことを考えるからだ。会議の参加者達からどんな方法でパラッツォ教徒を集めるのだ、という質問を受けたが、口が勝手に動いて今はまだ秘密と返してうやむやにしてしまった。
「もう1つ提案したいの。鉄砲や投石砲の工房を兵舎の近くに……」
その話を振ると、すぐに皆は食いついた。近衛騎士団の本格的な鉄砲隊の組織を望んでいた。100や200の数じゃない。数千丁もの鉄砲を持つ大部隊を結成したい。教団との数々の小競り合いでその威力を学んだ。そしてパラッツォ教団もできの悪い模倣品だが、鉄砲をつくり始めていた。
「旧式の火縄式や火打式ではありません。魔法発火式の鉄砲の工房です」
もう既に技師は手配している。こちらに向かっているトーリとともにやって来るだろう。アスカウ公の到着は来月になりそうだ。先週国王がナーガーハーマ入りしたのに、ヤマシナッフェンの港で足止めを食らったらしい。
それまではマイヤと近衛騎士団らが、パラッツォ教団との戦争を采配しようとする国王の補佐にまわる。聖騎士団もいたが彼らはもっぱら最前線だ。マイヤもよく知るエルヴィン団長が指揮していた。
軍略についてあまりはっきりしない近衛騎士団よりも、聖騎士団から聞いたほうがいろいろと学べるはずだ。北部での戦いや教団の兵器や戦法、魔道士について。なのに今、マイヤは他のことを考えて、エルヴィンらのことを忘れてしまった。
(城の南側の都市開発はどうしよう。だいがく……そう、大学。ナーガーハーマに私の大学を建てるのは、いつになるのだろう?)
どうやってみんなを言いくるめられるだろうか、とマイヤは考えはじめていた。
□ □ □ □ □
トーリと一緒になってからマイヤは、自分の夢を叶えることばかりを考え、別の大事なこと、例えばイーガに残したマルティンらや、かつて世話になった人たちのことをすっかり忘れてしまった。イズヴァルトのことはこだわっていたが。
イーガやアスカウの村に手紙を出していない。みんなどうしている、ともトーリに聞いていない。なぜなら彼女はトーリの魔法よって、思考を制限されていたからだ。
「自分の夢と精液漁り、金儲けのことだけに集中しろ」
戻ってからすぐマイヤは姉に、こうした暗示を受け続けてきた。彼女とて魔法こそあまり使えないが高名なサキュバスの子孫であるから、そうした心理操作の魔法に抵抗力を持っていたはずだが、その根源とも言えた卵巣を潰されたことで失ってしまったのだ。今の彼女の魔法抵抗は、ほぼゼロだ。
よってマイヤはこの1年近く、姉の都合に良いかたちで生かされていた。トーリに悪気は無かった。むしろ『勝ちいくさ』で進んでいる中、マイヤが余計なことをしでかしてピンチにならないように考えているのだ。
今のマイヤは半ば自動人形となった。工房で新製品を提案する装置として。トーリの側近として様々な仕事をする機械として。そして、ちんちんをしゃぶったりはめたりして生を謳歌する、肉便器だるま女。
でもマイヤはその境遇に満足を覚えていた。本来の彼女の得意分野で働けたからである。難しいこと考えずに知識とおっぱいとまんこを使え。
工房の新製品やナーガーハーマの整備の補佐をしてくれる技師らのちんぽを口でちゅぱちゅぱ、汁っけたっぷりの『肉廃坑』でじゅぷじゅぷとごほうびをくれてやりながら、1ヶ月を待った。
「ふああああ……」
その日の朝、マイヤはベッドの上で目を覚ました。イーガ産のものより出来が悪い義手や義足を外した裸のままで、うつぶせになって寝ていたのだ。
「うーん……おまたがちべたい……」
大きく広げた股から、昨晩遅くまで搾り取っていた精液がこぼれ出た。いくら放っても妊娠せぬマイヤの膣は、生でやり放題だ。病気の心配もあったがサキュバスらの魔法でなんとかなる。
余韻が過ぎてちょこんと縮こまった陰裂から、ぶぴゅっと遠慮なしに放たれたものを吐き出して周りを見る。ベッドの横や床の上で、酒瓶をかかえながら大いびきをかいて眠っている男たちの姿があった。どの男たちもだらしない腹をしていたりやせっぽち。都市計画の技師達である。
昨晩は飲み会を兼ねての大乱交大会だった。夕方から始まり、マイヤはががぶがぶと火酒を飲みながら、この2ヶ月近く頑張ってくれている技術者達に身体でお礼を述べることにした。
「淫乱イモムシ娘のおまんこの穴、みんなのズリ穴につかっていいからねっ! うひゃひゃひゃひゃっ!」
マイヤは酔うと笑い上戸になり、もっとはしたなくなる。酒を飲みながら次々とフェラチオを食らわせてザーメンも暴飲し、彼女の妙技に輸精管を盛らせた相手の男たちは、終わりなき膣での悦を臨むマイヤに次々とのしかかった。彼女の自慢の爆乳や、もちもちぷりぷりのお尻や太ももを揉みながらだ。
(……だいぶやりすぎちゃったかなあ。頭が痛い。)
酒がまだ残っていた。とはいえマイヤはまだ16歳だ。若い身体は飲酒と過度の性交でへばっている男たちより回復力があった。マイヤはごろごろと転がって、ベッドに足を乗っけて寝ている男の身体の上を通り過ぎた。
床に降りると、よいしょ、よいしょ、と小さく掛け声をあげて身体を立てようとする。まだ残っている腕と太もも、背中の力を使って床にぺたんと尻をつけて座った。彼女なりのリハビリであった。
ベッドや床を転がり、態勢を変えてからお腹がごろごろと鳴り出した。朝のうんちの時間が来たのだ。側で寝ていた男を太ももでつついて、便所に連れていくかおまるにまたがせてほしいとせがんだ。
「マイヤさまぁ……朝っぱらからなんです?」
「うんち。うんちがしたいの。そろそろ出そうだから連れてって?」
「そこでしちゃっていいですよ。後片付けはしときますから……むにゃむにゃ」
「そんなきたないことできないよっ!」
しかしそろそろまずいと思って大声で叫ぶと起きてくれた。出かかっているから窓の外でひねる。相手は大慌てで窓を開け、マイヤのお尻を窓の外に突き出させた。
「しっかりと抱きとめてね! ふにゅにゅにゅ!」
もっちりとした白い尻からぶりゅぶりゅと茶色いものが落下した。真下で「うげっ!」と悲鳴をあげる声があがった。マイヤはなおも尻からびちょびちょとした大便を放ちながら真下を伺った。
「ううん……これ、マイヤのうんちじゃない……」
旅装をまとったトーリだった。彼女はマイヤの大便で頭を汚していた。くさくてくさくてたまらないわ、となぜだか嬉しそうに笑ってもいたが。
□ □ □ □ □
トーリが妹の下痢便を頭にかけられてから、ナーガーハーマでは不可解なことが始まった。王国軍とにらみ合っていた各地のパラッツォ教の砦や部隊が次々と、王国への移住を申し出したのだ。
アヅチハーゲンの近郊の出城の防衛隊やオバーマゲルクを伺う離島に駐屯する兵団。破壊工作を行う為に内部にアジトを設けた小部隊など。よりにもよって教団側の魔道士である、司祭騎士や経典の巫女らもその中に入っていた。
半月もすると国内にいたほぼすべてのパラッツォ教団兵がホーデンエーネンに寝返っていた。その数およそ5万。王国は奴隷身分でなら良いと受け入れたが、エチウの教団を見限る理由はだいたい、こんなものだった。
「殺し合いばかりでいやになった。はやく平和に暮らしたい」
「同胞が殺されたことで義憤にかられていくさに加わったが、さしたることもできなかった。疲れた」
「血で血を洗う行いはやはり、パラッツォの教えにそぐわない」
厭戦気分である。北部の領主や領民らもパラッツォ教団との戦争が嫌になっていた。パラッツォ教徒はそもそも、マハラ教から改宗した彼らの親戚縁者だったり、先祖の頃から頻繁に交流していたエチウ諸島の島民だったからだ。そもそも憎しみを抱きにくい間柄だった。
その5万人は皆、ナーガーハーマの工事に用いられることとなった。トーリの提案である。セイン王にすんなりと受け入れられた。なぜなら降伏した者たち全員が、どうにも覇気に欠ける雰囲気だったからである。あれじゃあ詭計にも使えないと王は判断した。
5万人はクニットモッツェン山城の南側、アネガウのほとりに居住区を設けて住まわせた。マイヤが進言したのだ。彼女はアネガウ側に商業都市を作ろうと考えていた。ちなみにだがこの5万人は数十年後に15万人の大都市となる、ナーガーハーマ市民らの祖となった。
技師や武将らの監督の元、ナーガーハーマの大改造が始まった。マイヤは現場には出なかった。彼女は『本職』らの裁量に任せることにした。設計図どおりはなかなかうまくいかないことはわかっているし、何よりも久しぶりに会うイズヴァルトの父母に甘えたかったのだ。
その日の昼間である。姉とともにお付きの武者らとのおちんぽ味試しを終えたマイヤは、まだ続けている姉を置いて沐浴を行っていた。イズヴァルトの母と一緒だった。かつてはスオニアにあるマハラ教総本山の巫女の1人だった。
キッカワンテスのセシリア。イズヴァルトから聞いた話だとシギサンシュタウフェン公と出会う前に3人も子を産んだという。しかし無駄な肉を見つけにくい、『妖精さんみたいな乙女』とも言い表せそうな細い裸体からは伺えなかった。
「マイヤちゃん。湯加減はどうかしら?」
「あーいー!」
湯の中で、セシリアに抱っこされたマイヤは幼児言葉で返した。いい湯加減でちゅ。セシリアが甲斐甲斐しく甘やかしてくれるから図に乗っていた。
「でもこのお湯、ちょっと熱い気もするわ。マイヤちゃんのお肌もなぜだか赤くなってるし……」
セシリアは暑がりだった。少々温度感覚がズレていた。女中さん、水を沢山加えてください。もうちょっとぬるめがいいわ。
「セシリアお母様! このぐらいがちょうどいいの! いいから水で薄めようとしないで!」
「そう? でも熱すぎね……」
実は旅のエルフさんから教わった魔法があるのだけど。セシリアはちょいと指で印を切った。湯はたちまち冷たくなり、真冬の川の水みたいに冷たくなった。
「ひえ。ひえええええ……」
歯をがちがちがちと鳴らしながらマイヤは、ちょうどよい湯加減ねとくつろぐセシリアに呼びかけた。出して。このままだと凍え死んじゃう。
「あらそう? わたしはいい湯加減だと思ったけど……」
「真冬でも川でばしゃばしゃと水浴びができる人と違うんですよ!」
「マイヤちゃん、手足がなくなったぶん、寒がりになっちゃったのね……」
それは違うから、とマイヤは返した。マイヤは寒いのが昔から苦手だ。沐浴から出ると化粧室にある寝台に寝かされた。セシリアが入れてくれる時は必ず、香油を塗ってくれた。
「マイヤちゃん。お肌にたっぷり塗ってあげるわね」
「はーい」
侍女が持ってきた油の瓶を受け取ると、セシリアはマイヤの肌に塗りはじめた。しっとりとした手によるマッサージである。セシリアの手付きはとても慣れていた。
「ゔゔん♡」
マイヤは思わず声をあげてしまった。それぐらいにセシリアの手は優れていた。肩を揉んでくれた後、ぷるんと揺れ続ける大きな乳房を指と掌がなぞる。ちょっと押しただけで羽毛ふとんにくるまったように埋め込まれる柔らかさであった。
「ふしゅん♡」
おっぱいがもみもみされてきもちいい。マイヤはお腹のあたりが熱くなった。じわっとにじみ出た愛液が割れ目から、しずくとなって垂れた。
「ふにゃあ……♡」
「あらあら。とっても気持ちよさそうね?」
「もっとー、もみもみ♡」
「うふふ。マイヤちゃんはあんまをされるのが大好きなのね?」
慈愛の目でマイヤを見るセシリアだが、彼女の下腹にあったかすかな手術痕を見て悲しい気持ちを覚えていた。それを押し殺して隠すのだが、もう子供が産めない身体だというのが無念だろう。彼女はマイヤがイズヴァルトの赤ん坊を毎年のように産んでくれるのを楽しみに待っていた1人だった。
でも悔やんだって仕方がない。そう思ってセシリアは手をマイヤの股に伸ばした。
「しょ、しょこはっ♡」
「こっちもよく使っているのでしょう? だいじなところももみもみしましょうね?」
「ひゃっ♡ ひゃあぁい♡」
マイヤがうなずくとセシリアの指がスリットの上部の突起のあたりをくりゅくりゅと撫ではじめた。ひゃああん、と切ない声を上げながらマイヤは甘え続ける。
これをするセシリアに、ゆがんだ心は無かった。こうしたスキンシップはよくあることだった。事実、マイヤはアスカウでよく見てきた。まだ小ちゃい頃のコリアンナだ。
コリアンナはトーリおかあさんによるお掃除を受けて、ふんふんと鼻息を鳴らして「とめちゃやだ♡ もっとして♡」と求めた。娘が性豪になるように育てていたトーリは失神するまでそうしてやった。
「くりくりされてきもちいいよう♡ セシリアおかあしゃん、ずっとつづけてえぇ♡」
「ほどほどにしておきますよ。はい。たくさん出てきましたね。今度は背中を向いてね?」
そう言ってセシリアは軽々とマイヤをひっくり返した。マイヤにとって至福の時がまだまだ続く。
しかしマイヤが気づかぬところでは、決戦が始まろうとしていた。王国と教団のだ。5万にも及ぶ亡命者達こそが引き金だった。
30 教主
パラッツォ教団の教主・コーザ=ストーンマウントがその知らせを受けたのは、エチゴニア島にある教団の本山、ハルヒアトゥントゥリで教徒の子供たち相手のお話会を終え、自分の部屋に戻った直後だった。
そのような話があったのですね。5万もの教徒が自発的にホーデンエーネンに逃げたとは。それも1ヶ月ほど前の話だ。情報が集まる総本山にはこの2ヶ月、教主は空けていた。だからその話が入ってこなかったのか。
それは違うだろう。そう思いながら知らせてくれた経典の巫女に呼びかける。なぜ、その知らせがこれまで入ってこなかったのですか?
「よくはわかりません。ただ、司祭騎士団の幹部でとどめていたかと」
やはりそうでしたか。ホーデンエーネンのことについて、教主は司祭騎士団の要職らに任せていた。彼自身はもう戦争をやめるべきだと考えていたが、信徒たちはそうもいかない。平和と愛を説く教義を学んでも、殴られたら殴り返したくなるものだ。
教団が領した土地の統治と戦争のことに関しては、全てを高位の司祭騎士たちに任せていた。誰もがエチウ諸島やイナーヴァニアの貴族や王族の血筋の者。私財を貯め込み過ぎないようにと釘を差しての委任だった。彼らは清貧を心がけてくれていた。何もかもが割合とうまくいっている。
「私に話が行かなかったのは、教主を俗界の悩み事に煩わせたくないという皆の心遣いでしょうか」
5万もというのはおかしい。彼らでは到底解決できない問題である。さようでございましょう、とうなずきながら経典の巫女は、毛布を幾重にもかけた椅子に座るコーザに流し目を送った。
「教主様、『法悦』をくださいまし……」
コーザはうなずいた。女は毛織のまとい布を脱ぎ、はちきれんばかりの肢体をさらした。コーザは椅子から立ち上がると、法衣の前をはだけ、雄大かつ神々しい『聖根』をさらけ出した。
40センチを超え、馬車の車輪の軸みたく太い。すでに弓なりに硬くなっている。それを見て女は息を呑んでいた。『聖根』からは淫らな、けれども柔らかな香気が漂っていた。
教主は巫女を引き寄せた。身体が密着し、女の胸は高鳴った。教主は彼女を軽々と抱き上げると、濡れて待ち望んでいるその入り口をくぐり込ませようとする。
あまりにも大きな『頭』である。けれども『聖根』は相手の蜜溝の奥にすんなりと入った。この教主が持つ聖器は、それが常に発している力で女陰の幅を自在に伸縮させられるのだ。
『聖根』が彼女の奥まで届いた。全身を貫く快感を覚えて喘いでいた。『聖根』には大きさだけでなく、それを受け入れた者の悦楽に伴う神経を極限以上に活性化させる力があった。
挿れている最中、性の喜びに生きる魔物・サキュバスと同じぐらいの身体にさせるのだ。奥まで入りこんできただけで、経典の巫女はエクスタシーに達してしまう。行き来すれば同じ快感が。
その悦は慣れて減ることはなかった。むしろ深くなるのみだ。鮮烈な快感が出るまでずっと続く。巫女はコーザにしがみついて悶え狂う。
女は『法悦』を貪り、その先を目指す。昇天はすでにしているがもっと高みを目指さねばならぬ。法悦の究極に教団の信徒が目指す、神との対話があるのだ。彼女はまだ神の言葉を聞いたことが無かった。
彼女はコーザのたくましい首にしがみつき、自分から腰を持ち上げて積極的に悦を感じた。入ったら最後、この聖儀を抜ける気になれない。食事をし、排泄を為しながら3日3晩、寝ずに交わり続けたくなる狂おしさを伴った。
とはいえこの行いはコーザにも悦を与えることとなる。経典の巫女が激しく求める最中に、彼は腰を止めて相手を抱きしめた。『聖根』から『聖液』が放たれたのだ。
コーザのそれは女に必ず排卵を促し、受精をさせることができた。その経典の巫女はコーザの子を欲しがっていた。しかし彼女はコーザの、数えきれないほどいる孫の1人であった。
それに気兼ねせず彼女は子宮に吸わせてやった。コーザの『聖液』は血が濃くなるゆえの不具合を起こさなかった。娘や孫娘が自分の子を産んでも、病弱や気狂いはならなかった。彼の半魔の力がそうさせたのだ。
最初の『聖液』の拝領を終え、コーザは次に分け与える分を出す為に動き出した。経典の巫女はますます歓喜した。汗をびっしょりとかき、たわわな乳房が揺れ、尻は弾んだ。
その淫らだが多産そうな腰の奥では確かに変化が起こっていた。教主との法悦とともに望んでいたことだ。生命の再生産。
教主のそれに含まれる数は、通常のニンゲンの10倍あった。どれもが勢いが良い。しかも亜人たちのそれのように、放たれてからも2週間や3週間は生き続ける。
教主の二度目の拝領の後、その経典の巫女は神との対話に臨む前に力尽きてしまった。けれども満足行く生殖であった。
行為の後、寝台で清々しそうにいびきをかいて眠る孫娘の寝顔をコーザは部屋を出ていった。このハルヒアトゥントゥリを訪れている女信者達に、『聖根』と『聖液』の功徳を施すためにである。
コーザは『博愛』の人である。信者の女が望めば、その腹から出る子を為すのに力を尽くす。その父親であるコージュ=ストーンマウントがそうであったように。
□ □ □ □ □
1週間後。ハルヒアトゥントゥリの東にあるクビキラスキの港でコーザは船を待っていた。本拠地であるカナザワース島へ向かう船である。
本当はもう1ヶ月この島に滞在し、次はキンキ大陸に近いナオエニア島へ向かうはずだった。けれどもホーデンエーネン北部で起こっていた異変を聞けば聞くほど、本国に帰って腹心らと話し合い、対策をとらなければと思い立った。
その腹心とは、司祭騎士の重職達のことでは無い。枢機卿と呼ばれる者達だ。常に教団の裏に置かれ、いつもは魔法の研究に従事している。しかし彼らは教団が危急の時に、重大な決断をする時にコーザの元に集められる。
その数は11名。誰もが珍しい名前を名字を持っていた。そしてその生い立ちはもっと希少だ。果たしてそのうちの2人がコーザを乗せる船でやって来た。
枢機卿として聖装をまとった2人は艷やかな黒髪の若々しい顔立ちの男だった。1人は背が高くて険のある目つきをしており、もう1人は背が低く、眉がさがっていて穏やかだ。しかし顔立ちはそっくりだった。起伏が緩やかな、のっぺりとした顔であるが美男である。
ただ、その黒髪と顔立ちはある種族の男児にしか見られぬものであった。彼等は額にツノが生えた小さな子供たちをたくさん引き連れてコーザに拝謁した。
「ごきげんよう、カヅノ=サトシさん、セイジさん」
穏やかに微笑みかける教主に2人は無言で頭をさげる。お子様方もごきげんよう。子供らは全員がこの2人の子である。ほとんどが娘ばかりだ。皆、髪の毛の色は微妙に違うが父親に似ていた。背の高い男、カヅノ=セイジが口を開いた。
「お久しぶりですな、猊下。長くカナザワースを空けていたので、島を捨てたくなったのかと心配しておりましたよ」
ご冗談を。めずらしいですねと言いながら教主は笑った。枢機卿らが子供たちを連れて出迎えてくれるとは。上り板に足をかけると小柄なサトシが手を差し伸ばした。
「ふふふ。教主殿こそ。転移魔法を使えるのに、わざわざ船でカナザワースに戻るとは酔狂ですな」
「あまり便利な魔法を使っていると、距離感が鈍くなりますからね。たまには脚を使い馬を用い、船に乗ってゆっくりと旅を楽しみたいのですよ」
船室の食堂に案内された。馳走が用意されていた。とはいっても教主が食べるのは信徒の主食ともいえる『甘露(アームリータ)』と、少しばかりの煮野菜のスープのみだ。
枢機卿と子供たちは違った。サバやニシンを焼いたりシチューの具にした、エチウ諸島の伝統料理である。彼等は霊薬のみでは生きられない。ツノが生えている子供たちも、2人の父親たちも。
席に付き、皆で神に感謝を伝えて食事にとりかかった。ホーデンエーネンで起きている信徒たちの大量離脱についての話となった。カヅノ兄弟は密偵を放って調べさせたことを語った。
「はじまったのはアヅチハーゲン近郊の、我々の軍の駐屯地からです」
「巫女・リブ=リデラントらのことで苦しい思いしましたね……」
経典の巫女・リブ=リデラントは、教主が強く信頼する人物だった。1年ほど前まで、アヅチハーゲン方面に展開する軍を率いていた。聖騎士イズヴァルトを介して敵方の総大将・カシバフェルト公と和平を結び、公と男女の契りを結んだのだが、騙し討ちに遭った。
その上に彼女が率いていた軍勢も全滅した。男は虐殺され女は奴隷として送り出された。ホーデンエーネンの朋友・クボーニコフ王国が1枚かんでいる厄介な事件でもある。
教団軍は逃げきった生き残りとエチウからの増援でアヅチハーゲン方面軍を再結成し、去年の暮れ頃の会戦で、リブの仇ともいえるカシバフェルト公を討ち果たした。エチウでも大量生産をはじめた火縄銃でだ。
復讐を果たしたからアヅチハーゲン方面軍は、専守防衛に徹するかと思えばそうではなかった。遊撃隊をいくつも編成して各地のホーデンエーネン軍の陣地を襲いはじめた。敵側も結成していた狙撃部隊でやり返す。それが続いて大会戦の気配が漂い始めていたのだが。
「まずは守備に当たっていたアヅチハーゲンのその1万が」
兄に続けてカヅノ=セイジが言う。オバーマゲルクを伺っていた砦や、最北端のツルーガニスクを守っていた軍勢が、ホーデンエーネンに。
「それもこれも、ナーガーハーマにある人物が到着するまでに起きたことです」
「ということは……カツランダルクさんですね」
「ご明察、です。さすがは教主様」
ホーデンエーネン王国には影に隠れた大魔導の一族がいることぐらい、コーザは知っていた。力をつければ大きな壁となって立ちはだかるであろう一族だ。
「カツランダルクの姉妹。どちらも底しれぬと聞き及んでおりましたが……今はもう、姉のトーリさんでしょう」
もう一人は花開く前に潰されてしまった。裏の世界で、イーガの魔王と呼ばれた人物にである。
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