聖騎士イズヴァルトの伝説 外伝 『女王の末裔たち』

CHACOとJAGURA

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第三部 カツランダルク戦記 『第一章・本当の支配者』

01 アナキン=スカルファッカー

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 マエカワ=シュケンは沖縄出身のサラリーマン。上京後ブラック企業に勤めて心を壊し、ギャンブルやNSがデフォの立ちんぼ買いに狂って数百万の借金を負った。

 そんなどぶ川に浸かっているような人生を送る彼にも恋人がいた。けれども『はずれ』。とかく彼のスマホをのぞき見たり、財布を支配しようとするモラハラ女。シュケンのお先は真っ暗だった。

 しかしクリスマスの日に錦糸町で行われた重苦しい忘年会の帰り、道でぶつかったヤンキーに難癖をつけられて争いになった挙句にナイフで刺され、この世の憂さから逃れる事となった。

 死後、シュケンの魂はあの世に導かれた。神はシーサーによく似ていた。

「シュケン……マエカワ=シュケンよ……」
「シーサーがしゃべった!」
「私は神である。驚くのも無理ないが身を改めて聞くように」

 シーサーみたいな神が告げる。パンパカパーン! あなたは記憶を保持したまま異世界に転生することができました!

「シュケンよ。お前がこれから生きる世界は剣と魔法のファンタジーな世界である。とてもいいところだとあの世界の神からは聞いている」

 各世界の神が選ぶ『世界ミシュラン』の中でも三ツ星の世界になるという。様々な『世界』の監視と保守を担う、全次元の監査者的存在からも『大当たり』というのがその世界らしい。

「お前は前世の記憶を保ちながら、その世界でまっとうな人生を送るのだ。お前が持ちえる知識で下剋上を為す事もできるかもしれぬ」
「ホントのホントに?」
「そうである。異論はないか? ファイナルアンサーは?」
「そこ、ファイナルシーサーじゃないんでしょうか?」
「いやいやいや。それだとシーサーの条件に当てはまらない。シーサーは常に1対であるからだ。では、ファイナルアンサーは?」

 さもないとトトロみたいなもふもふのお化けが人間とドンパチを繰り広げる無間地獄な修羅の世界に送り込むぞ。その世界は毎日がおとこまつりだ。そんな世界に飛ばされたくないシュケンは契約書にサインした。晴れてその『三ツ星』な世界で新たな生を受ける事となった。

 エルフやドワーフが暮し、魔剣と魔法が存在して数々の秘境と温泉が大好きなドラゴンもいるその世界は、まさに夢と冒険が待ち受ける『ちょろい』感じがする楽園。これから始まる新しい人生にシュケンは心を躍らせる。

 シュケンはその世界のホーデンエーネン王国という大国の大貴族、スカルファッカー家の子となる。

 アナキン=スカルファッカー。この世界でのシュケンの名前だ。

 これはスカルファッカー家の次男坊・アナキン=スカルファッカーの物語……ではない。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 アナキン=スカルファッカーはホーデンエーネン人の青年である。ホーデンエーネンの貴族、カツランダルク御三家の1つ、スカルファッカー家の次男だ。王国の無双の豪傑・聖騎士イズヴァルトと同じ年に産まれた。2年前から魔法を学ぶ為にイーガ王国で勉強をしている。

 入り婿としてソーロー家の跡を継いだ長兄ケノービの代わりにスカルファッカー家を継ぐ事となった。しかし父のクワイガジンは健在で、なかなか隠居する気配はない。

 彼にはヨディアという正式な妻がいた。兄の家来としてこき使われていた15の歳に祝言をあげたが、9カ月半後に産まれた男児はヨディアの浮気相手の子であった。ヨディアは出産からしばらくして死んだ。

 ヨディアが産んだルークという子は無理やりにスカルファッカー家にねじ込まれた。アナキンは親であることを放棄し、父親の養子にさせた。ちなみにだがアナキンには15歳以上離れた弟が3人もいた。

 ヨディアとの結婚生活について彼は恨みごとを連ねる日記に書いていた。その最後、5冊目の最後の文の末尾にはこう書いた。

「性格最悪なヨディアが死んでせいせいした。あんな女が生きてたら、くそったれな結婚生活が続いただろう」

 貴族の女とは付き合いたくない。しかしその先の文章は、彼が前世の記憶を持つ転生人だから書けるものだった。

「思えば前世の最後の彼女だった『マルヒ=オーツ』もヨディアに負けず劣らずのクソアマだった。俺のスマホの中身をこっそりのぞき見して、銀行口座の暗証番号も聞き出そうとするろくでもないやつだった。地雷女。地雷地雷地雷、貴族の女は地雷ばっかだ」

 地雷遭遇率が高いのは、ホーデンエーネンの貴族の女と日本人。アナキンは前世の恋人を悪く書きなぐった。前世、彼がやらかしたよくないギャンブルと買春でこさえた借金のことは書いていなかった。この人生ではまっとうに生きる為に忘れよう、と務めたからである。失敗体験は賢い者で無い限り、自堕落に対する錦の御旗になることが多いものだ。

 ちなみにだがアナキンには、幼い頃からの恋人がいた。ピルリアという1歳年上の娘だ。初体験の相手であり気心が合う彼女とはヨディアに邪魔されるまで熱烈に愛し合っていた。

 ピルリアは黒髪エルフとニンゲンとのクオーターである。ぱっちりした目をしていて尖りがちな耳。浅黒い肌。それからしっかりした谷間が出来る大きな乳房を持つ。

 彼女の人柄の良さと愛嬌に彼はぞっこんだった。この人生での初恋の相手こそがピルリアである。エルフの血を引いているせいか浮気をよくしたり、実兄とセックスもする低い貞操観念の持ち主だったが。

 そのピルリアも留学に来ていた。彼女もまた魔法の才があったからだ。子供達はクワイガジンがつけてくれた2人の侍女に任せて魔道学問所で勉強をしたり、ホーデンエーネンよりも数倍豊かで文化も華やかなイーガの国を見て回っていた。

 まさに青春まっただ中。その晩、彼は兄にあてての手紙を書いていた。必要なことをできるだけ早く、簡潔にしたためよう。手紙を書いた後はピルリアと就寝前の日課が予定されている。3発も4発も搾り取られる、濃厚で激しいセックスだ。

「……イーガ留学はつつがなく続き、来年は予定通りに留学が終わる事でしょう。カツランダルク家の者として、セイン陛下をお助けする力を身に着けて戻ってきます。敬愛なる兄上様へ。」

 正直なところホーデンエーネンには戻りたくなかった。実を言うとアナキンは、イーガの魔法貴族の末席に加えられていたのだ。

 去年、すでに亡くなってしまったが、イーガの王太子アドルフと知り合い可愛がられた。彼が持っていた領地をすこしばかり譲り受けていた。

(アドルフ様。なにゆえ亡くなられてしまわれたのですか。)

 アドルフはアナキンにとって良き庇護者だった。アナキンが語った前世の記憶、日本のことを熱心に聞いてくれた。学問所では把握し辛い魔法の法則というものをわかりやすく教えてくれたり、アノーヅの別荘で愛玩用に沢山飼っていたミニブタを譲ってくれた。

 そのうちの一匹がすたすたすた、とアナキンの机にやって来る。茶色と肌色のぶちだった。この種の子豚は大きく育つ事はない。聞けば50年ぐらい生きるらしい。豚はアナキンを見て鼻を鳴らした。

「ぶひぶひぶひ」

 ぶひっ。子豚が思い切り鼻を鳴らす。身体に黄色がかった淡い光に包まれた。光が消えるとアナキンの頭の中に豚の鳴き声とよく似たイーガのことばが流れ込んできた。

「ピルリアさんが、はやくきてーっ、とごねてるよ?」

 念話魔法だった。このペット用のミニブタはただの豚ではなかった。アカサカチハヤ山地に生息する猪の魔獣が先祖にいるらしい。

「はいはい、わかったよ。アルツ、呼んできてくれてありがとうね」
「どーいたしまして。ぶひ」

 そう答えてアルツというミニブタは念力魔法でアナキンの書架から1冊を引っ張りよせて床に置いた。鼻息で本を開いてページをめくる。猪の魔獣の子孫らは大概が好奇心旺盛だった。

 アナキンはピルリアがいる寝室に入った。彼女は3人の子を子供用の寝台に寝かせているところだった。何一つまとっていない。全裸だった。

 シマナミスタンの格闘術を学んで日々鍛錬を行う彼女の身体をアナキンは見る。3人の子を産んだのに引き締まっている。重力に引き寄せられて少しばかり垂れている乳房は重そうに見えた。

「ピルリア、子供達は寝たかい?」
「とっくに寝てますよ、アナキンぼっちゃん」
「子供達には魔法をかけているかい?」
「忘れたりしないよ。さあ……」

 ピルリアが腕を広げた。アナキンは胸に飛び込んで頬ずりをする。そこだけは鍛えても柔らかかった。ふわっとした感触を楽しんでいると、ピルリアが自分の股間をまさぐり始めた。

 アナキンの下の部屋着はイーガ様式の腰まで覆うタイツだった。ぴっちりとしたストッキングとは違い、ゆるやかである。イーガのそれは足首のところまでのレギンスみたいな仕様であった。一番汗をかく足の部分を毎日取り換えられるのだ。

「んん……」

 アナキンの腰が揺れた。ピルリアの手はアナキンのそれの形をしっかりと掌で確かめていた。茎が硬くなるとピルリアはタイツの通し紐に手をかけて引きずり降ろした。

 アナキンのペニスの陰嚢が顕わになる。彼のそれは亀頭が常に露出し、茎の上の方に切った痕があった。幼い頃に施術を受けたのだ。彼の包皮を切除したのは、イナンナというエルフの女医であった。

 アナキンは乳房に顔を埋めたままだ。ピルリアは勃起したペニスをさすり始めた。手首をひねって強弱をつける。アナキンは彼女に身をゆだねるばかりではなかった。

「ピルリア……」

 アナキンはピルリアを押し倒した。脚を広げ、大きな乳房を揺らして見つめて来るピルリアの秘所に進みこんだ。

 今夜も2人の、就寝前の濃厚な時間が始まろうとしていた。
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