聖騎士イズヴァルトの伝説 外伝 『女王の末裔たち』

CHACOとJAGURA

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第三部 カツランダルク戦記 『プレリュード』

04 和議を結ばせる

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 物事は計画通りに進まない。エレクトラは前世での経験から重々承知していた。そもそも計画していたのはイズヴァルトに、ホーデンエーネン北部の王にすえる事だ。

(覇王にゃなれないでしょうけれど、領主連合の盟主になら……。)

 小さな領主でも旗頭になれれば、それでいいのだ。まずは領主達との結束である。それから統治の機構を。碩学と名高いマイヤがいれば可能だろう。賢者もおのずと集まる。

 しかしアヅチハーゲンの、酒場や飯屋で聞いた様々な話を聞いて思った。考えが甘かった。

(まさか。イーガでパラッツォ教徒の虐殺が行われていたとは……。)

 1か月以上前にイーガの港町のパラッツォ教徒の居住区で、その事件が起こったという。イーガの魔道士による迅速な焼殺処分。4000人以上。

 それだけではない。イーガのあちこちでパラッツォ教徒と住民とのもめ事が起こった。事件に憤り暴れはじめた教徒のせいだ。

 『荒武者気質』なホーデンエーネン人の信徒であり、入信すればどんな女ともセックスができる事で宗旨替えした、浅はかな男どもだった。

 コーヅケーニッヒでも殺し合いが起きている。寛容だった世論は段々と、パラッツォ教徒排斥に傾きつつあった。非常によろしくない事だ。エレクトラの考えでは、ホーデンエーネンとエチウのなかだちに、イーガがなるべきだと考えていたからだ。

(もっと知りたい。この辺に潜伏しているイーガのスパイと連絡を取らなくては。アドルフは死んだが『お義父さま』はまだ潜ませているだろう。)

 この辺だと顔なじみの女魔道士が何名かいるはず。占い師やまかない女に身をやつして。しかしアヅチハーゲンのどこを探しても、彼女達は見つからなかった。


□ □ □ □ □


 合流する事となったカシバフェルト公とその部下達と、エルフ達は『なかよしこよし』をやろうとしなかった。

 連中は粗暴だ。気に入らないことがあるとすぐに、従者や奴婢を殴ったり蹴ったりする。カントニアでは奴隷だろうが暴力を振るうのは、忌むべき事だと戒められていた。

「あんなイキリぼうずどもらじゃ、楽しいおまんこは出来ねえズラよ?」

 ホーデンエーネン軍に協力するクボーニコフ軍もまた、世界的に評判が悪い軍隊ということで有名だった。

 戦いでは命知らずで果敢だが、犯罪は平気で起こすし人間の情というものに乏しい。軍規もかなりゆるい。特に海軍は海賊そのものだった。

 その理由に兵士達の多くが、内陸部の貧しい農家のあぶれ者であったのと、海軍がクボーニコフ沿岸部を征していた、オーガの海賊団の末裔であったがゆえにである。

 貧民達はまっとうな教育を受けていない。寒村の余り者ゆえに虐げられながら育つて来た。ゆえに犯罪には容易に手を出すし、女に対しては脅して犯すしか選択肢を持たなかった。

 オーガの水軍衆の末裔、つまり、海軍の武将達は一部をのぞいてオーガの血を引いたニンゲンばかりである。クボーニコフ王家からは貴族として遇されていた。

 代々の漁村や商業港を持ち、豊かなのが多いが、祖先のしきたりを守り過ぎて品性の良くない者が多い。

「ムーツ西岸部のオーガの海賊といえば、オーガの連中が船に乗っていた頃は『極悪非道』と言って差し支え無かったらしいズラ」

 イナンナが言った。アヅチハーゲンの街中を我が物顔で闊歩するクボーニコフ兵をちらと見ながらだ。

「特に2000年ぐれえ前が『最悪の世代』と呼ばれていたズラよ。その時代にナエバニアのカジミェシュさんと激しく争っていた、チアン=カイシェックっちゅうアホがいてなあ。あの辺の海域の娘っ子をかっさらってひでえことを繰り返していたそうズラ」

 ムーツのいにしえのオーガの海賊王、チアン=カイシェックのエピソードは事欠かない。

 幼女エルフや少女エルフ、あるいはオーガの美少女を朝から晩まで犯し続けるのは序の口だ。

 海賊王はそういった娘達に四六時中、己のちんぽを頬張らせて過ごしていたという。顎が疲れたと申し出ると己のツノで相手のケツアナをほじってお仕置き。極悪非道そのものだ。

 更には妾達全員を、雪が降りしきる中で素っ裸で一列に並べ、誰が一番多くうんこをひねられるか競わせたという。

 チアン=カイシェックに略奪され、子を産んだ女エルフは数知れず。一節には2万人ほどの子を為したらしい。

 その子供の一部が、クボーニコフやその他西側の王国や公国の血に混ざったという。これらの王国にはエルフやオーガの童女を尊ぶ傾向があるそうだ。

「オノウラビア地方に『ひじき酒』ってのがあるの、イズヴァルトさんは知っているズラか?」
「よくわからぬでござるよ」
「毛が生えたばかりのちっこい娘に正座させて、お股のところに米酒を注いでそいつを飲むっていう風習ズラよ。あの辺のオーガの里にぶちこまれたことがあるパオレッタさんは、毎日『ひじき酒』をやらされたと言ってたズラ」

 その頃のパオレッタだが、陰毛が生えていなかった。『ひじき酒』とは言えなかったのは確かだった。南のエルフは珍しいので、オーガの男達はこぞって彼女を可愛がったらしい。頭のツノで。

「ううう……悪いオーガどのらに捕まると、お尻の穴をツノでほじくられるのでござるか?」
「それどころか、オーガのツノはちんぽや股のおまめみてえな、とんでもねえ性感帯ズラよ」

 男でも女でも、硬くなっているちんぽみたいにふわふわとしているツノをしごかれたりしゃぶられたりすると、「ああっ……♥」と悶えて果ててしまう。快楽神経がクリトリス並みの密度で集まっているからだ。奥ゆかしい連中は覆いをかぶせていた。さもないとイキ狂って日常生活に支障をきたす。

「拙者のちんちんみたいでござるな。そもそも、どうしてツノがあるのでござる?」
「オーガどもが魔法が使いこなせたとんでもねえ大昔の話らしいけど、オーガはツノに魔力を貯めていたらしいズラ」
「なるほど。精霊達を感じる為により一層、敏感になったのでござるな」
「そういう事ズラ」

 ムーツのオーガ達の話はともかく。クボーニコフ軍のアヅチハーゲンでの暴虐には目に余る物があった。世界屈指のヤクザ海軍ゆえに致し方が無い。

 あまりにも過ぎた行いが続いていたから、とうとうホーデンエーネンの武者らがキレ出した。随所で殺し合いが行われる。クボーニコフの兵の生首ばかりが転がった。

「……むごいもんズラ」
「ぼやぼやしていてはならぬでござる! カシバフェルト公どののおしりをぺんぺんして追い立てて、パラッツォ教団との和議を結ぶでござるよ!」

 まずはアヅチハーゲンを平和にしよう。カシバフェルト公の使者はこの時ようやく、パラッツォ教団の要塞に向かったところだ。


□ □ □ □ □


 翌日。会議の席にイズヴァルトが呼ばれた。和議となった。のちのち国王にお伺いの使者を立てるが、パラッツォ教の要求通りに弾圧を行わないし攻撃しないとカシバフェルト公は約束した。

 ただ、あくまでもアヅチハーゲンとその一帯での和平だ。パラッツォ教団は受け入れた。そもそもがアヅチハーゲンの制圧が目的ではない。虐げられている同胞を守るいくさ、というのが彼等の大義名分であった。

 パラッツォ教側の指導者らはイズヴァルトのことを存じていた。ホーデンエーネンの最強の騎士と呼ばれている若者。キンキ大陸で彼に敵う者無しと噂されているとも。

「お話はうかがっておりましたわ。ホーデンエーネンとパラッツォとの戦いを止めようとなされていると。流石は騎士の中の騎士、イズヴァルト=シギサンシュタウフェンさまでございますね」

 アヅチハーゲン方面攻略軍の指導者の1人で、『教典の巫女』のリブ=リデラントだ。エチゴニア公国の武将の孫娘が母親だった。父親は教主・コーザである。

 リブは男どもが目をくぎ付けにするぐらいに美しい。目こそやや細いが、眉は太く長く、顎の形が整っている。唇は薄菫色で厚ぼったく、頬には皺が無かった。乳房に至っては90以上はあり、息をするたびに弾んでいた。

 その日の彼女はスカートの両端に腰から端まで深い切れ込みを入れ、白い肌を顕わにさせる服を着ていた。教典の巫女はこの様な、煽情的な服を必ずまとう。

「父・コーザもきっとお喜びになられる事でしょう。ありがたいことですわ」

 リブは椅子から上がり、イズヴァルトの方に歩いて行った。脚を交差させて歩くから、魅惑に満ちた肌色の腿と、ブーツの上の膝頭が皆の目に映った。
 
 彼女の腰も乳房に負けず大きい。後ろから見れば張りの良い尻の輪郭を伺えるだろう。教典の巫女として信者の精を数えきれないほど吸い、何人もの子を産んだ熟したものである。

 彼女を見て男達は皆、生殖への欲望をかきたたせていた。パラッツォ教徒は皆殺しだと息まいていたカシバフェルト公も、枯れ果てるまでリブを抱きたいとまで思った。

 リブがイズヴァルトの手を取った。小手であるがその甲にそっと口づけする。妙な芳香を漂わせているとイズヴァルトは思った。しかし他の男達とは違い、彼は反応しなかった。

「間近で見ると、まあ、なんてお美しい殿方なのでございましょう……」

 目を潤ませながらイズヴァルトを見上げるリブ。しかしイズヴァルトは彼女に魅力を覚えなかった。魅力に満ちているのは確かだし、自分に性交を求めているのはなんとなくわかる。

(で、ござるがどうも。色仕掛けを受けている様にしか思えぬ。)
(イズヴァルトさん。この嬢ちゃん、サキュバスっぽいにおいがするズラ。)
(イナンナどの、サキュバスでござるか?)

 ほうズラ。『なかよしこよし』をやりたそうな目を向けるイナンナは念話魔法で語った。

(おまんこのあたりから、あの淫魔どものお菓子みてえなあっまいにおいがむわーんと漂っているズラよ。誘惑魔法は使ってねえけど、ぼうずどもがなめなめしたくなる魔力が漏れているズラ。)
(なるほどでござる。リデラントどのには注意いたす。)
(イズヴァルトさん。それとこのお嬢ちゃん、排卵期に入っているみたいズラ。相手してパラッツォとのかけはしをこさえてやるズラよ?)

 イナンナが促す。それは止めておくとイズヴァルトは答えた。聖騎士は頑丈な手で彼女の柔らかな右手を優しく取ると、硬く握手をした。

「リブ=リデラントどのの賢明なるご判断、深く感謝いたすでござる。神様をまつるやり方が違うだけでいがみあうのは良くないことでござるよ」
「その通りでございます、イズヴァルト様。あのう、できれば……」

 リブが恋する女の顔でイズヴァルトにささやく。この和議に導いていただいたお礼を。イズヴァルトは固辞した。

「あくまで拙者はなかだち役。主役ではござらぬ。ここは、カシバフェルト公と夜明けまで語られよ、リデラントどの」

 イズヴァルトは物欲しそうに見ているカシバフェルト公に目を向けた。今にでもリブに襲い掛かって乳房にむしゃぶりつきたいという目をしていた。

「……そのほうがよろしいかもしれませんわね」

 リブが和やかに笑う。彼女が篭絡の魔法を仕掛けようとしてもイズヴァルト達には手段があった。大公の寝室にエルフ達が張った結界を張り、使えなくさせるのだ。


□ □ □ □ □


 和議の会議のすぐ後である。カシバフェルト公は要塞の前に張った自陣の天幕に、リブ=リデラントを連れ込んだ。

 大公はリブの美貌に釘付けだった。甘く柔らかなにおいを漂わせる彼女をきつく抱きながら、知らせを受けて天幕で用意をしていた下僕達に鎧を脱がせた。

 気が逸る。早く裸になってこの女と睦みあいたい。鎧の下にまとう防護服とズボンを脱がせた。下着1枚になった彼は彼等に命じた。

「お前たち、外に出ておれ」

 下僕たちはさがった。リデラントはくすっと笑う。

「気がお早いですのね、カシバフェルト公さま?」

 もちろんだ。カシバフェルト公は笑い、リブの服を脱がせた。上向きの乳首をつける大きな乳房と茂みを剃った悩ましいほぞの下が目に映った。

「儂は約束しよう。この行いがホーデンエーネンとそなたらパラッツォとの和平の始まりになるとな」
「それは、私も願っておりますのよ……」

 カシバフェルト公はリブに抱き着いた。柔らかくて厚い唇をむさぼり、寝台に押し倒した。白い太ももが大きく広がると、屹立が深い谷間に入り込んだ。

「あっ……」

 リブが声を漏らした。カシバフェルト公は乳房を鷲掴みにし、ゆっくり、ゆっくりと腰を振ってこの女の奥をじっくりと味わった。

「たまらんなあ。リブ=リデラント殿」
「私もです、カシバフェルト様!」

 リブの大きな腰は、中もそれに比して豊かであった。ペニスに絡みつく膣肉が悩ましい。甘い疼きが続く。

 もっと密着したい。カシバフェルト公は腰を振りながら上半身をまとっていた下着も脱いだ。リブの柔らかな肌と密着させながら突きこねる。甘い吐息を吸いながら突き続けた。

 行為は2時間にも及んだ。リブは精液をたっぷりと飲み干した下腹に腹をあてながら、己の乳房を吸い続ける大公に呼びかけた。

「大公さま。この和平の会合は是非とも、お約束をお違えなさらぬように……」

 わかっておると大公はうなずく。まだペニスは硬かった。この女に己の子を宿すまで止めないつもりらしい。乳首から口を離した。

「リデラント殿。食事は遅くなってしまうがよろしいか?」
「……はい」

 リブが再び股を開く。大公はそこに分け入った。腰は疲れているが精神は旺盛だ。気合でもう2時間を堪能しよう。


□ □ □ □ □


「あの嬢ちゃん、魔法を使っていねえズラ」

 大公とリブの喘ぎ声がかすかに漏れる天幕の外。結界魔法を張ったイナンナがイズヴァルト達に言った。暗殺の恐れは無い。大公は本気で彼女に惚れたようだ。

「ならば闇討ちの心配は無さそうでござるな」
「そうとも言えん。パラッツォもそうだけどホーデンエーネンも信用ならねえズラ。イズヴァルトさん、ここは提案だけど、オラ達は半々にわかれて、パラッツォの陣とホーデンエーネンの陣でしばらく過ごすべきズラよ」

 パラッツォ教徒の軍は2万近くいる。対してホーデンエーネンは8000ほど。クボーニコフの援軍を含めても1万だ。

 そうそうにやられる事は無いと思うが、何かを仕掛ける可能性がある。それは教団側も。和議の後の騙し討ちはよくあることだ。

「では、拙者がパラッツォ側でホーデンエーネンにはミツクニュモスどのらを置く事にいたすでござる」
「その様に取り計らって欲しいズラ。ミツクニュモスさんにはクリスタとマルカスさんをつければいいズラな」

 2手に分かれてしばらく様子を見る事に。イズヴァルトとイナンナはパラッツォ教の陣地に入った。

 まだ夕時なのに焚火の前で誰もが交合にふけっていた。全裸にこそなっていなかったが、男女とも兜と小手を脱ぎ、軍装である厚手の貫頭衣をめくりあげて下腹をつなぎ合わせていた。

 男女のせわしない息遣いと目のやり場に困る行いが続いている。見れば兵団を統御する武将や下士官らも、近くにいた女と肌を重ね合わせて励んでいた。

「ややっ! こ、ここまであけっぴろげであったとは!」

 油断し過ぎではないのか。イズヴァルトは近くにいた男女に呼びかけた。こういう時こそ気を引き締める必要があるのでは。まだ陰毛が生えたばかりに見える娘にのしかかっていた男は笑いながら返した。

「考え過ぎじゃないんですか? もう和議がなったのでしょう?」
「しかしでござる。騙し討ちが行われるかもしれぬと警戒するのが、いくさ場においての習いというものでござるよ?」
「心配し過ぎでしょう。それに俺達はそもそもホーデンエーネン人……俺はツルーガニスクから。この女の子はアヅチハーゲン近郊の村の出身なんです」

 それから、人を疑うのは良くないことだ。信じる者は救われる。赤子の様に疑う心を持たずに信頼すれば、相手も必ず応えてくれるはずだと男は言って、また腰を振り始めた。

「……頭ん中がお花畑ズラな。オラ達エルフにも負けねえぐれえの」
「そもそもが武者ではないからでござろう。とはいえ一理あるとは思うでござる。拙者ら貴族というのは、かように心優しき人々を守る為に率先して剣を取り、まつりごとを行うものでござるが……」

 昨今の貴族たちは、民衆に刃を向ける行いばかりでいたたまれない。イズヴァルトは庇護心を起こし、彼等の行いを黙認することにした。

 パラッツォ教徒は毎日一口飲むだけで腹いっぱいになる、『甘露(アームリータ)』で済ます。とはいえそれは普段の場合だ。戦いの時はさすがにもう少し腹に入れる。

 イズヴァルトはホーデンエーネン軍から差し入れられた夕食用の弁当を食べながら、信徒たちが何を食べるのかを眺めてみた。

 彼等は濾過した川の水を沸かした湯と、海魚の酢漬けを挟んだ粗末なパンをかじるだけだった。これだけで事足りるし、散々やったというのに夜も肌を重ねあえるらしい。

「頑強でござるな……」

 イズヴァルトは盆に盛られたものを見て感心する。パンを2切れと菜っ葉の塩酢漬け、干した羊肉や豚肉を入れたたまねぎのスープの椀。足りないと思えた。
 
「我々パラッツォ教徒は、『甘露(アームリータ)』さえあれば別にほかのものを飲み食いしなくても生きていけるんですよ」

 語るのはさっきの若い男。隣にいた娘がすすっていた湯から唇を離した。

「そうはいっても昔の生活を忘れられないから、ついつい他のものも口にしちゃうんですけどね」
「確か貴殿は、この辺のかたでござったな?」
「はい。私の村には近くに漁港がありましたから、魚と野菜のスープをいつも食べておりました。週に1度そういうのを食べないと舌がつまらなくなっちゃいます」

 娘は8つの歳に両親とともにパラッツォ教に宗旨替えした。15歳だがすでに2人の子供がいるという。子供はエチウにいる親元に預けた。

「しかし、男女が半々とは変わった軍隊でござるな?」
「教典にこう教えが書かれているからです。女よ、娘達よ。いくさ場で死にゆく男達の為に子を産んで差し上げなさい。はかなく散る者の種を残し、命をつなぐ事こそがあなたたちの本当のいくさなのです」

 もちろん彼女達も軍事訓練を受けていた。しかし殆どの仕事が、武器の手入れや男達の身の回りの世話ばかりだ。兵士として満足に戦えるのはほとんどいない。

 戦いが無い時や肌寒い夜は、誰彼かまわず男達と交わって腹に精液を入れる。そうして子を孕み死んだ者の代わりとなる命を産むのだ。娘の肩を抱きかかえながら若者がイズヴァルトに言った。

「イズヴァルトさん、聞いたことがありませんか?」
「何をでござるか?」
「死神のアエーシュマさまに近いうちに導かれる男は、抱いた女に必ず子を与えるという話をですよ」

 健康だが近いうちに不意の死が訪れる男は、本能が予感を働かせてより多くの胤を放つようになるのだとか。その場合は射精の快楽が倍以上に長く及ぶという。本能が安堵の念を覚えるからであろう。

「死ぬとは思わないことでござる。死中に活路を見出すだの、死なんと思う者は生きる、などという言葉は、武者にのみ言い聞かされるべきものでござるよ。貴殿のように本当の生業がある者が耳を貸すべき言葉ではござらん」
「あはは。そう言っていただけると安心しました……この軍に加わってからの交合が、とても気持ち良かったものですから」
「いやいや。お日様やお星さまがきらめくお空のもとでのおまんこは、すがすがしいものでござるからな! 拙者もマイヤとどんなに楽しんだことか! はははは!」
 
 そう笑うとイナンナが、寂しそうにうつむいた。

「オラやパオレッタさん達とはどうズラか、イズヴァルトさん?」
「そ、それはイナンナどの! マイヤだけではござらぬよ! お外でのおまんこは開放感があってよろしいでござる! 誰とでもそうでござるよ!」
「その言い方はあんまりズラな!」

 イナンナはイズヴァルトの額を指ではじいた。舌を出して苦笑するイズヴァルトを見て周りの者らが笑った。

 食事が終わったところで、パラッツォ教徒の女達からお誘いが来た。イズヴァルトだけでなく一緒について来た武者達にだ。エルフ達にも当然声がかけられた。

 パラッツォ教徒は幼児の時分から性交を行う。赤ん坊の時から含まされる『甘露(アームリータ)』の効能で、男は6歳ぐらいから精通が始まり、女は8歳ごろから生理が始まる。

 この霊薬は生殖行為以外にも、実際の出産でも役に立っていた。陣痛を和らげ、安産になりやすくさせるのだ。

 イズヴァルトと語った若い男は5歳の時に射精が始まり、わかっているだけでも10人以上の子を為したと語った。

 相手をする事になったイナンナは、彼が裾をめくりあげて見せてくれたペニスに息をのんだ。

「すっごい……使い慣れているちんちんズラな」

 割礼痕があり、きっちりと剝けているそれは、肉厚で大いに発達していた。長さは18センチほど。イナンナは目を輝かせながらそれを手でさすった。

 細くてきれいな指は、滑りがとても良い。ペニスの肉の起伏をしっかりと撫でる。男は手首をくねらせて愛撫する彼女の技に喜びの声をあげ続け、限界に達した竿から勢いよく精を放った。

 愛撫によるひと撃ちが終わってもペニスは屹立したままだ。イナンナはズボンを脱いで男に股を開いた。腰の動かし方は申し分なかった。

「んんっ……んんっ! す、すさまじいズラ」

 中の肉を押し上げられてイナンナはうめく。相手は亀頭をぐりぐりと押し付けて中で射精すると、また腰を動かした。

 パラッツォ教徒の男は行為の時、繋がったままで最低でも4度は射精する。彼は3歳の頃に信徒になったから、少し大人しいほうだがそれでも世間一般の常識からいえば激しくしつこかった。

 己の膣の中を精液に満たされ、男根によるねちっこい責めを受けてイナンナは喜ぶ。イズヴァルトはその姿を横で眺めていた。

 彼は脱いだズボンを腰に掛けていた。上向いた巨根に息がかかるのを感じて身悶えを。小さな頭が2つ、彼の目の前にあった。

 1人は、イナンナの相手の男と交合をしていたアヅチハーゲン近郊の村出身の娘。もう1人は彼女の友人だ。薄い色合いの金髪。エチウ諸島のアサークラント出身の娘だ。

「おっきい……」

 アサークラント人の娘がもらした。14になったばかりのその娘は、もう1人と一緒にイズヴァルトのペニスを指でさすり始めた。

 鈴口や雁首の溝をさすり、縫い目や尿道付近の盛り上がりをなぞって陰嚢を揉む。

「う、ううう……」

 イズヴァルトのペニスは感じやすい。精力絶倫で勃起に疲れる事は無いが刺激に弱い。その上に生産力が常人の数倍もある精嚢は、予備はいくらでもあるからとすぐに射精を本能に促してしまう。

 しかも半エルフの改造手術を受けてから、感度や射精の欲求が増々ひどくなった。こうして陰嚢を揉まれ、ペニスの感じやすいところを撫でられただけで射精してしまいそうになる。

「ご、後生でござる。おさわりで放つのは……」

 娘達は好奇心に満ちた目で、2人してイズヴァルトの陰部に口づけ始めた。舌で皮膚や露出した亀頭粘膜をねぶる。太腿と陰嚢を揉みさすりながら。

 それをされるだけでもイズヴァルトはペニスの付け根がせつなくなった。精液が尿道からせりあがってきたのだ。あまりにも大きな亀頭は、カウパーでどろどろだった。

「も、もうだめでござるよ……」

 2人は尿道付近の痙攣を唇で感じていた。アサークラント人の娘が亀頭を吸い、唇をすぼめて動かした。

 もう1人は射精を促そうと舌で裏筋を撫でてやる。求められるがままイズヴァルトは射精した。10秒も続くそれは、亀頭を口に含んだ娘をむせさせるものだった。

「ああああ……」
「イズヴァルトさんはたくさん出せるんですね!」
「……濃くていい味がするよ」
「そうなの?」
「こんなにおいしい精液は初めて。『甘露(アームリータ)』みたいな舌触り。あなたも飲んでみて?」

 フェラチオと飲精の相手が変わった。イズヴァルトはまた苦しめられた。口と指で愛でられるのは、マイヤとの日々を思い出させられて心が辛い。けれどもそれが、射精への欲求につながった。

 口の感触が違うと思った。こちらは口腔の中がふんわりとしている。『甘露(アームリータ)』だけでなく少量でも別の食物を摂っていたから、アサークラント人の娘よりも肉付きが良かったのだ。

 パラッツォ教徒の娘らのフェラチオは馴れたものだった。口をすぼめてひょっとこみたいにし、かっぽかっぽとしゃぶって感じさせる。口の中で射精させる為にだ。

 パラッツォ教徒の女の間では、こんな話が出回っている。最初の精液で受胎するのはやめろ。2度目3度目の射精にこそ良質な子胤がある。それこそを腹の中で受けて子を為すべきだと。

 2度の口内射精の後のイズヴァルトの、2人へのヴァギナのお返しは彼女達にとって想像以上だった。中イキをすでに身にしみつかせている彼女らは、彼の巨根とたくましさに悶え狂った。

 その快感が排卵を促してしまったらしい。彼女達は2人とも、イズヴァルトの娘を産む事となる。美人で頑健で『甘露(アームリータ)』の呪いに負けぬ、長生きする女達だった。

 この陣地での滞在の間、孕ませ上手なイズヴァルトの精子は、相手した30名近くのパラッツォ教徒に自分の娘を産ませる事となった。
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