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第二部 『呪いの序曲。イーガの魔王』 (少年編から青年編の間のエピソード。)
結 『人物史学者・ギルバート』
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※本編の語り部、吟遊詩人で歴史学者のギルバート=カツランダルクのエピソードとなります。イーガのアドフルの『悪行』は、女小姓のオットーが書いた本以外、サーガに描かれるぐらいの資料が無かったのです。
(少なくともキンキ大陸では。)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
マイヤ=カツランダルクの略奪。
この事件を起こしたアドルフについての資料は殆どない。
身近にいて見聞してきたはずの亜人らの記憶もあやふやだった。何者かが、物忘れの魔法を使って関係者全員から記憶を抹消したからかもしれない。
200年以上経った今、もはや闇の中に閉ざされていた。とりあえず正確な記録として残っているのは、マイヤ=カツランダルクの口述を記録したオットー=オーズローの伝記だけだ。彼女はマイヤをその本の結びにこう評した。
「本当のおしゃぶり姫は、たぬきやあらいぐまみたいな愛くるしい娘であった。まだ世に出回っている映像水晶に映る童女がそのまま大きくなったと思えばいい。しかし彼女は不屈の闘士でもあった。女傑とは彼女にこそふさわしかった」
その血と魂は彼女の曽孫、アーノンレンシ=カツランダルクに受け継がれた。武闘派で気性の激しい、ところかまわずケツをめくってぶりぶりと音を鳴らす『くそひねり姫』。
マイヤの愛くるしさとトーリの楚々とした美貌を受け継ぎ、数々の激戦で陣頭指揮をとった女大将でもあった。マイヤについて記された記録はそう多くないけれど、アーノンレンシについては曾祖母よりも多く書かれた。
イズヴァルトの伝承歌における『ひろいん』とは、まさにアーノンレンシこそがふさわしかった。彼女こそが曾祖母よりも遥かに、英雄に並び立つ女傑と評判だった。
しかしだ。ギルバートと思い、オットーも書に記した。もし『おしゃぶり姫』マイヤがあのままイズヴァルトとずっと一緒であれば、きっと『ぶりぶりうんち姫』なんかよりも優れたサーガを遺した違いない。
彼女こそが光になる運命のはずだった。お姫様だったことがわかったんだし。なによりおっぱいが曽孫よりもでっかい。おっきなおちちの美人は、ちっぱい美人よりも民衆に愛されたはずだ。アーノンレンシは小ぶりであった。
まあでもである。この本の著者はアーノンレンシ姫を我が娘の様に愛した。というか甘やかした。うんちぶりぶりをするところを「マイヤみたいでかわいい!」と喜び、その様子をいちいち映像水晶で記録するぐらいに溺愛した。
その映像をギルバートは持っていた。しかしながらこれで手淫をすることはまかりならなかった。だいたい、童女がかわいいおしりを出してうんちをひねるところに、欲情をきたすなんて人でなしのおこないだ。
「な、訳だが、これを見てどう思う?」
ギルバートは所持していたマイヤとその曽孫の『おひねり動画』をオリビエに見せてみた。彼女は至極気持ちの悪い笑みを浮かべ、腰をくねらせて鼻息を荒くしていた。
「ぬひっ♡ し、心臓の鼓動がはげしくなっちゃいました♡」
「きみ、そっちの趣味があったのか……」
「あひっ♡ これ、複製してくれませんか♡ どっちもすっごくかわいいなあ♡」
オリビエにあれを読ませた後、「色ボケくそくそ女」とマイヤを詰っていたが、映像でその姿を見せると「やばいぐらいかわいい♡」と顔をゆがませてしまった。それ程までに『おしゃぶり姫』には魅力があったということである。
「複製、まあいいが、どちらが好みかね?」
「ど、どっちも♡」
「……やっぱりそうなのだな?」
しまいにはオリビエは気持ち悪いことを言い出してきた。あの2人の両ケツに顔をくっつけられて、ぷすぷすとおならを吹きかけられたい。映像の中の魅力的なプリケツに魅了されたようだ。
カツランダルクの姫に関する研究者は、映像水晶での資料を閲覧する時にまず、あのおケツに抗する精神を鍛えないといけない。おしりぷりぷりうんちぶりぶり。しりあなみょーんとひろがりぷっぷすぷー。かわいいお尻にはきけんがいっぱい。
精神力の無い者は、ぺちぺちたたきたい可愛い美尻の魔に取り込まれる。取り込まれたのは男女とも、手淫に励んだり映像の中の彼女達の尻の質感に近い、エルフやサキュバスの童女にのめりこんだりする。廃人を量産した。
ギルバートには幸い、その精神力があった。なのでイズヴァルト研究のほかにマイヤやその娘達の研究も為せた。オリビエを手淫地獄に堕とす映像水晶を譲り渡すと、彼はトリシア大学へ向かった。
ちょうどそこにイーガからの旅行に帰って来た、学生のリッケルト=ベートーベンが戻ってきた。アドルフに関する資料を集めたが、ろくな収穫が無かったと嘆いた。
「先生のおっしゃる通りです。イーガにはあの廃王子の記録は殆どありませんでした」
ギルバートのつてで禁書図書館に籠ってみたが、どこにも見当たらない。王国公認の歴史書にも、マルティン王は事細かだがアドルフの記載は数行のみだった。
「まるで、かん口令が出されている様でしたね」
「私にもわからないよ。とにかくアドルフ=トードヴェル=キョウゴクマイヤーについては資料が見当たらない」
その妻だったエレクトラ=ガモーコヴィッツはそこそこある。しかし『イズヴァルトの伝承歌』にその名がたくさん出てからだ。彼女もまた、イズヴァルトの戦友となり愛人となった。
しかしそれまでの、ホーデンエーネンで暗躍していた頃以前の彼女のついて記されたものは、そう多くは無かった。魔道騎士団の天才少女。アドルフ王子が一番愛した妾。マルティン王の実母。そのぐらいの資料はあるが、決して事細かではない。
イーガは今も秘密を守り続けている。特にアドルフ王子の事についてだ。許されたのはせいぜいが、オットー=オーズローが書いた伝記のみ。とにかく悪いことをこっそりしていたのは確かだった。
(イーガ始まって以来の最高の治癒魔法が使えた男。そして……。)
自分の祖先でもある。ギルバートこそがマルティン王とオットーの遠い子孫だ。マイヤとも。正確に言えばフェアディナントとオットーの1人娘が源流だ。つまりはアドルフも彼のご先祖である。
その謎に包まれた先祖の秘密をあばきたい。彼はそう願った。しかしなかなかそうにならない。資料が見つからない。記録が、記憶が。
(……アドルフについては諦めるしかないのだな。)
イーガの魔王と呼ばれた男の真実は、永遠に闇の中だ。
『呪いの序曲。イーガの魔王』 了
(少なくともキンキ大陸では。)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
マイヤ=カツランダルクの略奪。
この事件を起こしたアドルフについての資料は殆どない。
身近にいて見聞してきたはずの亜人らの記憶もあやふやだった。何者かが、物忘れの魔法を使って関係者全員から記憶を抹消したからかもしれない。
200年以上経った今、もはや闇の中に閉ざされていた。とりあえず正確な記録として残っているのは、マイヤ=カツランダルクの口述を記録したオットー=オーズローの伝記だけだ。彼女はマイヤをその本の結びにこう評した。
「本当のおしゃぶり姫は、たぬきやあらいぐまみたいな愛くるしい娘であった。まだ世に出回っている映像水晶に映る童女がそのまま大きくなったと思えばいい。しかし彼女は不屈の闘士でもあった。女傑とは彼女にこそふさわしかった」
その血と魂は彼女の曽孫、アーノンレンシ=カツランダルクに受け継がれた。武闘派で気性の激しい、ところかまわずケツをめくってぶりぶりと音を鳴らす『くそひねり姫』。
マイヤの愛くるしさとトーリの楚々とした美貌を受け継ぎ、数々の激戦で陣頭指揮をとった女大将でもあった。マイヤについて記された記録はそう多くないけれど、アーノンレンシについては曾祖母よりも多く書かれた。
イズヴァルトの伝承歌における『ひろいん』とは、まさにアーノンレンシこそがふさわしかった。彼女こそが曾祖母よりも遥かに、英雄に並び立つ女傑と評判だった。
しかしだ。ギルバートと思い、オットーも書に記した。もし『おしゃぶり姫』マイヤがあのままイズヴァルトとずっと一緒であれば、きっと『ぶりぶりうんち姫』なんかよりも優れたサーガを遺した違いない。
彼女こそが光になる運命のはずだった。お姫様だったことがわかったんだし。なによりおっぱいが曽孫よりもでっかい。おっきなおちちの美人は、ちっぱい美人よりも民衆に愛されたはずだ。アーノンレンシは小ぶりであった。
まあでもである。この本の著者はアーノンレンシ姫を我が娘の様に愛した。というか甘やかした。うんちぶりぶりをするところを「マイヤみたいでかわいい!」と喜び、その様子をいちいち映像水晶で記録するぐらいに溺愛した。
その映像をギルバートは持っていた。しかしながらこれで手淫をすることはまかりならなかった。だいたい、童女がかわいいおしりを出してうんちをひねるところに、欲情をきたすなんて人でなしのおこないだ。
「な、訳だが、これを見てどう思う?」
ギルバートは所持していたマイヤとその曽孫の『おひねり動画』をオリビエに見せてみた。彼女は至極気持ちの悪い笑みを浮かべ、腰をくねらせて鼻息を荒くしていた。
「ぬひっ♡ し、心臓の鼓動がはげしくなっちゃいました♡」
「きみ、そっちの趣味があったのか……」
「あひっ♡ これ、複製してくれませんか♡ どっちもすっごくかわいいなあ♡」
オリビエにあれを読ませた後、「色ボケくそくそ女」とマイヤを詰っていたが、映像でその姿を見せると「やばいぐらいかわいい♡」と顔をゆがませてしまった。それ程までに『おしゃぶり姫』には魅力があったということである。
「複製、まあいいが、どちらが好みかね?」
「ど、どっちも♡」
「……やっぱりそうなのだな?」
しまいにはオリビエは気持ち悪いことを言い出してきた。あの2人の両ケツに顔をくっつけられて、ぷすぷすとおならを吹きかけられたい。映像の中の魅力的なプリケツに魅了されたようだ。
カツランダルクの姫に関する研究者は、映像水晶での資料を閲覧する時にまず、あのおケツに抗する精神を鍛えないといけない。おしりぷりぷりうんちぶりぶり。しりあなみょーんとひろがりぷっぷすぷー。かわいいお尻にはきけんがいっぱい。
精神力の無い者は、ぺちぺちたたきたい可愛い美尻の魔に取り込まれる。取り込まれたのは男女とも、手淫に励んだり映像の中の彼女達の尻の質感に近い、エルフやサキュバスの童女にのめりこんだりする。廃人を量産した。
ギルバートには幸い、その精神力があった。なのでイズヴァルト研究のほかにマイヤやその娘達の研究も為せた。オリビエを手淫地獄に堕とす映像水晶を譲り渡すと、彼はトリシア大学へ向かった。
ちょうどそこにイーガからの旅行に帰って来た、学生のリッケルト=ベートーベンが戻ってきた。アドルフに関する資料を集めたが、ろくな収穫が無かったと嘆いた。
「先生のおっしゃる通りです。イーガにはあの廃王子の記録は殆どありませんでした」
ギルバートのつてで禁書図書館に籠ってみたが、どこにも見当たらない。王国公認の歴史書にも、マルティン王は事細かだがアドルフの記載は数行のみだった。
「まるで、かん口令が出されている様でしたね」
「私にもわからないよ。とにかくアドルフ=トードヴェル=キョウゴクマイヤーについては資料が見当たらない」
その妻だったエレクトラ=ガモーコヴィッツはそこそこある。しかし『イズヴァルトの伝承歌』にその名がたくさん出てからだ。彼女もまた、イズヴァルトの戦友となり愛人となった。
しかしそれまでの、ホーデンエーネンで暗躍していた頃以前の彼女のついて記されたものは、そう多くは無かった。魔道騎士団の天才少女。アドルフ王子が一番愛した妾。マルティン王の実母。そのぐらいの資料はあるが、決して事細かではない。
イーガは今も秘密を守り続けている。特にアドルフ王子の事についてだ。許されたのはせいぜいが、オットー=オーズローが書いた伝記のみ。とにかく悪いことをこっそりしていたのは確かだった。
(イーガ始まって以来の最高の治癒魔法が使えた男。そして……。)
自分の祖先でもある。ギルバートこそがマルティン王とオットーの遠い子孫だ。マイヤとも。正確に言えばフェアディナントとオットーの1人娘が源流だ。つまりはアドルフも彼のご先祖である。
その謎に包まれた先祖の秘密をあばきたい。彼はそう願った。しかしなかなかそうにならない。資料が見つからない。記録が、記憶が。
(……アドルフについては諦めるしかないのだな。)
イーガの魔王と呼ばれた男の真実は、永遠に闇の中だ。
『呪いの序曲。イーガの魔王』 了
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