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第三部 カツランダルク戦記 『プレリュード』
15 直訴状
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ナントブルグに着いてから数日。イズヴァルト達はトーリから様々な事を打ち明けられた。
今のホーデンエーネン王家と自分達カツランダルク統の事について。ルッソをこれから起こりそうな政争から逃がす為に離縁したままにするつもりなのだと。
「そしてカツランダルク家が天下を取るの。今の王統からカツランダルクの、フロリーナおばあ様とリーファお母様の血を継いだ子孫たちが治める国に、ホーデンエーネン王国を変えたいの」
なぜか?
もともとナントブルグを治めていたのは、自分とマイヤの先祖であった。サキュバスの女王というのがその君臨者だった。今は亡き人物だ。国が滅ぼされた折に末娘とともに逃げたが、ホーデンエーネンの追手によって討ち果たされたという。
そしてトーリらカツランダルク本家として生まれた女達は、ホーデンエーネン家に滅ぼされた先祖の恨みを受け継いでいる。
これまで秘密にしていた出自や淫魔の部下達のことを告白したのも、素直で正直者のイズヴァルトの手を借りるには、率直に語って助力を乞うほうが良いと思ったからだ。
「と、トーリどのはおっしゃっていたが、どうなのでござろう?」
イズヴァルトは王宮の外堀に船を浮かべ、浮かんでいるゴミを回収する作業を一緒にしている、マルカスとクリスタに尋ねた。
「そんなことより、魚もおるお堀にゴミを投げ捨てるのは、ナントブルグの連中ってえのはどういう教育を受けているずらか?」
堀には紙屑や木切れ、あるいは古い下着や空き瓶が浮かんでいた。更には人糞や子犬の死体も。ナントブルグ城王宮の外堀は悪臭が漂い、市民からの評判が悪かった。
イズヴァルト達が乗る舟の他にも、堀にはいくつか小舟が浮かんでいた。ナントブルグでは週に1度、こうして外堀のゴミさらいが行われていた。
「……捨てるのは主に、王族衆や大貴族の方々でござるよ。市中の者は脇道にごみや糞尿を捨てる事はあれど、お堀にゴミを投げ入れることはござらぬ」
「ひっでえ話だなあ。エドニアだってこういう事ねえぞ? うわ、ありゃあ死体か!」
素っ裸の若い女の死体だった。ところどころぶたれた様な打撲傷がある。ひどい折檻を受けて死んだらしい。クリスタが引き上げて確かめると、死後数日経った死体だと告げた。
「ひっでえずら。こんなお嬢さんの死体まで投げ込まれるなんて……」
「肌が浅黒いな。キンキ大陸人じゃねえだろ、こいつ? シマナミスタンかチンゼーの人かな?」
「王族衆の奴隷さんでござろう。中にはひどいのがいるのでござるよ。重い病気になって使い物にならなくなると、殺して堀に投げ入れたりする。王様が何度、こういう虐待をしてはならぬと勅令を出しても、大領主や王族衆は改めぬ……」
こうした死体は堀やナントブルグ市の郊外に打ち捨てられる。その身元を洗う為、聖騎士団の団員は調査に駆り出されたりする事もあった。
特にそうした心無い領主達の本拠地がろくでもない。男の奴隷で病気や身体理由で全く使えぬのに武器を持たせ、新米の騎士や領主の息子と戦わせるのだ。
一度か二度、殺しの感触を覚えさせれば、戦いの時にちゅうちょしなくなる。反論したりびびる者は、騎士や貴族だったりすると跡継ぎから外される。けれどもその試練を潜り抜けた者には、奴隷の中から特に美しい女があてがわれた。
「……ろくでもねえ話ずら」
人殺しなど合戦や盗賊退治の時に学べばいいのにと、クリスタは思った。できれば人殺しは避けたいと言うのが本音だが、戦わなければ生き残れなければ出世もできない者もいると考えると、そこまでは口に出せなかった。
「すげえとこだな、ホーデンエーネンってのは?」
「そういう奴隷や野盗がいなければ、税を収められぬ民が代わりを務めるのでござるよ。拙者らが通ったナガオカッツェは特に貧しい。ゆえに村の娘さん方は年貢と称して1度は、ヨーシハルトス様やその取り巻きに抱かれたりするのでござる」
ナガオカッツェではまた、住民反乱が起きたという話をイズヴァルトは聞いた。小さな村での一揆だが、その末路は男は皆殺しで、女は全員犯された挙句に奴隷にされる。男の補充は隣接する土地の流れ者からおこなう。その奴隷女たちをあてがうというのを条件にだ。
その他の領地でも一揆が起きないところは無かった。イズヴァルトの故郷・シギサンシュタウフェンでも直訴が何度も来ていた。
その理由となるのが、対パラッツォ教団との戦費捻出の課税であった。貧しい村や街では、間引きも増えたと聞いている。
ゴミさらいの後、イズヴァルトは一緒に沐浴場に入ったマルカスに、これから書く直訴状について意見を求めた。パラッツォ教団に休戦を申し入れる為の諫めの手紙であった。
「俺に言うなよ。こういう難しいことはわからねえし。お前が親友と頼みにしているベートーベンという騎士さんや、聖騎士団の連中と相談すればいいんじゃねえのか?」
「ベートーベンどのはナガオカッツェから戻らぬでござるよ。聖騎士団は団長含めて主だった方々は全員、北部に駐屯しているのでござる」
「で、どんなものを渡すんだ、王様に?」
マルカスに問われてイズヴァルトは語った。そもそもがパラッツォ教徒への弾圧が、イナーヴァニアやホーデンエーネンへの侵攻を招いていると聞いている。まずはそれに加わった領主を代替えさせて蟄居謹慎を申し渡し、教主コーザに申し開きの使者を送るべきだと。
「それをイナーヴァニアの王様にもせかすよう、セイン様に親書を送っていただきたい。矛を納めてくれるかどうかはわからぬが、このまま行けば王国が転覆しそうなぐらいの大反乱が起こるやもしれぬでござる」
「確かにな。だいたい、一揆が乱発するような国なんてカントニアじゃ聞いたことがねえ。地元のへっぽこエドニアだって、この5年に1度あるか無いかぐらいだ……お隣のマリーヤはしょっちゅうらしいがな」
「つまりはホーデンエーネンは異常だということでござるよ。魔竜戦役があったとはいえ、こうも頻発しているのはとんでもないことでござる」
「しかし、直接国王様にお渡しするより、まずはトーリさんに読んでもらえよ。あの人、王様を骨抜きにしているんだってな?」
しかも国王は朝昼晩とトーリを寝床に引き入れ、政務を放り出しているらしい。そこまでずぶずぶならば、トーリの『奏上』ということにすれば、通りやすいのではないのか、とマルカスは提案した。
「イズヴァルト。お前さんは直訴状を書いてくれ。俺はトーリさんに話をつけてくるよ」
良い考えでござる。イズヴァルトは喜んだ。それからすぐに家に戻って直訴状を書くと、王宮にあるトーリにあてがわれた区画へと向かった。
彼女の執務室がある階に昇り、階段付近の詰所で女中たちが持ってきた茶と菓子を食していた衛兵に尋ねた。
「アスカウ=タカイチゲンシュタット公はおられるでござるか!」
間の抜けた顔の兵士が一言。
「執務室におられます。イズヴァルトさんのお知り合いの、つるっぱげの人と一緒だと思いますよ?」
「なんと!」
急ぎ執務室に向かった。扉からトーリの悩まし気な声が。扉前の衛兵のうち1人は、恥ずかしそう身もだえしていた。もう1人は何もかもすっからかんになった様な顔をして、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
「ややっ! 貴殿ら、扉の中の声はなんなのでござるか!」
「えへへ。トーリ様は『御政務』の真っ最中ですよ」
「僕もお手伝いしちゃいました……この仕事、やっててよかったですよ。あんなきれいな人と……」
しきりに股間をいじる片方の男は、あのつるっぱげの来訪者が休憩に出たら自分の番だとイズヴァルトに言った。詰所の兵士達はその後だ。
「ああ~ん♡ マルカスさん、す、すごく激しいっ。こわれちゃう!」
「トーリ殿! マイヤみたくあられもないことを! ところで、王様はどうしているのでござろう?」
「今週、王様は他のお妾様のところでお過ごしになられるそうです」
「王様もお忙しいですね……僕たちはもっと忙しい」
これは王様に対する不忠というものでござる。イズヴァルトは無理やり部屋に飛び込んだ。寝台でトーリは全裸で四つん這いになり、後ろからマルカスに抱きかかえられていた。
トーリの股は精液の洪水を起こしていた。小さな乳房でも揺れ、髪から甘いにおいを強く放っていた。イズヴァルトは勃起してしまう。
「す、すげえぜトーリ様! 吸いつきがたまんねえ!」
「ああ~ん♡ どんどんぴゅーぴゅー出してっ♡」
「わかってるさ! トーリ様のご先祖がサキュバスだからな!」
「ねーねー。わかってるでしょ? くさいあそこでたっくさん飲みたいの。ちょーだい♡」
「くっせえのってなんなのだよ、トーリ様!」
「ま。マルカスさんのおちんぽ汁よ!」
「わかってらあ。おら、おらおらっ! 注ぐぞ! おおおおっ!」
マルカスが爆ぜた。トーリの中でまたも濁流が注ぎ込まれた。尻を叩き高らかな音を鳴らすと、トーリはくねくねと尻を回してさらに欲しいとせがんだ。
「そ、そいつはいけねえなあ。イズヴァルトも来ているんだし」
「あ、イズヴァルトさん。私に会いに来てくれたの?」
ねっとりとした視線をトーリが向ける。イズヴァルトは顔を伏せながら彼女に尋ねた。
「ここ、執務室でござろうに。なにゆえ寝台を?」
「昼寝用の寝台なの。けど、ここに陛下がよく来るから、致すためにも使っているわ」
もちろん仕事もしている。彼女の机には書類や巻物が積まれていた。領国からの報告書や決裁だった。国王や間男たちと交わりながら読んだりはんこを押したりするという。
「そのう、やりながらだと滞るのでは?」
「ちゃんと仕事はしているわ。マルカスさん……おちんちんもっとちょうだい?」
「お、おう……」
トーリは尻をくねらせながら胸を寝台に這わせた。マルカスがまたも苛烈に動き始める。彼女は喘ぎながら机にあった書類に目を通していた。
「……お仕事ができるのでござるか?」
「そ、そうよ……!」
尻をばちゅばちゅんと叩かれながら、トーリはハンコを押す。次の書類を手に取った。性交をしながら事務仕事ができる。いいことを聞いたと思ったイズヴァルトは、手紙をトーリの前に突き出した。
「なんなのです、これ?」
「おまんこをしながら読んでいただきたい。陛下への直訴の文でござる」
「はう……開いて見せて……ごりごり♡ ごりごりきもちいい……♡」
トーリはマルカスの亀頭で敏感な膣を責められ、ため息をつきながら文を読んだ。彼女はおちんぽをしゃぶりながら、あるいは尻穴をれろれろと舐められて悶えながらも難解な書の内容が頭に入るマイヤの姉である。理解できた。
「いかがでござろう?」
「うう~ん♡ マルカスさん、おちりぺちぺち、ぺちぺちたたきながらののしってー♡」
「いいのか、トーリ様?」
「いやだから、拙者の文についてお尋ねしたいのでござるが?」
「はやくぅー♡」
マルカスは頭をひねって頑張った。
「えーい、可愛すぎるぞお前っ。このっ!」
ぺちぺち。『王家の名を汚す搾精穴』みたいな激烈な言い方で、びしーんと尻を叩かれたかったトーリはぶうたれた。
「もーっ! わたしがやられたいのはもっとひどいことなのに!」
「……すまねえ。こう見えても俺は女を言葉で殴る趣味はねえんだ。浮気とか孕ませで泣かせたりするけどさ?」
「ひどいよー! ねえねえイズヴァルトさん。マルカスさんの代わりにわたしを罵って♡」
イズヴァルトは呆れてしまった。こうして甘えてだらしなくなる姿が、どうにもマイヤに似て来たとも思った。
「トーリどの! 大事な話をしているのでござる! かような腑抜けたおふるまいを致すな!」
「ふえええーん。そんなんじゃないわ! もっとこう、心臓と子宮がぎゅーんと絞って来る様な罵り方をして欲しいのに!」
マルカスは腰を止めた。それからぬぽっと音と立てながらトーリの膣からペニスを引っこ抜いた。トーリのヴァギナは口を開いたり閉じたり動いた。
「うえーん。何で抜いちゃうの? もっとおちんちんが欲しいのー!」
「トーリ様、イズヴァルトの言う事をちゃんと聞いてくれよ? それまでお預けだからな」
「ふえーん」
トーリはお尻の穴からぷすぷすとおならをしながらイズヴァルトをじっと見た。マルカスは念話魔法で彼に呼びかける。
(こんなんなのか? トーリって? お前の話とは違うぞ。ずいぶんとわがままだよなあ?)
(おまんこになるとこうなのでござるよ。しかし若干幼稚になってしまったでござる。やっぱり、ルッソどのがいないとこうなのでござろうか……。)
ルッソのことは言うな。2人の念話を盗み聞きしながらトーリはもう一度文を読んだ。30行程度ずらずらと書かれているものをおよそ3分で読み終えると、肛門を大きく開き、その奥にある固形物をマルカスに見せてぎょっとさせた。
「わかったわ。これを私が直接王様にお渡しすればいいのね?」
「それだけでなく、停戦の為の勅令を引き出していただきたい。もう1つ、力ある諸侯らにご助力いただくようにも、でござるよ」
「わかったわ。まずはカツランダルクの庶流たちを味方につける」
彼等は今、自分を頭領と仰いで忠誠を誓っているとトーリは言った。庶流・カツランダルク御三家の筆頭は今、スカルファッカー家の当主・クワイガジン=スカルファッカー。政界に広く顔が効く男だ。
「クワイガジンさんに頼めばすぐにでも味方ができるわ。オルフレッドがお世話になっているから話もしやすいし」
去年、村から去ったオルフレッドは、クワイガジン=スカルファッカーの助力を受けていた。オルフレッドはあそこの一家の娘達にいたく可愛がられているという。
「恩に着るでござる、トーリどの。ところで避妊は?」
「そこまで間抜けじゃないわ……あっ。出しそう!」
そう叫ぶとトーリはベッドからあがり、床に置いていた桶を手に取るとそれにまたがった。むりゅむりゅむりゅ、といいにおいのする大便がぼとっと落ちた。
そのにおいにイズヴァルトのペニスが反応し、したたかに射精した。それから涙をこぼしてしまった。マイヤの便のにおいとそっくりだったからだ。
今のホーデンエーネン王家と自分達カツランダルク統の事について。ルッソをこれから起こりそうな政争から逃がす為に離縁したままにするつもりなのだと。
「そしてカツランダルク家が天下を取るの。今の王統からカツランダルクの、フロリーナおばあ様とリーファお母様の血を継いだ子孫たちが治める国に、ホーデンエーネン王国を変えたいの」
なぜか?
もともとナントブルグを治めていたのは、自分とマイヤの先祖であった。サキュバスの女王というのがその君臨者だった。今は亡き人物だ。国が滅ぼされた折に末娘とともに逃げたが、ホーデンエーネンの追手によって討ち果たされたという。
そしてトーリらカツランダルク本家として生まれた女達は、ホーデンエーネン家に滅ぼされた先祖の恨みを受け継いでいる。
これまで秘密にしていた出自や淫魔の部下達のことを告白したのも、素直で正直者のイズヴァルトの手を借りるには、率直に語って助力を乞うほうが良いと思ったからだ。
「と、トーリどのはおっしゃっていたが、どうなのでござろう?」
イズヴァルトは王宮の外堀に船を浮かべ、浮かんでいるゴミを回収する作業を一緒にしている、マルカスとクリスタに尋ねた。
「そんなことより、魚もおるお堀にゴミを投げ捨てるのは、ナントブルグの連中ってえのはどういう教育を受けているずらか?」
堀には紙屑や木切れ、あるいは古い下着や空き瓶が浮かんでいた。更には人糞や子犬の死体も。ナントブルグ城王宮の外堀は悪臭が漂い、市民からの評判が悪かった。
イズヴァルト達が乗る舟の他にも、堀にはいくつか小舟が浮かんでいた。ナントブルグでは週に1度、こうして外堀のゴミさらいが行われていた。
「……捨てるのは主に、王族衆や大貴族の方々でござるよ。市中の者は脇道にごみや糞尿を捨てる事はあれど、お堀にゴミを投げ入れることはござらぬ」
「ひっでえ話だなあ。エドニアだってこういう事ねえぞ? うわ、ありゃあ死体か!」
素っ裸の若い女の死体だった。ところどころぶたれた様な打撲傷がある。ひどい折檻を受けて死んだらしい。クリスタが引き上げて確かめると、死後数日経った死体だと告げた。
「ひっでえずら。こんなお嬢さんの死体まで投げ込まれるなんて……」
「肌が浅黒いな。キンキ大陸人じゃねえだろ、こいつ? シマナミスタンかチンゼーの人かな?」
「王族衆の奴隷さんでござろう。中にはひどいのがいるのでござるよ。重い病気になって使い物にならなくなると、殺して堀に投げ入れたりする。王様が何度、こういう虐待をしてはならぬと勅令を出しても、大領主や王族衆は改めぬ……」
こうした死体は堀やナントブルグ市の郊外に打ち捨てられる。その身元を洗う為、聖騎士団の団員は調査に駆り出されたりする事もあった。
特にそうした心無い領主達の本拠地がろくでもない。男の奴隷で病気や身体理由で全く使えぬのに武器を持たせ、新米の騎士や領主の息子と戦わせるのだ。
一度か二度、殺しの感触を覚えさせれば、戦いの時にちゅうちょしなくなる。反論したりびびる者は、騎士や貴族だったりすると跡継ぎから外される。けれどもその試練を潜り抜けた者には、奴隷の中から特に美しい女があてがわれた。
「……ろくでもねえ話ずら」
人殺しなど合戦や盗賊退治の時に学べばいいのにと、クリスタは思った。できれば人殺しは避けたいと言うのが本音だが、戦わなければ生き残れなければ出世もできない者もいると考えると、そこまでは口に出せなかった。
「すげえとこだな、ホーデンエーネンってのは?」
「そういう奴隷や野盗がいなければ、税を収められぬ民が代わりを務めるのでござるよ。拙者らが通ったナガオカッツェは特に貧しい。ゆえに村の娘さん方は年貢と称して1度は、ヨーシハルトス様やその取り巻きに抱かれたりするのでござる」
ナガオカッツェではまた、住民反乱が起きたという話をイズヴァルトは聞いた。小さな村での一揆だが、その末路は男は皆殺しで、女は全員犯された挙句に奴隷にされる。男の補充は隣接する土地の流れ者からおこなう。その奴隷女たちをあてがうというのを条件にだ。
その他の領地でも一揆が起きないところは無かった。イズヴァルトの故郷・シギサンシュタウフェンでも直訴が何度も来ていた。
その理由となるのが、対パラッツォ教団との戦費捻出の課税であった。貧しい村や街では、間引きも増えたと聞いている。
ゴミさらいの後、イズヴァルトは一緒に沐浴場に入ったマルカスに、これから書く直訴状について意見を求めた。パラッツォ教団に休戦を申し入れる為の諫めの手紙であった。
「俺に言うなよ。こういう難しいことはわからねえし。お前が親友と頼みにしているベートーベンという騎士さんや、聖騎士団の連中と相談すればいいんじゃねえのか?」
「ベートーベンどのはナガオカッツェから戻らぬでござるよ。聖騎士団は団長含めて主だった方々は全員、北部に駐屯しているのでござる」
「で、どんなものを渡すんだ、王様に?」
マルカスに問われてイズヴァルトは語った。そもそもがパラッツォ教徒への弾圧が、イナーヴァニアやホーデンエーネンへの侵攻を招いていると聞いている。まずはそれに加わった領主を代替えさせて蟄居謹慎を申し渡し、教主コーザに申し開きの使者を送るべきだと。
「それをイナーヴァニアの王様にもせかすよう、セイン様に親書を送っていただきたい。矛を納めてくれるかどうかはわからぬが、このまま行けば王国が転覆しそうなぐらいの大反乱が起こるやもしれぬでござる」
「確かにな。だいたい、一揆が乱発するような国なんてカントニアじゃ聞いたことがねえ。地元のへっぽこエドニアだって、この5年に1度あるか無いかぐらいだ……お隣のマリーヤはしょっちゅうらしいがな」
「つまりはホーデンエーネンは異常だということでござるよ。魔竜戦役があったとはいえ、こうも頻発しているのはとんでもないことでござる」
「しかし、直接国王様にお渡しするより、まずはトーリさんに読んでもらえよ。あの人、王様を骨抜きにしているんだってな?」
しかも国王は朝昼晩とトーリを寝床に引き入れ、政務を放り出しているらしい。そこまでずぶずぶならば、トーリの『奏上』ということにすれば、通りやすいのではないのか、とマルカスは提案した。
「イズヴァルト。お前さんは直訴状を書いてくれ。俺はトーリさんに話をつけてくるよ」
良い考えでござる。イズヴァルトは喜んだ。それからすぐに家に戻って直訴状を書くと、王宮にあるトーリにあてがわれた区画へと向かった。
彼女の執務室がある階に昇り、階段付近の詰所で女中たちが持ってきた茶と菓子を食していた衛兵に尋ねた。
「アスカウ=タカイチゲンシュタット公はおられるでござるか!」
間の抜けた顔の兵士が一言。
「執務室におられます。イズヴァルトさんのお知り合いの、つるっぱげの人と一緒だと思いますよ?」
「なんと!」
急ぎ執務室に向かった。扉からトーリの悩まし気な声が。扉前の衛兵のうち1人は、恥ずかしそう身もだえしていた。もう1人は何もかもすっからかんになった様な顔をして、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
「ややっ! 貴殿ら、扉の中の声はなんなのでござるか!」
「えへへ。トーリ様は『御政務』の真っ最中ですよ」
「僕もお手伝いしちゃいました……この仕事、やっててよかったですよ。あんなきれいな人と……」
しきりに股間をいじる片方の男は、あのつるっぱげの来訪者が休憩に出たら自分の番だとイズヴァルトに言った。詰所の兵士達はその後だ。
「ああ~ん♡ マルカスさん、す、すごく激しいっ。こわれちゃう!」
「トーリ殿! マイヤみたくあられもないことを! ところで、王様はどうしているのでござろう?」
「今週、王様は他のお妾様のところでお過ごしになられるそうです」
「王様もお忙しいですね……僕たちはもっと忙しい」
これは王様に対する不忠というものでござる。イズヴァルトは無理やり部屋に飛び込んだ。寝台でトーリは全裸で四つん這いになり、後ろからマルカスに抱きかかえられていた。
トーリの股は精液の洪水を起こしていた。小さな乳房でも揺れ、髪から甘いにおいを強く放っていた。イズヴァルトは勃起してしまう。
「す、すげえぜトーリ様! 吸いつきがたまんねえ!」
「ああ~ん♡ どんどんぴゅーぴゅー出してっ♡」
「わかってるさ! トーリ様のご先祖がサキュバスだからな!」
「ねーねー。わかってるでしょ? くさいあそこでたっくさん飲みたいの。ちょーだい♡」
「くっせえのってなんなのだよ、トーリ様!」
「ま。マルカスさんのおちんぽ汁よ!」
「わかってらあ。おら、おらおらっ! 注ぐぞ! おおおおっ!」
マルカスが爆ぜた。トーリの中でまたも濁流が注ぎ込まれた。尻を叩き高らかな音を鳴らすと、トーリはくねくねと尻を回してさらに欲しいとせがんだ。
「そ、そいつはいけねえなあ。イズヴァルトも来ているんだし」
「あ、イズヴァルトさん。私に会いに来てくれたの?」
ねっとりとした視線をトーリが向ける。イズヴァルトは顔を伏せながら彼女に尋ねた。
「ここ、執務室でござろうに。なにゆえ寝台を?」
「昼寝用の寝台なの。けど、ここに陛下がよく来るから、致すためにも使っているわ」
もちろん仕事もしている。彼女の机には書類や巻物が積まれていた。領国からの報告書や決裁だった。国王や間男たちと交わりながら読んだりはんこを押したりするという。
「そのう、やりながらだと滞るのでは?」
「ちゃんと仕事はしているわ。マルカスさん……おちんちんもっとちょうだい?」
「お、おう……」
トーリは尻をくねらせながら胸を寝台に這わせた。マルカスがまたも苛烈に動き始める。彼女は喘ぎながら机にあった書類に目を通していた。
「……お仕事ができるのでござるか?」
「そ、そうよ……!」
尻をばちゅばちゅんと叩かれながら、トーリはハンコを押す。次の書類を手に取った。性交をしながら事務仕事ができる。いいことを聞いたと思ったイズヴァルトは、手紙をトーリの前に突き出した。
「なんなのです、これ?」
「おまんこをしながら読んでいただきたい。陛下への直訴の文でござる」
「はう……開いて見せて……ごりごり♡ ごりごりきもちいい……♡」
トーリはマルカスの亀頭で敏感な膣を責められ、ため息をつきながら文を読んだ。彼女はおちんぽをしゃぶりながら、あるいは尻穴をれろれろと舐められて悶えながらも難解な書の内容が頭に入るマイヤの姉である。理解できた。
「いかがでござろう?」
「うう~ん♡ マルカスさん、おちりぺちぺち、ぺちぺちたたきながらののしってー♡」
「いいのか、トーリ様?」
「いやだから、拙者の文についてお尋ねしたいのでござるが?」
「はやくぅー♡」
マルカスは頭をひねって頑張った。
「えーい、可愛すぎるぞお前っ。このっ!」
ぺちぺち。『王家の名を汚す搾精穴』みたいな激烈な言い方で、びしーんと尻を叩かれたかったトーリはぶうたれた。
「もーっ! わたしがやられたいのはもっとひどいことなのに!」
「……すまねえ。こう見えても俺は女を言葉で殴る趣味はねえんだ。浮気とか孕ませで泣かせたりするけどさ?」
「ひどいよー! ねえねえイズヴァルトさん。マルカスさんの代わりにわたしを罵って♡」
イズヴァルトは呆れてしまった。こうして甘えてだらしなくなる姿が、どうにもマイヤに似て来たとも思った。
「トーリどの! 大事な話をしているのでござる! かような腑抜けたおふるまいを致すな!」
「ふえええーん。そんなんじゃないわ! もっとこう、心臓と子宮がぎゅーんと絞って来る様な罵り方をして欲しいのに!」
マルカスは腰を止めた。それからぬぽっと音と立てながらトーリの膣からペニスを引っこ抜いた。トーリのヴァギナは口を開いたり閉じたり動いた。
「うえーん。何で抜いちゃうの? もっとおちんちんが欲しいのー!」
「トーリ様、イズヴァルトの言う事をちゃんと聞いてくれよ? それまでお預けだからな」
「ふえーん」
トーリはお尻の穴からぷすぷすとおならをしながらイズヴァルトをじっと見た。マルカスは念話魔法で彼に呼びかける。
(こんなんなのか? トーリって? お前の話とは違うぞ。ずいぶんとわがままだよなあ?)
(おまんこになるとこうなのでござるよ。しかし若干幼稚になってしまったでござる。やっぱり、ルッソどのがいないとこうなのでござろうか……。)
ルッソのことは言うな。2人の念話を盗み聞きしながらトーリはもう一度文を読んだ。30行程度ずらずらと書かれているものをおよそ3分で読み終えると、肛門を大きく開き、その奥にある固形物をマルカスに見せてぎょっとさせた。
「わかったわ。これを私が直接王様にお渡しすればいいのね?」
「それだけでなく、停戦の為の勅令を引き出していただきたい。もう1つ、力ある諸侯らにご助力いただくようにも、でござるよ」
「わかったわ。まずはカツランダルクの庶流たちを味方につける」
彼等は今、自分を頭領と仰いで忠誠を誓っているとトーリは言った。庶流・カツランダルク御三家の筆頭は今、スカルファッカー家の当主・クワイガジン=スカルファッカー。政界に広く顔が効く男だ。
「クワイガジンさんに頼めばすぐにでも味方ができるわ。オルフレッドがお世話になっているから話もしやすいし」
去年、村から去ったオルフレッドは、クワイガジン=スカルファッカーの助力を受けていた。オルフレッドはあそこの一家の娘達にいたく可愛がられているという。
「恩に着るでござる、トーリどの。ところで避妊は?」
「そこまで間抜けじゃないわ……あっ。出しそう!」
そう叫ぶとトーリはベッドからあがり、床に置いていた桶を手に取るとそれにまたがった。むりゅむりゅむりゅ、といいにおいのする大便がぼとっと落ちた。
そのにおいにイズヴァルトのペニスが反応し、したたかに射精した。それから涙をこぼしてしまった。マイヤの便のにおいとそっくりだったからだ。
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
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