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第二部 『呪いの序曲。イーガの魔王』 (少年編から青年編の間のエピソード。)
64 魔王が遺したもの
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パラッツォ教の話だ。人食い鬼族・ゴールの娘で教主コーザの養女となったヘラは、一時期は死ぬかと思われる程病気に苦しめられていたが、イーガのアドルフ王子が譲った薬で、嘘みたいな速度で回復した。
それから順調に育った。数多くの信者達に愛情を注がれて愛らしい童女となった。コーザは彼女をどこにも連れて行った。エチウの島々や属国となったイナーヴァニアの大地に。
それから常に、教団の神の教えを語る。神の教えだけでない。昔語りやおとぎ話もだ。ヘラは興味を持った。愛らしい子供になりつつある。
(しかし……)
コーザは彼女が秘める魔力の波動が気がかりだった。幼い子にしてはいささか強い気がする。それと、彼女は暇になるとすぐに裾をめくって指でいじり始める。包皮割礼を受けたクリトリスとその周囲を指でもみ、腰を揺らしながら悶えるのだ。
これは信者の子供もよくやることだから問題無い。パラッツォ教徒の幼い娘はちょくちょくクリトリスをいじる。しかしヘラは度が過ぎていた。1時間に1回は必ずやる。
「と、とまらないよう……」
そう言ってはびくんびくんと動き、うっとりとして快楽の波にしばらく漂う。それでも彼女が虚弱になったりというのは無い。むしろ、快感を得れば得る程、すこやかになる様だった。
(頻度がおかしいですね。やはり、ゴール族の血は性欲が盛んなのでしょうか。ふうむ……)
コーザの中で違和感が起こり始めていた。それが確信となったのは、密約を結んでいたイーガのアドルフからのとある贈り物。あの男の最後の献上品だった。
ヘンリックが持ってきたそれは、あまりにも奇怪に過ぎた。少女の腕と脚。しかも指が動く。箱を開いた時、これはなんなのだと皆が驚いた。
(アドルフは恐ろしい物を……。)
コーザとて頭にしびれを感じるぐらいの恐ろしい贈呈品だ。何故アドルフは贈ってきたのか。こんな考えが一瞬よぎった。ある種の嫌がらせだろうか。
箱の中に手紙があった。我が愛妾の手足。これを教主殿に譲るのは、私の死後もイーガとは末永く親しくしていただきたいとの思いゆえ。
「教主様。このようなものを……」
送りつけるイーガとは手を切るべきかと。ヘンリックが進言した。しかしコーザは首を横に振った。そこまでする必要はないでしょう。
「とりあえずは預かるのです。蔵に封印しておきなさい」
「ですが……このような醜悪なものを蔵に入れるのは……」
そこにヘラがやって来た。ヘンリックが抱える手足を見ると、つかつかと寄って私にも触らせてとせがんだ。
「ヘラ。こんなものを触ると汚れますよ?」
「やだやだ! 私に! わたしに!」
ヘンリックは少しだけ触らせる事にした。ヘラは右手に触り始める。その腕が盛んに動き出した。ヘラは脚にも触りだして、これを私にちょうだいとせがみはじめた。
ヘラと触れたその手足はとても嬉しそうにうごめく。4歳の彼女には重いが左手を持たせた。彼女は断面に頬ずりをすると腕がスカートをめくった。
彼女は白い股が見えたまま大きく脚を広げて座る。それの右腕がヘラの下腹のすじを触り始めると、甲高い声で笑い始めた。
「あはははっ! くすぐったい!」
指はとても滑らかな動きでヘラのすじとその周りを撫でた。じんわりと汗をかいていたすじを指がこじ開け、幼い襞とむき出しにした陰核とを顕わにする。
指がなぞり、小刻みに揉み、ヘラは笑顔で喘ぎ声を放つ。幼芯がぬめりきるとくちゅっ、くちゅっ、と音を鳴らし、その右手がもっと滑らかにヘラを感じさせた。
童膣の口が開き、とろりと愛液を垂らすのをヘンリックは見てしまった。しかし恐ろしいのはこの様なものと無邪気に遊ぶヘラだ。この子は恐れを知らぬのか。ヘラは絶頂を感じたがまだまだ指に愛撫を許し続けた。
「あっ。きもちいい……。あひいいっ。いいっ……」
ヘラは快感に浸る事が大好きだ。常日頃、世話役の女にクンニリングスを盛んに求めるぐらいに。ペニスは近い将来に楽しむ予定だった。その時にはこの小さな膣と合う少年が相手となるだろう。
指は彼女の股にしがみつく。ヘラが喜べば喜ぶほど盛んに動いた。この為の道具だったのかと皆が思って呆気に取られていると、教主だけが立ち上がって箱に近づいた。
「……なるほど。そういう事でしたか」
教主はヘンリックに左脚を受け取った。土踏まずが育ったそれの足裏をくすぐる。足指が動く。足裏のツボを押すとぴんと反り返った。性感に悶える女の様だ。
「教主様?」
「とても人懐っこい身体の一部の様ですね。もともとの『持ち主』も、どうやらその様です」
教主は足の裏を揉むのを止めると鼻を近づける。まだ生理が始まったばかりの頃の少女のにおい。いいや、それだけではない。とても甘いにおいが。
(これはもしや、サキュバスの……)
うっすらだが、淫魔が漂わせるにおいを嗅ぎ取った。ニンゲンとして産まれた娘や孫だろう。いいや、そんなものではない。優れた魔族の血筋に違いない。
触手姫のブランカ、いいや、母のクラリスをも凌ぐ力を持つ人物だろう。そのにおいのせいで彼の長大な『聖根』はしたたかに勃起した。聖なる衣が盛り上がってしまった。
もっとにおいを嗅ぐ。更に淫の気が高まった。その足裏が彼の頬に触れる。ヘンリック達が唖然するのを気にしつつも、彼は踵やふくらはぎを触り続けた。
更に強い淫魔のにおいを感じるようになった。ヘンリックも妙な気分にとらわれてつばを飲み込む。コーザは自分に流れるサキュバスの血が熱くなるのを感じた。全身に彼女達の絶頂の様な波を感じた。よいですね、この感じ。
股の付け根も言いようがない程のしびれを帯びていた。彼はその足裏の土踏まずにキスを施した。感激が股間を貫いた。『聖根』が激しく脈打ち、『聖液』をどっぷりと放った。
皆の前だというのに粗相し、香しいにおいを漂わせる。ヒノキの様な、香水の様なにおいの『聖液』だ。放ちつつも怒張は収まりきらない。記憶にある、母の肌のにおいにも匹敵する淫のにおいにコーザは考え込む。
(もしや。コーザはいにしえのナントブルグの淫魔の女王の末裔を、己の妾としたのでしょうか。)
ホーデンエーネンの古い昔の事をコーザは知っている。父が教えてくれたのだ。大淫魔とニンゲンとの間に生まれた半魔の女王が治める国があったという。ナントブルグ盆地にだ。
コージュ=ストーンマウントは一時期、そこに住んでいた。10年ほどだ。出会った当初、その『女王』はすでに子孫らに実権を譲り、ナントブルグと北の山にある館を行き来する生活を送っていた。
(確か、そのお方は初代の女王であったそうですが。)
この時既に500歳ほど。しかし老婆の姿ではなかった。顔かたちは若い女のそれで、95センチ以上の豊かな乳房をたわわに実らせていた。
コージュはそこに住まう美しき女王とサキュバス達と、一緒に暮らした。彼に死を予期させたほど狂った、大淫婦クラリスとの日々の次に美しい、愛欲の日々を送ったという。初代女王だけでなく、その代の女王とも。
初代女王は彼との間に娘を産んだ。サキュバス達も。それから、彼と睦んだ当代のあるじも。そのあるじが産んだ娘こそ、その女王の王国の最後の当主となった。
(つまりは、わが父の……。)
残念ながらコージュの強大な力と才能を、彼女達が産んだ娘達は引き継げなかったそうだ。初代女王とサキュバス達が産んだ子はわからないが、『最後の当主』となった女は凡庸な『サキュバスの娘』だった。短い生涯を送ったとも聞いている。
(所詮、男の胤など所詮はその身体の小さなひとかけらしかならないでしょう。たった一つの精子が卵子に受け入れられるだけなのですから。)
そんなことも父が言っていた、とコーザはつぶやいた。たった1匹の精子では所詮、与えられるのには限りがあるのだ。けれども、コージュはクラリスに、自分と妻の才を引き継ぐ素晴らしい跡継ぎを産んでもらったのだが。
「ヘラさん。だいぶお気に入りになられているようですね?」
呼びかけられてもヘラは返事しなかった。コーザが放った『聖液』のにおいを嗅ぎながら、右手からの愛撫に浸り続けていた。もうこれとは離れたくない様な面持ちだ。
「だいぶそそうをしてしまったようですね。続きはお部屋でいたしましょう?」
そう呼びかけてコーザはヘラに近づく。ふと、彼女から漂うにおいを嗅いで顔をしかめてしまった。
まるであの左脚に似た、甘くて淫なるにおいが彼女の股から漂ってきたのだ。同じ様に上質なもの。しかも、ある種のすがすがしさと力強さも兼ね備えたにおいだった。
こんなにおいを放っていた記憶は無かった。いつものヘラのは可愛いニンゲンのおしっこくさいそれのはずだ。しかし、彼女は明らかに、サキュバスの童女の秘部液の様なにおいを漂わせていた。
(……これは。どういうことでしょう。ヘラは……ヘラには、ゴールの血が流れているはずなのに、どうして?)
彼は知らなかった。不在の時に医者がイーガからの秘薬を彼女に飲ませたのを。その薬が何なのかを調べていなかった。彼女の急な回復に、教主はただただ驚くばかりだった。
「あふっ。きゃはっ。あひいいい……」
指で童膣をこねられ、気持ちよさそうに喘ぐヘラを見てコーザは真っ黒な闇に閉ざされる思いにとらわれた。何が起こっていたのだ、この子には?
□ □ □ □ □
ヘラが7歳になり、大人のペニスを股で飲み込む事が多くなった。コーザは彼女にせがまれ、いつでも己の『聖根』を楽しむのを許した。
明け方、いつも様に新たな信者の女の相手をした後に、まだまだそそり立つそれをヘラに見せる。教主さまの、やっぱりおおきい!
「裂ける事はありませんよ。もしそうなりかけたら治癒魔法をかけてさしあげましょう」
「わーい!」
裸のヘラはコーザに抱き上げられた。大きく脚を広げ、そそり立つ『聖根』にまたがった。ヘラはその大きなものに貫かれて喜び始めた。
しかしコーザも驚いていた。小さく狭いながらも優れた構造をしている。『聖根』が珍しく喜び勇んでいるようだ。ヘラの腰をつかんで動かす。悩ましい吸いつき方だった。
「あひゅっ。ううう。きょうしゅさまのこれ、すごくいい……」
「ヘラさん。貴方も『法悦』を得られるようになれたのですね?」
「あうう。い、いくのいつもだよ? おちんちんを入れられただけですごくしあわせなの……」
教主はヘラと交わった男達から聞いたことがある。とんでもなくねっちょりとしたこどもまんこだと。吸いつき方が尋常ではなく、教典の巫女やサキュバスのそれといい勝負だという。つまりは搾精に適したヴァギナだという事だ。粘膜の質も構造も。
性交を続けているとヘラの身体のにおいが変わった。あの時に嗅いだそれみたいだ。このにおいに何故変わるのか。コーザは考えながらヘラを喘がせた。
自分も限界が近づいてきていた。ヘラが小さな身体を喜びで染め上げると、彼も『聖液』を彼女の中に放った。『法悦』の瞬間は同時だった。
目の前が真っ白になる。全身からペニスが生えて延々と射精し続ける様な快感を覚えた。神と対話ができる時に起きる感覚だ。コーザはこの時を待ち望んでいた。
が、見えてきたのは宇宙ではなかった。うらびれた木造の家屋の軒下の、庭に立っていた。樹木が紅色や黄色に染まっている。遠くを見ても紅葉ばかり。これはこれでとても素晴らしい光景だと彼は思った。
まるで日本の家屋みたいな瓦葺の屋根と、そこからぞのく板敷の廊下と居間の床と、囲炉裏を見て久しぶりだ、とコーザはつぶやいた。ここには1度、訪れたことがある。
「ほっほっ……久しぶりじゃな、『この世でのじーざすの後継者』よ」
居間の陰から1人の老人が現れた。真っ白な蓬髪で髭を垂らし、身体はやせ衰えてた。しかも全裸だ。
とはいえその陰茎は長く大きかった。皮こそかむっていたが、興奮するとめくりあがって勃起すると教えてくれた。コーザがまだ幼い頃にだ。
「お久しぶりです。まさか、貴方に再びお会いできるとは……」
「おおきゅうなったな。あの時はお前の母が魔界に連れ戻される前夜であったか? 確か、お前があの母と乳房にむしゃぶりいて交わりながら甘えていた、そうじゃったな?」
左様で。その時のコーザはクラリスと性交の真っ最中だった。父・コージュの予言が行われ、別れの前の性交が為された。母の、あの大淫婦の肌はことさら離れたくなかった。
大きく柔らかな乳房に甘え、失神するまで腰を振りたいと思わせる膣にのめり込んだ。最後の『法悦』の後、幼いコーザはここに来たのだ。
「確か、あの時は私の『終焉』を教えてくれた様に覚えておりますが……」
「ふむ。そなたの『おしまいの時』じゃ」
その老人は幼いコーザに語った。お前はこの世に絶望した時、得た地位も財も投げうって、恋慕う母に会う為に魔界に向かう。余生をそこで過ごす事となるが、あまりにも短い。
それは約束された長い時を捨てての行いを為した後でだ。己の長寿の源がどこかで知る。それを切り離し、最後の、そして本当の跡継ぎを産む女に与えるのだと。
「幼くてよくわからなかったのですが……最近どういうことかを考えるようになりました」
「ふむ。それがいつになるかを教えておこう。あと20年……そのぐらいじゃ」
なるほど。コーザはこの奇妙な老人に絶対の敬意を抱きながらうなずいた。この老人の言葉は正しく、重い。老人は茶でも飲め、とコーザを居間にあがらせた。急須と湯のみを持ってくる。
この茶の味を覚えている。この世で飲んだものとはまるで違う味わいだ。囲炉裏端で紅葉を眺めながらコーザは思った。ここで余生を過ごすにはどうしたらよいのだろう?
「ほっほっ。そなたは『半魔』であっても『神』ではない。もし先祖返りを完全に果たし、縦横無尽に動ける大魔族となれば、ここに通える事はできるじゃろうがな?」
魔界の王も何度かここに招いた。あやつがやっている『けいたいきげーむ』とやらも存分に楽しませてもらったわい、と老人は笑った。それは面白い話でございますね、とコーザはうなずく。
「さて、本日呼んだいただいたその理由を、お聞かせ頂きたいのですが?」
「お前の教団の最初の『終焉』の事でじゃ。娘には気をつけろ」
教団の最初の死。それはコーザの娘によるものだと老人は語った。あの娘には世界を滅ぼしうる力を持ってしまった。どの娘になるのだろう、とコーザは思った。彼には娘どころか孫娘だっている。ひ孫も玄孫もだ。
「滅びの運命はいくらでも変えられる。しかしそう簡単に変えられるものではないぞ」
そう言って老人はコーザに忠告する。あの世界の当代の救い手2人を跡継ぎに据えよ。
「一人は失意のうちにいる青年。もう一人は子を為す力を失くして別の道を歩もうとしている若い娘じゃ。ある男の呪いのせいでじゃ」
「ある男の……呪い、とは?」
「わからぬ。そこまではっきりと見届けておらぬ。宇宙のあまたを見ているゆえ、そこまで細かくは見えぬのじゃ」
しかしその2人の終わりの時なら見ることが出来る。一方は神に列せられて不老不死を得るが、この世界に何も未練を覚えず、異界の神として、別の世界へと去ってしまうだろう。
もう1人は残酷だ。子を失い、大きな愛を喪失したその人物はもう一つの夢を、いいや、野望を叶えようとする。己の才を引き出し、存分にふるうが同時に人々の恨みを買う。
そしてある人物に殺されて短い生涯を終える。死後も愚かな者達にいいように言われ、後世に悪名だけが残るだろう。
「しかし、お前がその2人を我が後継者とし致せば、あの2人は違う道を歩むことが出来るだろう」
少女のほうには強大な魔族の血が流れている。『先祖返り』を果たせば、そもそもあった力が戻ることだろう。パラッツォ教の末永き教主として人々を導くに違いない、と老人は語った。
もう1人こそがその人物の守り手であり、もしかしたら自分が言う『コーザの娘』を良き道に導くかもしれない。彼とその娘とは相性がとても良く、一番多く子を為しやすいと老人は告げた。
「いいや、あの娘の種族全体に言えることじゃが……呪われた血脈は、がらりと変わるかもしれぬ」
「どう言う事でしょうか?」
「……見て考えよ。賢いそなたであれば知り得るだろう。それと、お前の娘の夫となる男には愛情をかけてやれ。しかし王冠を戴かすな」
それが滅びの発端となる。コーザが残った茶をぐい、と飲み込んだ時、老人とその周囲がかき消えた。対話の時が終わってしまったのだ。
気が付くと『聖根』に貫かれたまま、にこやかに笑うかわいいヘラが見えた。教主さま、とってもきもちよかったからもっとちょうだい。
「おちんちん、まだかたいままだよ? もっともっとヘラとあそんで?」
「ふふふ。貴方もとても楽しんでいるようですね?」
自分の『聖液』で満たされた膣の中を、『聖根』がまたも動き始めた。めいいっぱいに中を押し広げられ、愛撫されるヘラは増々喜びの声をあげた。
彼女との『法悦』が続き、彼はすっかり忘れてしまった。あの老人との『対話』の中身を全てだ。いつもなら性交を止め、その言葉を反芻して胸にしっかりと刻むはずなのに。
悦楽に溺れやすい、サキュバスの血がそうさせたのだ。それからその血を燃え上がらせるヘラの肉体が彼を愚昧にさせた。その愛らしい身体、すべりの良い肌は淫蕩の気を起こす魔力が備わっていた。
無垢な楽園に住む者に知恵の実を与えて追放させる悪意ある蛇。その様な力がヘラには自然と備わっていた。ヘラは人食い鬼族とサキュバスの力を得て醸成させ、コーザを堕天させる力を身に着けつつあった。
コーザはこの事に気が付かない。そして彼は優れた力を持ちつつも、『神の子』としての聖性を失う事となる。ヘラとの情交を繰り返す事で。彼女に甘えられて溺愛してしまうがゆえに。
あの対話で会った老人こそ、この世界の死神であり最期の時を伝える神だ。名をアエーシュマという。創造神たるマハーヴァラの弟。その言葉は絶大だ。
淫蕩なる聖王は神の加護を受けられなくなった。パラッツォ教は遠い未来に滅びる運命にある。もしコーザがアエーシュマの言葉をしっかりと覚えていれば、そうはならなかっただろう。
かくして、聖者は地獄の王を知らぬうちに育んでしまう。その地獄の王こそが神と死神が語った男と戦う運命にあった。その地獄の王は、吸血鬼・ヘラとして歴史書に名を遺す彼の養女であった。
それから順調に育った。数多くの信者達に愛情を注がれて愛らしい童女となった。コーザは彼女をどこにも連れて行った。エチウの島々や属国となったイナーヴァニアの大地に。
それから常に、教団の神の教えを語る。神の教えだけでない。昔語りやおとぎ話もだ。ヘラは興味を持った。愛らしい子供になりつつある。
(しかし……)
コーザは彼女が秘める魔力の波動が気がかりだった。幼い子にしてはいささか強い気がする。それと、彼女は暇になるとすぐに裾をめくって指でいじり始める。包皮割礼を受けたクリトリスとその周囲を指でもみ、腰を揺らしながら悶えるのだ。
これは信者の子供もよくやることだから問題無い。パラッツォ教徒の幼い娘はちょくちょくクリトリスをいじる。しかしヘラは度が過ぎていた。1時間に1回は必ずやる。
「と、とまらないよう……」
そう言ってはびくんびくんと動き、うっとりとして快楽の波にしばらく漂う。それでも彼女が虚弱になったりというのは無い。むしろ、快感を得れば得る程、すこやかになる様だった。
(頻度がおかしいですね。やはり、ゴール族の血は性欲が盛んなのでしょうか。ふうむ……)
コーザの中で違和感が起こり始めていた。それが確信となったのは、密約を結んでいたイーガのアドルフからのとある贈り物。あの男の最後の献上品だった。
ヘンリックが持ってきたそれは、あまりにも奇怪に過ぎた。少女の腕と脚。しかも指が動く。箱を開いた時、これはなんなのだと皆が驚いた。
(アドルフは恐ろしい物を……。)
コーザとて頭にしびれを感じるぐらいの恐ろしい贈呈品だ。何故アドルフは贈ってきたのか。こんな考えが一瞬よぎった。ある種の嫌がらせだろうか。
箱の中に手紙があった。我が愛妾の手足。これを教主殿に譲るのは、私の死後もイーガとは末永く親しくしていただきたいとの思いゆえ。
「教主様。このようなものを……」
送りつけるイーガとは手を切るべきかと。ヘンリックが進言した。しかしコーザは首を横に振った。そこまでする必要はないでしょう。
「とりあえずは預かるのです。蔵に封印しておきなさい」
「ですが……このような醜悪なものを蔵に入れるのは……」
そこにヘラがやって来た。ヘンリックが抱える手足を見ると、つかつかと寄って私にも触らせてとせがんだ。
「ヘラ。こんなものを触ると汚れますよ?」
「やだやだ! 私に! わたしに!」
ヘンリックは少しだけ触らせる事にした。ヘラは右手に触り始める。その腕が盛んに動き出した。ヘラは脚にも触りだして、これを私にちょうだいとせがみはじめた。
ヘラと触れたその手足はとても嬉しそうにうごめく。4歳の彼女には重いが左手を持たせた。彼女は断面に頬ずりをすると腕がスカートをめくった。
彼女は白い股が見えたまま大きく脚を広げて座る。それの右腕がヘラの下腹のすじを触り始めると、甲高い声で笑い始めた。
「あはははっ! くすぐったい!」
指はとても滑らかな動きでヘラのすじとその周りを撫でた。じんわりと汗をかいていたすじを指がこじ開け、幼い襞とむき出しにした陰核とを顕わにする。
指がなぞり、小刻みに揉み、ヘラは笑顔で喘ぎ声を放つ。幼芯がぬめりきるとくちゅっ、くちゅっ、と音を鳴らし、その右手がもっと滑らかにヘラを感じさせた。
童膣の口が開き、とろりと愛液を垂らすのをヘンリックは見てしまった。しかし恐ろしいのはこの様なものと無邪気に遊ぶヘラだ。この子は恐れを知らぬのか。ヘラは絶頂を感じたがまだまだ指に愛撫を許し続けた。
「あっ。きもちいい……。あひいいっ。いいっ……」
ヘラは快感に浸る事が大好きだ。常日頃、世話役の女にクンニリングスを盛んに求めるぐらいに。ペニスは近い将来に楽しむ予定だった。その時にはこの小さな膣と合う少年が相手となるだろう。
指は彼女の股にしがみつく。ヘラが喜べば喜ぶほど盛んに動いた。この為の道具だったのかと皆が思って呆気に取られていると、教主だけが立ち上がって箱に近づいた。
「……なるほど。そういう事でしたか」
教主はヘンリックに左脚を受け取った。土踏まずが育ったそれの足裏をくすぐる。足指が動く。足裏のツボを押すとぴんと反り返った。性感に悶える女の様だ。
「教主様?」
「とても人懐っこい身体の一部の様ですね。もともとの『持ち主』も、どうやらその様です」
教主は足の裏を揉むのを止めると鼻を近づける。まだ生理が始まったばかりの頃の少女のにおい。いいや、それだけではない。とても甘いにおいが。
(これはもしや、サキュバスの……)
うっすらだが、淫魔が漂わせるにおいを嗅ぎ取った。ニンゲンとして産まれた娘や孫だろう。いいや、そんなものではない。優れた魔族の血筋に違いない。
触手姫のブランカ、いいや、母のクラリスをも凌ぐ力を持つ人物だろう。そのにおいのせいで彼の長大な『聖根』はしたたかに勃起した。聖なる衣が盛り上がってしまった。
もっとにおいを嗅ぐ。更に淫の気が高まった。その足裏が彼の頬に触れる。ヘンリック達が唖然するのを気にしつつも、彼は踵やふくらはぎを触り続けた。
更に強い淫魔のにおいを感じるようになった。ヘンリックも妙な気分にとらわれてつばを飲み込む。コーザは自分に流れるサキュバスの血が熱くなるのを感じた。全身に彼女達の絶頂の様な波を感じた。よいですね、この感じ。
股の付け根も言いようがない程のしびれを帯びていた。彼はその足裏の土踏まずにキスを施した。感激が股間を貫いた。『聖根』が激しく脈打ち、『聖液』をどっぷりと放った。
皆の前だというのに粗相し、香しいにおいを漂わせる。ヒノキの様な、香水の様なにおいの『聖液』だ。放ちつつも怒張は収まりきらない。記憶にある、母の肌のにおいにも匹敵する淫のにおいにコーザは考え込む。
(もしや。コーザはいにしえのナントブルグの淫魔の女王の末裔を、己の妾としたのでしょうか。)
ホーデンエーネンの古い昔の事をコーザは知っている。父が教えてくれたのだ。大淫魔とニンゲンとの間に生まれた半魔の女王が治める国があったという。ナントブルグ盆地にだ。
コージュ=ストーンマウントは一時期、そこに住んでいた。10年ほどだ。出会った当初、その『女王』はすでに子孫らに実権を譲り、ナントブルグと北の山にある館を行き来する生活を送っていた。
(確か、そのお方は初代の女王であったそうですが。)
この時既に500歳ほど。しかし老婆の姿ではなかった。顔かたちは若い女のそれで、95センチ以上の豊かな乳房をたわわに実らせていた。
コージュはそこに住まう美しき女王とサキュバス達と、一緒に暮らした。彼に死を予期させたほど狂った、大淫婦クラリスとの日々の次に美しい、愛欲の日々を送ったという。初代女王だけでなく、その代の女王とも。
初代女王は彼との間に娘を産んだ。サキュバス達も。それから、彼と睦んだ当代のあるじも。そのあるじが産んだ娘こそ、その女王の王国の最後の当主となった。
(つまりは、わが父の……。)
残念ながらコージュの強大な力と才能を、彼女達が産んだ娘達は引き継げなかったそうだ。初代女王とサキュバス達が産んだ子はわからないが、『最後の当主』となった女は凡庸な『サキュバスの娘』だった。短い生涯を送ったとも聞いている。
(所詮、男の胤など所詮はその身体の小さなひとかけらしかならないでしょう。たった一つの精子が卵子に受け入れられるだけなのですから。)
そんなことも父が言っていた、とコーザはつぶやいた。たった1匹の精子では所詮、与えられるのには限りがあるのだ。けれども、コージュはクラリスに、自分と妻の才を引き継ぐ素晴らしい跡継ぎを産んでもらったのだが。
「ヘラさん。だいぶお気に入りになられているようですね?」
呼びかけられてもヘラは返事しなかった。コーザが放った『聖液』のにおいを嗅ぎながら、右手からの愛撫に浸り続けていた。もうこれとは離れたくない様な面持ちだ。
「だいぶそそうをしてしまったようですね。続きはお部屋でいたしましょう?」
そう呼びかけてコーザはヘラに近づく。ふと、彼女から漂うにおいを嗅いで顔をしかめてしまった。
まるであの左脚に似た、甘くて淫なるにおいが彼女の股から漂ってきたのだ。同じ様に上質なもの。しかも、ある種のすがすがしさと力強さも兼ね備えたにおいだった。
こんなにおいを放っていた記憶は無かった。いつものヘラのは可愛いニンゲンのおしっこくさいそれのはずだ。しかし、彼女は明らかに、サキュバスの童女の秘部液の様なにおいを漂わせていた。
(……これは。どういうことでしょう。ヘラは……ヘラには、ゴールの血が流れているはずなのに、どうして?)
彼は知らなかった。不在の時に医者がイーガからの秘薬を彼女に飲ませたのを。その薬が何なのかを調べていなかった。彼女の急な回復に、教主はただただ驚くばかりだった。
「あふっ。きゃはっ。あひいいい……」
指で童膣をこねられ、気持ちよさそうに喘ぐヘラを見てコーザは真っ黒な闇に閉ざされる思いにとらわれた。何が起こっていたのだ、この子には?
□ □ □ □ □
ヘラが7歳になり、大人のペニスを股で飲み込む事が多くなった。コーザは彼女にせがまれ、いつでも己の『聖根』を楽しむのを許した。
明け方、いつも様に新たな信者の女の相手をした後に、まだまだそそり立つそれをヘラに見せる。教主さまの、やっぱりおおきい!
「裂ける事はありませんよ。もしそうなりかけたら治癒魔法をかけてさしあげましょう」
「わーい!」
裸のヘラはコーザに抱き上げられた。大きく脚を広げ、そそり立つ『聖根』にまたがった。ヘラはその大きなものに貫かれて喜び始めた。
しかしコーザも驚いていた。小さく狭いながらも優れた構造をしている。『聖根』が珍しく喜び勇んでいるようだ。ヘラの腰をつかんで動かす。悩ましい吸いつき方だった。
「あひゅっ。ううう。きょうしゅさまのこれ、すごくいい……」
「ヘラさん。貴方も『法悦』を得られるようになれたのですね?」
「あうう。い、いくのいつもだよ? おちんちんを入れられただけですごくしあわせなの……」
教主はヘラと交わった男達から聞いたことがある。とんでもなくねっちょりとしたこどもまんこだと。吸いつき方が尋常ではなく、教典の巫女やサキュバスのそれといい勝負だという。つまりは搾精に適したヴァギナだという事だ。粘膜の質も構造も。
性交を続けているとヘラの身体のにおいが変わった。あの時に嗅いだそれみたいだ。このにおいに何故変わるのか。コーザは考えながらヘラを喘がせた。
自分も限界が近づいてきていた。ヘラが小さな身体を喜びで染め上げると、彼も『聖液』を彼女の中に放った。『法悦』の瞬間は同時だった。
目の前が真っ白になる。全身からペニスが生えて延々と射精し続ける様な快感を覚えた。神と対話ができる時に起きる感覚だ。コーザはこの時を待ち望んでいた。
が、見えてきたのは宇宙ではなかった。うらびれた木造の家屋の軒下の、庭に立っていた。樹木が紅色や黄色に染まっている。遠くを見ても紅葉ばかり。これはこれでとても素晴らしい光景だと彼は思った。
まるで日本の家屋みたいな瓦葺の屋根と、そこからぞのく板敷の廊下と居間の床と、囲炉裏を見て久しぶりだ、とコーザはつぶやいた。ここには1度、訪れたことがある。
「ほっほっ……久しぶりじゃな、『この世でのじーざすの後継者』よ」
居間の陰から1人の老人が現れた。真っ白な蓬髪で髭を垂らし、身体はやせ衰えてた。しかも全裸だ。
とはいえその陰茎は長く大きかった。皮こそかむっていたが、興奮するとめくりあがって勃起すると教えてくれた。コーザがまだ幼い頃にだ。
「お久しぶりです。まさか、貴方に再びお会いできるとは……」
「おおきゅうなったな。あの時はお前の母が魔界に連れ戻される前夜であったか? 確か、お前があの母と乳房にむしゃぶりいて交わりながら甘えていた、そうじゃったな?」
左様で。その時のコーザはクラリスと性交の真っ最中だった。父・コージュの予言が行われ、別れの前の性交が為された。母の、あの大淫婦の肌はことさら離れたくなかった。
大きく柔らかな乳房に甘え、失神するまで腰を振りたいと思わせる膣にのめり込んだ。最後の『法悦』の後、幼いコーザはここに来たのだ。
「確か、あの時は私の『終焉』を教えてくれた様に覚えておりますが……」
「ふむ。そなたの『おしまいの時』じゃ」
その老人は幼いコーザに語った。お前はこの世に絶望した時、得た地位も財も投げうって、恋慕う母に会う為に魔界に向かう。余生をそこで過ごす事となるが、あまりにも短い。
それは約束された長い時を捨てての行いを為した後でだ。己の長寿の源がどこかで知る。それを切り離し、最後の、そして本当の跡継ぎを産む女に与えるのだと。
「幼くてよくわからなかったのですが……最近どういうことかを考えるようになりました」
「ふむ。それがいつになるかを教えておこう。あと20年……そのぐらいじゃ」
なるほど。コーザはこの奇妙な老人に絶対の敬意を抱きながらうなずいた。この老人の言葉は正しく、重い。老人は茶でも飲め、とコーザを居間にあがらせた。急須と湯のみを持ってくる。
この茶の味を覚えている。この世で飲んだものとはまるで違う味わいだ。囲炉裏端で紅葉を眺めながらコーザは思った。ここで余生を過ごすにはどうしたらよいのだろう?
「ほっほっ。そなたは『半魔』であっても『神』ではない。もし先祖返りを完全に果たし、縦横無尽に動ける大魔族となれば、ここに通える事はできるじゃろうがな?」
魔界の王も何度かここに招いた。あやつがやっている『けいたいきげーむ』とやらも存分に楽しませてもらったわい、と老人は笑った。それは面白い話でございますね、とコーザはうなずく。
「さて、本日呼んだいただいたその理由を、お聞かせ頂きたいのですが?」
「お前の教団の最初の『終焉』の事でじゃ。娘には気をつけろ」
教団の最初の死。それはコーザの娘によるものだと老人は語った。あの娘には世界を滅ぼしうる力を持ってしまった。どの娘になるのだろう、とコーザは思った。彼には娘どころか孫娘だっている。ひ孫も玄孫もだ。
「滅びの運命はいくらでも変えられる。しかしそう簡単に変えられるものではないぞ」
そう言って老人はコーザに忠告する。あの世界の当代の救い手2人を跡継ぎに据えよ。
「一人は失意のうちにいる青年。もう一人は子を為す力を失くして別の道を歩もうとしている若い娘じゃ。ある男の呪いのせいでじゃ」
「ある男の……呪い、とは?」
「わからぬ。そこまではっきりと見届けておらぬ。宇宙のあまたを見ているゆえ、そこまで細かくは見えぬのじゃ」
しかしその2人の終わりの時なら見ることが出来る。一方は神に列せられて不老不死を得るが、この世界に何も未練を覚えず、異界の神として、別の世界へと去ってしまうだろう。
もう1人は残酷だ。子を失い、大きな愛を喪失したその人物はもう一つの夢を、いいや、野望を叶えようとする。己の才を引き出し、存分にふるうが同時に人々の恨みを買う。
そしてある人物に殺されて短い生涯を終える。死後も愚かな者達にいいように言われ、後世に悪名だけが残るだろう。
「しかし、お前がその2人を我が後継者とし致せば、あの2人は違う道を歩むことが出来るだろう」
少女のほうには強大な魔族の血が流れている。『先祖返り』を果たせば、そもそもあった力が戻ることだろう。パラッツォ教の末永き教主として人々を導くに違いない、と老人は語った。
もう1人こそがその人物の守り手であり、もしかしたら自分が言う『コーザの娘』を良き道に導くかもしれない。彼とその娘とは相性がとても良く、一番多く子を為しやすいと老人は告げた。
「いいや、あの娘の種族全体に言えることじゃが……呪われた血脈は、がらりと変わるかもしれぬ」
「どう言う事でしょうか?」
「……見て考えよ。賢いそなたであれば知り得るだろう。それと、お前の娘の夫となる男には愛情をかけてやれ。しかし王冠を戴かすな」
それが滅びの発端となる。コーザが残った茶をぐい、と飲み込んだ時、老人とその周囲がかき消えた。対話の時が終わってしまったのだ。
気が付くと『聖根』に貫かれたまま、にこやかに笑うかわいいヘラが見えた。教主さま、とってもきもちよかったからもっとちょうだい。
「おちんちん、まだかたいままだよ? もっともっとヘラとあそんで?」
「ふふふ。貴方もとても楽しんでいるようですね?」
自分の『聖液』で満たされた膣の中を、『聖根』がまたも動き始めた。めいいっぱいに中を押し広げられ、愛撫されるヘラは増々喜びの声をあげた。
彼女との『法悦』が続き、彼はすっかり忘れてしまった。あの老人との『対話』の中身を全てだ。いつもなら性交を止め、その言葉を反芻して胸にしっかりと刻むはずなのに。
悦楽に溺れやすい、サキュバスの血がそうさせたのだ。それからその血を燃え上がらせるヘラの肉体が彼を愚昧にさせた。その愛らしい身体、すべりの良い肌は淫蕩の気を起こす魔力が備わっていた。
無垢な楽園に住む者に知恵の実を与えて追放させる悪意ある蛇。その様な力がヘラには自然と備わっていた。ヘラは人食い鬼族とサキュバスの力を得て醸成させ、コーザを堕天させる力を身に着けつつあった。
コーザはこの事に気が付かない。そして彼は優れた力を持ちつつも、『神の子』としての聖性を失う事となる。ヘラとの情交を繰り返す事で。彼女に甘えられて溺愛してしまうがゆえに。
あの対話で会った老人こそ、この世界の死神であり最期の時を伝える神だ。名をアエーシュマという。創造神たるマハーヴァラの弟。その言葉は絶大だ。
淫蕩なる聖王は神の加護を受けられなくなった。パラッツォ教は遠い未来に滅びる運命にある。もしコーザがアエーシュマの言葉をしっかりと覚えていれば、そうはならなかっただろう。
かくして、聖者は地獄の王を知らぬうちに育んでしまう。その地獄の王こそが神と死神が語った男と戦う運命にあった。その地獄の王は、吸血鬼・ヘラとして歴史書に名を遺す彼の養女であった。
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