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第三部 カツランダルク戦記 『プレリュード』
17 横槍
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食事を終えてから1時間経った。
妾にフェラチオをさせるだけでなく、種付けセックスも終えたケノービ=スカルファッカーは、神経質そうな顔を無理やりに柔和にした表情を浮かべてオルフレッドの前に現れた。
「お久しゅうございます。オルフレッド様」
待たせちゃってごめん。そんな気持ちでケノービは謝ったがオルフレッドは気にしていなかった。チュバッカのコレクションを鑑賞して楽しんでいたからだ。
チュバッカの友人ら、足クサな姫君らの靴下がそれだった。数年たっても臭さがとれぬそれからの、えにも言われぬにおいを堪能して満足していた。
それだけでなく、その姫君らの使い古した月経帯も彼女は集めていた。きついおまんこのにおいを放つお姫様は、名器だったりとても丈夫な赤ちゃんを産むと言い伝えられておりますのよ。
「ケノービさまは果報者ですね」
「なんと?」
「いい……奥様をお持ちでいらっしゃいます」
美食家で臭いフェチ。ついでだがチュバッカはさらにその秘蔵の、足クサ姫君たちの運動靴や部屋靴も、後で見せてくれると教えてくれた。それにはハンナも強く反応した。マイヤが小さい頃に履いていた木製サンダルの中のにおいを嗅いでから、ちょっと癖になっていたからだ。
「おきんたまに直撃する趣味を持ってらっしゃるなんて、すばらしいことですよ……」
「あは。あははは……さすがはご本家のご嫡男でいらっしゃいますなあ……」
ケノービは凍り付いていた。あの趣味を理解できる男がこの世にいるとは。チュバッカのあの趣味だけはわからなかった。確かに、あのクサいコレクションには、ちんぽをおっきさせる何かがあるのだけど。
「さて、ここからはこのケノービめにお話しください。ご本家様や陛下、ジューンショーンさまはいかがお過ごしでしょう?」
「トーリ母さんのことはよくわかりません。陛下や間男といっつもおまんこしてばかりだから。ジューンショーンさまは……」
穏やかな宰相や名君になりそうなお方だと、オルフレッドは褒めちぎった。とにかく勉強熱心だし民ともよく触れ合う。武芸はあんまりだが、文治に優れた人になるだろう。
「陛下が王国の後継者にと指名していたのがよくわかります。ジューンショーンさまのご家来がたには、民が怯える者は一人もございません」
「それは確かに。とても良き人物になられますでしょうね」
「けど最近は陛下の行いが感染したのか、侍女の1人とそういう仲になってしまったようです」
ジューンショーンには同い年の侍女が傍に何人かいた。どの娘も幼い頃に貫通されたり、恋仲の相手のちんぽを舌でなめたことがある経験の持ち主ばかりだ。ナントブルグの女の子は貴族でも、だいたい10歳で処女を卒業するものだ。
ジューンショーンは、そのうちの1人の侍女と関係を持っていた。聖騎士団のガレノス隊に所属する父親がいるという話だ。
「殿下のお嫁さんにちょうど良いと噂されております。でも、僕はもうちょっと位の高いお家の女の子が、良いかと思うのですが……」
「でしょうが、ジューンショーン様は王位継承をご辞退なされるでしょう。あまり良いお家の姫様を迎え入れるのはよろしくないかと思いますね」
しかしである。やはり嫁の格は大事だ。トーリの娘のうち1人、コリアンナあたりを奥方にしてはどうだろうかとケノービは提案した。いやいや、とオルフレッドは否定した。母親みたく淫乱になると思いますよ、妹は。
「何せ牧場のわんこのちんちんを股やけつあなに入れて、あはあはあはと喜んでいますから、コリアンナのやつ」
「……すごい動物愛護家なのですね、コリアンナさまは?」
「とにかく動物が好きなのです。コリアンナはきっと村を離れたくないと思います。代わりにフレッダか、去年産まれたイルマがいいかなと思っております」
とはいえフレッダはまだ2歳である。のちにジューンショーンの正妻となるが、そんな乳児を王弟の妻候補にと言うオルフレッドに、ケノービは苦笑した。
「やはりコリアンナさまがよろしかろうと、廷臣らはおっしゃるでしょうね。むしろフレッダさまとイルマさまは、ナガオカッツェ公から縁談が持ち上がることでしょう」
ナガオカッツェ公ヨーシハルトスにはこの時、ヨーシテルシウスとヨーシアキレウスという2人の男児がいた。2人ともまだ幼児の頃。父と違って温厚な気質で、家臣から可愛がられているとのことだ。
ヨーシハルトスの名前があがったことで、ケノービの父の目が光った。話が終わり、チュバッカが子供を寝かしつけに出て行き、オルフレッドとハンナが夫婦仲良く風呂場に向かったのを見ると、ケノービはクワイガジンに呼びかけた。
「……ナガオカッツェ公から知らせは届いております」
「それで、公は何と?」
「北部に展開する近衛騎士団は、このたびの勅令には断固反対していく所存と返事が来たそうです」
この勅令はイズヴァルトの提案だというのも、ケノービは探っていた。ナントブルグ盆地や周辺の領主や武将らは賛成しているけれど、その外の大貴族らは大反対だ。
何せ、イズヴァルトはアヅチハーゲンで勝手にパラッツォとの和平を結ぼうとした。カシバフェルト公との間にいさかいがあり、数千もの兵士を討ち滅ぼした。貴重な亜人の戦士たちもだ。
「王都周辺の貴族たちはあれこれと考えますが、田舎の武者どもはイズヴァルト討つべしと躍起になっているようです」
「イズヴァルトのほうが正しいとは思うが、近衛騎士団は北部で美味しい思いをしているから、手放せないのだろうな……」
近衛騎士団の領地では、捕虜となったパラッツォ教徒を奴隷にし、富豪や富農、シマナミスタンやチンゼーの諸外国に売る商売が始まっていた。特に褐色肌の国の金持ちにとって、肌の白い女は大いに好まれた。高値で売れた。
この収入源をあきらめることなど、領主達には考えられなかった。ケノービは言う。イズヴァルトがアヅチハーゲンで何をやったのかは王様の耳にも届いている。そもそも本人が告げたそうだ。トーリを介して。
「王様が味方についたようなものだ。パラッツォとの戦争はなくなるだろう。めでたきことかな」
「そうはなりません。ヨーシハルトス様は事を起こそうと考えております。南西部の南天騎士団の四首領……イコーマブルグ、ネヤガワハイム、コーノフェルト、イーモリハウゼンの大公がたと、イズヴァルトにひどい目にあった小領主達は連名で、イズヴァルト処罰への直訴状を携え、総勢2万の軍勢で上洛いたします」
その計画はアヅチハーゲンでの一件が起きた後、すぐにできたものだった。その時には不忠者・イズヴァルトを極刑に処すべしという直訴状だったが、それに手を加えた。
パラッツォ教団との戦争を中止するなど言語道断。イナーヴァニアはとっくに過半が攻め込まれ、ヒッジランドやイーズモーにも侵略の手が及び始めている。
「イズヴァルトが言う事など、平和主義者のうすら寒い夢物語だ。むしろイズヴァルトはパラッツォ教団とつながっているかもしれない。処刑の前に拷問して白状させろ、というのが直訴状の追加部分の骨子です」
「なんと、恐ろしい……」
「計画はすでに動いております。ヨーシハルトス様はできるだけ長く、この上洛の本当の理由を隠すように務めるおつもりです」
現在の状況。すでにヨーシデン近辺に南天騎士団の2万弱の軍勢が到着していた。1カ月のちにはナントブルグに到着する予定だ。直訴状についてはタカイチゲンシュタット近辺に来てから写しを、ナントブルグに送るつもりだ。
「しかし、トーリ様には謎の部下がいるそうじゃないかね。どんな男も篭絡して秘密を聞き出す、教団の『教典の巫女』みたいなものが」
「サキュバスたちですね。あれも対策を整えております。直訴状を持つヨーシハルトス様の本陣には必ず、ゾウズジャヤとソゴプールのエルフの護衛がついております。それゆえ、サキュバスたちは容易に近づけないでしょう」
「ゾウズジャヤ……あ、あの、『きたなエルフ』と悪名高い、不潔でくさくてたまらないサヌキスタンのエルフをか!」
左様。サキュバスたちはエルフを嫌う。心理操作の魔法がきかないのと、会えば必ずイジられるからだ。「おまんこがお菓子くさいけど、下の口でたべてたのかよ!」などと。
特にゾウズジャヤのエルフは、淫魔達から激しく嫌われていた。生まれた時から風呂に入らず、垢まみれのフケまみれ。歯を磨かなければケツも拭かない。離れたところからも腐った牛乳に漬け込んだ雑巾の様なにおいを放つ一族である。それと、ちんちんは小さいし、精液に含まれる魔力の量がニンゲン以下というのも。
「淫魔の身隠しの魔法を見破れるエルフがいれば、ヨーシハルトス様は容易にサキュバスらを近づけることはできますまい。それから……」
前のめりになる父を見て、ケノービは微笑みを浮かべた。イズヴァルトはこれに飽き足らず、さらに過激な提案を考えているようだ。
□ □ □ □ □
「直訴はしたけれどどうにも手ぬるいという部分がござった。そこで考えた。こういうのはどうでござろう? 逆らった者は九族ことごとく討ち果たす、というのは?」
イズヴァルトが呼びかけたのは、執務室でマルカスのばかでかペニスをむちゅむちゅと頬張りながら、イナンナに尻穴を指でこねられているトーリにだった。
むちゅうむちゅうぬちゅう。うう~ん!
「もひもひ…… (それだと反感を喰らっちゃうわ、イズヴァルトさん!)」
「でござろうが、禍根は断たねばならぬでござる。特に王族衆。あの皆様方は、陛下に忠節を誓っておられるでござるが、腹のうちは読めぬでござる」
「もちゅもちゅもちゅ……ふうんっ♡ (そうではあるけれど、政治を乱暴な手でやってしまうと、マイヤが言っていた『すたーりん』や『まおつおとん』がしでかしたような、暗黒の時代になってしまうかもしれない……。)」」
「いいや! 今こそサイゴークの暗黒卿の様な果断が必要なのでござる! さもなくばセイン陛下は、この先ずっと大貴族どのらの圧迫に困り続ける事でござろう!」
この際ここある貴族と結託し、ホーデンエーネン南部の大貴族たちを討伐する計画を立てるべきだとイズヴァルトは論じ始めた。この国には絶対王政が必要だ。もはや大貴族たちとの合議制王国は時代遅れになりつつある!
まずい、とマルカスとイナンナは思った。イズヴァルトは過激なことばかりを考えるようになってしまった。これ以上の提案と執行は良くない。脅せば裏で文句を言いながらも従ってくれるはずなのに。
(イナンナさん。イズヴァルト、やけにイキってないかい?)
(ほうズラな。あんまし良い兆候じゃねえズラよ。)
イズヴァルトはそもそも、王様一家の『お気に入り』である。些細なお願い事や国の大事に左右する直訴が通りやすい、
もともとは温厚で忠誠一筋。マイヤさえいればという条件なら、死地にでも喜んで向かう様な忠烈な義士でもある。
が、暴走して苛烈な思想を持ったら、毎日刑場で貴族の首が飛ぶような事態も起こしかねない危険があった。
この時、イズヴァルトはまさに暗い想念が常に心の中で渦巻いく、精神のどん底にいた。マイヤさえいえてくれたら違ったかもしれない。心の拠り所、あるいはちゃんとうまい具合に操縦してくれるコントローラーが必要だった。
その役目はイナンナにこそあった。トーリでは無理だ。彼女の真の目的は、今の王家の排斥と大貴族たちの抹殺と、永遠不朽のカツランダルク朝ホーデンエーネン王国を打ち立てることにあった。
一応は「考え直せ」と言っていたけど、心の底ではイズヴァルトの論には大賛成だった。むしろ、パラッツォの一件が落着した後にやろうとさえ考えている。
イズヴァルトを諫めるべきイナンナは考え込んでいた。専制君主の代表例、イーズモーのアルグレイブ暗黒卿について思う事があったからだ。
(確かに、それでいいかもしれねえズラな。あの『こぞう』は、憎しみと苦しみを振りまいたけれど、治めた国を豊かにして民たちも安心させてやったズラ。)
彼女は長く生きるエルフである。数百年前の覇王のことについてもよく存じていた。ツネーヒ=アルグレイブ=イーズモーは、『謀鬼』と恐れられた人物。近いところで見る事もできた。
正攻法でも勝てる才能はあるのに残虐極まりない搦め手戦法を得意とし、常に少ない犠牲で勝利してきた。表裏比興どころか何もかもがえげつない人物だった。
『ダメにんげん』な娘や側室たちをダシにした残忍な作戦。才能が無い将軍や武者に特別目をかけ、喜んで自殺戦法を投げうつように仕向けたことなど。
謀多きは勝ち、少なければ負ける。それを地で行く梟雄であった。善良な頃のイズヴァルトとはまさに正反対の男。なのだが、個人の武勇はイズヴァルト以上。イズヴァルトがへたくそな指揮作戦については、天下一そのものだった。
イズヴァルトはその暗黒卿がしたようなことをやろうとしている。トーリのほじくり心地の良いアナルをぶちゅぶちゅと言わせながら、そこが問題だとイナンナは思った。
(イズヴァルトさんは知恵が足らんズラよ……。)
トーリが気持ちよさそうに尻をくねらせ、きゅっと尻穴を狭めた。にゅるるとした感触を得ながらイナンナが指を押し引きし、トーリをさらに悶えさせる。
「イズヴァルトさん。やるんなら……」
サキュバスの転移魔法を用いた暗殺で片づけていくのはどうか、とイナンナは提案していた。
妾にフェラチオをさせるだけでなく、種付けセックスも終えたケノービ=スカルファッカーは、神経質そうな顔を無理やりに柔和にした表情を浮かべてオルフレッドの前に現れた。
「お久しゅうございます。オルフレッド様」
待たせちゃってごめん。そんな気持ちでケノービは謝ったがオルフレッドは気にしていなかった。チュバッカのコレクションを鑑賞して楽しんでいたからだ。
チュバッカの友人ら、足クサな姫君らの靴下がそれだった。数年たっても臭さがとれぬそれからの、えにも言われぬにおいを堪能して満足していた。
それだけでなく、その姫君らの使い古した月経帯も彼女は集めていた。きついおまんこのにおいを放つお姫様は、名器だったりとても丈夫な赤ちゃんを産むと言い伝えられておりますのよ。
「ケノービさまは果報者ですね」
「なんと?」
「いい……奥様をお持ちでいらっしゃいます」
美食家で臭いフェチ。ついでだがチュバッカはさらにその秘蔵の、足クサ姫君たちの運動靴や部屋靴も、後で見せてくれると教えてくれた。それにはハンナも強く反応した。マイヤが小さい頃に履いていた木製サンダルの中のにおいを嗅いでから、ちょっと癖になっていたからだ。
「おきんたまに直撃する趣味を持ってらっしゃるなんて、すばらしいことですよ……」
「あは。あははは……さすがはご本家のご嫡男でいらっしゃいますなあ……」
ケノービは凍り付いていた。あの趣味を理解できる男がこの世にいるとは。チュバッカのあの趣味だけはわからなかった。確かに、あのクサいコレクションには、ちんぽをおっきさせる何かがあるのだけど。
「さて、ここからはこのケノービめにお話しください。ご本家様や陛下、ジューンショーンさまはいかがお過ごしでしょう?」
「トーリ母さんのことはよくわかりません。陛下や間男といっつもおまんこしてばかりだから。ジューンショーンさまは……」
穏やかな宰相や名君になりそうなお方だと、オルフレッドは褒めちぎった。とにかく勉強熱心だし民ともよく触れ合う。武芸はあんまりだが、文治に優れた人になるだろう。
「陛下が王国の後継者にと指名していたのがよくわかります。ジューンショーンさまのご家来がたには、民が怯える者は一人もございません」
「それは確かに。とても良き人物になられますでしょうね」
「けど最近は陛下の行いが感染したのか、侍女の1人とそういう仲になってしまったようです」
ジューンショーンには同い年の侍女が傍に何人かいた。どの娘も幼い頃に貫通されたり、恋仲の相手のちんぽを舌でなめたことがある経験の持ち主ばかりだ。ナントブルグの女の子は貴族でも、だいたい10歳で処女を卒業するものだ。
ジューンショーンは、そのうちの1人の侍女と関係を持っていた。聖騎士団のガレノス隊に所属する父親がいるという話だ。
「殿下のお嫁さんにちょうど良いと噂されております。でも、僕はもうちょっと位の高いお家の女の子が、良いかと思うのですが……」
「でしょうが、ジューンショーン様は王位継承をご辞退なされるでしょう。あまり良いお家の姫様を迎え入れるのはよろしくないかと思いますね」
しかしである。やはり嫁の格は大事だ。トーリの娘のうち1人、コリアンナあたりを奥方にしてはどうだろうかとケノービは提案した。いやいや、とオルフレッドは否定した。母親みたく淫乱になると思いますよ、妹は。
「何せ牧場のわんこのちんちんを股やけつあなに入れて、あはあはあはと喜んでいますから、コリアンナのやつ」
「……すごい動物愛護家なのですね、コリアンナさまは?」
「とにかく動物が好きなのです。コリアンナはきっと村を離れたくないと思います。代わりにフレッダか、去年産まれたイルマがいいかなと思っております」
とはいえフレッダはまだ2歳である。のちにジューンショーンの正妻となるが、そんな乳児を王弟の妻候補にと言うオルフレッドに、ケノービは苦笑した。
「やはりコリアンナさまがよろしかろうと、廷臣らはおっしゃるでしょうね。むしろフレッダさまとイルマさまは、ナガオカッツェ公から縁談が持ち上がることでしょう」
ナガオカッツェ公ヨーシハルトスにはこの時、ヨーシテルシウスとヨーシアキレウスという2人の男児がいた。2人ともまだ幼児の頃。父と違って温厚な気質で、家臣から可愛がられているとのことだ。
ヨーシハルトスの名前があがったことで、ケノービの父の目が光った。話が終わり、チュバッカが子供を寝かしつけに出て行き、オルフレッドとハンナが夫婦仲良く風呂場に向かったのを見ると、ケノービはクワイガジンに呼びかけた。
「……ナガオカッツェ公から知らせは届いております」
「それで、公は何と?」
「北部に展開する近衛騎士団は、このたびの勅令には断固反対していく所存と返事が来たそうです」
この勅令はイズヴァルトの提案だというのも、ケノービは探っていた。ナントブルグ盆地や周辺の領主や武将らは賛成しているけれど、その外の大貴族らは大反対だ。
何せ、イズヴァルトはアヅチハーゲンで勝手にパラッツォとの和平を結ぼうとした。カシバフェルト公との間にいさかいがあり、数千もの兵士を討ち滅ぼした。貴重な亜人の戦士たちもだ。
「王都周辺の貴族たちはあれこれと考えますが、田舎の武者どもはイズヴァルト討つべしと躍起になっているようです」
「イズヴァルトのほうが正しいとは思うが、近衛騎士団は北部で美味しい思いをしているから、手放せないのだろうな……」
近衛騎士団の領地では、捕虜となったパラッツォ教徒を奴隷にし、富豪や富農、シマナミスタンやチンゼーの諸外国に売る商売が始まっていた。特に褐色肌の国の金持ちにとって、肌の白い女は大いに好まれた。高値で売れた。
この収入源をあきらめることなど、領主達には考えられなかった。ケノービは言う。イズヴァルトがアヅチハーゲンで何をやったのかは王様の耳にも届いている。そもそも本人が告げたそうだ。トーリを介して。
「王様が味方についたようなものだ。パラッツォとの戦争はなくなるだろう。めでたきことかな」
「そうはなりません。ヨーシハルトス様は事を起こそうと考えております。南西部の南天騎士団の四首領……イコーマブルグ、ネヤガワハイム、コーノフェルト、イーモリハウゼンの大公がたと、イズヴァルトにひどい目にあった小領主達は連名で、イズヴァルト処罰への直訴状を携え、総勢2万の軍勢で上洛いたします」
その計画はアヅチハーゲンでの一件が起きた後、すぐにできたものだった。その時には不忠者・イズヴァルトを極刑に処すべしという直訴状だったが、それに手を加えた。
パラッツォ教団との戦争を中止するなど言語道断。イナーヴァニアはとっくに過半が攻め込まれ、ヒッジランドやイーズモーにも侵略の手が及び始めている。
「イズヴァルトが言う事など、平和主義者のうすら寒い夢物語だ。むしろイズヴァルトはパラッツォ教団とつながっているかもしれない。処刑の前に拷問して白状させろ、というのが直訴状の追加部分の骨子です」
「なんと、恐ろしい……」
「計画はすでに動いております。ヨーシハルトス様はできるだけ長く、この上洛の本当の理由を隠すように務めるおつもりです」
現在の状況。すでにヨーシデン近辺に南天騎士団の2万弱の軍勢が到着していた。1カ月のちにはナントブルグに到着する予定だ。直訴状についてはタカイチゲンシュタット近辺に来てから写しを、ナントブルグに送るつもりだ。
「しかし、トーリ様には謎の部下がいるそうじゃないかね。どんな男も篭絡して秘密を聞き出す、教団の『教典の巫女』みたいなものが」
「サキュバスたちですね。あれも対策を整えております。直訴状を持つヨーシハルトス様の本陣には必ず、ゾウズジャヤとソゴプールのエルフの護衛がついております。それゆえ、サキュバスたちは容易に近づけないでしょう」
「ゾウズジャヤ……あ、あの、『きたなエルフ』と悪名高い、不潔でくさくてたまらないサヌキスタンのエルフをか!」
左様。サキュバスたちはエルフを嫌う。心理操作の魔法がきかないのと、会えば必ずイジられるからだ。「おまんこがお菓子くさいけど、下の口でたべてたのかよ!」などと。
特にゾウズジャヤのエルフは、淫魔達から激しく嫌われていた。生まれた時から風呂に入らず、垢まみれのフケまみれ。歯を磨かなければケツも拭かない。離れたところからも腐った牛乳に漬け込んだ雑巾の様なにおいを放つ一族である。それと、ちんちんは小さいし、精液に含まれる魔力の量がニンゲン以下というのも。
「淫魔の身隠しの魔法を見破れるエルフがいれば、ヨーシハルトス様は容易にサキュバスらを近づけることはできますまい。それから……」
前のめりになる父を見て、ケノービは微笑みを浮かべた。イズヴァルトはこれに飽き足らず、さらに過激な提案を考えているようだ。
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「直訴はしたけれどどうにも手ぬるいという部分がござった。そこで考えた。こういうのはどうでござろう? 逆らった者は九族ことごとく討ち果たす、というのは?」
イズヴァルトが呼びかけたのは、執務室でマルカスのばかでかペニスをむちゅむちゅと頬張りながら、イナンナに尻穴を指でこねられているトーリにだった。
むちゅうむちゅうぬちゅう。うう~ん!
「もひもひ…… (それだと反感を喰らっちゃうわ、イズヴァルトさん!)」
「でござろうが、禍根は断たねばならぬでござる。特に王族衆。あの皆様方は、陛下に忠節を誓っておられるでござるが、腹のうちは読めぬでござる」
「もちゅもちゅもちゅ……ふうんっ♡ (そうではあるけれど、政治を乱暴な手でやってしまうと、マイヤが言っていた『すたーりん』や『まおつおとん』がしでかしたような、暗黒の時代になってしまうかもしれない……。)」」
「いいや! 今こそサイゴークの暗黒卿の様な果断が必要なのでござる! さもなくばセイン陛下は、この先ずっと大貴族どのらの圧迫に困り続ける事でござろう!」
この際ここある貴族と結託し、ホーデンエーネン南部の大貴族たちを討伐する計画を立てるべきだとイズヴァルトは論じ始めた。この国には絶対王政が必要だ。もはや大貴族たちとの合議制王国は時代遅れになりつつある!
まずい、とマルカスとイナンナは思った。イズヴァルトは過激なことばかりを考えるようになってしまった。これ以上の提案と執行は良くない。脅せば裏で文句を言いながらも従ってくれるはずなのに。
(イナンナさん。イズヴァルト、やけにイキってないかい?)
(ほうズラな。あんまし良い兆候じゃねえズラよ。)
イズヴァルトはそもそも、王様一家の『お気に入り』である。些細なお願い事や国の大事に左右する直訴が通りやすい、
もともとは温厚で忠誠一筋。マイヤさえいればという条件なら、死地にでも喜んで向かう様な忠烈な義士でもある。
が、暴走して苛烈な思想を持ったら、毎日刑場で貴族の首が飛ぶような事態も起こしかねない危険があった。
この時、イズヴァルトはまさに暗い想念が常に心の中で渦巻いく、精神のどん底にいた。マイヤさえいえてくれたら違ったかもしれない。心の拠り所、あるいはちゃんとうまい具合に操縦してくれるコントローラーが必要だった。
その役目はイナンナにこそあった。トーリでは無理だ。彼女の真の目的は、今の王家の排斥と大貴族たちの抹殺と、永遠不朽のカツランダルク朝ホーデンエーネン王国を打ち立てることにあった。
一応は「考え直せ」と言っていたけど、心の底ではイズヴァルトの論には大賛成だった。むしろ、パラッツォの一件が落着した後にやろうとさえ考えている。
イズヴァルトを諫めるべきイナンナは考え込んでいた。専制君主の代表例、イーズモーのアルグレイブ暗黒卿について思う事があったからだ。
(確かに、それでいいかもしれねえズラな。あの『こぞう』は、憎しみと苦しみを振りまいたけれど、治めた国を豊かにして民たちも安心させてやったズラ。)
彼女は長く生きるエルフである。数百年前の覇王のことについてもよく存じていた。ツネーヒ=アルグレイブ=イーズモーは、『謀鬼』と恐れられた人物。近いところで見る事もできた。
正攻法でも勝てる才能はあるのに残虐極まりない搦め手戦法を得意とし、常に少ない犠牲で勝利してきた。表裏比興どころか何もかもがえげつない人物だった。
『ダメにんげん』な娘や側室たちをダシにした残忍な作戦。才能が無い将軍や武者に特別目をかけ、喜んで自殺戦法を投げうつように仕向けたことなど。
謀多きは勝ち、少なければ負ける。それを地で行く梟雄であった。善良な頃のイズヴァルトとはまさに正反対の男。なのだが、個人の武勇はイズヴァルト以上。イズヴァルトがへたくそな指揮作戦については、天下一そのものだった。
イズヴァルトはその暗黒卿がしたようなことをやろうとしている。トーリのほじくり心地の良いアナルをぶちゅぶちゅと言わせながら、そこが問題だとイナンナは思った。
(イズヴァルトさんは知恵が足らんズラよ……。)
トーリが気持ちよさそうに尻をくねらせ、きゅっと尻穴を狭めた。にゅるるとした感触を得ながらイナンナが指を押し引きし、トーリをさらに悶えさせる。
「イズヴァルトさん。やるんなら……」
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