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第二部 『呪いの序曲。イーガの魔王』 (少年編から青年編の間のエピソード。)
46 聖騎士の目覚めの時③
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「んもももー!」
ヒラッカ大河の川べりでおたけびが響き渡った。低く大きな声。牛みたいな啼き声だ。それもそのはず、それは確かに首から上が牛だった。
脚もそうである。牛の後ろ脚のような形とひづめ。尻尾だってある。しかし圧倒的に違うぶぶんがあった。脚から上と首から下が、ニンゲンのそれであったのだ。
「んもー! んもももぉー!」
体長は2メートルほどだろうか。肥えた筋肉質の身体で素っ裸だった。お尻からにょろんと生えた、牛のそれの様なしっぽが常にくねくねと曲がっていた。
「きゃははあ!」
「でかくなったズラ―!」
喜ぶ声をあげるのは白色エルフの女の子達だ。純潔やハーフ、クォーターなどいろいろと集まっている。どの女の子達も可愛らしい。川遊びの最中だったので素っ裸だ。中には初潮を迎えたばかりの子もいた。
彼女達がはしゃいでいたのは、この牛の怪物の股間に生えている、長くておおきなちんぽを触ってくすぐっていた為である。この牛男のそれは60センチ近くもあった。亀頭は常に剝けていてとてもでかい。
挿れるのはまず無理だが、舐めたり触れたり股に挟んでごしごしとやるのは楽しめた。んもももー、と牛男が叫ぶ。だらんと伸びた陰嚢が震えだした。
「もーだーめー!」
びゅるるるるる! にゅるるるるるるる! ぶびゅううううう!
ばかでかいちんぽから大量の精液が放たれた。おおよそ1リットルは超えているだろう。むらがっていた女の子達の身体にかかってしまった。
「あははは!」
「べったべたズラー!」
彼女達は顔や髪にかかったそれを舐め始めた。とても甘い。砂糖を加えた練乳そのものだった。魔族の精液は砂糖水みたく甘いと聞いていたが、まさかここまでとは思わなかったのだ。
「牛さんのちんぽじる、パンにつけてみたくなる甘さズラな!」
女の子のうち1人が問う。牛男はうなずいたがまたもちんぽをかわいがられて悶え始めた。んももー。快感の余韻が残っている状態でまたいじくられるとすぐに出てしまいそうだ。
「もーうーやーめーてー!」
「駄目ズラ! オラたちの村に来たんだから金玉袋がすっからかんになるまでやめねえズラ!」
「ほうズラ! たっくさん気持ちいいことして楽しむズラよ、シャウジャーさん!」
シャウジャーと呼ばれた牛男は、従わざるを得なかった。オクタヴィアに頼まれてこの里にやって来た。彼は魔族だ。ミノタウロスという種族である。とある密命を受けてこのカントニアにやって来た。ヒラッカにまでたどり着いたは良かったものの、ここからどこをどうすれば良いのかがわからなかった。
大抵どこの大陸もサキュバスがいるはずだ。なのにこの大陸に限ってはどこにもいない。サキュバスというのは彼にとって頼れる仲間だ。代わりにちんぽをこき使われる事となるが、心強い事この上無かった。
港町で迷っていたところで、物好きな大富豪に囲われ、毎日『搾乳』をされるハメとなって困っていた。それが1年。これでも彼は魔族としては優秀な部類である。
その富豪の顔なじみ兼、セックスフレンドがエルフのオクタヴィアだった。ちなみにだが大富豪はカイロネイアの女エルフを母とするハーフエルフである。
「いーずーばーるーとーさんはーどーこーにー?」
これが助けられた彼の最初の質問だ。イズヴァルトを探せ。これが彼に与えられた密命。そしてそれを下したのが何を隠そう、あの魔竜・サイカノマゴイチだったのである。
□ □ □ □ □
ミノタウロスのシャウジャーの『ちんぽ乳』には、恐るべき治癒能力が備わっていた。病魔を取り除き、投薬の効果を倍増させる事である。病魔自体はある程度というカッコ付きであったが、治癒魔法や投薬への効能は確かであった。
エルフの子供達にちんぽミルクを搾り取られる事4回。ようやくやって来たオクタヴィアがシャウジャーをイズヴァルトの元に連れた。
待っていたイナンナが、その柔らかく美しい手にぬめり気のある液体をまとわせて彼のちんぽをしごき始めた。すごくでかいズラな、これ。
「んもももー! ほんとーはもっとちいさくできるのにー、そのやりかたを忘れてしまったよー!」
むき出しの亀頭をぐちゅぐちゅ、こにこにとやって出てきたのはコップ一杯の精液。少女達に何度も出されてしまったからきんたまでの生産が追いついていなかったのだ。
「とりあえず、これをイズヴァルトさんに飲ませるずらよ」
オクタヴィアは寝室にいたイズヴァルトに飲ませてやった。一息に飲んだ直後、彼のペニスがにょーん、と勃起した。
「む、なんでござるかこれは! すっごく元気がわくでござるよ!」
「牛男のシャウジャーさんのちんぽ汁ずら。もっと飲むずらか?」
「……ちんぽ汁でござるか。拙者はエルフではなくサキュバスの改造手術を受けたのでござろうか?」
いいや違う。オクタヴィアは朝っぱらから顔なじみのクリスタと、中出し連続8時間おまんこをやって疲れ切っていたマルカスを、その愛人ごと連れてきた。
「うわ、でっけえ牛男さんずらな、オクタヴィアさん!」
「魔族かこいつ? 初めて見るなあ……」
オクタヴィアはイナンナに目くばせした。シャウジャーが「んももも……」と悲し気に啼いた。またも手コキが始まった。イナンナのそれはその技だけで、大富豪になれそうなぐらいである。
腕を蛇の様にくねらせて、細い指でペニスを愛でる。魔族のペニスはニンゲンのそれより数倍も感じやすかった。射精の時のしびれるような感覚も、放った後20秒ぐらい全身を伝う。
「んももおー!」
またもシャウジャーは射精した。今度はコップ半分ほどである。それを半分に分けて、マルカスとクリスタに飲ませた。
疲れ切っていたマルカスの顔は、みるみるうちに若返った。肌艶が良くなり、目じりの皺がいくらか消えた。クリスタはおっぱいがぷるんとはじけただけで、何も変わらない。
「む、なんだかクリスタとおまんこがしたくなってきたぞ!」
「お、おらもマルカスといっぺえやりたくなった気分ずら!」
クリスタとマルカスは抱き合い、キスをし始めようとする。それをオクタヴィアが押しとどめた。そういう効能がシャウジャーさんのちんぽ汁にはあるずらよ。
「んももももー……」
「でもシャウジャーさんは今日はお疲れ気味ずら。基本、この2日間はイズヴァルトさんだけが飲むものにするずら。あと、これはとんでもねえ高カロリーらしいから、飲むのはほどほどにするず……特にクリスタ」
名指しされたクリスタはきょとんとした顔になった。最近また腹の肉がついてきたずらな。確かに彼女のへそ出しの上着はちょっときついように見えた。
「おでぶのエルフはなかなかにいねえずら。それはそれで得難い個性であるけれども、あんましでっぷりになるとドワーフぐらえしか抱いてくれなくなるようになるず?」
「う、うん。おら、充分用心するずら」
しょげたクリスタにマルカスが耳元でささやいた。でっぷりと太ったクリスタも愛でてみてえよ。そうささやかれて彼女は頬を赤く染めた。
それよりもイズヴァルトだ。彼は元気になったのを良い事に『覇王の剣』での素振りを始めたが、1000回ぐらいやったところでぶっ倒れて戻って来てしまった。
「……面目ないことでござる。体調が回復したら、感謝の素振り1万回を毎日己に課そうとしていたでござるが」
「あんな重い剣を、1000回ぶんまわせるまで元気になったら充分ずら」
そう言ってオクタヴィアは『覇王の剣』を借りて、外で素振りをし始めた。彼女はここに来ている時、イズヴァルトの剣を借りて1時間ほど素振り稽古をしている。片手でだ。
「イズヴァルトさんはこの2日、養生してたほうがいいズラ。ところでシャウジャーさん、誰からの頼みでここに来たズラか?」
イナンナが尋ねた。シャウジャーは馬鹿正直に魔竜の頼みだと答えた。それを聞いてイズヴァルトは驚いてしまった。
「なにゆえ、アカサカチハヤの魔竜がそんなことを命じたでござるか! 魔族とホーデンエーネン王国は戦いあう宿命にあるというのに!」
王国はアカサカチハヤの魔族と戦う宿命にある、という固定観念が拭いきれないから、この事実をなかなか受け入れらえない。シャウジャーは言う。魔竜はキンキ大陸の安寧を常に願っているのだと。
「んもうう。サーイーカーノーマーゴーイーチーさーまーはー、あ、そろそろ頭の回転が良くなってきました。とても平和主義者ですなんだモウ」
「しゃべり方が変わったでござるな? しゃきしゃきとしているでござるよ?」
「おちんちんをいじくられて頭がぼんやりしてたからですモウ。あと、この世界は魔力抗体がとても強い土地だから、魔界出身の魔族にとっては『あうぇい』なんですモウ」
何が言いたいのか。イズヴァルトが住むこの世界は精霊や主神・マハーヴァラの験力が強すぎて、魔法の力がかなり抑制されている。魔力の出力に制限がかかっているという。
そのせいで魔法を駆使する、つまりは魔力こそがステータスになってしまう魔界の種族は、それのせいで常に思考能力や身体能力に邪魔をされてしまう。
対して魔法をあまり使わなかったり、身体能力が特別に特化されている……ろくに魔法を『使わない』あるいは『使えない』種族、例えばオークは、それに邪魔されずに全力を発揮できるそうだ。
「つまり、この世界ではヤギウセッシウサイどのの様な武力馬鹿が最強の魔族足りえる、ということでござるな?」
「それを言っちゃいけないんですモウ。というよりヤギウセッシウサイ様はイズヴァルトさんを我が子みたく思っておりまして、自分が面倒見てやりたいといつもおっしゃってましたモウ」
ヤギウセッシウサイは魔界で『二強』と謡われる武人のうち1人だ。もう1人、彼に若干上回る形の存在がいる。魔王の伯母でウサギの獣人、ワキノキヨマロというのその人物だという。
「……さらに上がいらっしゃったでござったか?」
「ああでも、魔力が強い種族だからこの世界ではヤギウセッシウサイ様ほど力を発揮できないそうですモウ。あと、ハチマンウーサという神様として、キンキ大陸ではあがめらえているらしいですモウ」
ハチマンウーサ。それを聞いてイズヴァルトは「まさか!」と叫んだ。んもーう。牛男はうなずいた。武神ハチマンウーサは聖騎士団で信奉されている戦神である。それとこの魔族から語られる真実。
魔竜より前の時代のアカサカチハヤの主こそが、ハチマンウーサことワキノキヨマロであると。1000以上年前の古代のキンキ大陸ではあがめられていた。人間達の庇護者としてもだ。
「まあ、その時代には武術大会がどこもかしこも開かれていたんですモウ。全国大会で優勝した武人は、ワキノキヨマロ様と武道場とおまんことで勝負ができたんですモウ」
「なんと! そこまで『ふれんどりー』なあるじでござったか! あの魔竜とは大違いでござる!」
「そんなあ。サイカノマゴイチさまは、とってもお優しい方なんですモウ……」
魔竜は精霊の子孫である亜人達が尋ねに来たら、必ず会って話をしてくれるし、ニンゲンでも魔族と仲良くなった者には面倒を見てくれる。世話焼きオバハンとしてだ。地母神寄りな女神と言ってもよい。
それからしばらくの間シャウジャーは、「もう! んももう!」と啼きながら、魔族や魔界についても語った。イズヴァルトは考えを改めざるを得なかった。騙されているかもしれないと思ったりもしたが、この純朴で心優しい牛男から、詐欺師の臭いにおいは感じ取れなかった。
「承知したでござる! 魔竜どのにはありがとうでござるとおっしゃっていただきたい!」
「んももう。私はイズヴァルトさんが治るまで面倒を見ろ、と命じられましたモウ」
「ということでござるな。ならば拙者はホーデンエーネンの皆に、生きていることを知らせなければならぬでござるよ!」
というわけでイズヴァルトは風呂に入って寝床に着いた。しかし彼はこの話でマイヤと疑わしき人物のことをエルフ達から聞かされなかった。オクタヴィアとイナンナは秘密にしようと心掛けていたからだ。
さもなければ、本調子で無いのにイズヴァルトは、無理にでもキンキ大陸へ向かおうとするだろう。
ヒラッカ大河の川べりでおたけびが響き渡った。低く大きな声。牛みたいな啼き声だ。それもそのはず、それは確かに首から上が牛だった。
脚もそうである。牛の後ろ脚のような形とひづめ。尻尾だってある。しかし圧倒的に違うぶぶんがあった。脚から上と首から下が、ニンゲンのそれであったのだ。
「んもー! んもももぉー!」
体長は2メートルほどだろうか。肥えた筋肉質の身体で素っ裸だった。お尻からにょろんと生えた、牛のそれの様なしっぽが常にくねくねと曲がっていた。
「きゃははあ!」
「でかくなったズラ―!」
喜ぶ声をあげるのは白色エルフの女の子達だ。純潔やハーフ、クォーターなどいろいろと集まっている。どの女の子達も可愛らしい。川遊びの最中だったので素っ裸だ。中には初潮を迎えたばかりの子もいた。
彼女達がはしゃいでいたのは、この牛の怪物の股間に生えている、長くておおきなちんぽを触ってくすぐっていた為である。この牛男のそれは60センチ近くもあった。亀頭は常に剝けていてとてもでかい。
挿れるのはまず無理だが、舐めたり触れたり股に挟んでごしごしとやるのは楽しめた。んもももー、と牛男が叫ぶ。だらんと伸びた陰嚢が震えだした。
「もーだーめー!」
びゅるるるるる! にゅるるるるるるる! ぶびゅううううう!
ばかでかいちんぽから大量の精液が放たれた。おおよそ1リットルは超えているだろう。むらがっていた女の子達の身体にかかってしまった。
「あははは!」
「べったべたズラー!」
彼女達は顔や髪にかかったそれを舐め始めた。とても甘い。砂糖を加えた練乳そのものだった。魔族の精液は砂糖水みたく甘いと聞いていたが、まさかここまでとは思わなかったのだ。
「牛さんのちんぽじる、パンにつけてみたくなる甘さズラな!」
女の子のうち1人が問う。牛男はうなずいたがまたもちんぽをかわいがられて悶え始めた。んももー。快感の余韻が残っている状態でまたいじくられるとすぐに出てしまいそうだ。
「もーうーやーめーてー!」
「駄目ズラ! オラたちの村に来たんだから金玉袋がすっからかんになるまでやめねえズラ!」
「ほうズラ! たっくさん気持ちいいことして楽しむズラよ、シャウジャーさん!」
シャウジャーと呼ばれた牛男は、従わざるを得なかった。オクタヴィアに頼まれてこの里にやって来た。彼は魔族だ。ミノタウロスという種族である。とある密命を受けてこのカントニアにやって来た。ヒラッカにまでたどり着いたは良かったものの、ここからどこをどうすれば良いのかがわからなかった。
大抵どこの大陸もサキュバスがいるはずだ。なのにこの大陸に限ってはどこにもいない。サキュバスというのは彼にとって頼れる仲間だ。代わりにちんぽをこき使われる事となるが、心強い事この上無かった。
港町で迷っていたところで、物好きな大富豪に囲われ、毎日『搾乳』をされるハメとなって困っていた。それが1年。これでも彼は魔族としては優秀な部類である。
その富豪の顔なじみ兼、セックスフレンドがエルフのオクタヴィアだった。ちなみにだが大富豪はカイロネイアの女エルフを母とするハーフエルフである。
「いーずーばーるーとーさんはーどーこーにー?」
これが助けられた彼の最初の質問だ。イズヴァルトを探せ。これが彼に与えられた密命。そしてそれを下したのが何を隠そう、あの魔竜・サイカノマゴイチだったのである。
□ □ □ □ □
ミノタウロスのシャウジャーの『ちんぽ乳』には、恐るべき治癒能力が備わっていた。病魔を取り除き、投薬の効果を倍増させる事である。病魔自体はある程度というカッコ付きであったが、治癒魔法や投薬への効能は確かであった。
エルフの子供達にちんぽミルクを搾り取られる事4回。ようやくやって来たオクタヴィアがシャウジャーをイズヴァルトの元に連れた。
待っていたイナンナが、その柔らかく美しい手にぬめり気のある液体をまとわせて彼のちんぽをしごき始めた。すごくでかいズラな、これ。
「んもももー! ほんとーはもっとちいさくできるのにー、そのやりかたを忘れてしまったよー!」
むき出しの亀頭をぐちゅぐちゅ、こにこにとやって出てきたのはコップ一杯の精液。少女達に何度も出されてしまったからきんたまでの生産が追いついていなかったのだ。
「とりあえず、これをイズヴァルトさんに飲ませるずらよ」
オクタヴィアは寝室にいたイズヴァルトに飲ませてやった。一息に飲んだ直後、彼のペニスがにょーん、と勃起した。
「む、なんでござるかこれは! すっごく元気がわくでござるよ!」
「牛男のシャウジャーさんのちんぽ汁ずら。もっと飲むずらか?」
「……ちんぽ汁でござるか。拙者はエルフではなくサキュバスの改造手術を受けたのでござろうか?」
いいや違う。オクタヴィアは朝っぱらから顔なじみのクリスタと、中出し連続8時間おまんこをやって疲れ切っていたマルカスを、その愛人ごと連れてきた。
「うわ、でっけえ牛男さんずらな、オクタヴィアさん!」
「魔族かこいつ? 初めて見るなあ……」
オクタヴィアはイナンナに目くばせした。シャウジャーが「んももも……」と悲し気に啼いた。またも手コキが始まった。イナンナのそれはその技だけで、大富豪になれそうなぐらいである。
腕を蛇の様にくねらせて、細い指でペニスを愛でる。魔族のペニスはニンゲンのそれより数倍も感じやすかった。射精の時のしびれるような感覚も、放った後20秒ぐらい全身を伝う。
「んももおー!」
またもシャウジャーは射精した。今度はコップ半分ほどである。それを半分に分けて、マルカスとクリスタに飲ませた。
疲れ切っていたマルカスの顔は、みるみるうちに若返った。肌艶が良くなり、目じりの皺がいくらか消えた。クリスタはおっぱいがぷるんとはじけただけで、何も変わらない。
「む、なんだかクリスタとおまんこがしたくなってきたぞ!」
「お、おらもマルカスといっぺえやりたくなった気分ずら!」
クリスタとマルカスは抱き合い、キスをし始めようとする。それをオクタヴィアが押しとどめた。そういう効能がシャウジャーさんのちんぽ汁にはあるずらよ。
「んももももー……」
「でもシャウジャーさんは今日はお疲れ気味ずら。基本、この2日間はイズヴァルトさんだけが飲むものにするずら。あと、これはとんでもねえ高カロリーらしいから、飲むのはほどほどにするず……特にクリスタ」
名指しされたクリスタはきょとんとした顔になった。最近また腹の肉がついてきたずらな。確かに彼女のへそ出しの上着はちょっときついように見えた。
「おでぶのエルフはなかなかにいねえずら。それはそれで得難い個性であるけれども、あんましでっぷりになるとドワーフぐらえしか抱いてくれなくなるようになるず?」
「う、うん。おら、充分用心するずら」
しょげたクリスタにマルカスが耳元でささやいた。でっぷりと太ったクリスタも愛でてみてえよ。そうささやかれて彼女は頬を赤く染めた。
それよりもイズヴァルトだ。彼は元気になったのを良い事に『覇王の剣』での素振りを始めたが、1000回ぐらいやったところでぶっ倒れて戻って来てしまった。
「……面目ないことでござる。体調が回復したら、感謝の素振り1万回を毎日己に課そうとしていたでござるが」
「あんな重い剣を、1000回ぶんまわせるまで元気になったら充分ずら」
そう言ってオクタヴィアは『覇王の剣』を借りて、外で素振りをし始めた。彼女はここに来ている時、イズヴァルトの剣を借りて1時間ほど素振り稽古をしている。片手でだ。
「イズヴァルトさんはこの2日、養生してたほうがいいズラ。ところでシャウジャーさん、誰からの頼みでここに来たズラか?」
イナンナが尋ねた。シャウジャーは馬鹿正直に魔竜の頼みだと答えた。それを聞いてイズヴァルトは驚いてしまった。
「なにゆえ、アカサカチハヤの魔竜がそんなことを命じたでござるか! 魔族とホーデンエーネン王国は戦いあう宿命にあるというのに!」
王国はアカサカチハヤの魔族と戦う宿命にある、という固定観念が拭いきれないから、この事実をなかなか受け入れらえない。シャウジャーは言う。魔竜はキンキ大陸の安寧を常に願っているのだと。
「んもうう。サーイーカーノーマーゴーイーチーさーまーはー、あ、そろそろ頭の回転が良くなってきました。とても平和主義者ですなんだモウ」
「しゃべり方が変わったでござるな? しゃきしゃきとしているでござるよ?」
「おちんちんをいじくられて頭がぼんやりしてたからですモウ。あと、この世界は魔力抗体がとても強い土地だから、魔界出身の魔族にとっては『あうぇい』なんですモウ」
何が言いたいのか。イズヴァルトが住むこの世界は精霊や主神・マハーヴァラの験力が強すぎて、魔法の力がかなり抑制されている。魔力の出力に制限がかかっているという。
そのせいで魔法を駆使する、つまりは魔力こそがステータスになってしまう魔界の種族は、それのせいで常に思考能力や身体能力に邪魔をされてしまう。
対して魔法をあまり使わなかったり、身体能力が特別に特化されている……ろくに魔法を『使わない』あるいは『使えない』種族、例えばオークは、それに邪魔されずに全力を発揮できるそうだ。
「つまり、この世界ではヤギウセッシウサイどのの様な武力馬鹿が最強の魔族足りえる、ということでござるな?」
「それを言っちゃいけないんですモウ。というよりヤギウセッシウサイ様はイズヴァルトさんを我が子みたく思っておりまして、自分が面倒見てやりたいといつもおっしゃってましたモウ」
ヤギウセッシウサイは魔界で『二強』と謡われる武人のうち1人だ。もう1人、彼に若干上回る形の存在がいる。魔王の伯母でウサギの獣人、ワキノキヨマロというのその人物だという。
「……さらに上がいらっしゃったでござったか?」
「ああでも、魔力が強い種族だからこの世界ではヤギウセッシウサイ様ほど力を発揮できないそうですモウ。あと、ハチマンウーサという神様として、キンキ大陸ではあがめらえているらしいですモウ」
ハチマンウーサ。それを聞いてイズヴァルトは「まさか!」と叫んだ。んもーう。牛男はうなずいた。武神ハチマンウーサは聖騎士団で信奉されている戦神である。それとこの魔族から語られる真実。
魔竜より前の時代のアカサカチハヤの主こそが、ハチマンウーサことワキノキヨマロであると。1000以上年前の古代のキンキ大陸ではあがめられていた。人間達の庇護者としてもだ。
「まあ、その時代には武術大会がどこもかしこも開かれていたんですモウ。全国大会で優勝した武人は、ワキノキヨマロ様と武道場とおまんことで勝負ができたんですモウ」
「なんと! そこまで『ふれんどりー』なあるじでござったか! あの魔竜とは大違いでござる!」
「そんなあ。サイカノマゴイチさまは、とってもお優しい方なんですモウ……」
魔竜は精霊の子孫である亜人達が尋ねに来たら、必ず会って話をしてくれるし、ニンゲンでも魔族と仲良くなった者には面倒を見てくれる。世話焼きオバハンとしてだ。地母神寄りな女神と言ってもよい。
それからしばらくの間シャウジャーは、「もう! んももう!」と啼きながら、魔族や魔界についても語った。イズヴァルトは考えを改めざるを得なかった。騙されているかもしれないと思ったりもしたが、この純朴で心優しい牛男から、詐欺師の臭いにおいは感じ取れなかった。
「承知したでござる! 魔竜どのにはありがとうでござるとおっしゃっていただきたい!」
「んももう。私はイズヴァルトさんが治るまで面倒を見ろ、と命じられましたモウ」
「ということでござるな。ならば拙者はホーデンエーネンの皆に、生きていることを知らせなければならぬでござるよ!」
というわけでイズヴァルトは風呂に入って寝床に着いた。しかし彼はこの話でマイヤと疑わしき人物のことをエルフ達から聞かされなかった。オクタヴィアとイナンナは秘密にしようと心掛けていたからだ。
さもなければ、本調子で無いのにイズヴァルトは、無理にでもキンキ大陸へ向かおうとするだろう。
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