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第三部 カツランダルク戦記 『第一章・本当の支配者』
08 奪取作戦
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「標的が今夜泊る宿に入っているそうだ」
通信魔道士からの知らせを受けたギード=バルヘスは、部屋に入って来た同僚のピエロ=パゾリッニに呼びかけた。今夜決行だ。
「護衛どれくらいだ? イーガの魔道騎士団が見張っているのだろう?」
長椅子に横たわっていたピエロは、ギードの無精ひげをびっしり生やした顔をちらと見た後に向き直した。勃起していたペニスが女の口で愛でられていた。しゃぶっていたのは金髪の女だ。ただし、耳は尖っている。
「ウマヤーノのハーフエルフはどうだ?」
「さっき1発抜かれたばかりだ。なかなか良いもんだ」
ピエロは女の髪をつかんだ。ハーフエルフは魔法と武術の使い手だがこの女はそうでもない。仕事をしてくれるがせいぜい、連絡役程度だった。
鷲づかみにした女の頭を押さえつけて舌遣いを堪能すると、今度は顔をあげさせて唇でしごかせ始めた。
「ホルトナ、いいぞ。いいぞ……」
「あまり浸りすぎるな。それと乱暴に扱うなよ?」
「わかっている。ケノービ様のお気に入りだからな、ホルトナは。まあでもこいつをイーガにいる俺達のもとに送り込んだとなると、ご当主さまも人が足りないんだな!」
ははは、と笑ってピエロはホルトナの頭を押さえつけた。彼女の口に精液の味が広がった。
それを余さずごくりと飲まれる。ピエロはにたりと笑た。起き上がってギードに言う。
「こいつがいつも股間でご奉仕してやっている、ゾウズジャヤのエルフはいけそうか?」
「準備はできている。ソゴプールからの助っ人達もだ。でも指揮をとるのは俺達家来衆だ。死ぬかもしれん。作戦までやっていいか?」
ズボンを穿き終えたピエロはうなずいた。やり過ぎるなよ。ギードが服を脱ぐと女ハーフエルフにのしかかり、広げた脚の奥に入って行った。
しばらくして宿の側にある海岸の雑木林に潜む、ソゴプール=エルフの使いがやって来た。金髪の女ハーフエルフだった。ホルトナと同じくそもそもが、膣商売でしか稼げない無能な娘。
彼女は股から香辛料くさい精液のにおいを放っていた。まだ13にもならぬ小娘みたいな顔立ちの彼女だが、それでもピエロの年上だ。
「さんざんにやられたようだな。護衛の数はわかったか?」
「だいたい10人ほどだべえ。みんなが言うにはあんましつよくねえみてえだって」
「……おかしいぜ? 標的はやんごとないお方になっている『おしゃぶり姫』なんだが?」
もしかして。宿にいるのはほんの一部で、外側で100名とか200名を待機させているのだろうか。トーバコフは軍港もあるからなんとも言えなかったが、それにしても不確実過ぎる。
「この周辺をうろついているゾウズジャヤの連中からも、知らせがあっただろうよ?」
「もちろんだべえ。おれのべっちょを突きまくりながら教えてくれたけど……どうもいねえみてえだべえよ」
なるほど。ソゴプールのエルフの香辛料みたいなにおいの精液のにおいに加え、『きたなエルフ』と蔑まれるゾウズジャヤ=エルフの垢のにおいもまとわせた娘に、ピエロは言伝を頼んだ。
「今夜だ。今夜おっぱじめる」
宿を襲い標的を拉致した後、この街のはずれにある漁村に隠していた船でホーデンエーネンへ向かう。亜人の傭兵らは陸路で、人里離れたけもの道で脱出。船にはピエロとギード、漁村にいるニンゲンの兵士が乗り込むのだ。
「おれ、ずっとシマナミスタンの連中とべっちょしつづけるんだべえか?」
「その境遇に感謝しろ。あいつらの中でお前を気に入った奴がいれば嫁として貰えるだろう。ウマヤーノじゃせいぜい、父なし子を養う淫売にしかなれんだろう?」
「やだなあ。シマナミスタンは暑くてくっせえとこだと聞いたことがあるべえよ」
贅沢は言うな。シマナミスタンのエルフ達はウマヤーノ男よりは思いやり深いはずだ。外面では女は男の付き添え物とされているが、大抵は財布と金玉と家での主導権を握っている。サガミニア=エルフとおんなじだ。
「お前の故郷と比べれば、天国みたいなところになるそうだがな」
ウマヤーノは違う。美人ばかりのハーフエルフとただ同然のはした金で性交ができるあの国の男達は、ささいなことで彼女達を殴る、蹴るなど当たり前にやっていた。
見張るエルフ達からの返事が来た。いつでもやっていい。ホルトナを背後から抱え込んで腰をふるギードを見ながら、ピエロはいよいよだと自分に言い聞かせた。
(これでケノービ様に取り立ててもらえるだろう。俺とギードで筆頭家宰だ。ふふふ。)
□ □ □ □ □
入浴を終えてからずっと、アナキンは別室でのびていた。あのあと2時間近くもマイヤと繋がり合ったからだ。射精も10回はやったはずだ。付け根が痛くて仕方がなかった。
5発目以降はちょっとしか出なかった。あとの性交はすべて気持ちよくなるだけの行為。不甲斐ないぐらいに燃え上がってしまった。
マイヤだけでなくマレーネにも奉仕をさせられた。四つん這いになった足萎えの姫も、幼いのに腰のくねらせ方があまりにも達者過ぎた。
精も力も出し尽くした後、アナキンは護衛らにこの部屋に運び込まれた。去り際に、明日もよろしくおねがいしますよと言われた。
(そんなこと言っても……)
身体の節々が痛い。ピルリアと毎晩していたのに情けなかった。腰をちょっとだけ動かしてみる。びりりっとした感覚がはしった。起き上がれない。
アナキンは裸のまま眠りについた。夢の中では四肢の無いローザと彼女を赤ん坊のように可愛がるマレーネにまとわりつかれていた。
脳と触感が覚えてしまっていた彼女たちの肌の感触とぬくもりが両側からアナキンを押さえつけ、彼のペニスを柔らかい腿で弄んでいた。
「さあ、アナキン様。わたしとおねえちゃまにおねだりしてくださいな♥」
「アナキンさん。たっくさんせーえきちょーだい!」
夢の中で2人は甘え、ねだり続ける。こういうのなら悪くはない。腰を動かし、相手を高めるのに気遣いながら射精するのは面倒くさいものだ。
可愛いらしい声で甘えてくる2人を両腕で抱きかかえ、それぞれの頬にキスをするあたりで目が醒めた。オットーがノックもせずに部屋に飛び込んできたのだ。
「アナキン殿! 姫様を見なかったか! そちらに来ているかと思ったが!」
「……へ? 今は何時です?」
もう朝の8時だ。9時間近くも寝てしまったのかとアナキンは思った。この世界で生まれ変わってからはよく眠れるなあ。兄の部下としてこき使われたナントブルグでの毎日では、平均して5時間も無かったが。
「……どうやら賊に入られたな。マイヤ様はさらわれてしまった。近隣の警備兵団に捜索願いを出そう」
「で、でしたら僕も……いてててっ!」
アナキンは起き上がろうとしたが腰が痛くて仕方がなかった。オットーがため息をついて治癒魔法を使える者を呼んでくると告げて去っていった。
(ローザがさらわれた? 身代金目的か?)
考え込むアナキンに1つの疑念が差し込んできた。兄が言ってきたことだ。マイヤと一緒にトーバコフあたりを旅してくれ。
(……まさか?)
これは兄が仕組んだことではないのだろうか。アナキンはカーテンの隙間からこぼれる光を見続けた。
(そんなはずはないぞ。ケノービはただ、性格が悪いだけだ……)
□ □ □ □ □
マイヤの奪取はきわめて段取り良く行われた。ゾウズジャヤのエルフが作った跡が残らぬ眠り薬の煙玉を宿の中に放り込み、皆がぐっすりとなっている隙に、ソゴプールの連中がマイヤをさらった。
朝になる前にギードとピエロは、マイヤを抱きかかえて漁港につけていた船に乗り込んでいた。魔法船も建造しているクルシマーヴァラの造船工場で造られたこの船は、昼前にはイーガ王国の海域を抜けていた。
「首尾よくいったな! あははははっ!」
ギードは笑いが止まらない。彼は素っ裸のまま甲板の布椅子に座らされているマイヤを見て呼びかけた。
「おい、だるま娘。ホーデンエーネンに入るまでたっぷりとかわいがってやるからな」
「ええと……さっきから聞いているんですけど無視してましたよね?」
彼女の口と割れ目は精液まみれだった。目覚めてからずっと、ギードとピエロ、それから船員らにちんぽで塞がれていたのだ。質問をしようとするとすぐにちんぽをねじ込まれた。
「いったい貴方たちは何者なの?」
「お前がお姉様よばわりするあの御方の親族衆の家来筋だ。ギードと俺は将来は筆頭家老だ、未来のな」
「この仕事を終えれば、俺たちは晴れてそうなるってわけさ。おいだるま女」
「私の名前はマイヤだよ! マイヤ=カモセンブルグ! お姉様ってトーリのこと? トーリの親族ってカツランダルク御三家ね!」
マイヤもトーリがセイン王の愛人になり、最近宮廷内で存在感を増しているという話を聞いたことがあった。ルッソを遠ざけるなんてあんまりよ。自分よりも浮気性で貞操観念に乏しいトーリに、王妃なんぞつとまると思っても居なかった。
「ふん。嘘を言うなよ?」
「嘘じゃないよ! カモセンブルグとかいろいろあるけど、カツランダルクだかいろいろあるけど、私はマイヤだよ! マイヤ!」
マイヤ。名前を聞いてギードは舌打ちした。我が国の『かわいいアイドル』の名を騙るんじゃない。
「嘘をつくな! マイヤ=カモセンブルグはマルティン王子に別れを告げ、イズヴァルトさんと一緒に南へ向かったのだ!」
その名前を聞いてマイヤの目がうるんだ。急におそれ怯える幼子のような不安定な気分が彼女から漂い始めた。
「えぐっ、いじゅばると……」
「俺はそう聞いているんだよ! お前はローザという漁民の娘なんだってな! マイヤのそっくりさんだと聞いていたぞ。影武者とな!」
「か、かげむしゃ!」
「うんうん。確かに似ているなあ……本当はマイヤの妹じゃないのか? おふくろさんがイーガ旅行中に現地の男と浮気して産んだ子とか……」
馬鹿なことを。カモセンブルグ家にはそんな余裕はなかった。マイヤはローザとかいう別人ではなく、正真正銘の『おしゃぶり姫』だと言い張り続けた。
ギードとピエロは煩わしく思った。計画ではホーデンエーネンの港近くにまで着いたら殺害、であったのだが、あまりにも口やかましいので首を切るのを早いうちにしてやろうと考えた。
「ギード。あの女、めいいっぱい楽しめたし、もういいよな?」
手足が無いのは気持ち悪かったが、身体はとても柔らかくて肌が素晴らしかった。輪姦なのに自ら進んでしゃぶったり腰を振ったり。枯れるまでやり尽くしたいと思える程だった。
「ああ……ものすごくもったいない気もするが、家老になれるってのには抗えないよな。ここが最初で最後の出世の機会だろうし」
ピエロは腰にさしていた剣を抜いた。「ひええええっ!」とマイヤが声をあげる。
「やっぱり! 殺す気なんだね! 私のこと!」
「うるせえな。散々楽しませてやったんだから満足して死にやがれ」
ピエロは剣の切っ先をマイヤの胸元に押し当てた。マイヤは逃げよう思ったが手足が無い。逃げようにも船の上だ。ギードに目を向けたが、彼も剣の柄に手をかけていた。
「ふええええっ……」
「お前の身体、すごく良かったぜ。だが死ね」
ピエロが刺し貫こうと思った瞬間だった。彼とギードが突然倒れた。それから船員達も次々と気を失い、突っ伏していった。
マイやはその不思議な光景を目にして呆然としていたが、彼女もまた強烈な睡魔に襲われ、目の前が見えなくなった。
通信魔道士からの知らせを受けたギード=バルヘスは、部屋に入って来た同僚のピエロ=パゾリッニに呼びかけた。今夜決行だ。
「護衛どれくらいだ? イーガの魔道騎士団が見張っているのだろう?」
長椅子に横たわっていたピエロは、ギードの無精ひげをびっしり生やした顔をちらと見た後に向き直した。勃起していたペニスが女の口で愛でられていた。しゃぶっていたのは金髪の女だ。ただし、耳は尖っている。
「ウマヤーノのハーフエルフはどうだ?」
「さっき1発抜かれたばかりだ。なかなか良いもんだ」
ピエロは女の髪をつかんだ。ハーフエルフは魔法と武術の使い手だがこの女はそうでもない。仕事をしてくれるがせいぜい、連絡役程度だった。
鷲づかみにした女の頭を押さえつけて舌遣いを堪能すると、今度は顔をあげさせて唇でしごかせ始めた。
「ホルトナ、いいぞ。いいぞ……」
「あまり浸りすぎるな。それと乱暴に扱うなよ?」
「わかっている。ケノービ様のお気に入りだからな、ホルトナは。まあでもこいつをイーガにいる俺達のもとに送り込んだとなると、ご当主さまも人が足りないんだな!」
ははは、と笑ってピエロはホルトナの頭を押さえつけた。彼女の口に精液の味が広がった。
それを余さずごくりと飲まれる。ピエロはにたりと笑た。起き上がってギードに言う。
「こいつがいつも股間でご奉仕してやっている、ゾウズジャヤのエルフはいけそうか?」
「準備はできている。ソゴプールからの助っ人達もだ。でも指揮をとるのは俺達家来衆だ。死ぬかもしれん。作戦までやっていいか?」
ズボンを穿き終えたピエロはうなずいた。やり過ぎるなよ。ギードが服を脱ぐと女ハーフエルフにのしかかり、広げた脚の奥に入って行った。
しばらくして宿の側にある海岸の雑木林に潜む、ソゴプール=エルフの使いがやって来た。金髪の女ハーフエルフだった。ホルトナと同じくそもそもが、膣商売でしか稼げない無能な娘。
彼女は股から香辛料くさい精液のにおいを放っていた。まだ13にもならぬ小娘みたいな顔立ちの彼女だが、それでもピエロの年上だ。
「さんざんにやられたようだな。護衛の数はわかったか?」
「だいたい10人ほどだべえ。みんなが言うにはあんましつよくねえみてえだって」
「……おかしいぜ? 標的はやんごとないお方になっている『おしゃぶり姫』なんだが?」
もしかして。宿にいるのはほんの一部で、外側で100名とか200名を待機させているのだろうか。トーバコフは軍港もあるからなんとも言えなかったが、それにしても不確実過ぎる。
「この周辺をうろついているゾウズジャヤの連中からも、知らせがあっただろうよ?」
「もちろんだべえ。おれのべっちょを突きまくりながら教えてくれたけど……どうもいねえみてえだべえよ」
なるほど。ソゴプールのエルフの香辛料みたいなにおいの精液のにおいに加え、『きたなエルフ』と蔑まれるゾウズジャヤ=エルフの垢のにおいもまとわせた娘に、ピエロは言伝を頼んだ。
「今夜だ。今夜おっぱじめる」
宿を襲い標的を拉致した後、この街のはずれにある漁村に隠していた船でホーデンエーネンへ向かう。亜人の傭兵らは陸路で、人里離れたけもの道で脱出。船にはピエロとギード、漁村にいるニンゲンの兵士が乗り込むのだ。
「おれ、ずっとシマナミスタンの連中とべっちょしつづけるんだべえか?」
「その境遇に感謝しろ。あいつらの中でお前を気に入った奴がいれば嫁として貰えるだろう。ウマヤーノじゃせいぜい、父なし子を養う淫売にしかなれんだろう?」
「やだなあ。シマナミスタンは暑くてくっせえとこだと聞いたことがあるべえよ」
贅沢は言うな。シマナミスタンのエルフ達はウマヤーノ男よりは思いやり深いはずだ。外面では女は男の付き添え物とされているが、大抵は財布と金玉と家での主導権を握っている。サガミニア=エルフとおんなじだ。
「お前の故郷と比べれば、天国みたいなところになるそうだがな」
ウマヤーノは違う。美人ばかりのハーフエルフとただ同然のはした金で性交ができるあの国の男達は、ささいなことで彼女達を殴る、蹴るなど当たり前にやっていた。
見張るエルフ達からの返事が来た。いつでもやっていい。ホルトナを背後から抱え込んで腰をふるギードを見ながら、ピエロはいよいよだと自分に言い聞かせた。
(これでケノービ様に取り立ててもらえるだろう。俺とギードで筆頭家宰だ。ふふふ。)
□ □ □ □ □
入浴を終えてからずっと、アナキンは別室でのびていた。あのあと2時間近くもマイヤと繋がり合ったからだ。射精も10回はやったはずだ。付け根が痛くて仕方がなかった。
5発目以降はちょっとしか出なかった。あとの性交はすべて気持ちよくなるだけの行為。不甲斐ないぐらいに燃え上がってしまった。
マイヤだけでなくマレーネにも奉仕をさせられた。四つん這いになった足萎えの姫も、幼いのに腰のくねらせ方があまりにも達者過ぎた。
精も力も出し尽くした後、アナキンは護衛らにこの部屋に運び込まれた。去り際に、明日もよろしくおねがいしますよと言われた。
(そんなこと言っても……)
身体の節々が痛い。ピルリアと毎晩していたのに情けなかった。腰をちょっとだけ動かしてみる。びりりっとした感覚がはしった。起き上がれない。
アナキンは裸のまま眠りについた。夢の中では四肢の無いローザと彼女を赤ん坊のように可愛がるマレーネにまとわりつかれていた。
脳と触感が覚えてしまっていた彼女たちの肌の感触とぬくもりが両側からアナキンを押さえつけ、彼のペニスを柔らかい腿で弄んでいた。
「さあ、アナキン様。わたしとおねえちゃまにおねだりしてくださいな♥」
「アナキンさん。たっくさんせーえきちょーだい!」
夢の中で2人は甘え、ねだり続ける。こういうのなら悪くはない。腰を動かし、相手を高めるのに気遣いながら射精するのは面倒くさいものだ。
可愛いらしい声で甘えてくる2人を両腕で抱きかかえ、それぞれの頬にキスをするあたりで目が醒めた。オットーがノックもせずに部屋に飛び込んできたのだ。
「アナキン殿! 姫様を見なかったか! そちらに来ているかと思ったが!」
「……へ? 今は何時です?」
もう朝の8時だ。9時間近くも寝てしまったのかとアナキンは思った。この世界で生まれ変わってからはよく眠れるなあ。兄の部下としてこき使われたナントブルグでの毎日では、平均して5時間も無かったが。
「……どうやら賊に入られたな。マイヤ様はさらわれてしまった。近隣の警備兵団に捜索願いを出そう」
「で、でしたら僕も……いてててっ!」
アナキンは起き上がろうとしたが腰が痛くて仕方がなかった。オットーがため息をついて治癒魔法を使える者を呼んでくると告げて去っていった。
(ローザがさらわれた? 身代金目的か?)
考え込むアナキンに1つの疑念が差し込んできた。兄が言ってきたことだ。マイヤと一緒にトーバコフあたりを旅してくれ。
(……まさか?)
これは兄が仕組んだことではないのだろうか。アナキンはカーテンの隙間からこぼれる光を見続けた。
(そんなはずはないぞ。ケノービはただ、性格が悪いだけだ……)
□ □ □ □ □
マイヤの奪取はきわめて段取り良く行われた。ゾウズジャヤのエルフが作った跡が残らぬ眠り薬の煙玉を宿の中に放り込み、皆がぐっすりとなっている隙に、ソゴプールの連中がマイヤをさらった。
朝になる前にギードとピエロは、マイヤを抱きかかえて漁港につけていた船に乗り込んでいた。魔法船も建造しているクルシマーヴァラの造船工場で造られたこの船は、昼前にはイーガ王国の海域を抜けていた。
「首尾よくいったな! あははははっ!」
ギードは笑いが止まらない。彼は素っ裸のまま甲板の布椅子に座らされているマイヤを見て呼びかけた。
「おい、だるま娘。ホーデンエーネンに入るまでたっぷりとかわいがってやるからな」
「ええと……さっきから聞いているんですけど無視してましたよね?」
彼女の口と割れ目は精液まみれだった。目覚めてからずっと、ギードとピエロ、それから船員らにちんぽで塞がれていたのだ。質問をしようとするとすぐにちんぽをねじ込まれた。
「いったい貴方たちは何者なの?」
「お前がお姉様よばわりするあの御方の親族衆の家来筋だ。ギードと俺は将来は筆頭家老だ、未来のな」
「この仕事を終えれば、俺たちは晴れてそうなるってわけさ。おいだるま女」
「私の名前はマイヤだよ! マイヤ=カモセンブルグ! お姉様ってトーリのこと? トーリの親族ってカツランダルク御三家ね!」
マイヤもトーリがセイン王の愛人になり、最近宮廷内で存在感を増しているという話を聞いたことがあった。ルッソを遠ざけるなんてあんまりよ。自分よりも浮気性で貞操観念に乏しいトーリに、王妃なんぞつとまると思っても居なかった。
「ふん。嘘を言うなよ?」
「嘘じゃないよ! カモセンブルグとかいろいろあるけど、カツランダルクだかいろいろあるけど、私はマイヤだよ! マイヤ!」
マイヤ。名前を聞いてギードは舌打ちした。我が国の『かわいいアイドル』の名を騙るんじゃない。
「嘘をつくな! マイヤ=カモセンブルグはマルティン王子に別れを告げ、イズヴァルトさんと一緒に南へ向かったのだ!」
その名前を聞いてマイヤの目がうるんだ。急におそれ怯える幼子のような不安定な気分が彼女から漂い始めた。
「えぐっ、いじゅばると……」
「俺はそう聞いているんだよ! お前はローザという漁民の娘なんだってな! マイヤのそっくりさんだと聞いていたぞ。影武者とな!」
「か、かげむしゃ!」
「うんうん。確かに似ているなあ……本当はマイヤの妹じゃないのか? おふくろさんがイーガ旅行中に現地の男と浮気して産んだ子とか……」
馬鹿なことを。カモセンブルグ家にはそんな余裕はなかった。マイヤはローザとかいう別人ではなく、正真正銘の『おしゃぶり姫』だと言い張り続けた。
ギードとピエロは煩わしく思った。計画ではホーデンエーネンの港近くにまで着いたら殺害、であったのだが、あまりにも口やかましいので首を切るのを早いうちにしてやろうと考えた。
「ギード。あの女、めいいっぱい楽しめたし、もういいよな?」
手足が無いのは気持ち悪かったが、身体はとても柔らかくて肌が素晴らしかった。輪姦なのに自ら進んでしゃぶったり腰を振ったり。枯れるまでやり尽くしたいと思える程だった。
「ああ……ものすごくもったいない気もするが、家老になれるってのには抗えないよな。ここが最初で最後の出世の機会だろうし」
ピエロは腰にさしていた剣を抜いた。「ひええええっ!」とマイヤが声をあげる。
「やっぱり! 殺す気なんだね! 私のこと!」
「うるせえな。散々楽しませてやったんだから満足して死にやがれ」
ピエロは剣の切っ先をマイヤの胸元に押し当てた。マイヤは逃げよう思ったが手足が無い。逃げようにも船の上だ。ギードに目を向けたが、彼も剣の柄に手をかけていた。
「ふええええっ……」
「お前の身体、すごく良かったぜ。だが死ね」
ピエロが刺し貫こうと思った瞬間だった。彼とギードが突然倒れた。それから船員達も次々と気を失い、突っ伏していった。
マイやはその不思議な光景を目にして呆然としていたが、彼女もまた強烈な睡魔に襲われ、目の前が見えなくなった。
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